『旅するダンボール』岡島龍介監督インタビュー

今、捨てようとしているものにも価値があるんじゃないですか?


映画『旅するダンボール』が、2018年12月7日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿ピカデリーほか全国で順次公開される。
本作は段ボールアーティスト島津冬樹が世界30カ国の街角で捨てられた段ボールを拾い、デザインや機能性を兼ね備えた段ボール財布に生まれ変わらせる活動を迫う。そして、島津が一目惚れした徳之島産じゃがいもの段ボールの源流を辿って行く旅では、この段ボールと関わった人たちとの温かい交わりも映し出す。
撮影も兼ねて、島津に同行した岡島龍介監督に本作への思いを聞いた。

<岡島龍介監督 プロフィール>

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宮城県出身。日本でのオンライン/オフラインエディター&番組ディレクターとして活動後、2007年に渡米。Santa Barbara City Collegeに入学後、2009年にInternational School of Motion Pictures へ編入。卒業後はロサンゼルスでフリーランスの工ディター&ディレクターとして活動。編集を手掛けた『Stranger』(2010)はビバリーヒルズフィルムフェスティバルに正式出品される。自身が監督を手掛けた『Listen to Your Bird』(2012)はフィンランドで行われたフィルムフェスティバルONE CLOUDFESTの短編ドキュメンタリーにてOCFFAV Award観客賞を受賞。CM、MV、ドキュメンタリー、ファッション、長編、短編映画とジャンルを問わず監督、編集業に関わる。2015年に日本へ拠点を移し、Avalon Picturesとして活動中。近年はMIZUNOのテレビCMなどを監督、また自身初となる長編ドキュメンタリー映画『旅するダンボール』は、初監督作ながらSXSW (サウス・バイ・サウスウエスト) 2018、ドキュメンタリー・スポットライト部門に正式出品された。

『旅するダンボール』
<STORY>

島津冬樹。いま世界が最も注目をあつめる話題の段ボールアーティスト。本人は自身を段ボールピッカーとも呼ぶ。これまでに世界30カ国を巡り、なにげない街角から捨てられた段ボールを拾ってきた。もう8年もの間、誰もが見向きもしない段ボールを、デザイン、機能性を兼ね備えた段ボール財布に生まれ変わらせている。こうして島津が生み出す段ボール財布は世界中を旅し、リサイクルや再利用といった概念のさらに先を行く<アップサイクル>の可能性として受け入れられているが、島津の思いはソーシャルな反応とは無関係に、ただひたすら段ボールが好きという、純粋さそのもの。『旅するダンボール』は、そんな島津がある日徳之島産のジャガイモの段ボールを見つけ、その源流を辿って行く旅の途中で出会う、この段ボールと深く、浅く、近く、遠く、関わった人たちとの温かい交わりを3年間にわたり追ったドキュメンタリー映画。東京で偶然に見つけたかわいらしいポテトのキャラクターの段ボールがきっかけで、島津と段ボールのつながりは、日本を飛び出し、世界へと広がっていきます。(公式サイトより引用)

監督:岡島龍介
出演:島津冬樹
ナレーション:マイケル・キダ
配給:ピクチャーズデプト

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★2018年12月7日(金)YEBISU GARDEN CINEMA、新宿ピカデリーほか全国順次公開


―段ボールアーティスト島津冬樹さんについてのドキュメンタリー作品を撮ろうと思ったきっかけをお聞かせください。

島津くんが「段ボールの映画を作りたい」とプロデューサーに持ち込んだのがきっかけです。しかし、段ボールの映画と言われても誰もイメージできず、島津くんがカメラを持って現地に行き、好きな段ボールを撮ったり、自撮りしたりするというセルフドキュメンタリーの形でスタートしました。ただ、島津くんがやり始めたものの、撮影するのは初めてで恥ずかしい。目的の段ボールを見つけると夢中になってしまい、カメラには地面しか映っていない。撮れ高が全くない状態でした。これでは映画を作ることはできません。客観視する人が必要ということになったのです。当初、僕は編集を頼まれていて、いつ来るかわからないプロジェクトとして、頭の片隅にありました。それがある日、島津くんから監督と撮影をやってもらえないかと相談があり、そこから僕も参加するようになりました。

―ナレーションが英語です。なぜ日本語ではなく、英語にしたのでしょうか。

英語にした理由は、本作がゴミ問題を含む社会派の映画でもあるからです。環境問題は日本だけの問題ではありません。日本に留まらず、世界に向けて発信するとなれば、最初から英語で作った方が伝わる人数が増える。そこで、ナレーションを英語にしました。また、プロデューサーが当初からサウス・バイ・サウスウエスト映画祭への出品を意識していたからというのも理由の一です。

―ポップな感じがして、入っていきやすい印象でした。

それも狙っていました。ドキュメンタリーは取っつきにくいイメージがあるので、「この作品はこういうポップな雰囲気ですよ」と伝えたかったのです。
それと、島津くんの作品ということで、完成形はかわいい感じになるだろうと思っていました。ナレーションも子どもにしようかと思っていたくらいです。しかし、後半はシリアスなシーンに突入するので、子供ではなく大人にした方がいいのでは?ということで、優しい声の雰囲気がマッチしていると思いマイケル・キダさんにお願いしました。

