『フロントランナー』主演ヒュー・ジャックマン来日記者会見

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失墜した大統領選最有力候補を描いた映画『フロントランナー』が2月1日から公開されるのを前に、主演のヒュー・ジャックマンさんが来日し、記者会見が開かれました。昨年の『グレイテスト・ショーマン』以来の来日です。

2019年1月21日(月)日本記者クラブにて
 司会:伊藤さとりさん


フロントランナー
  原題:The Front Runner
監督:ジェイソン・ライトマン

1988年、米国大統領選挙の民主党予備選で、最有力候補(フロントランナー)に躍り出たゲイリー・ハート上院議員。ハンサムでカリスマ性があり、ジョン・F・ケネディの再来とまで言われたハートだが、不倫疑惑を報じられ、大統領選から葬り去られてしまう。
その顛末を、様々な人の目線で追った物語。

2018年/アメリカ/1時間53分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.frontrunner-movie.jp/
★2019年2月1日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

シネジャ作品紹介





◎パックン、ゲイリー・ハートの魅力を語る

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ヒュー・ジャックマンさん登壇前に、ゲイリー・ハートという人物が、どれくらい人気があったのかを、ゲイリー・ハートとゆかりのあるパックンことパトリック・ハーランさんが、資料映像を見せながら熱く語ってくださいました。

パックン:ゲイリー・ハートを知らない方のために、歴史的な事実を紹介したいと思います。時は1988年、場所はアメリカ、コロラド州。若くて、カッコ良くて、頭が良くて、勢いがあって、世界を変えようとしている男がいました。それが、この僕です。18歳になって投票権が手に入る年になりました。その僕の目に入ったのが、頭が良くて、カッコいいゲイリー・ハート。当時、民主党大統領候補。アメリカでは、大統領に同じ候補が3回続けて選ばれることはまずないと言われてましたので、レーガン副大統領は2勝しているし、ジョージ・ブッシュ氏の当選もまずないと思われていました。民主党候補がそのまま当選するだろうと思われていた時のフロントランナー、最有力候補だったのがゲイリー・ハートでした。弱者を守るカッコいい性格、弁が立つ、話がうまい、若者のハートをつかむハート。そんな大統領候補に僕も魅了されて、一生懸命応援していました。それが、それまで絶対越えてはいけないと言われていた痴情を一線を越えて報じたことによって、彼の運命が一瞬にして変わり、若者の夢が一夜にして消えてしまいました。今も、その時のがっかり感が残っている位、胸に抱えています。

司会:実際にゲイリー・ハートさんの活動をご覧になっていたのですね。どれ位、人気があったのですか?

パックン:
一つ前の1984年の時に彼が圧倒的な勢いで上り詰めたけど、当時は重鎮中の重鎮、カーター大統領時代の副大統領のモンデールがいて彼は候補になれなかった。その時、話題になったのは、ゲイリー・ハートは、コロラド州の隅々まで行って、いろいろな人とやりとりして、どんなことにもアドリブで答えてくれて、雄弁な彼に魅了されたのは、僕だけじゃない。

司会:彼が政治から退いたことについて、どう思いますか?

パックン:
複雑な気持ちです。浮気もしく浮気疑惑だったのですが報じられてしまいました。でも、歴代の大統領も皆、女性がいました。男性の愛人がいた人もいる。200年の間、浮気しても報じないという紳士協定があったのに、ゲイリー・ハートの時に初めて報道されて落とされてしまった。今の時代、浮気どころか、複数の女性から性的暴力を訴えられても、ほとんど無傷。彼だけが貧乏くじを引いたのか。
メディアと政治家の関係は、いまだにどうあるべきなのか、どこで線引きするべきなのか、課題は続いていると思います。


●ヒュー・ジャックマン 政治家とジャーナリズムの関係を語る


いよいよヒュー・ジャックマンさんが爽やかに登壇。
オハヨウゴザイマースと言いながら登場し、檀上へ。

【挨拶】

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オハヨウゴザイマース
皆さん笑ってますが、発音どうでしょう?
アリガトウゴザイマス
また素敵な東京に来られて嬉しいです。
ご存知のとおり、素晴らしいジェイソン・ライトマン監督の映画を、ぜひ皆さんに観ていただいて楽しんでいただきたい。そして、今、話し合うべき議論をしてほしいと思っています。

司会:
また来日してくださって、ありがとうございます。


ヒュー:My pleasure, my pleasure 


◆会場とのQ&A


*白黒つけていないのが気に入った
― ゲイリー・ハートを主人公にしながら、群像劇になっています。ここ数作のイメージと違う政治家という役柄、是非やろうと思った最大の決め手を教えてください。

ヒュー:二つ理由があります。一つは、監督と仕事がしたかったから。『JUNO/ジュノ』(2007)や『マイレージ、マイライフ』(2009)、『サンキュー・スモーキング』(2005)など大好きな作品で、機会を待っていました。彼が演出するのは、白黒はっきりしない複雑なキャラクター。毎回、違うタイプのものにチャレンジされ、感慨深い作品を撮っていらっしゃいます。
二つ目は、ストーリーに惹きこまれたからです。最有力候補となってから政界から転落するまでの3週間の話。謎めいて知性のある、自分とは違う人物にチャレンジしたかったということもあります。いろいろな疑問が生まれると思うのですが、答えを出してないのが気に入りました。政治制度などについて、アメリカだけでなく世界中のことを考えさせてくれる。どの観点から見るかが大事だし、どの視点から見てもいいように自由に考えさせてくれる。そこがいいと思いました。
21歳で大学を卒業しました。専攻はジャーナリズムでした。俳優になってなければ、皆さんの席にいることもあり得たと思います。1987年の出来事は、政治とジャーナリズムの関係を変えてしまったターニングポイントで、今に繋がります。映画の中にもありましたが、このような記者会見の席で、「あなたは浮気をしていますか?」と言う質問は、かつてはありえなかった。深夜に路地裏で待ち伏せて質問することもありませんでした。それが初めて起きた出来事でした。

*ゲイリーは家族を守った
― ゲイリー・ハートさんは、表面から見ると失ったものばかりです。彼が何か得たものがあるとすれば何だと思いますか?

ヒュー:takakoさん、ありがとうございます。ゲイリーさんに聞いてみたら、答えてくれました。これは、自分の人生において一番つらい3週間の映画です。でも、その後もいろいろなことをやってきて、つい最近、妻のリーさんと61回目の結婚記念日を祝いました。大統領選を辞退したのは、家族を守りたかったのが一番大きな理由です。選挙制度の神聖さも守りたかった。辞退しない道もあったのではと言われているけれど、それはなかった。政治家とジャーナリズムの関係が、あの時点から変わっていったということが言えると思います。

*未来を見据える力のあった政治家
― 演じる上で膨大なリサーチをされたことと思います。スキャンダル発覚まで、彼が人気を得た一番の要因は?

