『旅のおわり世界のはじまり』青木崇高さんのウズベキスタン弾丸ツアー!スペシャル映像上映付き加瀬亮さんとのトークイベント

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黒沢清監督、前田敦子、加瀬亮、染谷将太、柄本時生らが出演するシルクロードを舞台に描く『旅のおわり世界のはじまり』が全国公開中だ。

この度、友だちの加瀬亮さんに会うために青木崇高さんが大河ドラマ収録の合間をぬい、ウズベキスタンまで弾丸ツアーを敢行した旅行記映画が完成。

青木崇高初監督作品として、加瀬亮さんと青木崇高さんによる上映付きトークイベントが行われた。
題して、「あおきむねたかのウズベキスタンまでちょっと会いに。」

イベント 6月21日(金)21:05〜
於:テアトル新宿
東京都新宿区新宿 3-14-20 新宿テアトルビル B1F


司会者の「初監督作品ですね」との問いかけに、
青木:僕の主演映画の時もこの映画館で初日舞台挨拶したんですけど、全然その時より多いですやん!(笑) こんなに集まって下さって嬉しいですよ〜。
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司会:お二人の付き合いは長いんですか?
青木:吉高由里子さん主演の『婚前特急』での共演が初めてですね。
加瀬:それとマーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』(16)で共演しました。『沈黙』は台湾ロケだったので、仲良くなったのは『沈黙』からですね。撮影オフの日には2人で台湾をあちこち回りました。
帰った後は、青木さんから当日のご飯の誘いが多いんですよ(笑)
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青木: 「今日ご飯行きませんかァ〜?」って電話するんです。
司会:いつまでもお話を聞いていたいですが、早速上映と行きましょう。
青木:はい!もう、なるようになれ〜っちゅう感じで撮ったんで気軽に観てください。それから、タイトルなめてて、すんません(笑)

スペシャル映像「あおきむねたかのウズベキスタンまでちょっと会いに。」の内容は、「スタッフ日記」をご閲覧ください。
http://cinemajournal.seesaa.net/article/467414022.html


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観客席で一緒に鑑賞した加瀬亮さんと青木崇高さん。上映後、再登壇して開口一番
加瀬:んもう、前田敦子さんの「愛の讃歌」の余韻(本編の)が台無しじゃないですかァ〜(笑) もろにYouTuber目指してるってバレバレですよ(笑)
それにしても、本当に来るとはねぇ。半々くらいに思ってて、軽い気持ちで「来れば?」ってメールしたら…(笑)
青木:いやぁ〜 、観てから気が付いたんですけど、縦(サイズ)で撮っててゴメンなさい。スクリーンに合わせることを考えてなかった。
着いた時、柄本時生と加瀬さん、前田敦子さんが階段で笑って待っててくれたのが嬉しかったですよ〜。
加瀬:でも撮影、上手でしたね。僕は本編ではカメラマン役で撮ってるから、ドキュメントとの比較が面白い。
青木:初っ端のメール画面から笑い声が起きたのは意外でした。前日まで大河ドラマの「西郷どん」の収録で、雨だったら企画はおじゃん。直行便はないし、苦労しても会いたい人に会いに行けて良かったです。
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加瀬:青木さんが持ってきた「地球の歩き方」を見せてもらったら、バス便まで線引きしてあるんですよ。旅の仕方が自分と似てると思いました。怪しい人には”付いていく”という(笑)
青木:そうそう、”付いていく”(笑) とりあえず逃げるルート確保しつつ…みたいな(笑) あまり観光地らしい所には行かないですよね。
映画に登場する人たちは仕込みじゃなく、本当にリアルに出会った人たちですよ。
加瀬:僕ら俳優は撮影中、体調を恐れたんですよ。一応、気をつけるじゃないですか。食べたいものも我慢して。だから試したいものは青木さんに毒味させる(笑)
ウズベキスタンはもっともっと行ってみたい所や、もっと食べたかったものもありました。
青木:うどんは美味しかったです。もっと田舎のほうにも行きたかったし。
加瀬:地方での待機時間て楽しいですよね。 台湾は楽しかった。あの時と同じ感じ。
青木:観てて感動したんですけど、あの(家に招いてくれた)おっちゃんにとっては 、あれが普通なんですよね。こっちは”想い出の出逢い”なんて勝手に感動してるけど、おっちゃんには、あれが日常になってる。帰る時も普通に家に入って行きましたもん。
加瀬:東洋人は少ないからね。外国人を歓待してくれる。
青木:鳥の占いですけど、嘴が欠けたんちゃうか?と思うほど…動物虐待?(笑)
占いの紙に書いてある内容が分からなかったんで、帰国してから訳してもらったんですよ。そしたら、
「会いたい人に会える」
って内容だったんでビックリしました。まさに当たってたわけなんです。
色んな人たちから、「映画に出てないのになぜ行ったの?」とよく聞かれるんですけど、僕としては会いたい人に会いに行っただけなんです。
加瀬:旅番組持ちたいよね?(笑)
青木:今回の経験で作り手に興味を持ちましたね。今までは、「青木さん、オールアップ、お疲れ様でした〜」で去ってたけど、監督やスタッフはその後も色々な作業があんねやなぁ、ということが分かりました。一つ夢を叶えられました。本当に皆さん、有難うございました。(場内拍手)
加瀬:もう、これで上映はないんですか?…あぁ、そうですか。アハハ、まぁ本編も公開中ですから、そちらのほうも宜しくお願いします!
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トークを終えた加瀬亮さんと青木崇高さん。名残惜しそうに捌ける間際まで手を振り続けていた。
息の合った2人の和やかなトークに、観客席からも笑いが途切れない楽しいイベントとなった。青木さん初監督作品がDVD特典映像に収録されることを祈りつつ…。

取材:大瀧幸恵(文)、景山咲子(写真)


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『旅のおわり世界のはじまり』
監督・脚本:黒沢 清
出演:前田敦子、加瀬 亮、染谷将太、柄本時生、アディズ・ラジャボフ

配給:東京テアトル
公式HP:tabisekamovie.com
★テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開
(C)2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO

シネマジャーナル 作品紹介



『ザ・ファブル』公開記念舞台挨拶レポート

Mr.ストイック岡田准一の人柄と身体能力に
共演者はみな「普通じゃない」と称賛


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裏社会で「ファブル」の名で恐れられる天才的な殺し屋が1年間休業し、大阪で一般人として、普通の生活を送る。この普通でないミッションを殺し屋が真面目に挑む様子をコミカルに描いた南勝久の人気コミック「ザ・ファブル」(講談社「ヤングマガジン」連載)が実写化された。6月22日(土)には東京・丸の内で公開記念舞台挨拶を開催。主演の岡田准一をはじめとする豪華キャスト・監督が集結し、クロストークを披露した。

『ザ・ファブル』公開記念舞台挨拶
【日程】6月22日(金) 
【場所】丸の内ピカデリー1
【登壇】岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、安田顕、佐藤浩市、宮川大輔、江口カン監督

ボスのイメージが壊れる? 佐藤浩市の意外な告白

MCの呼び込みと同時に、客席後方の下手扉が開き、岡田准一を先頭にキャストたちが客席通路を通って登壇した。それに続いて下手前方扉より佐藤浩市と監督が舞台に。舞台両脇から金銀色テープの特効が発射された。
ここで司会が佐藤浩市に、なぜ、他のキャストと一緒に下手後方の扉から入ってこなかったのかを尋ねると、「舞台の後ろから登壇するのが流行り始めた頃に、品の良さそうなご婦人が手を差し伸べてきたので、『ありがとうございます』と手を出したら、『あんたじゃない!!』と。それ以来、後ろから登壇するのがトラウマになってしまいまして。すみません、ボスのイメージを壊しているかもしれません」と別行動を取った理由を説明した。岡田はそれに対して「そういうのってありますよねぇ」と同意するコメントを。もしかすると同じような経験があるのかもしれない。続いて、登壇者がひとことずつ挨拶した。

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(撮影:堀木)

「共演者と会うのは初めて!」と宮川大輔

MC:伝説の殺し屋ファブルを演じられました岡田准一さん、お願いします。

岡田:みなさん、お忙しい中、お越しいただきましてありがとうございます。雨の中ですが、スカッとできるエンターテインメントに仕上がっていると思います。(福士蒼汰を応援するグッズを持つファンを見つけて)あっ蒼汰くんが好きですか。僕も好きですよ。そんな素敵な共演者のみなさんとこうやって一堂に集まれて、仕事ができたのがうれしかったです。面白いと思われた方はまた勧めてください。ありがとうございます。

MC:ファブルの相棒、佐藤ヨウコを演じられました木村文乃さん、お願いします。

木村:今日は雨の中、ファブルを選んでいただいて、本当にありがとうございます。2階も上までしっかり見えます。今日は短い時間ですけれど、楽しんでいってください。よろしくお願いします。