―最初と最後のイラストもかわいい感じでしたね。

あのイラストは島津くんが描いたものです。イラストを入れることで、彼の世界観を演出したかったのです。ただ、冒頭だけのイラスト演出では全体のバランスが悪いので、随所にそれを挟んだり、エピローグも彼のイラストを入れることで、彼の世界観を崩さないように意識しました。

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―冒頭で世界観を示した後で、たくさんの方が大切なものについて語ります。奥さんが直してくれたコーヒーカップ、お母さんが作ってくれた受験のお守りなど心温まる宝物ばかりでした。

僕が伝えたかったのは、「みんなで段ボールを好きになろうよ」ではなく、「アップサイクルのタネは段ボールだけではなく、僕らの周りにいっぱい落ちていることに気づいてほしい」ということです。冒頭の「みんなの宝物って何ですか?」と、最後のアップサイクルへの取り組みをくっつければ、僕の言いたいことは終わる。その例として取り上げたのが島津くんの段ボールへの愛情という三部構成になっています。

―アップサイクルという言葉をこの作品で知りました。

実は僕も島津くんも知りませんでした。
映画の撮影は2017年4月にスタートし、10月にほぼ撮り終えたものの、編集を始める時期になって「エンディングはどうしよう」という話になりました。この映画を通じて何を訴えたいかが、僕の中で見つかっていなかったのです。スタッフみんなでいろいろ考えるものの、腑に落ちない。そんなとき、プロデューサーが「これからアップサイクルが来ると思う」と、会議に出してきました。当時、アップサイクルという言葉は世界でポツポツと出始めていましたが、日本ではまだ認知度が低く、僕たちもそこで初めて知りました。
そこでアップサイクルという言葉を調べてみると、島津くんがやってきたことはアップサイクルのど真ん中だったということに気づいたのです。島津くんは当初から「不要なものから、大切なものへ」というスローガンを掲げていたので、プロジェクトが始まった時点で、実は本質的な事ではあったのですが、それが「アップサイクル」という言語に行き着くまでに、ちょっと時間がかかってしまいました。それと同時期に、エースホテルでのワークショップの話が決まり、中国から環境系のエキシビションのオファーがきたりと、映画のエンディングにとっては必要不可欠な撮影が次々と決まりました。サウス・バイ・サウスウエスト映画祭の締め切りもあり、ギリギリな決断でしたが、「これは行くしかない」と取材を決行しました。いろいろな意味で、プロデューサーにとって、かなりリスキーな作品だったと思います。

―ききつ青果が扱った徳之島産じゃがいもの段ボール箱のルーツを辿る「里帰りプロジェクト」は到着点がわからないままのスタートで、こちらもリスキーでしたね。

島津くんはこの作品を撮る前に、別案件で里帰りプロジェクトの原型となる企画をやっていますが、そのときは動画ではなく写真ベースだったそうです。「もう一回やってみたい」という島津くんの希望で始めました。ただ、その時点では、ききつ青果という情報しかなく、届け先も、受け取った人の反応もどうなるかわからない企画でした。徳之島に行くかもしれないし、長崎で取材が終わるかもしれないし、まだ何もわからない状態でしたが、まずは長崎へ行ってから、、、ということでここから全てがはじまりました。

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―「里帰りプロジェクト」には泣いてしまいました。

取材を続けていく中で、ポテトの段ボールは熊本にいる丸尾さんという方のデザインだという事が分かりました。しかし、数年前から発祥した病気が原因で、あまり当時の事は覚えてないかもしれないと、当時部下だった方から聞いたのは今回の取材の後でした。結果、島津君が聞きたかった事はあまり聞けなかったのですが、丸尾さんの人柄に出会った事で、なぜ自分が段ボールに惹かれているのか?なぜ段ボールが温かいのか?という本質に気づく旅となったのです。丸尾さんの奥様も段ボール財布を手に取り、旦那様の働いていた当時の姿が脳裏に浮かんでいたのでしょう。財布を手に取りながら泣いていました。涙の本当の意味は分からないですが、奥様から「この5年間は暗いトンネルを歩いているようだった。ただ財布をもらった事で光を感じる事ができました」という言葉を頂いた時は、このプロジェクトは必然的だったのだなと感じました。

―編集の進め方は? 

CMやMVは事前に台本を作って、セリフとかいろいろ決めてから撮る。ドキュメンタリーはそういうわけにはいきません。最後にディレクションを持ってきて、お客さんの深層心理を考えながらピースを入れ替え、編集していくパズルのようなものです。

―いい段ボールとそうでない段ボールがあると島津さんは語っていました。その違いを監督は理解できましたか。

全部が分かるわけではありませんが、島津くんの好みは何となくわかってきて、確かにデザインを見て、かわいいと思うことはありました。
島津くんが言っていましたが、ピザなどが入っていた段ボールをゴミ箱から拾うときは悩むそうです。自分ではいいと思っているけれど、ピザのカスや油がついていて、あまりにも汚い。「そこまでして、自分は拾いたいのか」と自問自答するらしいです。ただ、後悔したくないという思いが強いので、結局は拾ってきてしまう。
島津くんは旅をしているとき、段ボール以外のものも拾ってきます。小麦粉が入っていた袋を拾って、ホテルで洗っていたこともありました。島津くんは元来、集めるのが好きなんです。小さい頃は貝、百合、飛行機模型などを集めていて、段ボールもその延長線上にあるようです。しかも、島津くんは集めて終わりではなく、ちゃんとお披露目する場所を作り、反応を見る。この行為は里帰りプロジェクトにも繋がっていますね。