ヒュー:すごいリサーチをしました。今回初めて、まだ存命の方を演じるので、ご本人がご覧になってどう思うかも気になるので、責任感もありました。
彼は当時も今も理想主義者。若い人に大きな影響を与える力を持っていました。若い人に支持されて、ケネディの再来と目されていました。変革ができる政治家といわれていました。一番優れていたのは、政治家として、10年、15年先を見ていたことです。
1981年、スティーブ・ジョブスがまだガレージでコンピューターを作っていた頃、彼とランチを取りながら、これからはコンピューターの時代と話して、すべての学校にコンピューターを入れるようにしようと語っています。
1983年には、アメリカはあまりにも石油にこだわりすぎているので、中東で戦争になりかねないと発言しています。
1984年には、ゴルバチョフと会って、レーガンがスターウォーズ計画を進めている中で、もう冷戦時代は終わっている。ロシアのいた空間がなくなった後に、中東で過激派が生まれると予測しています。
2000年には、テロの襲撃を受けると警告しています。
このような人が大統領になっていれば、違った世界になっていたのではないかと思います。ほんとに人々に愛された人でした。そして、より良い世界を築けた人ではないかと思います。

*即断が必要なSNSの時代

― ヒュー・ジャックマンさんは、SNSで素敵なメッセージを発していらっしゃいます。SNSのなかった時代と、SNSのある今、ジャーナリズムはどう変わったと思いますか?
ゲイリー・ハートが今政治家だったら、SNSをどう活用されたでしょう?


ヒュー:アリガトウゴザイマス。とてもいい質問ですね。ジョージ・ステファノプロスというクリントン大統領のコンサルタントだった人が、ゲイリーのシチュエーションはすでにいろいろなことが変わりつつあった時代と言っています。今は、どんな情報にもアクセスできる。政治家は単なる政治的リーダーとしてだけでなく、人から好かれて共感できる人物でないといけない。
リアルタイムでやっていかなくてはいけないので、CMなどで政治家をかっこよく見せていますが、裏側は雑然とした状況です。即断しないといけないので、反省するとか、考え直す時間がない。ジャーナリストにとっても、かつては締切まで多少の時間があったけど、今はすぐ書かなくてはいけない。
私は91年に大学を卒業して、ジャーナリストになることも考えたけれど、状況が変わりつつあって、仕事も減ってきているし、経験があれば書けるというものでもない。今では誰でもブログに書ける。質のいいものを書くのは、皆さん、どれだけ大変な思いをしていることかと思います。
もし、SNSがあったら、ゲイリーはたぶん気に入らなかったと思います。受け入れるしかないと思いますが、かつて、「あることをやろう」と決めようとした時、ホワイトハウスに8年いるつもりなので、その間のことも考えなくてはいけないと慎重な発言をしています。


フォトセッション
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記者会見の様子は、(白)さんのスタッフ日記でもどうぞ!

☆取材を終えて

「今では誰でもブログに書ける。質のいいものを書くのは大変なこと」と、記者席を気遣うヒュー・ジャックマンさんの言葉が、ぐさりと胸に刺さりました。
インターネット時代の政治家の在り方も、考えさせられました。
ヒュー・ジャックマンさんや、パックンから、ゲイリー・ハートさんの政治家としての魅力をたっぷりと聞くことのできた記者会見でした。
歴史に「もし」はないけれど、ゲイリー・ハートさんのような方が大統領になっていたら、違った世界情勢が展開されていたことと、ちょっと残念な思いがします。
そして、SNS時代に大統領になったとしても、ゲイリー・ハートさんは誰かさんみたいに、思ったことを単純にツィッターで発したりはしないだろうなと確信したひと時でした。(景山咲子)







『サイバー・ミッション』初日舞台挨拶

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1月25日(金)初日を迎えた『サイバー・ミッション』の舞台挨拶が新宿ピカデリーで行われました。
ホワイトハッカーのハオミンを演じたハンギョンさんは全身白尽くめ、サイバーテロリスト、モリタケシを演じた山下智久さんは黒のスーツで登壇し、大きな拍手と歓声が湧き起こりました。
ハンギョンさんは「SUPER JUNIOR」として来日して以来、10年ぶり。山下智久さんは初の海外進出作品。ともに初顔合わせで臨んだアクション満載の話題作です。 司会は奥浜レイラさん。

舞台挨拶

ハンギョン こんにちは、今日はよろしくお願いします(日本語で)。(拍手)

山下智久 みなさん、本日はお忙しい中ほんとにありがとうございます。僕としては初めての悪役、初めての海外作品だったので、こうして日本でみなさんに観ていただけることをとても嬉しく思います。今日は短い時間ですが、最後までよろしくお願いいたします。(拍手)

-ハンギョンさん、10年ぶりの来日で、主演映画が日本で今日いよいよ公開を迎えました。今のお気持ちを教えてください。

ハンギョン 久しぶりに日本に来て、日本のファンにお会いすることができました。今回自分の作品を持って日本に来てシェアすることができて、そして良い友人の山下さんとここに立ててとても嬉しく思います。

-山下さん、初の海外進出作品。しかもかなりミステリアスな悪役を初めて演じられたということで、特別な思いがあるかと思いますが、ハンギョンさんと初日を迎えられていかがですか?

山下 毎日新鮮な気持ちで、言葉の壁もある中で、こうやってハンギョンさん含めてほかの海外の俳優さんたちと一つの目標に向かって頑張ってこれたというのはすごく新しい経験で嬉しかったし、何よりこうやって日本で公開できることをとても嬉しく思っています。

-この作品は国際色豊かな方々がスタッフとしても関わっていらっしゃいます。最初にオファーが来たときのお気持ちと現場に入られてからの雰囲気なども、ハンギョンさん教えていただけますか。

ハンギョン 脚本を見てとても興味を持ちました。今回の映画はハッカー、ゲームに関する作品で、演じる役とのギャップも大きい。アクションシーンもとても多くて、さらに山下さんと共演できると聞いてぜひと思いました。

-現場でのコミュニケーションはどのように?言葉の壁もあると思いますが雰囲気はいかがでしたか?

ハンギョン 撮影が始まった頃は簡単な英語で、最初は言葉の壁があってコミュニケーションは少なかったかもしれません。しかし、マレーシアに行ってから友情を築くことができました。撮影が終わってから話したり、ホテルのバーに行ってお酒を飲んだりしました。

山下 約一ヶ月くらいの海外滞在があったんですけど、その間に僕のことを気遣ってくれて男3人一緒にジムに行ったりしていました。ジムのトレーナーさんに「今日はみんな上を脱げ」と言われて、裸でトレーニングをするという(笑)、まあまあワイルドな経験をさせていただきました。楽しかったですよ。

-ちょっとねえ、覗き見したいくらいの感じです(笑)。オファーが届いたときのお気持ちは?

山下 大学時代に中国語を勉強していて、いつか中国のエンターテイメントにも携われたらいいなという思いはあったので、オファーを受けたときはとても嬉しかったです。

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-ハンギョンさんはホワイトハッカー、そして山下さんはクールなサイバーテロリスト、ミステリアスな存在ということで、それぞれ役作りはどのようにされたのでしょうか?ハンギョンさんコミカルな部分も多かったですが。

ハンギョン 今回ハッカー役ということで、いろんな関係者に話を聞きました。ハッカーと聞くとみなさんマイナスのイメージを持つことが多いですが、実はそうではないんです。ホワイトハッカーという他人を助けたりする正義の味方というのもあります。とても面白い職業だなあと思いました。話を聞いていろんなヒントをもらいました。

-ハンギョンさん、オタク系のハッカーでしたね。

ハンギョン オタクの役は今回初めてです。私はそんなに若くはないですが、面白いチャレンジだと思いました。演じるときは気持ちを開放して、子どもの気持ちに戻って演じるようにしました。

-山下さんはモリタケシという悪役ですが、どのように役作りされたんですか?