MC:素直で優しいアキラのバイト仲間、清水ミサキを演じられました山本美月さん、お願いします。

山本:みなさん、こんにちは。今日はお足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。ミサキを演じさせていただきました山本美月です。みなさんがあの変顔を見たのかと思うとすごく恥ずかしい気持ちでいっぱいです。梅雨のじめじめを吹き飛ばすような素晴らしい作品になっていますので、おもしろかったら、周りに勧めていただけたら、うれしいなと思います。今日はよろしくお願いいたします。

MC:渋谷系ゆとり世代の殺し屋でファブルに憧れ、執拗に狙うフードを演じた福士蒼汰さん、お願いいたします。

福士:フードを演じました福士蒼汰です。本当に素晴らしいキャストの中で、素晴らしい作品ができたなと思っています。たくさんの人に見てもらえたらうれしいです。本日は短い時間ですが、よろしくお願いします。

MC:出所早々暴れまわる、アドレナリン全開、デンジャラスメーカー小島を演じました柳楽優弥さん、お願いいたします。

柳楽:みなさん、本日はありがとうございます。柳楽優弥です。岡田さん主演のアクション映画に参加させていただいて、最高でした。ありがとうございました。

MC:小島と同じ裏社会のメンバーで、小島と敵対するインテリ砂川を演じられました向井理さん、お願いいたします。

向井:砂川役の向井です。本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。とても激しい笑いがあり、いろんなアクションもあり、大変な現場ではありましたが、その中でも座長である岡田さんを筆頭に、いろいろ現場を引っ張ってもらい、実は楽しく和気あいあいとした現場でした。とてもいい経験ができたと思っています。短い時間ですが、最後まで楽しんでいってください。ありがとうございます。

MC:休業中のファブルを預かり、砂川、小島らを束ねる、裏社会の会社社長・海老原を演じました安田顕さん、お願いします。

安田:海老原を演じさせていただきました安田顕と申します。撮影は昨年の今ごろ始まりました。本当にじめじめした空気の中、みなさんが汗をかきながら撮影したものが1年経って、またじめじめとした季節の中で公開になりました。内容的にスカッとしていますので、ぜひお友だち、お知り合いに紹介していただいて、この映画を広めていただけたら幸いです。本日はよろしくお願いいたします。

MC:ファブルたちの育ての親、ボスを演じました佐藤浩市さん、お願いいたします。

佐藤:楽しんでいただけましたでしょうか。この映画はみなさんの声が支えてくれると思いますので、よろしくお願いいたします。本当に今日はありがとうございます。

MC:ファブルを唯一、爆笑させることができるお笑いのジャッカル富岡を演じました宮川大輔さん、お願いします。

宮川:ジャッカル富岡をやらせていただきました宮川大輔です。今日はありがとうございます。このみなさんとお会いするのは今日が初めて。何のエピソードも僕は持っていないので、怖くて仕方ないです。ちょっと短い間ですけれど、よろしくお願いいたします。楽しんで帰ってください。

MC:本作のメガホンを取られました、江口カン監督、よろしくお願いいたします。

江口:今日はお越しいただきありがとうございました。みなさんと一緒に作ってきた、この作品がやっとお披露目できて、最高に幸せです。よろしくお願いいたします。

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(撮影:堀木)

関西人なのに標準語の方が仕事しやすい?
明かされる岡田准一の意外な一面


本作ではファブルがプロの普通を目指すのだが、強烈な個性を放つ登場人物達に翻弄される。そこで、 “今だから言える、普通じゃないと思った共演者、もしくは撮影現場のエピソード”を語り合った。

岡田:まず、柳楽君は普通じゃない。今回の役、良かったですよね。
あと、浩市さんは現場で素敵なんですよ。僕のことを准一と呼んでくれる大先輩で、いつも僕のことを気にかけてくださるのか、現場に入ると、「准一、大変そうだな。がんばれよ」と言ってくださり、今日もパーテーションのところで声を掛けていただいて、「准一、人、入っているみたいだな。よかったな」と。すごくカッコいいんですよね。大先輩になってそれができるのって、普通じゃないですよ。

佐藤:その昔、彼がまだ10代のときに親子役でちょこっとだけご一緒して、それから見て、この隔世の感というかね? こうして今、全部を引っ張っていくというのを見るとうれしくなりますね。がんばれよ、准一!

岡田:父上、ありがとうございます。

MC:木村さん何かありますか。

木村:岡田さんは関西弁だと調子でない。

岡田:めっちゃ出ますけれどね。

木村:関西の方なのに、「関西弁しゃべってください」と宣伝のときにいわれると、いつものお茶目さんが出てこなくなってしまうなと私は思っていて。「あれ、関西の方なのに標準語の方がやりやすいんだなぁ」と。

岡田:いやいやいや、それ、絶対に言っちゃあいけないヤツですよ。いやいやいや、関西弁もうまく使っていきたいですよね。

MC:うまく使っていきたいって、その距離感がおかしいですよね?

岡田:いやいやいや、ホンマ。関西弁なのか、微妙なとこ、ありますよね。

岡田准一が「6年後に格闘技の達人を目指す」と宣言!

MC:山本さん、何かエピソードありますか。

山本:柳楽さん。普通じゃないというか、役がすごく激しいのですが、カットがかかった瞬間、めちゃくちゃ優しいんですよ。その切り替えがすごくて、はっとします。カーディガンを脱がせるところがあるのですが、脱がせた後、すごく優しいですよね。

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(撮影:白石)

岡田:すごい、エロいコメントしたね。そこだけテレビに使われたらやばいよ。

山本:ちょっとテレ混じりなところがすごくお優しいなと思って。気を遣ってくださっているというか。

岡田:僕も耳にナイフを突きつけられたときに、舐め回すようにやった後に「大丈夫ですか。大丈夫ですか。当たってないですか」とすごく優しかったですね。

柳楽:よかった。

岡田:(柳楽を見て)押忍!

MC:福士さんは?

福士:やっぱり准一さんですかね。あんなに壁をスムーズに登る人はいないですし、やること、考えること全て普通じゃないことが多い。お酒を飲んでいるときも、あまりテンションが上がらないのです。ずっと武士みたいに日本酒を飲んでいる姿を見ていて、「ほんとに普通じゃないな」と普段から思っていました。

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(撮影:白石)

MC:はしゃがない?

福士:僕は見たことがないですね。

岡田;辛口一献。
(一瞬の間があり)何を言っているんだろう。すみません、大失敗です。

福士:すみません、滑らせてしまって。

岡田:何か言わなきゃと思ったら、大滑りしました。静かに飲むタイプですね。

MC:福士さんから見て、考え方もちょっと普通じゃないと思ったのですね。

福士:僕もジークンドーやカリといった同じ武術をやっていますが、きつすぎて、気持ち的にも難しい。それをずっと続けて師範の免許も取って。そういうところも異常性が出ているのかなと思いますね。並大抵ではできません。

岡田:6年後、達人を目指していますんで。
またちょっと滑りましたね。

MC:柳楽さんは?

柳楽:15m上から飛び降りるところがあったのです。スタントさんを使わずに、准一さんが縛られている僕を助けるシーンで、准一さんがやるので、僕がスタントさんに頼んだらダメじゃないですか。僕もいなきゃいけないなって。准一さんがやらないでくれたら、僕もやらないで済むのに、と。ほんと、怖くって。そこがビビりました。

岡田:僕もできればやってもらいたかった。当たり前のように上げられて。二人で落ちたよね?

柳楽:すごいところまで上げられて、スタッフさんが「准一さん、ごめんなさい」と言って、足場を取って。。。。もう、やりたくないです。

MC:監督から見て、それはスタントの方を入れてもいい感じだったのですか。

江口:いやいやいや、そこは本物をねぇ。

MC:向井さんはどうですか。

向井:ヤスケンさんはベテランで、経験値も豊富ですが、クランクアップの日は朝からずっとそわそわしているのです。クランクアップをいっぱい迎えてきた人でもまだこんなに、子どものようにそわそわするというのは普通じゃないなと思いました。

安田:慣れたことがないですね、こういう現場に。本当にいつも緊張します。毎日毎日精一杯でございます。

MC:そんな安田さんが、これは普通じゃないぞと思ったのは?