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―段ボールを集める旅は苦労も多かったのではありませんか。

かなり苦労しました(笑)。
海外に行くとき、島津くんはすでに重量オーバーしているケースを半分以上、空にして持っていきますが、帰りはその中にぎっしり段ボールが詰まっています。それでも入りきれない段ボールは現地でものすごいでかい段ボールをケースにして、他の段ボールを敷き詰めて、エクストラチャージを取られてでも持って帰る。
いつもの事なんですが大抵、出国も入国も税関で引っかかります。すったもんだで、島津待ちということが多々あります。ピッツバーグへ取材に行ったとき、パーキングチケットを切られてしまったのですが、ふつう落ち込むところを彼は、逆に「やったー」と喜んでいましたね。現地のパーキングチケットの紙を手にしてすごく喜んでいました。二度ともらえない、二度と出会えない恐怖にかられるようですね。

―監督ご自身は段ボールで財布を作ったことはありますか。

実は作ったことがないのです。僕はワークショップのとき、みんなの反応を撮ることにフォーカスしています。最初から最後まで撮っているので、作る時間は全くない。
しかし、使ったことはあります。僕の使っているものはちょっと特殊で、名刺入れとコインケースが合体したもの。島津くんの試作品をもらいました。違和感なく、普通に使えます。

―国内外でのワークショップの様子が映し出されていました。日本人と外国人では反応に違いはありましたか。

ワークショップの雰囲気はほとんど同じですね。最後にボタンをつけて終わりますが、ぱちんと閉める瞬間はみんな、「うぁーっ」、「やったー」、「できたー」と叫び、このシーンは世界共通でした。

―段ボールに対する認識に変化はいかがでしたか。

ここに段ボールの山があるとします。ワークショップでない、ただの何でもない時だったら、その段ボールはすべてゴミになる。WSで「あそこから段ボールを選んでください」というと、、参加者は自分の名刺入れを作る材料として見ています。選ぶという行為がすでに段ボールがゴミでなくなっていることを意味しています。
ゴミとして見ているのか、材料として見ているのか。多くの人がその違いに気づいていません。ワークショップがそろそろ終わるという頃に、「みなさん、先ほど段ボールを選んでいましたが、あれはゴミなんです」というと、「あっそうか、言われてみればゴミですよね」と気づく。
ワークショップを終わると、段ボールを見る目が変わる。アップサイクルを伝える試みとしては成功していると思っています。

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―今後もアップサイクルに関する作品を撮っていくのでしょうか。

取材対象者がアップサイクルに関心がある人であれば、このままアップサイクルを追求する路線になります。ただ、今、ちょっと気になっている人は全然違うプロセスの人。もちろん、この映画を通じてアップサイクルの知識は増えたので、それは次の作品に大きな気づきになると思います。

―フィクションではなく、ドキュメンタリー作品ということでしょうか。

絶対ドキュメンタリーでなくてはダメということはありません。今回、初めて、長編作品を撮りましたが、CMやMVもこれまで通り、撮っていきたいと思っています。いずれも共通しているのは、見ているお客さんの大衆心理をコントロールしていく作品。そういうことを追求していきたい。それがCMなのか、ドキュメンタリーなのか、フィクションなのかは、特に決めていません。

―本作をこれから観る方々にひとことお願いいたします。

映画内では直接、アップサイクルについて語っています。ここが一番伝えたいこと。しかし、この映画には裏テーマがあるんです。島津君が好きな段ボール活動を続けるために、大手広告代理店を辞めるシーンがあり、その後の彼の様子を映画では描いています。彼の「好きな事をやっていきたい」という彼の姿は、昔の僕にも共通する部分があります。自分も映像制作という好きな事をするために、大学を辞めたり、アメリカで学んだり、いろいろな所で大きな決断に迫られました。とても困難な道でした。でも後悔はないんです。島津君も死ぬ間際で「あれしとけばよかった。」みたいな人生を送りたくないという想いから、いま段ボールの活動を続けています。後一歩前にでればできるのに、後少しの勇気があればあそこに行けるのに、やりたいことがあるのに勇気がなくでできない、そんな人達の背中を押す映画になってくれればなと思って作りました。
(取材・写真:堀木三紀)


『旅するダンボール』島津冬樹さんインタビュー 

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12月7日より公開予定のドキュメンタリー『旅するダンボール』に登場する段ボールアーティスト島津冬樹さんにお話を伺いました。
(2018年11月14日)

=島津冬樹さんプロフィール=
1987年、神奈川県生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科卒。2015年、広告代理店を経てアーティストヘ。日本のみならず世界中を周り、路上や店先で放置されている段ボールの中からお気に入りの逸品に出会う旅を続けている。
「不要なものから大切なものへ」をコンセプトに、2009年より段ボールから財布を作るCartonをスタート。段ボールの良さを伝えるため、国内外での展示や、お財布作りのワークショップを多数開いている。