山下 悪役の心情を理解するのは難しかったので、体重を6kg減量して、体毛を剃って(笑)。

-体毛?!(笑)

山下 少しでも気味の悪い感じを出せないかなと、そういう見えない努力を一生懸命(笑)。それが映っているわけではないですけど(笑)。

ハンギョン 毛を剃ったことは私も知らなかったです。(笑)

山下 そうそう(笑)気持ちを整えるために。あとは日本の友達となるべく連絡を取らないで、孤独を作り出してみました。

-すみません、体毛の話に戻っていいですか?(笑)全身剃られたんですか?

山下 あの、そこだけ大きく書かないでください。(笑)

-全身?肌はツルツルというか?

山下 まあそういうことにしておきます。(笑)いやもうほんとにすべすべでしたね。

ハンギョン ホントニ?(笑)

山下 今はあのう、今の話は置いといて(笑)。自分で剃ったんですよ。こうやって現場で。まあまあまあ、次行きましょうか?(笑)

-ミステリアスな部分が、内側からもね。

山下 そうですね。そこから影響してくるものがあるかと思って。

-ありましたよね。でも皆さん、本作では見る機会はないと思いますので、想像の中でお願いいたします。『ボーン・アイデンティティ』『ラスト・サムライ』などのニコラス・パウエルさんが今回アクション監督をつとめられていて、ほんとにアクションがものすごいことになっているんですが、大変だったんではないでしょうか?ハンギョンさん。

ハンギョン アクション監督はとってもクレイジーな人です。なんでも自分でしなければならなくて、私たちもスタントマンを使っていないんです。皆さんが後で観るシーンは、危険に見えますが本当は安全です。私たちは怪我しないように、安全措置をしっかり取って、できるだけリアルなシーンを皆さんに届けていきたいと思っていました。

-普通スタントを使うだろうなと思うところもご本人が演じていらっしゃいますので、びっくりすると思います。山下さん、アクションシーンは大変でしたか?

山下 もちろん大変でした。本編の中で僕が走って逃げるシーンで、台本にはなかったんですけど思いっきり転んでしまったんです。そのまま続けたんですが、そこが使われています。
でも全治2週間くらいの怪我は、お互い何回もしました。本当に命がけのアクションを体験できました。でもね、日本ではなかなかできないような、道路を何日間も封鎖して撮影したりとか、ダイナミックな撮影に関わることができて、非常にいい経験ができたなという風に思っています。

-メイキング映像も公開されておりますけれども、お二人とも怪我をなさってたんですね。

ハンギョン 私がビルの3階と8階から飛び降りるシーンがありましたが、とても危なかったです。撮影しているときにビルの壁に足が当たって怪我をしました。撮影が終わって戻ったら全身アザだらけになっていました。
パラシュートみたいに高い空から落ちるのは好きだったんですが、今回はロープ一つだったので。

-山下さんは電車に飛び乗ったりアクションも大変だったと思うんですが、それ以外に大変だったことは?

山下 やっぱり言葉です。英語と中国語の台詞だったので。あと撮影のスタイルが日本と中国とで違う部分があって、スケジュールが直前に変わったりするので、台詞を覚え直すのが大変でした。でも語学の先生に付きっきりで見ていただいて、挑戦できて良かったです。言葉を理解して覚える、という作業に没頭している時間もとても貴重で、いい経験ができたなと思っています。

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-お二人は今回が初共演ということで、ぜひ最初の印象と撮影後の印象をお伺いしたいです。

ハンギョン 初めて山下さんに会ったときは口数の少ない人だな、クールでハンサムな人だなと思いました。少し距離を感じていました。でもだんだん優しい親切な人、というイメージに変わりまして、とても話しやすいイメージを持ちました。特にマレーシアで撮影するときに、いろいろ話をしてそこから良い友達になりました。

山下 撮影当日に会いましたので僕も緊張していたし、ハンギョンさんも最初どうやって接していいかわからない。時間が仲を深めてくれましたし、先日中国で公開されたときハンギョンさんがご自宅に招いて料理をふるまってくれて、ほんとに仲間思いの暖かい人だなと。

-最後にこの後映画を観るお客様にメッセージをお願いします。

ハンギョン 今回この作品を日本に持ってこられて大変嬉しく思っています。この映画は山下さんを含め、スタッフ全員が全力で作りました。みなさんがこの映画を観て気に入って応援していただければと思います。(拍手)

山下 僕としては初めての挑戦だらけで不安もあったんですけれど、こうやって初日を迎えてたくさんの方々に観ていただいてほんとに嬉しく思っています。とにかく、今のテクノロジーに考えさせられることがたくさんあると思うんですけど、この映画を通してみなさんに何か感じていただけたらなと思っています。
僕は悪役なので皆さんにいい影響を届けることができないかもしれませんが(笑)、ハンギョンさん演じる天才ハッカーがすごい活躍をしてくれます。素晴らしいアクション映画に仕上がっています。ぜひ皆さん期待して観ていただければと思います。楽しんで下さい。ありがとうございました。(拍手)

以上ほぼ書き起こし(写真:オフィシャル 取材・まとめ:白石映子)
作品紹介はこちら 

2018年/中国・香港/カラー/シネスコ/99分
配給:プレシディオ
©2018 SIRENS PRODUCTIONS LIMITED BONA ENTERTAINMENT COMPANY LIMITED MORGAN & CHAN FILMS LIMITED
https://cyber-mission.net/
★2019年1月25日(金)新宿ピカデリーほかロードショー

『サイバー・ミッション』 主演:ハンギョン インタビュー

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映画『サイバー・ミッション』が1月25日(金)より新宿ピカデリーほか大ヒット公開中。本作の主演をつとめたハンギョンさんにインタビュー取材をいたしました。

ーアクションありコメディあり、人間ドラマありという見所満載の本作だったんですけれども、ハンギョンさんが演じられたお気に入りのシーンや印象に残っているシーンは?その理由もお願いします。

ハンギョン やはり一番印象に残っているのはアクションシーンです。これまでたくさんのアクションシーンを撮ったんですが、これはとても危険でした。特に高いビルから飛び降りるシーンだったり、走っている電車の外を走ったり、山下さんを追いかけるシーン、あるいは銃を撃ったり、ほんとに初めてのことが多く、こんなに危ないアクションシーンを撮るのは初めての経験でした。
ビルから飛び降りるシーンの撮影当日には、私の母が現場に来ていたんです。母は観て泣いていて「今後こんな危ないことは二度としないで」と言われました。途中までしか見る勇気がなくてどこかへ行ってしまいました。
母と一緒に買い物に行くといつも洋服を買ってあげるんですけど、母は「あんなに大変な仕事だったら、もう服は要らない」と言っていました。

ー続けてアクションについて伺います。当日になって自分でやるように言われるのでしょうか?

ハンギョン 当日現場に行って、状況を見て「こうしなさい」と言われることもありますし、ビルから飛び降りるシーンは前日にリハーサルがありました。

ーそのために前から特訓するということは?