安田:普通じゃないって言えば、みんな普通じゃないですし、普通といえば普通なのですが、やっぱり岡田准ちゃんですかね。この映画の宣伝でバラエティーに一緒に出たときに、岡田さんは無の状態になりながら、フラフープができるっていうのですけど、1つもできないのです。ただただ、ボディビルのようにポージングを取りながら、回っているだけ。あれを見たときに普通じゃないなと思いました。
アクションができて、笑いが取れる方ってそうそういないから、まさにファブルって岡田さんじゃないとできないと思うし、ゆくゆくはジャッキーチェンのリメイクとかやってほしいですね。

岡田:誰も拍手が起こらない。(ここで拍手が起きた)

MC:佐藤浩市さんは「普通じゃないな」と思った人はいますか。

佐藤:若い頃の現場なんていうのは普通じゃないし。でも、やっぱりみんな、仕事も普通じゃなくなるのですよね。キャメラの前に立ったりすると、そこで普通じゃなくなっているし。今回みたいに座長がMr.ストイックだと周りの連中が大変迷惑。そういうアクションの絡みがなくてよかった。

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(撮影:堀木)

MC:福士さんから見ても、Mr.ストイックでしたか。

福士:はい。でも僕はそれに燃えるタイプなので、絶対についていこうって。火をくれる感じですかね。僕がしゃべると滑るので、完結した方がいいですよね。終わりです。

MC:監督が見て、これは普通じゃないだろうってありましたか。

江口:みなさん、普通じゃない中でやらせていただいて、僕は逆に浮いていたのですが、山本美月さんの変顔のシーンで、ここまでやってくださいという指示を出すために顔を触ったのですが、小っちゃさが半端なくて、顔の骨格の小ささがすごかったです。

山本:そこですか。そこかぁ。生まれたときからこんな感じなので。

岡田:多分、みなさん、比べるものが分からないと思うんですよ。テレビとかこの距離だと。スーパーに行って、豆腐を買ってください。あのくらいの大きさです。豆腐一丁くらいです。

山本:もう少しいいものにしてほしいですけど

MC:監督でもびっくりしたのですね。
そして、宮川さん。誰とも絡んでいない。しかも撮影がみなさんの撮影が終わった後、なんですよね?

宮川:そうなんですよ。みなさんが終わった後に僕が撮ったので、正直、スタッフさんも監督も終わった感が強い。だら~っとしているんですよ。そんな中でグリーンバックの前でギャグをやらされるわけですよ。で、決めるじゃないですか、そうすると5秒くらいは欲しがるのですが、シーンとしているんですよ。芸人としては、そこは受けてほしい。声が入るかもしれませんが、後から消せばいいじゃないですか。シーンとしている中、俺、ずーっと(ポーズを取って)こうしてるわけですよ。そうしたら、監督がそばに来て、「面白かったですよ」って。嘘つけ!って感じ。笑ってくださいみたいな。ほんと、1人でやっているのは地獄でしたね。これは岡田さんが実際に見るのかなと思っていたら、もう撮影は終わっていたからモチベーションもよくわからなくて。ずっと地獄でしたね。

MC:岡田さん、まったく見ないで爆笑していたってことですね。

岡田:そうです、そうです。モデル映像すらなく。用意、スタート、わっはっはということでしたね。

MC:そう考えるとすごいことですね。何にもないのに想像して爆笑するという。

岡田:振り付けはこうやりますと振り付けだけ教えられて、僕はやっていました。

MC:できあがったのをご覧になっていかがでしたか。

岡田:本当に大輔さんがやってくれてよかった。

宮川:マジで? めっちゃうれしいです。ありがとう!

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(撮影:堀木)

「岡田ファブル」を原作者も絶賛

トークの後は、公開を祝して原作者の南勝久先生よりお祝いのメッセージが到着。司会が代読した。

この度は江口監督を始め、演者のみなさん、関係者のみなさん、お疲れ様でした。無事に公開となり、僕自身も楽しみにしております。この原作は元々実写化を想定して考えたところもあり、一つの目標に達することができたことに深く感謝しております。よくある殺し屋というテーマに挑戦しましたが、この物語は恐らく今までになかった殺し屋エンターテインメントになっていると思います。それではラストまで笑ってハラハラと楽しんでいただけたらと思います。岡田准一ファブルをとくとご覧あれ。
南勝久

“岡田准一ファブル”を絶賛するコメントに、岡田も「原作の先生が喜んでくださっていてすごくうれしい」と笑顔を見せた。
続いて、本作とゆかりのある贈り物として巨大ないちごのショートケーキが壇上に運ばれてきた。劇中でファブルが一番好きな芸人・ジャッカル富岡が、「ショートケーキにいちごを乗っせ~る~♪」から始まるギャグを披露するくだりがあるのだ。
今回はジャッカル富岡役の宮川が特別に用意された特大イチゴをのせながら、最後は決めのフレーズ「何で俺もやね~ん」をキレキレの動きで披露した。さらに、岡田の無茶ぶりで「カレーライスにらっきょを乗っせ~る~♪」ともう1パターンも披露。登壇者や会場が大爆笑となった。

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(写真:オフィシャル提供)

最後に岡田からこれから映画を観るファンにメッセージが贈られた。

今日は本当にありがとうございます。雨の中来ていただきまして。本当に笑って、スカッとできる、誰もがすっきりできる映画になると思っております。ぜひ、また、何度でも見に来ていただいて、アクションの検証とか、どういうことやっているなとか含めまた見に来てください。ありがとうございます。

ここで登壇者はいったん退場。客席をバックでフォトセッションとなった。岡田の「ザ!」の掛け声に会場全体が「ファブル―!」と答える形でコール&レスポンスが行われ、顔の前に親指をかざすジャッカル富岡の“ジャッカル”ポーズをとりながら記念撮影。大盛況のうちに舞台挨拶が終幕した。
(取材:堀木・白石、文:堀木)

『ザ・ファブル』
<STORY>
どんな相手も6秒以内に殺す――。“ファブル(寓話)”と呼ばれる謎の殺し屋(岡田准一)は、裏社会で誰もが「伝説」と恐れる存在だった。しかし、ちょっと仕事をし過ぎた彼に、ボス(佐藤浩市)はある指令を与える。「一年間、一般人として普通に暮らせ。休業中に誰かを殺したら、俺がお前を殺す」
ファブルは、佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコ(木村文乃)と共に生まれて初めて一般人として街に溶け込む生活を始める。インコを飼ったり、バイトしたり...。殺しを封じ、《普通》を満喫し始めた矢先、ファブルの命を狙う裏社会の組織や、ファブルに助けを求める者たちが次々に現れ、事態は思わぬ方向へ急発進する!【絶対に殺してはいけない】指令のもと、絶体絶命のピンチを切り抜け平和に暮らせるのか―?!

出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、木村了、井之脇海、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、宮川大輔、佐藤二朗、光石研 、安田顕 、佐藤浩市
原作:南勝久『ザ・ファブル』(講談社「ヤングマガジン」連載)
監督:江口カン
脚本:渡辺雄介
配給:松竹
©2019「ザ・ファブル」製作委員会  
公式サイト:http://the-fable-movie.jp/

『ザ・ファブル』スペシャルトークイベント

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(撮影:堀木)

6月13日(木)スペースFS汐留にて『ザ・ファブル』スペシャルトークイベントが行われました。
岡田准一、木村文乃、山本美月の3人が登壇、この日の特別試写に招待された観客の前で撮影のエピソードを披露したり、クイズや観客の悩みに答えたりと和気あいあいとした雰囲気で終始しました。
MC:森圭介(日本テレビ)
ほぼ書き起こしてその空気をお届けします。 (まとめ 白石映子)

『ザ・ファブル』
監督:江口カン
原作:南勝久
脚本:渡辺雄介
撮影:田中一成
音楽:グランドファンク
主題歌:レディー・ガガ

謎の殺し屋ファブル(岡田准一)は6秒で相手を仕留める。あまりにも鮮やかな手口に裏社会ではもはや伝説となっていた。彼を育てあげたボス(佐藤浩市)は、ファブルに「一年間、仕事を休んで普通に暮らせ。誰かを殺したりしたら俺がお前を殺す」と、妙な命令を下す。ファブルは素直に従い“佐藤アキラ”という偽名を使って大阪の街に移り住んだ。相棒のヨウコ(木村文乃)は妹としてアキラに同道する。生れて初めての普通の生活をぎこちなくも楽しみ始めるアキラ。知り合ったミサキ(山本美月)の世話でアルバイトもするようになった。
しかし、裏社会はそんなアキラを放っておくはずがなかった。

2018年/日本/カラー/シネスコ/123分
配給:松竹
(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会
http://the-fable-movie.jp/
★2019年6月21日(金)ロードショー


―本作は、今一番面白い作品と呼び声高いコミック『ザ・ファブル』の映画化でございます。主演の岡田准一さんをはじめとしたオールスターキャスト、世界基準のアクション、さらにハッピーな笑いが融合したどんな方でも笑ってスカッとできるという最高のエンターテイメント作品になっております。来週が公開でございまして、本日はキャストのスペシャルトークベント、みなさん胸をおさえながらハアハア言っていますけれども(笑)、少々お待ちください。さっそく呼び込みましょう。みなさま盛大な拍手でお迎えください。(拍手)
まずは伝説の殺し屋ファブルを演じられました岡田准一さんです。


岡田 お忙しい中ありがとうございます。やっと、もう少しで、来週公開になります。嬉しい気持ちと、どういう風に受け止めていただけるのかと、すごく楽しみに日々を過ごしております。梅雨と暑い夏が来ると思いますけど、すっきりする笑いのあるエンターテイメントアクションができたと言われて、とても安心しております。ぜひそれを体験していってください。今日はありがとうございます。(拍手)

―続いてファブルの相棒佐藤ヨウコを演じられました木村文乃さんです。

木村 木村文乃です。今日は珍しい催しというか、みんなと一緒に遊ぶことができるのでとても楽しみにしております。最後まで楽しんでいってください。よろしくお願いします。(拍手)

―素直で優しい苦労人、アキラのバイト仲間“清水ミサキ”を演じられました山本美月さんです。

山本 みなさんこんばんは。こんなに客席の後ろまでお客様の顔が見えるイベントが久しぶりなので、とっても嬉しいです。少しでもこの映画の魅力をお伝え出来たらな、と思っております。よろしくお願いします。(拍手)

―今コメントにもありましたけれど、今日は120~130人くらいのプラチナチケットを手に入れた方々なんですよ。いかがですか? この会場の雰囲気。

岡田 いやもう全員見えるんで…なんか肩に乗ってる人が。(笑)
(会場へ)それ(ナナちゃんカチューシャ)、みんな持ってるんですか? 持ってるんですね。

木村 わ、(ナナちゃんが)いっぱいいる!