『旅するダンボール』監督:岡島龍介

島津冬樹さんの活動に密着したドキュメンタリー。ただただ純粋に段ボールに魅せられている島津さんは、国内外で道端やゴミ捨て場にうち捨てられている段ボールを拾い集める。絵柄やロゴを生かして世界にたった一つの財布やカードケースを作り出す。ガラクタから価値あるものを生み出す「アップサイクル」は世間の注目を集め、展示やワークショップを通じて広がっていく。ある日、市場でたまたま目についた「徳之島産のジャガイモの段ボール箱」の作り手を捜し出すことになった。カメラはその旅を追っていく。

☆岡島龍介監督インタビューはこちら
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★2018年12月7日(金)YEBISU GARDEN CINEMA、新宿ピカデリーほか全国順次公開


-子どものころからものを集めるのがお好きでしたか?

はい。生まれたのが江ノ島の近くだったので、幼稚園のころは貝拾いして、図鑑で調べたりしていました。当時はお土産やさんに珍しい貝も売られていたので、自分が持っていないものを親におねだりして買ってもらったり。ホネガイとか。次が、男の子がふつう通る道で、ミニカー、飛行機、船、乗り物系ですね。
植物だと、ラン。エビネとか。

-ランで、しかもエビネ!渋いですね!それはいくつのときですか?

小学3年生くらいです。知り合いのお爺ちゃんお婆ちゃんがいて、同じデザインでも色や柄がいろいろなんですね。それでちょっと興味を持ったりして。それからキノコ、菌類です。いろんな種類があって面白かったですね。キノコの図鑑も買ってもらって、見つけたキノコを調べたりして。次は魚。

-そのへんのタンポポ、スミレじゃないんですね。子どもにしては渋すぎです(笑)。たくさん集めたものは保存されたんですか?

貝は標本にして箱に入れて、今も実家にあります。キノコは残しておけないので、スケッチして絵でコレクション。自分で図鑑を作るような形で残してあります。好きなものに対してアウトプットする、じゃないですけど伝える方法を考えるというのは常にありました。

-それは後に美大に入られたり、クリエイターになられたりしたのに繋がりますね。素質ですねえ。

親がそういうふうにやったら、と促してくれたんですよ。

-じゃあ何を集めても顰蹙をかうことはなかったんですね。

はい。ただ、粗大ごみを拾ったときは邪魔だって言われました(笑)。


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-段ボールにたどり着くまで、途切れず何かしらに凝っていらしたんですね。で、ここから段ボールのお話になるんですが、段ボールを拾うポイントは?

まず色から入りますね。色でピンときて、よくよくデザインを見て、珍しいもの。例えば海外から来たもの。日本でもJA(農業協同組合)系でない、大きなところに属していないインデペンデント系の農家の(笑)。

-インディーズ!?

そうインディーズ(笑)、野菜に限らずそういうところのほうが、デザインが面白い。

-出回っている数も少ないでしょうから希少価値があると。
お気に入りになった徳之島産ジャガイモのPOTATOの段ボール箱ですが、作者を知りたい、探したいと思ったのはこの1件だけですか?

厳密にいうと、もう1件「えだまめ」の段ボールがあったんです。草加から来たえだまめで、すごくゆるいデザインで、絶対に家族の誰かが描いたにちがいないって感じの絵なんですよ。

-えだまめ家族、みたいな感じですか?

ほんとに家族みたいな感じで絵が描かれていて、お父さん、お母さん、子ども。うまいイラストっていうのではないんですが、そのゆるさがほんとにいい。どっちにしようかなと思ったんですけど、POTATOのほうが(産地まで)距離もあるので。埼玉は近すぎるんですよね。

-ああ、そうですよね。「旅する」には遠いほうが。

はい。そっちのほうから掘ってみようということで。

-POTATOの段ボール箱を見つけて、作り手にたどりつくまではどのくらいかかったんですか?

どのくらい・・・2~3ヶ月かな。長崎でその先を教えてもらったときに、出かければその日のうちにもうたどり着いたかもしれません。でもいったん東京に帰ったんですよ。

-調べるのは、島津さんお一人じゃなくプロデューサーさんたちチームでするんですね。ある程度のストーリーというか、作った方を見つけ出して感激の対面!というような予想は立てられていたんでしょうか?

わかっていたのは段ボールにあった住所だけでした。選果場を撮影できるか、とかいう交渉や問い合わせはプロデューサーたちが。ただ、行ってみないと先方のリアクションなどはわからないことです。どういうことになるのかは、全く未知のままでした。

-作り手さんの奥様が泣いてらっしゃいましたね。私ももらい泣きしてしまいました。島津さんはいかがでしたか?

いいシーンでしたよね。映画でも言っていますが、段ボールの財布の活動がこういう違う形で一人の個人を勇気付けられたというのは嬉しかったです。

-Carton(カルトン=島津さんが段ボールの魅力を紹介するためのプロジェクト)の活動と映画撮影を一緒にやっていたんですね。

そうですね。撮影と平行してやっていましたね。ワークショップも密着して撮影されていますし。

-そのワークショップですが、ノースフェイスの箱から作ったカードケースがよかったです!