ハンギョン 私は元々ダンスを学んでいて中国の武術も習ったことがあります。ですからアクションシーンは好きで、ある程度は得意と言ってもいいかもしれないです。ただ、危険なシーンを撮るときはやはり特別な事前訓練が必要です。どうやって自分を守ることができるか、よく知ることが大事だと思います。

ーハンギョンさんをはじめとするアジアのスーパースターが揃っている作品だと思うのですが、現場の雰囲気がどうだったのか、どういう風にコミュニケーションをとったのか、盛り上がった話題があったら教えてください。

ハンギョン この作品の現場はほんとにいろんな国の方々が来ていて、簡単な英語でコミュニケーションをとっていました。よく話したのは「どうやったら安全に撮影することができるのか?」ということ。よく使っていた言葉は「大丈夫?」(笑)。

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リー・ハオミンとチャオ・フェイ(リディアン・ヴォーン)

ー共演した方の感想は?

ハンギョン リディアン・ヴォーン、リー・ユエンとはもちろん中国語で、しかもとても相性が良くて一緒に脚本を読んだり、ディスカッションしたりしました。山下さんは撮影が始まってから現場に来たので、最初は距離を感じていました。ハンサムな人、クールな人という印象でしたが、撮影が進むにつれて山下さんも親しみやすいあたたかい人と感じるようになりました。だんだん絆を深めて一緒にお酒を飲んだり、ジムに行ったりしましたね。

ー山下さんとの共演は初めてですか?ほかの日本人俳優との共演の経験は?

ハンギョン 山下さんとは初めての共演です。ですからリラックスできるようなシーンから撮って、だんだん相手を知るようになってからの撮影はスムーズに進行できました。今年はけっこう日本の製作チーム、或いは日本の方々との共演は多かったんです。滝田洋二郎監督とお仕事もできました。『おくりびと』の撮影や照明のチームを連れてきていました。『聞煙』という映画です。

ー先ほどダンスをされていてアクションは得意というお話が出ましたが、山下さんもダンスをされていたのはご存知ですか?

ハンギョン はい、知っています。

ー撮影の後でお酒を飲まれたということですが、山下さんとハンギョンさんは、ほぼ同世代ですね。飲んだときどんなお話をされたのでしょうか?

ハンギョン 山下さんとはけっこう共通点がありました。私たちは二人とも小さい頃からダンスや演技の練習や訓練を受けてきました。二人一緒のときは、未来、今後のことについて話すことが多かったです。私たちは何ができるのか、何がしたいのか、そんな話をしていました。

ーハオミンは超一流のハッカーですけれども、普段はとても親しみやすいキャラクターです。この役を演じるにあたり、特に気をつけたことや役作りのためにしたことはありますか?

ハンギョン 私自身もすごくゲームが好きで、自宅にいるときはゲームをやったり映画を観たりしています。そういう自分の気持ちを生かしていました。

ーそうすると、ハオミンを通してハンギョンさんの素の部分を見られるということでしょうか?(笑)

ハンギョン はい(笑)。

ーホワイトハッカーの役ですが、ハンギョンさんはインターネットでトラブルに遭った経験はありますか?

ハンギョン そういうときは専門家を呼んできて解決してもらおうと思います(笑)。

ーウィルスが入ったことは?

ハンギョン ウィルスは駆除できるソフトがあるんですけど、もしハッカーにやられたら僕はパソコンを叩くかもしれません(笑)。ハッカーに関する知識はほんとに少ないというか、ないんです。(笑)

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-10年ぶりの日本だそうですが、前と比べて日本の観客やファンの印象は変わりましたか?

ハンギョン ファンというのはそれほど変わっていないと思います。変わったのは、自分の気持ちかもしれないです。こんなに長い期間日本に来ていなくて、ほんとにずっと前から日本で応援してくれるファンの皆さんに早く会いたいな、もっともっと回数を増やしたいなと思っています。今回自分の作品を持って日本に来られてほんとに嬉しくて、わくわくしています。

ですから今後はより多くの作品を持って日本に来ることを楽しみにしています。
2015年に3枚目のアルバムをリリースしたんですが、3枚目のアルバムの中には1曲日本語の歌が入っています。皆さんに日本でこの歌を届けたいと思っていましたが、ずっとチャンスがなくて。今回日本でこの『サイバー・ミッション』が公開すると同時に、これも日本でリリースできればと思っています。

-それでは俳優と歌手と両方の活動をされるんですね。

ハンギョン 前は俳優業と歌手を同時進行でやっていましたが、ここ数年は俳優に専念しています。前は映画の撮影をしながら音楽のことを考えなければいけない時期もありましたが、今は俳優業に専念したいと思います。

-とても素敵なミュージックビデオを見たのですが、この映画のハオミンと、目の前のハンギョンさんとも印象が違うので、ほんとのハンギョンさんは?と思います。

ハンギョン 半分、半分ですね(笑)。

-全部に半分ずつ入っているんですね?
(カメラを向けて)じゃあハオミンのお顔でお願いします。


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ハンギョン ハオミンね(笑)。

-ハンギョンさんで。
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ハンギョン あははは~(大笑い)

-では息子の顔でお願いします。

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-え~、息子の顔はこういう顔なんですか?なぜ?

ハンギョン 僕はお母さんの言うことをよく聞く息子なんです(笑)。

-良い子なんですね。去年の映画で、好きな、または印象的な作品を教えてください。

ハンギョン 自分で出た映画は全部好きです。去年はとてもいい状態で撮影に臨んでいたので、全てが好きですね。

-これから共演したい俳優さんや撮っていただきたい監督さんがいらっしゃいますか?

ハンギョン 私は俳優になってからそんなに長くたっていません。様々な経験をして吸収したいと思います。元々演技を勉強していたわけではないので、違う俳優さん、違う監督さんと一緒に仕事をすることで、多くのことを学び吸収することができます。誰というのでなく、いろいろな方々とお仕事がしたいと思ってす。

ーありがとうございました。ご活躍をお祈りしています。

=インタビューを終えて=
映画では10代のようにも見えたハンギョンさんでしたが、お会いしてみるととても礼儀正しい大人な方でした。ハンギョンさんは優しくて、撮影の妙な注文にも笑って応えてくださいました。光不足の写真ですみません。ぴしっと素敵な写真はオフィシャルからお借りしました。
もうすぐ旧正月です(今年は2月5日)。万事如意!龍馬精神!
(取材・写真 白石映子)


作品紹介はこちら 
舞台挨拶はこちら 

©2018 SIRENS PRODUCTIONS LIMITED BONA ENTERTAINMENT COMPANY LIMITED MORGAN & CHAN FILMS LIMITED

『めんたいぴりり』初日舞台挨拶

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1月18日(金)@新宿バルト9 

先週11日に地元福岡で先行公開、18日に全国ロードショーが始まりました。初日初回上映後舞台挨拶に伺いました。


mc:いとうさとりさん

登壇者:博多華丸さん(海野俊之)、富田靖子さん(妻・千代子)、豊嶋花さん(英子)、山時聡真くん(長男・健一)、増永成遥くん(次男・勝)、博多大吉さん(スケトウダラ)、でんでんさん(丸尾)、佐田正樹さん、江口カン監督 =挨拶順=


-めんたいこつくりに情熱を燃やす海野俊之を演じました博多華丸さんです。

華丸 2013年にドラマとして福岡で放送して、パート2があって、舞台版、この映画になり、そしてとうとう全国ロードショーということになりました。あしかけ6年でございますけれど、地元で頑張ってきて初めて甲子園の出場を決めた高校球児のような気持ちでおります。
6年間やってきましたのでチームワークはできてますんでね、みんなで一つになって束になれば1点か2点は取れるんじゃないか、と思いながら今日を迎えました。。全国の皆さんに少しでも福岡の良さが伝わればいいなと思います。