岡田 どこにつけるかは? あ、後程ですね? (笑)

―はい、あの形状ですから、つくところはかなり限られております。(笑)

岡田 そうですね。頭につけるやつ、みんな持たされたんですね(笑)。ありがとうございます。後でたぶん写真撮るときに、よろしくお願いします。

―これから上映ということですから、みなさんにはネタバレに注意しながらいろいろお話しいただきたいな、と思いますけれども。岡田さん今お話にもありましたけど試写会での評判はとっても上々で。

岡田 そうですね。試写で評判はだいたいわかるんですけれども。すごく記者の方が来てくださったと耳にするので。今の時期に合うアクションというか、笑いもあり、楽しめる、すっきりできるアクションになっているんじゃないかなと思います。

―かなり手ごたえも。

岡田 どうですかね、もっとできるとは思っていますけれど。

―おお~!それはぜひ今日観ていただいた方が、近くの方にお勧めいただいてね。本格的なアクション、さらにはコメディ要素が岡田さん、今いろんなところで映像がばんばん出ていて、岡田さんの面白いところが出ていると。

岡田 面白いところ(笑)!? 出てますか?

木村 面白いところだらけですよ。

岡田 ありがとうございます。

―いかがでしたか? 撮影現場というのは?

岡田 撮影現場は、お芝居部分とアクション部分が2部構成になっていて、アクションは後半にまとめて撮ったんですけども、なんかこう別の作品のような感じでしたね。

―シリアスな作品にも多く出られていますけれども、コメディ作品に出るとき岡田さんどんなお気持ちなんですか?

岡田 どんな? もともとコメディ出身なので。(会場笑)出身?出身?出身っていうとおかしいですけど、宮藤(官九郎)さんの作品とか若いころよくコメディでやらせてもらってたことが多いんで。
真面目にやればやるほど面白い役なので、そこらへんを意識したり、監督もコメディ要素を強くしたいとずっとおっしゃって、「リアクションは強めにやってくれ」というのを話し合いながら作っていった感じですかね。

―笑いにシビアな現場だったんですか?

岡田 笑いにシビアですか(笑)。監督すごくシンプルでそれを膨らませていくというのが…。柳楽くんはじめこのお二方、佐藤二朗さんも、言葉悪く言えば「適当にやってください」みたいなのがけっこう多くて、お二人のシーンも5分くらい回しているのをずーっと終わらないまま、そのいいところ使ったりとか。その場でなんかやってくださいっていうの多かったですよね。

木村 そうですね。私わりとアドリブばっかりでした。

―ばっかり?

木村 ばっかりでした。監督はカットをかけてくださらないので、続けるしかないんですよね。だから山本さんにも藤森さんにも大変失礼なことばっかりしてしまったなぁと、後で観ていただいたらわかるんですけど。

岡田 鼻にピスタチオ詰めまくっていました。(爆) 詰めては拭いて、詰めては拭いてをしまくったらしいです。(笑)

―それもアドリブで?

木村 そうですね。私とお酒飲むときは気をつけていただきたいです。(爆)

―山本さんもかなりアドリブで、木村さんには顔をこう?

山本 はい、顔はほんとにもうメチャクチャにしていただいて(笑)もう感謝です(笑)

岡田 あれはほんと、5分くらい顔いじられてましたよ。

―そのとき山本さん、どういう気持ちなんですか?

山本 もう監督がモニターの前で面白がってる姿が想像できるというか(木村 うん、そうね)、クソーと思いながら…(爆)

―しょうがない、そういうシーンですからね。この後で作品を「ここ5分やってたんだぁ」とぜひ感じながら見ていただくと感慨もひとしおじゃないですかね?

岡田 いやもう忘れていただいて(笑)、すいません、余計なこと言ったかも。

―台本はシンプルで、演者のみなさんの個性やアドリブが存分に詰まった作品になっている、ということなんですが。本日このアットホームな雰囲気で、皆さんには企画に参加していただこうと思います。
題しまして、「プロとしてスカッとクリアせよ!究極のミッション2番勝負~!」(拍手)
これからは個人戦です。2番勝負、二つのミッションにチャレンジしていただきます。勝敗ポイント制になります。クリアするたびにポイントが加算されまして、終了時点で最もポイントの多い方が勝利、優勝すると素敵なプレゼント。そして、負けると罰ゲームということになります。

一つ目のミッションはこちら!「ミッション1 6秒以内に決断せよ!3択クイズ~!」(拍手)
これから映画『ザ・ファブル』にまつわるクイズを3問出題いたします。6秒以内に相手を仕留めるファブルにちなんでの「6秒」なんですが、番号札を上げて正解すると1ポイントとうことです。岡田さん何か番号札に違和感ありましたか?(笑)


岡田 いえいえ、なんか初めてだなぁと思って。映画の企画でこういうの持つの。

―映画館でやりますと、上映時間がどんどん押しちゃうので長くできないんですけれど、今日はイベントスペースなのでたっぷりと(笑)スペシャルトークしていただいております。
第1問です。ファブルのペットとして本作品に登場するインコのナナちゃん、どれが本物のナナちゃんでしょうか?

(3羽のインコが登場)会場&壇上で「可愛い~!」の声

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(撮影:白石)

―6秒以内にこたえてください、用意、スタート!
(全員が3番の札を挙げる。3番のインコしきりに鳴く)
―3番挙げられているから、テンション上がっています(笑)。岡田さん、これは?

岡田 ナナちゃんは頭の上によくのせていたので、絶対3番だと思います。色がやっぱり違いますよね。あと、この「鳴き待ち」がけっこうあったんですよ。この声はナナちゃんだなと。僕のほうばっか見てますからね。

―1番2番は向いてないけど、3番だけ向いているということで。これで間違ったら大変なことになりますが、では正解は? 3番、大正解!(拍手)ここは楽勝でしたね。

岡田 ナナちゃんよく鳴くね~!(笑)いい子なんですよ、ナナちゃん。

―では第2問にまいります。「藤森さん演じる河合ユウキはヨウコとの飲み比べのシーンで、何杯目のテキーラで白目を剥いたでしょうか? 1番10杯目 2番20杯目 3番30杯目」6秒以内にお答えください。

岡田 これずるくないですか?(笑)

―では札を一斉に挙げてください。どうぞ~!お、割れた!
(木村 2番 岡田 2番 山本 3番 の札)

岡田(2番にしたわけは)いやいや、勘ですけど。10杯もすごいと思うんですけど、30はないだろうと。テキーラですから。そうなると、20杯で。これ絶対当たってます。

山本(30杯)あ~間違えたぁ。(笑)

木村 まだわかんないよ。

―まだわかりませんよ。木村さんは自信を持って?

木村 はい。たぶん。ただ最後まで飲んだのが20杯だったか? 白目を剥いたのが20杯だったか? どっちだっけなぁと思って。

―正解はこちら。2番の20杯! 岡田さん木村さん大正解~!
山本さん予感があたってしまいましたね。そんなに悲しい顔しないでくださいね。3人にまつわるクイズということですから、山本さん次は。


山本 えー、絶対覚えてない気がするけど、こわいー、頑張りまーす!

岡田 これ去年なんでね。一年前だからね。

―フォローが優しい! 今のところお二人は正解でしたから、果たして3ポイント獲得なるんでしょうか?
はい最終問題こちらです。「山本さん演じる清水ミサキ、過去に出していた写真集のタイトルはいったい何でしょうか?」 1番“もぎたてエンジェル” 2番 美少女絵巻” 3番 漂流記”


木村 マ二アックですね。

岡田 これ、覚えてますか?

―では札を一斉に挙げてください。どうぞ~! 割れた!
岡田さん1番 木村さん2番 山本さん3番。岡田さん、なんで1番?


岡田 “もぎたてエンジェル”(笑)、一番やばそうじゃないですか。監督やばい人なんですよ。だから監督っぽい、監督が好きそうな、監督が選んで「あ、いいねぇ」って笑いそうなのは“もぎたてエンジェル”かなって。(笑)

―“もぎたてエンジェル”だと、どんな感じの仕上がりになってますかね?

岡田 “もぎたて“(笑)どんな感じですかね。

木村 すごいフレッシュそうですね。

岡田 ちゃんと写真撮ってましたよね?(山本へ)

山本 撮りました。ちゃんと「写真集を撮る日」がありました。(会場:ほー)

―木村さんは?