あれはね、デザインが絶対にカッコイイ!

-どこをとっても素敵ですよね。箱は提供していただいたんですね? 私も参加したかった!またやらないでしょうか?

使われない箱をいただきました。またワークショップやるんですよ。(と、11月23日開催の情報をいただき、本題へ戻る。私も申し込みしました!)

-段ボールで最初に作ったものがお財布なんですね。お財布を段ボールで作ろうとはなかなか思いつきません。

大学生2年のとき、自分の手持ちがないとき財布を作ろうとしたんです。皮もやってみたんですけど、自分には合わなくて扱えないし、どうしようと。たまたまカッコいいデザインの段ボールがあったので作ってみようかな、と思ったのがきっかけなんです。でもまだそのころは今のように段ボール好きだったわけではないんです。

-あら、そうなんですか。お財布の「素材」として手に取ったと。

段ボールのデザインが秀逸だなぁとは思っていて、それが生かせないのがもったいないという気持ちがあって。段ボールがカッコいい、お洒落だなという気持ちはずっとありました。

-そしてカッコよく出来上がって、それから改良を繰り返して。

それから9年間。今にいたるまで。

-9年間!すごい! で、今のが最終形態というか、完成品?

改善して、値段も最初は500円、4500円、10000円と上がりました。

-値段も変わったんですね。10000円は産みの苦しみ(汗と涙?)が入っているお値段だと思いました。あれは完全にオリジナルの1点ものですし。

そうですね。9年の重みと。値段は、安ければ安いほど使えないんじゃないかと思われてしまうかなと。
財布のマイナーチェンジは結構あるんです。後は新しいタイプの財布を作っています。今だとこういう小さい財布。
小銭とお札とカードと・・・(と言いながらポケットから取り出す)

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使用中の小さめのお財布。
二つを背中合わせに留めることも外して単体で使うこともできます。

-けっこういっぱい入りますね。これはなんという名前ですか?

まだ名前がないです。未公開のもので今度ノースフェイスの展示で売ろうかなと思っているんです。

-訪ねた国は映画の時点で27ヶ国。HPで30カ国に増えていましたが、どこに行かれたんでしょう。近場ですか?

今年になって3つ増えました。アフリカに行ってきました。エジプト、エチオピア、南アフリカ共和国。

-めちゃめちゃ遠いじゃないですか(笑)!自前ですよね?

自前です。段ボールのためだったら(笑)。

-ええ~!お財布いくつ売ればいいんでしょ(笑)。誰かスポンサーがついてくれるといいのに。全ては段ボールから!この先、段ボール以外に興味がもてそうなものは?

うわぁ、ないですねぇ。ポテンシャルがありすぎてなかなか。

-今のところ究極?

まだまだ可能性が。段ボールはけっこう残っていくものだと思います。

-段ボールそのものって、これ以上変わらないんでしょうか?

構造としてもやっぱり優れていますし、変わらないんじゃないかと思います。

-避難所の間仕切りなどにも使われましたよね。まだまだ色んな方面で利用価値がありそうですね。これからどうやって活動は展開していくんでしょうか?Cartonでも島津さんご自身でも。

世界中の段ボールを拾い集めて、それを見せる場を作りたいと思っているので「段ボール・ミュージアム」という構想はずっと持っています。国ごとの段ボールの違いとかを見せていきたいと思っています。

-あと行ってみたいところは?

今は小さな孤島に興味があります。たとえば太平洋に浮かぶ小さい島々、ツバルとか気になるんです。

-ツバルってあの沈みつつあるところじゃないですか(温暖化で海面が上昇している)!早く行かなくちゃ!

だからなくなる前に急がないと。あとコーカサス地方。

-ロシア方面ですか?あんまり寒いところには行ってないですか?

ノルウェーとか、北欧にはまだ行ってないんです。

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-持ち帰れなかったことはありますか? さぞ心残りだと思うんですが。

ありますね。心残りになりたくないので、なんとかその断片だけでも持ち帰ります。
ほんとは全部持ち帰りたいんですが、時間がないこともあるし、手放さなきゃいけないときもあるので。特に周遊しているときは、1箇所でどのくらい拾えるかっていうのは未知なんですよ。予想しながらです。

-出かける前にはその国のリサーチされるんですね。

そうです。どんな言葉が使われているか何が採れるか。バナナの箱のときは、その国でいっぱい使われているだろうという予測だったんですが、国内流通には麻袋に入れて輸送していたんです。箱はあるんですが、少なかった(フィリピンに行ったけれど、築地で多く見つけた)。日本ではみかんとか全部段ボール箱に入っていますよね。あれはとても贅沢なんです。

-日本の段ボール箱って質はいいんですか?

いいほうだと思います。ただデザインがほかの国に比べるとすごく淡白です。色使いとか。ゆるキャラも含めて可愛いキャラクターが多いです。可愛くて、渋いという(笑)。あんまり同居しないようなものですが、色使いは海外のほうが慣れている。西洋の油絵と日本画みたいに、それは文化の違いがあるんでしょうね。

-文化が出るんですね~。面白い! こんな段ボールがほしいなという夢の段ボールは?