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-続きまして俊之の妻千代子を演じられました富田靖子さんです。

富田 こうして関門海峡を渡っていよいよ『めんたいぴりり』上陸して参ります。何館上映するとかいな、と1,2,3・・・60館もやるんや!とすごい感激しております。みなさん今見終わって面白いなと思ったら、ぜひ言いふらかしてください。拡げたいと思っております。

-海野家の長男を演じました山時聡真(さんときそうま)くんです。

山時 みなさんこんにちは。健一役の山時聡真です。福岡では先週公開されたんですけど、今日全国の方に観ていただけることがほんとに嬉しいです。

-海野家の次男を演じました増永成遥(ますながせいよう)くんです。

増永 海野勝を演じました増永成遥です。生まれて初めての東京なので、すごい緊張もしてるんですけど、初めての東京の想い出を作りたいと思っています。
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次男勝:増永成遥くん 長男健一:山時聡真くん

-本作のヒロイン豊嶋花ちゃんです。

豊嶋 汚いヒロインでほんとにすみません(笑)。英子役を演じました豊嶋花です。今回の『めんたいぴりり』では、家族の愛情とか、友達の友情とか、努力や希望とかそういういろんな感情とかがこもっていて、すごいいい作品だと思っています。お家に帰ったらぜひたくさんの人にひろめて、この『めんたいぴりり』をいろんな方に観てもらいたいです。

-スケトウダラの妖精を演じられました博多大吉さんです。

大吉 ドラマから舞台からずっとスケトウダラの妖精をやりました。いまだに自分でいったい何のことなのか、何をやらされてたのか、さっぱりわかりません(笑)。わかっていることは明後日札幌の映画館に私単身乗り込みまして舞台挨拶をやることが決まりました。チケットが売れておりません(笑)。北海道方面に知り合いがいる方はぜひ連絡して「スケトウダラがやって来る」と(笑)助けてください。

-元博多人形師役でんでんさんです。

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でんでん 借金を返さないでそのまま死んじまった役をやりましたでんでんです。観終わったみなさんのお顔を見ていると、なんとなく朗らかでほのぼのしてるってことは、この映画がすごくいい映画だったんじゃないかと勝手に解釈しております。ほんとに僕もこの映画を観まして涙が出ました。僕らが子どものころのアレなんですけど、この中に出てきためんたいこ、あんなめんたいこ食べたことも見たこともありませんでした。それほど立派なめんたいこです。美味しかったです。
最後いまいち盛り上がらないで、失礼しました(笑)。

-みなさんどこに出演していたかおわかりでしょうか?「不味いっちゃろ!」の演技が光っておりましたバッドボーイズの佐田正樹さんです。

佐田 バッドボーイズ佐田でございます。「なんでお前いるんだ?どこにいたんだ?」とお気づきになられた方いらっしゃいますでしょうか?映画出さしていただいているんですけども、ヤクザとか不良役が多いです。『めんたいぴりり』では被災者B役という(笑)。台本見たときに台詞がなかったものですから、これはなんとか爪あとば残さないけんの、ということでできるだけ華丸さんに絡んでいこうと、華丸さんがみんなからめんたいこが「不味い!」と言われたときに「不味いっちゃろ!」とそこで一言加えて帰っていくだけの役でございました(笑)。
今日はめんたいこカラーのジャケット、これだけでも皆さんに覚えていただこうと思って着てきました。

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大吉 めんたいこだとすればちょっと着色料を使用しとるね(笑)。

佐田 濃いね?一生懸命探したんです。「舞台挨拶って俺一生ないよね」って(笑)。

大吉 特攻服しかないもんな(笑)。

佐田 赤いジャケット見つけて「これや!」て。靴下のほうもめんたいこカラーで(見せる)。

大吉 俺はスケトウダラのウロコ色で(笑)。

-作品愛ですね。ありがとうございます。そしてドラマからずっとこの作品に携わっている江口カン監督です。

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江口監督 今日はほんとにどうもありがとうございます。博多のラーメン屋さんとかでも、博多でバカ売れして、みんな東京に店ば出すんですけど。うまくいく人もいれば、うまくいかずかえる人もいるわけですけれども。今日いよいよ僕らも博多の話を東京に持ってくるぞ、って張り切って来て、一発目の舞台挨拶の板橋の回がお客様が少なくて、これはどうしたことかと思いましたが、ここでものすごく安心しました。

-全国公開おめでとうございます!さっき皆さんが出てくる前に「福岡出身の人?」って聞いたら手挙げてくださったんですよ。「福岡出身の人!」(客席で手が挙がり、キャスト「おー!」)
ドラマから見てらっしゃる方もすごく多くて、皆さん初日を喜んでらっしゃいます。
先週は福岡で5館舞台挨拶めぐりをされたと聞いていますけれども、週末だけで1万人動員してミニシアターランキング1位だったそうでおめでとうございます!(拍手)


富田 すいません、ちょっとだけいいですか?(増永くんの服を直す富田さん)これだけずっと気になっていて(笑)。だって佐賀から来てくれたからぱしっと写してもらわないかん、と。すいません、よろしくお願いします。

-母の愛でございます。

大吉 ごめんね、気づいてあげられなくて。

-華丸さん、こうやって福岡で素晴らしい成績を残して、全国公開を迎えてどんなお気持ちですか?

華丸 やっぱりめんたいこと共に地元では根付いているというか、「きせのさと、はなあしのぎょう(?)、めんたいぴりり」

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美脚のスケトウダラ妖精:博多大吉さん

大吉 なんですか、それ。全然わからない(笑)。

華丸 地元じゃ負け知らずということで。福岡だけのデータを見ればすごい。皆さんにいいと言っていただけるんですけれども、それを真に受けていいものかと監督と話していたところの板橋で(笑)。今一度我に帰りまして褌を引き締めまして。

みんな口々に いいところでしたよ。板橋。

華丸 朝も早かったですしね。開いたばっかりのところにこっちが無理やり呼び出してもね。浮き足だってた自分らに冷たい水をかけられた気分で(笑)。

-今日平日ですよ。この時間にいるということ自体がすごいんですけれども。

華丸 ほんと、あらためて全国でやっているっていうことが。ここ新宿ですからね。そこにルミネがあるんで(ルミネ2の7Fに“ルミネtheよしもと”)この大きな映画館ができたのを知っています。まさかこんなところで上映させていただけるなんてね。嬉しい限りです。(拍手)

-富田さんはどうですか?

富田 6年前にドラマが始まった頃は、こんな大きなスクリーンの前に立つなんて。ここには娘と映画を観に来たことは何度もあるんですけれど、まさか自分の映画がかかるなんて感動しています。『めんたいぴりり』は自分にとってもホームだと思っています。ぜひ全国の皆さんに観ていただけるよう応援していただければと思っています。

-9名の方の舞台挨拶ということで皆さん『めんたいぴりり』への愛を感じていると思うんですが、実はちょっと秘密にしていたことがございます。山時くんと増永くんがお父ちゃんおかあちゃんにお手紙を書いてきたんですよねー?(山時・増永 はい)ここでお手紙を披露してていただいてもいいですか?一人ずつ書いてきてくれたんですよ。(拍手)

華丸 俺らに?