木村 “美少女絵巻”。そのまんま、すっきりしたタイトルだなと思ってそれだけ。

―“もぎたてエンジェル”ではないと?

木村 それは絶対違うだろうなと。なんかもう男性目線すぎるって。(笑)

岡田 なるほど。モロすぎると。(笑)

―それ言われたのに1番出しているってちょっと恥ずかしい?

岡田 いえいえ絶対“もぎたてエンジェル”ですよ。(笑)

―そしてご本人の山本さんは3番。

山本 “漂流記”? 漢字見てなんとなく思い出しました。確か原作もこれだった気がする。

―正解はこちら。3番の“漂流記”~!“もぎたてエンジェル”ではありませんでした。(笑)
山本さん覚えてらっしゃいました?


山本 覚えてました。良かったー!

―岡田さん残念?

岡田 “もぎたてエンジェル”が良かった。(笑)

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(撮影:白石)

―一つ目のミッションは同率、では二つ目のミッションにまいりましょう。
「ミッション2 スカッと解決!究極の悩み事にこたえます~!」(拍手)。
本日ご来場のみなさま、応募の際に「相談したい究極の悩みごと」を書いていただきました。あらかじめスタッフが厳選いたしましたので、これからこのお三方にその悩みごとを解決していただきます。で、3人のうちから「一番スカッとした」という回答を選んでいただきます。そして獲得するのは3ポイント、さっきのクイズは何だったんだということですけれど(笑)、まだ逆転のチャンスがあるということでございます。それでは最初の方●●さん。


質問者1 今保育の勉強をしていて、学校でピアノを弾く機会が多いですが、こどもたちの前だと緊張してしまってよく間違えます。みなさんはどうやって緊張した場面を乗り越えていますか?

―岡田さん スカッと解決してください。

岡田 練習はしてるんですよね?(質問者へ)では自信を持って、子どもたちと遊ぶ気持ちで、完璧を目指そうとしなきゃいいんじゃないですかね?そしてもし何か困ったことがあったら、「ミ」と「ソ」の音で変な顔してください。(爆笑)
やってみますか? ド、レ、ミー(変顔)!(爆笑)
やってみましょうね。懐かしいネタですよ。やってみてください。(笑)

―岡田さんの解決方法でした。続いて木村さん、スカッと解決してください。

木村 たぶん、すごくまじめだから緊張しちゃうんだろうなと思うので、間違えたらニコニコっと笑って「せんせい間違えちゃった~!」って言って、逆に子供たちの憧れの先生になれたらいいんじゃないかな、って思います。

―会場が「はぁー」って。

木村 ごめんなさい、まじめに答えちゃって。

岡田 俺もまじめに、まじめに答えました。(笑)

―山本さんいきましょうか?

山本 どうしましょうか。そうですね、根拠がない自信を持って、間違えても死ぬわけじゃないんで(笑)、「もう、なんとでもなれー」って感じでやっちゃったらいいんじゃないですかね。

―山本さん、実際そういう風にされてるんですか?

山本 はい。本番だけは根拠のない自信を持って挑むようにしています。

―木村さんいかがですか? アドバイスはやっぱり自分にも言える?

木村 どうだろう?(笑) でも、NGを出してしまったときに「あ、やっちゃった!」とズンってなるより「ごめんなさい!もう一回お願いします!」って言ったほうが現場は明るいなと思います。

―岡田さんはどうでしょうか?

岡田 僕は変な顔しますよ(笑) 。まあでも「うまくできなーい」っていうほうが強くなっちゃうと絶対失敗するので・・・僕らでいうと「飲み込まれる」って、「その場所にいられなくなる」ってあるんですけど。だから音をしっかり感じるとか、生徒たちがどういう気持ちでやっているかとか、こうやったら喜んでくれるかなとか、っていうほうを大事にしたほうが。上手く聞かせることより保育園でやることの本質じゃないですか?だから本当のやりたいことを見つけるのが、一番緊張しないことだと思うんですけどね。はい。

―すっごいいい話になりましたねぇ。

岡田 「ミ」と「ソ」ですよ。(爆笑)「ミ」と「ソ」(笑)

―三つの解決方法がありましたけれど、一番スカッと解決してくれたのは誰ですか?

質問者1 岡田さんです。

―岡田さんに3ポイントです!

岡田 「ミ」と「ソ」ですよね?

質問者1 「本質を見て」の。(笑)

岡田 あ、まじめに答えてよかった。

―ありがとうございました。大きな舞台を経験している3人だからこその回答をいただきました。では続いての方は●●さん。あ、いらしゃる!

質問者2 最近職場に入ってきた方がいるんですけども、ポーカーフェイスな方であまり自分からはお話されません。どうやったら仲良くなれるのか悩んでいます。

―おお、なるほど。ポーカーフェイスの上司とどうやったら、ということですが山本さんからいきましょうか?

山本 無理やりぐいぐい話しかけるよりも、相手のペースに合わせてこっちがずっと笑顔できちんと対応していれば、向こうもきっといつか心を開いてくれるんじゃないかなと思います。はい。

―やっぱり笑顔大事ですか?

山本 笑顔!笑っておけば間違いない気がします。嫌な気持ちになる人はいないんじゃないですかね。誠実に対応していれば。

―こちらから心を開く、と。木村さんいかがでしょうか?

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(撮影:白石)

木村 コーヒー出しながら「顔怖いですよ」って(笑)。

―それ使ってますか?

山本 萌えますね。

岡田 萌えるの?それ。

山本 萌えますね。

岡田 怖くない?「マジすか」って言われそう。

山本 木村さんがすごい可愛いから。(木村 再現)

木村 岡田さんには効かないっぽい。ごめんなさい、ちょっとアドバイス違うかもしれないです。

岡田 いやいやいや。

―それ、あえて直接言っちゃうってことですか?

木村 うん、そうですね、「やっぱり笑顔が」っておっしゃってましたけど、可愛く「顔怖い」って言われたら「そうかな?」ってなるんじゃないかなっていう。

岡田 確かにね。「そうだったか」ってね(木村へ)?

―岡田さんにはあまり効いてなかった?

岡田 いやいやいや効いてますよ。

木村 岡田さんにはもう絶対やんない。(笑)

岡田 もう一回だけ、もう一回だけ!もっかいだけお願いします!(笑)

―さあ、では岡田さんスカッと解決してください。

岡田 ええー。なんだろなぁ? マジメに? まじめパターンがいいですか?

質問者2 まじめに。

岡田 まじめパターン…。興味もっているっていう理解者になったほうがいいですよね。この人ここがすごいんだなってことをわかって、それを伝えるとか。そういうのをやっていくと、理解されているから教えたくもなるし、会話もしてくれるし。それが一番いいと思います。いいかなぁ、なんか。はい。(笑)
まじめすぎましたか?

質問者2 参考になりました。ありがとうございました。

岡田 ちょっといいところ褒めるとか、興味もつのが一番いいと思いました。

―(声を低めて)もう一個聞いちゃいます?じゃないほう、聞いちゃいます?

質問者2 じゃないほうもお願いします。

岡田 じゃないほう?(笑)なんかあのう、モノマネとかしましょうか?(司会爆笑)

―たとえば?

岡田 年齢聞いて、ね。意地でも(モノマネに)突っ込ませるっていう。 

―ちなみその上司の方おいくつくらいですか?

質問者2 えっとー、よ、四十くらい。

岡田 わかりました。じゃ、中森明菜さんで(笑)。絶対できますから。すごい小さい声でしゃべってください。(笑)

質問者2 小さい声で。

岡田 (ものすごく小さい声でモノマネ。「中森明菜です」しか聞き取れず)場内爆笑。
そのうち突っ込んでくれますから。中森明菜さん? すいません。バカにしてるわけじゃないんです。僕ら世代のネタですから。(小さい声でもう一度モノマネ)すいません、ほんとごめんなさい。

質問者2 頑張って練習してみたいと思います。

岡田 頑張って。

―計四つお答え出ましたけど、一番スカッとした解答出してくださった方は誰でしょうか?

質問者2 岡田さん!(拍手)

岡田 ありがとうございます。独走状態ですね。

―ちなみにどっちでした?

質問者2 モノマネにチャレンジしてみたいと思います。頑張ります。

―いいんですね、頑張らせて。岡田さん?

岡田 はい。内田有紀さんもちょっと試してみてください。

―内田有紀さん?

岡田 なんとなく雰囲気がね(似てる)、元気な。

―内田有紀さんのモノマネってどう?

岡田 どうやりますかねえ? すいません。自分で言って。中森明菜さんをぜひ。

質問者2 テレビで見て研究してみます。

―ありがとうございました。次の方いきましょうか? ●●さんいらっしゃいました。

質問者3 今好きな人がいるんですけど、その人に告白しようと思っています。その人はお笑いが好きなので、ちょっと面白く告白したいなと思っています。何かいいセリフがありますか?

―さあ、ちょっとシンキングタイムが来ています。じゃあ木村さんからいきましょうか?