夢の・・・。宇宙に行っている段ボールあるのかな、って思うことあります。NASAで、スペースシャトルに段ボール積んでないかなぁと。あと、映画に出てくる段ボール。『チャーリーとチョコレート工場』のWonkaのチョコレートの段ボール箱がほしい(笑)。どっかにあるんじゃないかな。

-映画会社の倉庫に美術さんが作ったのが残ってるかも。いやいや奥深いです。

常にどんなときでも段ボールに目が行っちゃうので(笑)。映画見てもニュース番組見ても段ボール(笑)。警察で家宅捜査のときに箱もってくるでしょ?

ああ、あれって文字入ってましたか?

入ってるんですよ~。神奈川県警とか、警視庁とか(笑)。あれも(本物を)ほしいなぁって思いながら見てます(笑)。

富山の展示に出かけたおり、会場の裏が警察署だったので「ダメもとで聞いてみた」お話が飛び出しました。話だけは聞いてくれたけれども「やっぱりダメでした」とのこと。ここでプロデューサーさんも交えて、どうやったら手に入るかと、ない知恵を絞る我々。けれども身内に警察関係者もいないので、やはりわかりません。この激レアな段ボールを島津さんがほしがっております。と書いておきます。

-ワークショップを外国でも開かれていますが、その国ならではのリアクションはありますか。

総じて同じですね。日本の段ボールは人気です。漢字や平仮名など文字が使われているので珍しがられます。

-漢字のTシャツありますよね。島津さんが大事にしているのが「イスラエルのコカ・コーラ」の段ボールでしたね。あれが今もナンバーワンですか?

今は変わって、「ブルガリアで拾ったシリアの赤十字団体」の段ボールです。普通そういうのは難民キャンプでしか拾えないんですけど、ブルガリアの道に落ちていました。なぜ落ちていたかはわからない。

-ほんとになぜそんなところにあったんでしょう。その「なぜ」が物語ですね。

そこに、どういう背景があるかを考えちゃいます。

-ずっとお聞きしていたいのですが時間なので、ここまでで。ありがとうございました。

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試写受付にあった段ボール座布団。スポーツ観戦などにも。

=インタビューを終えて=

8月半ばに試写を見たときから気になっていた、主人公の島津冬樹さんにお目にかかれました。嬉々として段ボールを物色している姿が、夏休みの少年のようです。その根っこのところには、子どものときから好きなものを好きなように集めさせてくれたご両親の存在がありました。クリエイターはほかの誰も思いつかないことを形にするのがお仕事だと思いますが、島津さんの「段ボールでお財布」という発想がまずユニークです。そして珍しい段ボールのためならどこまでも行ってしまう、その愛とパワーに敬服。
レベルアップさせてきたお財布、商標登録とか特許とか申請しないんですか?と伺いましたら「難しいんです」とのこと。誰かが真似してもいいんですか?「段ボール愛に関しては自分ほどではないだろう、という自負があります」とニコニコ。島津さんを超える人はいないでしょう。
不要なものから大切なものを生み出す発想は、暮らしのあれこれに応用することができそうです。

もともと箱や袋が好きですが、試写の後、道端の段ボールにも目が留まるようになりました。段ボールは英国が発祥の地で、英語では「cardboard」、日本では「のあるボール紙」ということから命名されたそうです。古紙とパルプとでんぷん糊で作られて、何度でも再生可能な段ボールは95%以上の回収率を誇っています。エコの優等生です。なんでも軽く、小さく、簡便になっていくこのごろ、段ボールも丈夫さを保持しつつさらに軽く薄く美しくなっていくのかもしれません。
(取材・写真 白石映子)
11月23日ワークショップに参加してクラッチバッグを作ってきました。

☆段ボールに興味の出てきた方はこちらを参考に。
全国段ボール協同組合連合会 https://zendanren.or.jp/

★今後のイベント

『旅するダンボール』公開記念フェア
開催日時 : 2018/12/5(水)~2019/1/31(木)
※12/25(火)~1/8(火)年末休館
10:00~18:00 (金曜日、土曜日のみ~20:00)
定休日:毎週火曜日
(祝日又は休日に当たる場合は営業し、翌日休み)
場所 :スーベニアフロムトーキョー
東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館1F, B1
www.souvenirfromtokyo.jp
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「スーベニアフロムトーキョー」ワークショップ
・開催日 :
2018/12/20(木) 第一部 13時/第二部 15時
2019/1/26(土) 第一部 13時/第二部 15時
・所要時間 : 約1時間
・定員 : 各回4名
・会場 : 国立新美術館内B1 スーベニアフロムトーキョー
・参加費 : 3,500円(税込)
・応募方法 : info@carton-f.com までメールでご応募下さい。
予約の受付は各回前日の18:00にて締切らせていただきます。
(各回先着順4名様となります。席が埋まり次第受付終了とさせていただきます事、ご了承ください。)
・段ボールはご用意いたしますが、お気に入りをご持参いただく事も可能です。
お問い合わせ先 スーベニアフロムトーキョー 03-6812-9933

『青の帰り道』完成披露上映会&舞台挨拶

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日程:11月13日(火)時間:18:30開演
※上映前 舞台挨拶約30分
場所:新宿バルト9 スクリーン9
登壇者:真野恵里菜、清水くるみ、横浜流星、秋月三佳、冨田佳輔、藤井道人監督
【ビデオレターにて】森永悠希、戸塚純貴