大吉 そらそうでしょう。ほんとのおとうさんおかあさんなら家でやってよ、ってなるでしょ。(笑)

華丸 ありがとう。そうねー。

増永 「富田さんへ・・・」(華丸さん大吉さんが「お母ちゃんへがいい」「いや書いてあるんだからいいでしょ」「律儀なんだから」などとやりとり)(笑)

増永 「お母ちゃんへ とてもやさしくしてもらって、初めての映画も安心して撮影ができました。わからないこともたくさんあったので、とても助かりました。ありがとうございました」(拍手)

富田 お父ちゃんのある?(増永 あります)良かった。

増永 「お父ちゃんへ 華丸さんの・・・」(華丸さん大吉さんが「戻った戻った」「書いてあるから読んじゃうんだよ」「その辺は大人が飲み込むんだよ」とまたやりとり)(笑)

増永 「お父ちゃんへ お父ちゃんの演技をあまり見たことがなかったので、とても上手ですごいなぁと思いました。演技ができて面白い華丸さんのような人になりたいと思います。ありがとうございました」(拍手)
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山時 「お父ちゃんお母ちゃんへ 今日はこうやって同じ舞台に立っていることほんとに嬉しいです。僕は3代目の健一で子ども以外のスタッフ・キャストの皆さんはすでに出来上がっていたからその中に入っていけるかが不安でした。でも何より怖かったのは『今度の健一は駄目だな。前の健一のほうが良かったなぁ』と言われてしまうんじゃないかということでした。でも撮影が進むにつれ、現場に行くというより家に帰ると思うくらい僕にとって居心地の良い場所になって行きました。今思えばそれはお二人が殺人的なスケジュールの中、常に僕たちのことを気遣い、やさしく接してくれたからだと思います。僕はまだ中学生ですが、この映画に出てずっと俳優を続けて行きたいと思うようになりました。それは、華(笑)、お父ちゃんお母ちゃんの背中をいつも見られたからだと思います。お父ちゃんお母ちゃん息子になれてほんとに幸せでした。今僕の願いはまたどこかの現場でお会いできたら『息子よ、元気か』と言ってもらうことです。その願いが叶うように僕も頑張ります。ほんとにありがとうございました。健一こと山時聡真より」(拍手)

-ありがとうございました。どうですか?今の息子さんたちからのお手紙。

華丸 お母ちゃん。

富田 こんないい息子に育ってほんと嬉しかです。お父ちゃんどう思う?

華丸 特にあの山笠のシーンが忘れられない。あのときは一日山の格好でね、この2人もずっとOK待ちだったんですよ。ずっとお芝居見ながら写真撮ったりしてね、あれが博多の家族の象徴みたいなシーンだったんで僕は忘れられないんです。まだ小学生やったし、初めての締め込みでね。

富田 勝が「おとなは辛か~」と言った2人のシーンがほんとに愛おしくて、お母ちゃんは大好きです。また一緒にやろうね。

山時・増永 はい。頑張ります。

-後でお手紙をお渡しします。あっという間にお時間になりました。皆様から一言ずつメッセージをいただきたいと思っております。

江口 博多では人気のあるスーパースターである、モデルになっためんたいこを作った人の話ですが、きっと全国のみなさんの心に届くお話だと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。(拍手)

佐田 この作品は5年前からドラマで、舞台も見せていただいてました。映画に出していただいて光栄でした。SNSなどでつぶやいていただいて、ぜひともこの映画が盛り上がればいいなと思っております。(拍手)

でんでん 舞台挨拶そのものが福岡そのものの感じがしました。ぼくも福岡出身なんですけど、同級生に宣伝するのを忘れていました。これから帰って電話攻撃をやりますんで(笑)。どうもありがとうございました。(拍手)

増永 今回の映画はすごくみなさん頑張って作った作品なので、良かったと思ったら拡散と、面白かったら何回もぜひ観に来てください。ありがとうございました。(拍手)

山時 この映画は福岡の全てがぎゅっとつまっています。一度と言わず、2度3度観ていただいて『めんたいぴりり』を、めんたいこを、そして福岡を好きになってもらえると嬉しいです。(拍手)

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健気な英子:豊嶋花さん

豊嶋 今日は笑えて泣けて忙しかったと思うんですけど、ほんとに心に残る暖かい作品になっていると思うので、皆さんぜひおうちにかえって沢山の方にこのお話のことを話して、沢山の方に映画を観ていただきたいです。よろしくお願いします。(拍手)

大吉 『めんたいぴりり』ってほんとに良い映画だと思うんですけど、冷静に考えたらたとえば『ジンギスカンあちち』(笑)という映画があったとして、じゃ観に行くかというとなかなか腰が上がらないと思うんです。

華丸 なんで「あちち」?

大吉 めんたいが「ぴりり」なんで、札幌で『ジンギスカンあちち』(笑)。皆さんの口コミとお力添えを。これから先は映画館に連れて来さえすれば、喜んでいただけるので。「嘘も方便」という言葉もあります。どういう映画?って聞かれたら「なんかゾンビ映画っぽいよ」(笑)とか「クイーンがいいよ」(笑)とか、そういうアレンジを加えてご協力いただければ幸いです。(拍手)

富田 こうして無事に初日を迎えられてほんとに嬉しいです。初日が終わってしまうとまたみんなに会えなくなるのが寂しいです。本気で誰かのために泣いて笑って一生懸命作った映画です。もし良かったら応援してください。(拍手)

華丸 『めんたいぴりり』、2013年からずっとやってきて積み上げてきました。それを全部出し尽くしたつもりでございます。後は皆さんの判断にお任せするしかないですけれども。全国の皆さんにお披露目できたのが全てと思います。
ただやっぱり映画館の方もめんたいこ同様、賞味期間がありますので上映期間のあいだにお早めに、というのがあります。めんたいこはチンすればもう少し持つんですけど(笑)、映画館はそうはいかないので、お早めに。皆さんの、そしてお友達のお口に合えば、と思っております。本日はどうもありがとうございました。(拍手)

ここからフォトセッション。
プレスの撮影の後、お客様の撮影タイム30秒。
#めんたいぴりり で拡散してと応援をお願いするいとうさとりさん。
肩を入れるように重なって順に目線を配る9人のキャスト。

家族4人と仲間たちの仲のよさが伝わる舞台挨拶でした。カメラの設定間違えたのか、うまく写せませんでした。
豊嶋花さん、でんでんさん画像ぶれてごめんなさい。ほぼ書き起こし。(取材・写真:白石映子)

映画『めんたいぴりり』江口カン監督インタビュー

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<江口カン監督プロフィール>
九州芸術工科大学 画像設計学科卒。‘1997年 映像制作会社KOO-KI 共同設立。
映画やドラマ、CMなどエンターテインメント性の高い作品の演出を数多く手がける。2013年、テレビ西日本放送ドラマ「めんたいぴりり」の監督を務め、日本民間放送連盟賞優秀賞、ATP賞ドラマ部門奨励賞、ギャラクシー賞奨励賞受賞。2015年 続編「めんたいぴりり2」が、前作に続いて2年連続で日本民間放送連盟賞 優秀賞を受賞。2016年4月 競輪発祥の地・小倉を舞台に、夢と人生にもがく、崖っぷちの男の映画『ガチ星』の企画・監督を務めた。同作は、2018年5月より全国公開。

映画『めんたいぴりり』
敗戦後、釜山から引揚げてきた海野俊之と千代子は、福岡中洲に小さな食料品店を開く。俊之は釜山のお惣菜だった〔明卵漬〕をヒントに再現したいと苦労を重ねていた。人情にあつく、太っ腹で、博多の祭り“博多祇園山笠”にも並々ならぬ情熱を注ぐ“山のぼせ”でもあった。そんな俊之を妻の千代子と息子たち、従業員は呆れながらも応援し続けている。
のちに福岡名物となる〔辛子明太子〕を完成させるまでの波乱万丈の物語。
(C)2019めんたいぴりり製作委員会
http://piriri_movie.official-movie.com/
★2019年1月11日(金)より福岡先行ロードショー、1月18日(金)より新宿バルト9ほかにて全国ロードショー


-今回は完全に撮りおろしなんですね。テレビ版でできなかったこと、もっとやりかったことが盛り込まれているのでしょうか?