木村 お笑い見ないんですよね。ほんとにお勧めなのは、これから見ていただくとわかるんですけど“ジャッカル富岡”っていう面白い芸人さんが作中に出てくるんです。それやってほしい。で、わからなかったら「一緒に観に行ってもらえませんか?」って誘えたらいいかなって。(場内 ああ~)ぜひ!

―かなりスカッと度の高い解答をいただきました。それでは山本さん。

山本 私もお笑い全然わかんないんですけど…。真剣な告白に面白要素はいらないと思います。まじめにまっすぐ気持ちをお伝えしたほうがいいと思います。はい。

―なるほど。両極端ですけれども、どちらも真実の解答ですよね。では岡田さん。

岡田 これはですね。ちゃんと本気で伝えますけど、まじめにこたえてほしい?
まじめに告白したほうがいいですよ。それ、いけそうなんですか? 賭け? 手ごたえある?
だったら真面目にいったほうがいいですよ。笑い入れちゃうとごまかしてるのかな、って思われる可能性ありますよね。なんかね、ちょっと茶化すのもね。

―面白く告白したいんですよね?

質問者3 せっかくなら。

岡田 せっかくなら? 「好き~」を変に言うしかないですよね。恥ずかしいからごまかしてるんだなくらいな。(笑)

―というと?

岡田 「私あなたのこと好ぅきぃ~!」(爆笑)好ぅきぃ~!みたいな。(シャッター音響く)
ちょっと、写真がすごいです。すんごいびっくりしたんですけど、シャッターチャンスですか?(爆笑)
それ使われるとちょっと恥ずかしい。(と言いつつまた)好ぅきぃ~!!(笑)
今の、明日使われたら、ちょっとあれだな。いいですけど。
可愛いな、くらいで。「はいどーも!」から始めちゃうと難しいんで「恥ずかしいからごまかしてるんだな」くらいの。「あなた私のこと好ぅきい~?」(爆笑)(記者席に向かって)速いですね、プロは!
言ってみたり、聞いてみたりしたらどうですかね?はい。

―ということで、三つ、いや四つの答えが出ましたけれども、一番スカッとした解答出してくださった方は誰ですか?

質問者3 岡田さん。

岡田 独走です。ありがとうございます。

―独走でしたね。岡田さんということになりました!ありがとうございます!!(鐘が鳴る)
鐘が鳴りましたので、ミッション終了。集計するまでもないと思いますが一応しましょうかね。
ほかにどんなものがあったのかというと「仕事のイライラを家に持ち込まないための、いいストレス発散法はなんですか?」「夏に向けて痩せたいので、最強の筋トレをどうか教えてください」などがあったんですけれど、あります?


岡田 痩せたいんですか?“カルニチン”とればいいです。(笑)L-カルニチンとって何か食べないで走ったほうがいいいです。
(*カルニチンはwikiで調べてみましょう)

木村 こういう話するときだけ、すっごい饒舌なの。

岡田 何でも聞いてください。(笑)食べちゃうと、それが栄養になっちゃう。食べる前に走る、それが一番いいです。

―最近筋肉キャラに。

岡田 (筋肉に向かって)「おい、聞いてんのか? 俺の筋肉」(笑)。シャッターチャンス!(笑)。(再びシャッター音)すごいですね、プロは!「あ、キター」って。(笑)

―今日はいろんな…あ、出ましたね。ではこの2番勝負、結果を発表いたしましょう。このようになりました。
岡田准一さん11ポイント獲得~!(拍手)


岡田 これちょっと卑怯でしたよね。だいぶ2人より長く話しました。

―二つ答えたりしましたしね。ということで見事優勝しました岡田さんにはプレゼントがございます。南勝久先生の直筆のイラスト色紙をプレゼントいたします。大阪から昨日の夜に到着したばかりで、講談社の方が持ってきてくださいました。いかがですか?

岡田 嬉しいです。ありがとうございます。僕バージョンをここに足してくれたら…。あ、これでいいですね。(笑)

木村 岡田さんに見えます。

岡田 見えますか? 似てますかね?(木村 うなずく)嬉しいですね、飾ります。

―さあそして、木村さんと山本さんには罰ゲーム。木村さん、さっきこうやって告白したらいいんじゃない、っていうときなんておっしゃってました?

木村 ジャッカル富岡?

―はい、そうです。映画を観る前に勉強できますよ。ジャッカル富岡のモノマネをやっていただきましょう。

山本 やりたくないなぁ…

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(撮影:白石)

岡田 あのうミサキちゃん、いつきちゃん(山本から「美月!」)美月ちゃんのリズム感知ってますか?(木村 笑う)

―ちょっと僕わからないですー。

山本 ダンスが踊れないんです。

岡田 こういうリズム取るのがしんどいんですよね。

山本 ライブとかで、手拍子ができないんですよ。

―手拍子ができない?

山本 わからなくなるんですよ。みんなの手拍子聞いていると惑わされちゃって。

岡田 行きますよ。(手拍子始める)

山本 え、合わせればいいんですか? 裏? 合わせる?(頑張るが合わない)
できるんですよ、美月ほんとはできるんですけど、ドキドキしてできなくなっちゃうんです。

岡田 合わせなきゃ、とすごいドキドキするらしいんで、これ二人でやるってどうなるのか?

山本 (お手本を)見たい、見たいです。見てから…

―あ、スクリーンにネタとかありますか?(スタッフへ)先にお手本見てからお二人にやっていただくということですね。こちらです。
(スクリーンにジャッカル富岡登場「なんで俺もやねーん!なんで俺もやねーん!」)

岡田 楽しみですね。

―そうですね。何かドラマが生まれそうですね。(笑)

木村&山本二人でフリの練習。「なんで俺もやねーん!なんで俺もやねーん!」(笑)

岡田 大丈夫、(お客様から)可愛いって言われてるから。

―せっかくですから、中央に来ていただいて。(記者席へ)みなさんカメラの準備よろしいですか?ムービーの方もよろしいでしょうか? じゃあお客様に「せーの」と言っていただきましょうか。意気込みを聞きましょう。

木村 頑張ります。

山本 ドキドキしています。

―じゃ、行きますよ。(客席と)せーの!

木村&山本 動きつつ「なんで俺もやねーん!なんで俺もやねーん!」(笑 & 拍手)
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(撮影:白石)

―ありがとうございました!全然違うものでしたけれど。(笑)

岡田 可愛い、可愛い。どっちかというと、こういうキャラクターが。こういうところじゃあんまり言えないけど(笑)。

―そうですね。海のね。(笑)

岡田 近くにいるこういうキャラクターになってましたけど。(笑)

―あっというまですね。このスペシャルトークイベントも時間となりましたので、これから映画をご覧いただきますお客様に、岡田さんからメッセージをお願いいたします。

岡田 はい。ほんとに日本の現代ものアクションをどうやって作っていくのかと、みんなで模索しながらチャレンジをした作品になっていると思います。ぜひその笑いあり、スカッとできるアクションというものを体感していただけたら、嬉しいです。面白かったらたくさんの方に勧めてまた来てください。アクションも速いので、何回でも確認に観てもらえると思いますので、ぜひ楽しんでください。よろしくお願いします。(拍手)

ここからマスコミ向けフォトセッション 
ナナちゃんカチューシャをつけた観客をバックに、3人がタイトルボードを持って並ぶ。
(取材・写真 白石映子、堀木三紀)
 

作品紹介はこちら http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/467099861.html
江口カン監督インタビューはこちら http://cineja-film-report.seesaa.net/article/interview-the-fable.html
堀木の愛あふれるレポはこちら https://ichigoichiei-mhoriki.blogspot.com/2019/06/blog-post_14.html

=取材を終えて=
『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』会見で岡田准一さんを見たのは2006年のこと。居並ぶキャストたち、みなさんまだ20代でした。イケメンたちを前におばちゃんもドキドキしましたっけ(笑)。
その後の活躍ぶりは周知のとおりです。今回13年ぶりの岡田さんはすっかり大人の雰囲気で、お客様に楽しんでいただこうと場を盛り上げているのがよくわかりました。
普通の子どもとは違う育ち方をしてプロの殺し屋となった”ファブル(意味は寓話だそうです)”が笑うのは、ひいきの芸人ジャッカル富岡を見るときだけ。ひたすらボスの命令を守って、大真面目に”普通の生活”を送ろうとする姿が逆に笑いを呼びます。この日はファブルと違ってよく笑っていた岡田さん、いいところできっちりフォローする木村文乃さん、明るくて率直な山本美月さん、3人のチームワークもよく、来場したお客様はみな楽しんで帰宅したはずです。劇場公開も待ち遠しいですね。(白石映子)