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映画『青の帰り道』舞台挨拶&完成披露上映会が11月13日(火)新宿バルト9にて行われました。主演の真野恵里菜、清水くるみ、横浜流星、秋月三佳、冨田佳輔、藤井道人監督が登壇。ふだんから仲が良いという出演者のみなさんは、「同窓会みたいだね」と、明るい笑顔を見せていました。この日、仕事で参加できなかった森永悠希さん、戸塚純貴さんからも、沖縄、北海道からビデオ映像で挨拶。

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みなさんそれぞれの、この映画への熱い思いを語ってくれました。紆余曲折もあって、ようやく完成披露の日を迎え、「この映画がみんなに届くように願っている。何か自分に重なる部分を見つけてくれたらうれしい」という監督の思いが語られると、主演の真野恵里菜さんは感極まって涙ぐんでしまう一幕も。

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それぞれの心のこもった挨拶の後、映画の内容に関するトークは、以下に書き起こしました(敬称略)

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司会 みなさんそれぞれ自分の役を大事に演じてらっしゃると思ったんですけれども、それぞれの役について、どんなところに共感したかお話ししていただけますか? 


IMG_0187.jpg真野恵里菜

真野 演じているときはそんなに重要だとは思ってなかったんですが、「過去には戻れないんだな」っていうことをすごく痛感します。「あのとき楽しかったなあ」って話すことあるけど、それがマイナスに出てしまったシーンの時には、私たちと重なるなーって。戻りたいけど戻れないっていう苦しい現実もあったりするので、その中で今をどう生きるのかっていうのをまさにこの映画は描いてるんだなって。この青の帰り道のポスターだけを見て、映画を観ると、良くも悪くもびっくりすると思うんです。決していい気持ちでは帰りづらいのかな、と。やっぱり笑って欲しいし、感動して欲しいし、楽しい気持ちになって欲しいとも思うけど、この作品はそうではなくて、何の変哲もない7人がそれぞれ青春を過ごして大人になっていって、挫折したり悩んだり、やりたいことが見つからなかったりという、、、それぞれの「ただの人生」なんですけど、みんなそういう人生を歩んでると思うので。それで共感してもらったり懐かしんでもらったり、「自分は明日からこうしてみよう」って思ったり。そういう「考える映画」になっていると思う。今日お友達と来てくださっている方もいると思いますが、「どう思った?」とか、みんなが明日を過ごすのにヒントになる映画になってるんじゃないかと思います。だから、「考える映画」を楽しんで欲しいです。


IMG_0191.jpg清水くるみ

くるみ 全部真野ちゃんがおっしゃってくれたんですが、、、自分自身も、みなさんも両親とぶつかった経験てあると思うんですね。そういう部分でまた考えさせられるというか、あのときはぶつかったけど、今考えるとあのときの経験てすごく良かったな、とか、あのときの両親の言葉って、今の自分にすごく役立ってる、とか、いろんなことを考えて自分に言ってくれてたんだなっていう、またこの作品を観て、演じて痛感したなって、思います。たぶんみなさんにも経験があることだと思うので、そういうところを共感していただけたらなって、思います。


IMG_0247.jpg秋月三佳

秋月 この映画は本物の友情を感じられるなー、って思っていて、一人一人が高校を卒業してから成長していく中で、歳を重ねながら、その都度その都度、壁を乗り越えて行かなきゃならないっていう、、、、ほんとうにどん底になったときにそばに誰が居てくれるかっていうことが、ものすごく色濃く描かれています。映画が終わった後で「ああ、そばにいてくれる人が居て良かった」「味方が居て良かった」とか「私はあの人の味方になれるかな」とか、友情もそうですし、家族もそうですし、「生きてて良かった」と思えるような映画になっっているので、そこが私は共感します。


IMG_0196.jpg横浜流星

流星 お三方ともとても素敵なことをおっしゃっていたので、、、ぼくは個人的なことになってしまいますが、自分が演じたリョウという役のことで共感できるなあと思ったのは、いろんな人生を歩んでいく中で、環境も変わっていく中で、仕事とかやってて周りとか見てると、「自分は空っぽだな」と。やりたいこともあるけど、漠然と意味もないことを考えているけど、実は空っぽなんですね。その時に、焦りだったりとか、弱さを見せたくなかったりとか、そういうところがリョウにもあって、共感できる部分でした。


IMG_0202.jpg冨田佳輔

冨田 ぼくも演じたユウキという役の話になるんですけれども、高校生の時にあのポスターにもあるように、みんなで楽しく過ごしたっていうのがあって、やっぱり夢を持って上京した後に、みんな、思い描いていたこととちょっと違ったり、思い描いていたような楽しいこともあったりして、その中で自分との葛藤があって、今後どうしていったらいいか、頼れる人は友達しかいなくなったりとか、そういう感情移入しやすい、いちばんよくいる男の子の役というイメージがあったので、ぜひそこを見ていただきたいな、と。僕自身もユウキに共感したし、共感しやすい役なんじゃないかと思いました。