そうとも言えますし・・・大きく変えるというより意識したのは、福岡の人には馴染みがあるので、「またあのふくのやファミリーが帰ってきたぞ」という感じをちゃんと作りたかった。一方で、まだあまり知られていない福岡以外の人たちに対して、ドラマの1回目を作ったときのように新鮮な気持ちで観ていただけるようなものを、新鮮な気持ちで作りました。

-テレビ版はパート2まで放映されていて、映画板は115分ですからぎゅっと縮めたことになるんですか?

テレビ版は主人公海野俊之の青春時代から60代までを一度やって、パート2と今回の映画は昭和30年代のある1年を切り取っています。主人公とその家族、周りの人たちのエピソードがいっぱいある中で、絶対におさえておくべきところはもう一回やっているんです。だけどドラマとは方向、見せ方を変えて作った部分と、今までやらなかった新しいエピソードで構成しています。
モデルになった実在の人物川原俊夫さんの言葉とか、素晴らしい行いをベースにしていますが、そのキャラクターも実は華丸さんに寄せて結構変えているんです。「うちの親父はあんなに女好きじゃなかったばい」って言われたりするんです(笑)。とは言いつつも、ふくやの方々も映画が好きで、そこは一観客としてすごい楽しんでいただけました。エピソードもご本人を元にはしていますが、だいぶエンタメにしています。
そもそもふくやさんからいろいろ聴くお話が面白くて。福岡の人たちは、この伝説のような話が大好き。それを華丸さんと富田靖子さんがやって面白くならんわけがなかろう、といつも思いながらやっていました。
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この海の向こうに釜山がある?

-このメンバーですと、オンもオフも面白そうです。

もう大分“ファミリー感”もありますしね。僕は撮影に妥協できないほうなので、けっこうたくさん撮っちゃう。スケジュールは大変でした。

-キャストは子役さんが替わっていますね。

メインの大人たちは替えていませんが、子役はね、大きくなって(前の子は)もう高校生ですよ。毎回そうですけど、今回も子役さんたちとても素晴らしかったですよ。

-あの英子ちゃんと、ふくのやの兄弟、健一くん勝くんですね。みんなとても良かったですねぇ。

お兄ちゃん役の山時聡真くんは映画の後、菅田将暉さんと同じ事務所に入りました。

-そうなんですか!これから他の作品で観られるのを楽しみにします。

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おかっぱの英子ちゃん。小学生の健一君。

映画では、夏の山笠から始まって山笠で終わる一年を追いかけるような流れで作っています。四つの季節に毎回事件が起こり、そして日常に戻るという流れにしています。テレビのときはあまりそういう見せ方は意識していなかったんですけど。博多の一年の暮らしを感じていただきながら、縁やいろんなことが巡っていくのを映画では取り入れられました。

-山笠は本物の祭りに参加したわけでなく、映画のために特別に出していただいたんですか?

そうです。あれは「中洲流」という、まさに「めんたいぴりり」の人たちの“流れ”なんです。この人たちはもう何回目かな、3回目かな。最近はもうすごく期待してくれて「いつやるんや?早く出たい!」と準備万端です(笑)。夏のお祭りなので、みんな法被に締め込み姿で水をバシャバシャかけられるんです。それが3月の寒い日で、ブルブル震えてまあそれは大変でした。

-あれが寒い日だったとは!息が白くなったりしませんでした?

あのシーンはしてないですけど、戦争のシーンは夜中に撮ったので、息が白く出てCGで消しました。今だからできる技術です。山笠の町のシーンは、古い町並みが残っているところで撮影しましたが、今エアコンの室外機があるんですよ。美術で隠し切れなかったものはやっぱり消しました。

-みんな動いている山を見て気づかないかも、いや突っ込み好きな人いますね(笑)。室外機を一つずつ消したとはお疲れ様でした。あのたくさんの山笠見物の人たちはエキストラですか?

エキストラは全部で1000人くらいです。エンドロールに全員のお名前を出しています。あと野球場のシーンでもたくさんの方々に協力していただきました。福岡市、北九州市、その他いろいろなところから来てくださって。

-ありがたいですねえ。衣装とか美術とかテレビで使ったものは、また映画でも使えたんでしょうか?

セットはバラして、ふくやさんの倉庫に置かせていただいていました。さすがに大分使いまわして傷んでいるんで、直し直しですけれど、使えました。山笠の衣装は山笠の人たちが持ってくるんです。今も昔も(笑)。
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中洲流の人たちが舁いた舁き山

-山笠衣装は自前なんですね。普通大道具ってそうやって取っておくものなんですか?

いや、ないですね。小道具は美術倉庫などにあったりしますけど、大道具はね。シリーズ物でないかぎり置いておけないでしょうね。

-ふくやさんの協力が「大」ってことですね。

そもそも製作委員会の真ん中にいるのは、ふくやさんなんですよ。これのために「きびる」っていう映画会社を作ったんです。「きびる」は博多弁で「結ぶ」という意味です。
こうやってオール福岡で面白いものを作って、福岡以外の人たちに観て貰おうと。ふくやさんは「明太子」でそれをやろうとした。これは地元愛と、そこから文化を作り出し、それを外に出していこうという気持ちの「結晶」みたいな映画ですね。

-ふくやさんのHPを見ましたら、一大キャンペーン中で、なんとこの1月10日が「明太子の日」!1949年の1月10日に初めて商品として店に出した日なんですね!70周年のすごくいい記念ですし、ますます博多の人には忘れられない映画になりますね。

撮影のときはほんとにたくさんの人たちに協力してもらえて。それはやっぱりふくやさんがみんなに愛されているっていうことです。華丸さん、富田さんも。ここ最近も、全く映画に関わってない人が映画のポスターをじゃんじゃん取りに来ては貼りに行き、みたいに協力してくださっています。
この映画も集大成という意味で作ったというよりむしろエピソード1。全国展開の始まりですね。ふくやさんは少なくてもエピソード3まで作ろうと言っています(笑)。

-スターウォーズみたいに(笑)。でもほんとに面白いキャラが多くてまだまだ作品ができそうです。(私は博多大吉さん扮するスケトウダラにウケました。タラなのに脚があってしかも綺麗!)

ベースのネタだけでも山ほどあって、寅さんぐらい数が作れるんじゃないかっていうくらい。

-あらー、それは楽しみです。できるといいですねっ!
博多弁なんですが、博多出身、九州出身のネイティブなキャストたちなのでリアルですよね。全く南と縁のなかった北の人たちが台詞を聴いてどのくらいわかるものでしょう?