『ザ・ファブル』は司会者が説明していたように、コメディ要素たっぷりの作品。しかもファブルかストイックであればあるほど笑ってしまいます。今回のトークでも岡田准一さんの真面目な対応ぶりが笑いを誘います。
一方、ファブルの相棒ヨウコを演じた木村文乃さんは作品のはっちゃけぶりから一変、控えめな感じ。特に来場者からの質問のときには、質問者に寄り添い、なおかつ登壇者として求められている役目を果たさねばという気持ちが伝わってきました。木村さんの役作りについて、江口カン監督がインタビューで驚いていましたが、こちらが素の木村さんなのでしょう。
そして山本美月さん。作中ではアルバイトを掛け持ちして、借金を返そうと奮闘する、バイタリティあふれる役どころでしたが、舞台に立った姿が繊細な感じで驚きました。
3人がトライしたミッションは岡田さんの勝ちでしたが、罰ゲームをする岡田さんも見てみたかった。ファブルのように真面目な顔しながら、「なんで俺もやねん」と腰を振って踊った姿を想像してしまいました。初日舞台挨拶ではぜひ!(堀木三紀)

『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』公開直前イベント

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戦争で傷つくのは普通の人たち
何があっても殺し合いはいけない


サンタクロースやムーミンで知られるフィンランドは世界幸福度ランキングで2 年連続世界一となった国。充実した福祉国家のイメージがあるだろう。しかしフィンランドには知られざる歴史がある。1939年からソ連と戦った「冬戦争」が翌年に終結。その代償としてカレリア地方を含む広大な国土をソ連に占領された。国土回復を掲げ、1941年にドイツと手を組み、再びソ連との戦争を開始。これを「継続戦争」と呼ぶ。
6 月22日に公開される『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』はその継続戦争に従軍したヴァイノ・リンナが書いた古典小説「無名戦士」を原作とし、フィンランド兵士が必死に戦う、壮絶な姿を描く。従来のイメージ180度覆す、苛烈な戦闘シーンの連続にもかかわらず、フィンランドでは全国民の5人に1人が観るという空前の大ヒットとなった。
待望の日本公開を前に、トークイベントを実施。ゲストに迎えられたフリー・アナウンサーの安東弘樹はミリタリー・マニアとして知られ、安東らしい観点で作品について語った。

<公開直前イベント 開催概要>
日時:6月11日 (火)18:10~18:25
場所:神楽座 (千代田区富士見2-13-12 KADOKAWA 富士見ビル1F)
登壇ゲスト:安東弘樹 (フリー・アナウンサー)

『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』

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継続戦争に参加した一機関銃中隊に配属された熟練兵ロッカ(エーロ・アホ)は家族と農業を営んでいたが、冬戦争でその土地がソ連に奪われたため、領土を取り戻し元の畑を耕したいと願っている。カリルオト(ヨハンネス・ホロパイネン)は婚約者をヘルシンキに残して最前線で戦い、途中でヘルシンキに戻って式を挙げ、すぐに戦場へとんぼ返りする。ヒエタネン(アク・ヒルヴィニエミ)は戦場でも純粋な心を失わず、コスケラ(ジュシ・ヴァタネン)は最後まで中隊を指揮する。この4名の兵士を軸に進んでいく。

原題:Unknown Soldier (英語) Tuntematon Sotilas (フィンランド語)
監督・脚本:アク・ロウヒミエス
撮影:ミカ・オラスマー
出演:エーロ・アホ、ヨハンネス・ホロパイネン、ジュシ・ヴァタネン、アク・ヒルヴィニエミ、ハンネス・スオミほか
2017 年/フィンランド/フィンランド語/カラー/132 分/PG-12
配給:彩プロ
© ELOKUVAOSAKEYHTIÖSUOMI 2017
公式サイト:http://unknown-soldier.ayapro.ne.jp/
2019年6月22日(土)より新宿武蔵野館にて全国順次ロードショー

武器も歴史も知れば知るほど、平和のありがたさをより感じる

魂を揺さぶられるような映画のトークショーに呼んでいただきありがとうございます。
ミニタリーマニアと紹介していただきましたが、僕は海外で実弾を撃つことがあります。しかし、撃つたびに「これは人間に向けて撃ってはいけないな」と実感します。また、武器についての興味から第二次世界大戦前後のことをいろいろ調べていますが、武器のことも、歴史のことも知れば知るほど、平和のありがたさをより感じています。
そんなわけで第二次世界大戦について詳しいと思っていたのですが、フィンランドが建国102年のまだ新しい国で、冬の戦争、継続戦争を通して、ソ連とこれほどまでに激戦を経て、今のフィンランドがあるということを知りませんでした。
フィンランドは幸福度ランキング1位で、学生の学力は1位、2位を争っている。みんなが幸せで、素晴らしい福祉国家としてうまくいっているのはなぜなんだろう。そんなことを漠然に思っていましたが、多くの血を流した歴史があった上で今のフィンランドがあると、この作品を見てわかりました。
この作品、実は今回のトークイベントのお話をいただく前から興味を持っていました。YouTubeなどの動画投稿サイトでいろいろな戦争映画をネットサーフィンしながら見ていく中で、この作品の予告編に出会ったのです。ただ、言語が日本語でも英語でもドイツ語でもなく、フィンランド語。また、フィンランドの戦争映画は初めてだったので、いろいろと調べているときにオファ―をいただき、びっくりしました。

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フィンランドが使っていた武器の見地からも切なさが伝わってくる

みなさんより先にDVDで作品を見ましたが、武器については基本的に海外のものを改良して使っていたようです。ドラム式の機関銃で、丸い弾倉に70発入っているものが出てきますが、現在は70発入っている弾倉のついた自動操縦はほぼありません。ソ連も含めて、当時はこういったものを使っていたということが作品からわかります。
(ポスタービジュアルを指して)これは機関銃の銃座。三脚架といって、この上に機関銃を載せます。機関銃は19世紀に作られていた水冷式機関銃。これは銃身が熱くなるのを水で冷やして撃つタイプですが、フィンランドではまだ使われていたのです。ソ連のT34と呼ばれる、当時の最新式戦車にこういった武器で立ち向かっていく。国土を守るため、そして取り返すためとはいえ、本当に大変だったでしょう。当時はドイツやアメリカが装備では世界一でしたが、強国に対してそういったもので戦っていたという武器の見地からも切なさが感じられました。

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戦争で傷つくのは一兵卒や国にいる女性や子ども

“英雄なき戦場”と書かれているように、大きな山があるわけではありません。実際に従軍した原作者はどういった戦闘があったのか、どういった戦争だったのかを淡々とありのままに書いています。もちろん映画では一人一人の人間のドラマも描いていますが、ハリウッド映画的なものを期待するとがっかりするかもしれません。しかし、“私たちにはこういうことがあったのです”というメッセージを感じ、僕の胸に刺さりました。改めて、戦争は人類で最も愚行なことだと思いましたね。
また、現代社会や組織の縮図も描かれています。現場を知らない、後ろの方で偉そうなことを吠えている人に限って、実際には使いものにならない。そんなダメな指揮官、上司にあたると悲惨なことになる。本当に部下を思い、戦略を立てている人が犠牲になり、意識が自分の上官、上司にへつらっている人がむしろ偉くなっていくのは古今東西同じ。そういった経験は誰にでもあると思いますが、この作品は命の懸かった戦争でダメな上官にあたると、どんなに悲惨かを描いています。戦争で傷つくのはまさに、ここに出てくるような一兵卒や国にいる女性や子どもです。何があっても殺し合いはいけない。戦争はただひたすら人間が傷ついて、醜くなっていく。議席にしがみついている、どこかの議員さんにも見てもらいたいと思うほど、戦争はダメなのです。それを受け取っていただければうれしいです。

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ストーリー、登場人物の相関関係の事前チェックがおススメ

フィンランドの方の名前に馴染みがない方は、ご覧になる前にパンフレット等を読んで、分かる範囲でストーリー、登場人物の相関関係を理解しておいた方がいいと思います。北欧の方は基本的に彫が深くてイケメンが多い。誰が誰だったか、分からなくなる可能性があるのです。事前にチェックしておくとすっと物語に入れるかもしれません。
こういう映画こそ、できるだけ多くの方に見ていただきたい。一見地味そうに見えますが、自分の人生に同じような思いをしたことが何かきっとあったはず。人生と照らし合わせることで、1人1人の心に何か残るでしょう。僕は本当に見てよかったなと思います。
(取材・構成・写真:堀木三紀)

『ザ・ファブル』江口カン監督インタビュー

アクションシーンにワイヤーは使わず
人間がギリギリできるラインにリアリティを設定した


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裏社会で「ファブル」の名で恐れられる天才的な殺し屋が1年間休業し、大阪で一般人として、普通の生活を送る。この普通でないミッションを殺し屋が真面目に挑む様子をコミカルに描いた南勝久の人気コミック「ザ・ファブル」(講談社「ヤングマガジン」連載)が実写化された。
主人公ファブルを演じるのは岡田准一。複数の格闘技でインストラクター資格を持つ岡田にはぴったりの役どころである。相棒のヨウコに木村文乃、ボスを佐藤浩市が演じるほか、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、佐藤二朗、安田顕、藤森慎吾、宮川大輔といった豪華キャストが脇を支える。
本作のメガホンをとったのは江口カン監督。カンヌ国際広告祭では金賞と2度の銅賞受賞を成し遂げた稀代の映像ディレクターで、劇場映画作品は『ガチ星』『めんたいぴりり』に続き、3作目となる。
公開を前に、江口カン監督に作品への思いや出演者についてのエピソードなどを聞いた。