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司会 みなさんの話を聞いて監督はすごくうれしそうにニコニコしてらっしゃいましたが、、、このポスターの7人の表情はほんとうにキラキラしていて、、、ここから物語が始まるんですが、、(司会は伊藤さとりさんです)


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(c)映画「青の帰り道」製作委員会

IMG_0218.jpg藤井道人監督

監督 これはクランクインの時に撮った写真ですね。思い切りやってくれって言って、流星に引っ張っていってもらって。


流星 おれ、コケましたよ。


監督 あぜ道にね、、(笑)。この映画を撮るっていうときに、このビジュアルしか浮かんでなくて。後々「恋愛キラキラ映画かと思った」ってすごい言われて、あそうか、そういう見方もあったかって後悔してしまった部分もあるんですけど、僕としては「これが撮りたいんだ」っていうことを彼らにいちばん最初に伝えて、後は俳優部が自分たちで全部やってくれたっていうか、、、そういう感じです。


司会 『青の帰り道』っていうタイトルは、自分たちが自分たちに戻れる場所っていう意味合いがあるということなんですが、キャストのみなさんにとって、自分が自分でいられる場所ってどこですか?


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真野 私は17歳で東京に出て来て一人暮らし始めたんですけど、この間実家に帰ったときに、地元の駅に降りた瞬間に、今まで感じなかった「地元の匂い」っていうのを感じて、あー、返ってきたなあっていうのをすごく感じましたね。けっして何か有名なものがあるとか目立ったものは特にない「ふつうの田舎」なんですけど、その空気感が東京とはやっぱり違うなー、とも思ったし、ホッとするなあ、っていうのを最近感じました。


司会 この映画にも通じる、、


真野 そうですねー。良くも悪くも、変わらないなあって。わたしも変わってないんだって思いましたね。


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くるみ わたしは、今ここにいる自分のいちばんの選択っていつだったかなあって思うと、それは受験したときかな、、って。その時は何にも考えてなかったけど、その時の選択がいちばん今の自分につながってるのかな、、って。その頃の塾とかお好み焼き屋さんとかもう今はないんですけど、その前通ると、「ああここにあったなあ」と思います。帰る場所無いんですよねもう、だから前を向くしかないっていう、そういう意味でも、その前を通ると、ああがんばらなきゃって思います。


秋月 私は自分の部屋ですね。狭いんですけど、好きな映画や舞台のポスターが貼ってあるんです。家の外で悩んで「わたしはこれからどうすればいいんだー?」って思っても、家に帰ってポスターを見ると「あーそうだー、これが好きだったんだー」って落ち着いて。こうやってボーッと立ってるんですよ、自分の部屋を眺めながら。そうすると入ってきた母親に「何やってるの?大丈夫?」って心配されて、、「大丈夫だよ」って。私の部屋はそうやってリセットされる場所です。


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流星 同じく、僕も自分の部屋ですね。やっぱり誰にも気を使わず、自分の好きなことを好きな時間にできるっていうのもそうですし、僕はけっして友達が居ないわけじゃないけど、あまり他人に相談しないタイプで、だからこそ自分の部屋にいるときに自分を見つめ直す時間とか、向き合う時間っていうのをすごく大切にしていて。だから家にいる時間が多くなります。


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冨田 僕は場所というより、、、友達少ないんですけど、仲のいい友達といるときですかね。もちろんここにいるみんなも含め、ほんとにプライベートの友達も含め、そういう仲間と一緒にいるときがいちばん、、、自分が自分でいれる場所ですかねー。これはホントです。


司会 ありがとうございました。


このあと真野さんと監督から、「ここまでたくさんの思いを語ってきたけど、ここからこの映画が大きく育っていくには、みなさんの力が必要です。この映画を実際にこれからご覧になるみなさんが、感じたことを素直に伝えていただくことで、たくさんの人に届くように、よろしくお願いします」という内容のメッセージが語られ、フォトセッションの後、映画が上映されました。

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映画の舞台は北関東…埼玉大宮で生まれ育った私には共感するトコロ多々あり、でした。夢を持て、目標をもって生きろ、とか10代の私には本当にウザくて何処か遠くに逃げたかった…カメラを持って。自分だけの薬にはイロイロあって、それが音楽だったり演劇だったり恋人だったり仕事だったり… あれからン十年、カメラだけは相変わらず小学生の時から肌身離さず持っている。そっか、カメラは私の薬だったのだと、映画を観ながらあらためて気付かされて そっと背中を押してもらえたのでした。主題歌を唄うamazarashiの「たられば」にも心打たれてライブへ行きたくなったほど!! 青森出身のバンドと言えば今までずっと私の中では「人間椅子」だったんですが。amazarashiも最高。 
一時は公開が危ぶまれた作品です。念願の劇場公開です、是非!! 
(取材 山村千絵)


シネジャ作品紹介 http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/462754633.html

(c)映画「青の帰り道」製作委員会
★2018年12月7日より新宿バルト9ほか全国順次公開

【先行特典情報】 映画「青の帰り道」の全国公開に先駆けて
ユナイテッド・シネマ前橋(けやきウォーク前橋内)では11月30日(金)より先行公開となります。先行特典といたしまして、先着500名様に「非売品マスコミプレスシート」をプレゼント。

amazarashiの歌も堪能できる予告編です!!