それがね、作るとき「どうするの」って話はあったんですよ。その博多弁具合は落とさずに、だけど観ているとちゃんとわかるように脚本上ではしているつもりです。

-言葉は音だけ聴くのでなく、話している人の表情や身振りなどでかなりわかりますね。

僕は、そういった場所だったり、人間の違いだったり、その差を認めて楽しんでいく時代だなと思っているんです。排除するのでなく。そのほうが豊かだと思うんです。
博多弁のイントネーション(抑揚)は関西弁と違って、標準語と一緒なんですよ。それで聞きやすいんじゃないかな。

-イントネーションですか。監督はたとえば東北弁の映画を観て、ことばが入ってきますか?

僕は入ってきます。そういうのが好きなほうなんで。

-これはずっと博多弁で、私は住んでいたこともあってよくわかるし懐かしい。ほかの映画ではせっかく地方で撮っているのに標準語で喋らせていることが多くて残念でした。

そうそう。特に鹿児島や沖縄にいくともっと違って、そこが面白いなと僕は思う。そういうのを観ているとイントネーションが伝染(うつ)るくらい僕は入りこんでいます(笑)。喋りたくなってしまいますね(笑)。

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毎回辛子明太子が出る食卓

-今回は食べたり飲んだりのシーンが多いですね。特にあの家族と従業員の食卓が。

この映画で一番多いシーンは、その居間でみんなが狭い中で肩くっつきあいながらご飯食べるシーンです。

-それぞれの人の個性の出るシーンで面白いです。食べるシーンって気を使いませんか?

撮影は面倒くさいですよ。だけど、演出的なことでいうと「何かをしながら芝居が進む」というのは、そこにリアリティが出ますし、人間って決して一つのことばかりやっているわけではないので。何かをしながら、っていうのは意識しているんです。『ガチ星』のときも、やたら煙草を吸いながら芝居していました。

-ふだんの暮らしってそうですよね。前を向いて喋ってるだけってありません。

今回初めてやってみたことなんですけど、彼らの食卓の上の“明太子のアップ”を何回か入れていて、その明太子の状態が“家族の状態”を表しているんです。主人公が荒れて「最後の明太子だ」と言って、みんなが泣いているところは明太子がぐちゃぐちゃになっていますし、その後彼が気持ちを取り戻してまた日常に戻ったときには、綺麗でおいしそうな明太子になっている。彼ら自体を象徴しているものとしても見せたかった。食卓ってたぶん家族の状態が現われると思うんですよ、絶対。仲が悪ければ荒んでいくだろうし。

-そう思います。皆さんご飯食べながら喋っていますけれど、カットがかかって撮りなおしになったら、食べて減った分は足してまた食べますよね(笑)。一回の食事の何倍も用意しているんですか?

そうです。食べた分をまた同じ量に戻して撮りなおします。すっごい食べています(笑)。
もちろん、どのくらいかわからないけど、ご飯も明太子もたくさん準備してありますよ。で、残ったのはその後スタッフで食べる。だから僕らこの撮影中は、明太子めちゃくちゃたくさん食べられるんです(笑)。

-ふくやさんが提供してくださるんですか。まあ、いいですねぇぇ~(笑)。

普通家で食べるときにはちょっとずつケチりながら食べるじゃないですか。それが弁当には一腹のっけて食べられる。幸せ~(笑)。

-いいなぁ(笑)。浜松町で買って帰ろうっと(浜松町駅近くと、モノレールに向かう途中にふくやのお店があります)。
ふくやさんは「特許やら取らん」と、みんなに作り方を教えてしまって、その男気に惚れちゃうんですけど、ほかの後追いした誰も、特許とるような仁義にもとる人はいなかったんですね。


いなかったですね。そんな人がいたら嫌われるでしょうね。特に博多では総すかんをくらうんじゃないかな。
物語の中で一番有名な台詞が「与えた恩は水に流せ、受けた恩は石に刻め」。恩や優しさは、みんなそれで返すものなんだなぁ。僕はやっぱりこんな人にはとてもなれないな、と思いながら作っているんですよ。私利私欲ありますし、とてもじゃないけどこんな人にはなれない。もちろん、だらしがないところも描いていますけど、僕にとってはスーパーマンです。博多のスーパーヒーローです。

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中洲流の法被姿。赤白の手のごい(手拭)は取締。

-博多の人たちも同じ思いでしょうね。水害にあった人を何人も連れてきて、自分の家の分までご飯ふるまってあげて。驚いちゃいます。

あれは実話なんですよ。亡くなられたときも私財が殆どなかったらしいです。あんなに大きな会社なのに、個人の私財はほんとに人のために使い尽くしていたみたいです。できないことですねぇ。

-そういうのも含めて、喜怒哀楽全部詰まった映画でしたね。何もないシーンがないくらい。

忙しいというか(笑)、僕も脚本の東さんもサービスしたくなっちゃうものでけっこう詰め込みました。もう飽きさせるのが怖いので(笑)。そういう意味では最後まで飽きずに観ていただけるかな。

-お店のセットが好きです。奥へいくほど高くなる陳列棚や、フタつきの容器など再現されていて懐かしかったです。

美術は山本 修身(やまもと おさみ)さん。ずっとフジテレビで美術をやっていた大ベテランで、その方がいなければああはできなかったですね。僕が小さいころ駄菓子やとか古いまま残っているようなところは、まさにあんな感じだったんです。さすがに福岡も今はもうほとんど残っていないですね。

-今回韓国ロケはなしですね。

ドラマではありましたが、今回はないです。
僕はドラマをやるちょっと前に、韓国にすごい興味があって、ちょうどいろいろ調べていたんですよ。そのタイミングでドラマを作ることになったので、どうしても一回目のときに釜山時代の話をやりたくて。調べると当時日本の統治ではあったけれども、すごく賑わっていたようなんです。それから戦争で日本に帰ってくるんですけど、祖国なんだけれども「移民」なわけですよ。この物語のベースにあるのはそういう部分で、移民が受け入れられていくことに対して、恩返しの一つとして明太子作りをやるという。
年上の方々にも観てもらいたいけれど、子ども連れの方に来て欲しいなと思いながら作ったんです。子ども達にとっては“新鮮な過去”になります。こういうことも知ってほしいですね。

-ありがとうございました。

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派手な喧嘩もするけれど、「好いとう」


=取材を終えて=
博多で辛子明太子を作りだして広めた「のぼせもん」の夫と「しっかりもの」の女房や息子たちに従業員、周りの人々とのあったかいお話です。俳優さんたちが生き生きと存在していて、笑いあり涙あり、ほんとに全部盛りの映画です。
モデルになったふくやの創業者川原俊夫さんの志は、お孫さんが継いでいらっしゃる現在のふくやにも、しっかりと受け継がれているように思いました。
江口監督には、長編デビュー作の『ガチ星』を世に出すまでのご苦労を前回うかがいました。『めんたいぴりり』はドラマ版のシーズン1、2、舞台版、この映画版と拡がってきました。博多弁や辛子明太子と同じく、全国へと浸透していきますように。
観終わると白いご飯に辛子明太子をのせて食べたくなります。お出かけ前に炊飯器のタイマーを忘れずに。

(取材・監督写真 白石映子)
★舞台挨拶レポはこちら

ふくや HP
https://www.fukuya.com/
博多祇園山笠 HP
https://www.hakata-yamakasa.net/
『ガチ星』江口カン監督インタビュー(2018年5月)
http://www.cinemajournal.net/special/2018/gachiboshi/index.html