<プロフィール>
江口カン
福岡出身、KOO-KI所属。
ドラクエ(出演:のん、北大路欣也)、スニッカーズなど多数のCMを演出。
Webムービーでは、「Baseball Party」(トヨタ)や「COME ON! 関門!」(北九州市・下関市)などのヒット作品を手掛け、国内外にて異例の視聴数を獲得。
07-09年、カンヌ国際広告祭で三年連続受賞。
13年、東京2020五輪招致PR映像「Tomorrow begins」のクリエイティブディレクションを務める。
ドラマ「めんたいぴりり」が日本民間放送連盟賞・優秀賞(二年連続)、ギャラクシー賞などを受賞。
劇場映画作品は、デビュー作「ガチ星」(2018)が「映画芸術」誌ベスト10にランクイン、その後「めんたいぴりり」(2019)、「ザ・ファブル」(2019)と続いている。


『ザ・ファブル』

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出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、木村了、井之脇海、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、宮川大輔、佐藤二朗、光石研、安田顕、佐藤浩市
監督:江口カン
原作:南勝久「ザ・ファブル」(講談社「ヤングマガジン」連載)
脚本:渡辺雄介
撮影:田中一成
美術:小泉博康
照明:三重野聖一郎
音楽:グランドファンク
主題歌:レディー・ガガ「ボーン・ディス・ウェイ」(ユニバーサル ミュージック)
配給:松竹
©2019「ザ・ファブル」製作委員会
公式サイト:http://the-fable-movie.jp/
2019年6月21日(金)全国公開


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―本作の監督をオファーされたときのお気持ちをお聞かせください。

まず、「うれしい」のひとことですね。自分の中のモチベーションが上がりました。
オファーを受けたときに感じたことと、今、改めて思うことは違うかもしれませんが、僕は一人一人のキャラクターを大事にやりたいと思っています。その結果、尺がなかなか縮まらないのですが(笑)。
今回は殺し屋たちの話ですから、各キャラクターを際立たせた上で、動きのある作品にする。僕がこの映画を撮る意味はそこにあると思いました。

―原作はご存知でしたか。

最初に呼ばれたときは、まだタイトルは伏せられていました。“最近人気のある殺し屋のマンガ”とだけいわれて、「そういうマンガ、知っている?」と何人もの人に聞いたら、みんなが口を揃えて「ザ・ファブルじゃないか」と。

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―原作を読んでどう思いましたか。

面白かったですね。読んで、ますますモチベーションが上がりました。

―コミック原作の映画は初めてですね。映画化する上でこだわったことはありましたか。

マンガはマンガ家が長い時間をかけて描いた結果です。それをお借りするわけですから、作品の魅力のコアな部分を外さないようにしたい。
「ザ・ファブル」の場合、妙な間というか、テンポの悪さも面白さの1つ。しかし、これを映画でそのままやってしまうとダレる。マンガは読む人それぞれの好きなペース、リズムで頭の中に入っていきますが、映画は進行するスピードという時間軸をこちらで作るので、そういうわけにはいかないのです。原作にある間も作りながら、飽きさせないように工夫して作りました。

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―作品冒頭のアクションシーンのアキラの意識を白い線で表現する演出は面白いですね。人が殺されるシーンですが、不謹慎にも笑ってしまいました。

普通の殺戮のシーンにグラフィックを載せようというのは、プロデューサーのアイディアでした。僕もせっかく作るならちょっと他では見たことがない、面白いものにしたいと思ったので、過去にCMで一緒に仕事をしたチームにお願いしました。
アキラはただの殺し屋ではなく、天才的な殺し屋です。彼にはものがどう見えているか、何をどう感じながら、どう判断して殺しているかを図式化しています。作ってくれた人のセンスが素晴らしかったですね。

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―監督から見た岡田准一さんはどんな俳優でしたか。

格闘家であることはみなさんご存知ですが、ものすごくクレバーな人です。何を考えているのか、読めないときがありました。向こうはあえて意識してやっているのではないかと思いますが、一体何を考えているのだろうと思わせる。格闘技は間合いが大切ですが、それに通じるものがあるのかもしれません。

―現場では寡黙だったということでしょうか。

よく喋る方ではありませんが、では、まったく喋らないかといえば、そうでもない。人間としてはいい意味で、きわめて普通な人です。
誤解を覚悟で言うならば、芸能人、芸能人していない。一般の人の感覚を持っている人です。

―クールでありながら、コミカルな面もあるアキラの役作りについて、岡田さんと事前に何か話をされたのでしょうか。

岡田さんはそういう方ですから、原作を読んでいるでしょうし、脚本を読んで、自分の中でかなりアキラができていたのではないかと思います。殊更に膝を付き合わせて、キャラを詰めていくことはしませんでしたが、普通のそこら辺の兄ちゃんに見えるようにという話はしましたね。

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―格闘シーンで岡田さんからの提案はありましたか。

アクションに関しては本当にいろいろ話をしました。いっぱい話し過ぎて、細かいことは覚えていないのですが、リアリティについてはよく話をしました。いわゆるカンフー映画のように、ワイヤーアクションで人間が吹っ飛んでいくことはしない。あくまでも人間ができる範囲にする。オリンピック選手くらいの身体能力を持つ人がやればギリギリできるラインにリアリティを設定しようと話しました。
岡田さんは「アクションは一生懸命やればやるほどいいというわけではない」と言っていました。エネルギーを使って、長いアクションシーンを一生懸命やったとしても、結果的にダレてつまらなくなるということがよくあるという意味です。

―ごみ処理場に潜入する際、アキラは壁に両手を広げて、スパイダーマンのようにさささっと上っていきましたが、あれも岡田さんがやっているのでしょうか。

岡田さん本人がやっています。バックショットで顔が見えないんですけれどね(笑)。まるで早送りをしているかのようなスピードですが、勢いをつけないと上れませんから。そういう熱量が岡田さんからは出ていました。

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―撮影していて怖かったアクションシーンはありましたか。

どこもそうですが、桟橋がいちばん怖かったですね。桟橋の縁から小島が椅子ごと落下するのですが、その小島をアキラがすさまじい速さで駆け出して思い切ってダイブして空中でキャッチ。桟橋の手すりを掴んだまま、空中ブランコの要領でスイングして、階下にある窓ガラスをぶち破って安全地帯に逃げ込むのですが、スタッフもピリピリしていました。落ちたときの安全のためにセイフティーというワイヤーはつけていますが、ワイヤーを引っ張ってジャンプをさせているわけではありません。あくまで岡田さん本人が自分の足で走り込んでいっていますし、椅子に座っていたのも柳楽さんです。緊張感がありました。ケガなく終えてよかったです。

―アキラの相棒、ヨウコ役の木村文乃さんですが、豪快なキュートさに同性ながら心惹かれました。現場での木村さんのエピソードがあったら教えてください。

木村さんは自分から積極的にマンガのキャラクターの造形に近づけてくれました。僕としては、見た目がめちゃくちゃ離れていなければ、それぞれの役者さんにフィットした感じでやればいいかなと思っていたのですが、衣装合わせのとき、カーテンをパッと開けて出てきた姿があまりに似ていたので、「おお!」と声を上げてしまいました。ホクロもこだわってつけてくれていましたね。
この作品は女性が2人しか出てこないので、ヨウコのキュートさが救い。作品の大切な要素です。あの、やや大袈裟目なキャッキャとした感じはこれまでの木村さんの演技のトーンにはないパターンだと思いますが、意識してやってくれていました。

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―唯一、普通の感覚を持つミサキ役の山本美月さんの純真さに心が和みました。山本さんについても、エピソードがあったら教えてください。

山本さんは現場でももちろん素晴らしいお芝居なのですが、編集して通して観たとき、現場以上に魅力的なミサキというキャラクターが出来上がっていたのです。本人は百も承知でやっているのでしょうけれど、僕にとっては初めての経験で驚きました。しかも、それが極めてナチュラルなキャラ。ヨウコとミサキでメリハリができたのはよかったです。

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―ボスを演じたのは佐藤浩市さんです。出番は少なかったものの、にじみ出る存在感がありました。監督から見た佐藤浩市さんの印象はいかがでしょうか。

浩市さんとは初めて一緒に仕事をしました。以前から「浩市さんが出ると画が持つ」と聞いていましたが、本当に、そこにいるだけで文鎮のように重みが出るのです。
一方で、ボスというキャラクターをどういうトーンにするか、かなり細かいところまで、浩市さんは頻繁に相談してくれたのです。喋るスピードから表情の1つ1つまで、微に入り細に入り、一緒に考えていきました。大先輩ですが、同じ目線で一緒に作ってくださる。驚きと喜びを感じましたね。

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―作品からアキラに対するボスの愛情を感じました。

原作はまだ連載が続いていて、ボスがアキラに対してどう思っているかがはっきりしていません。そのため、映画には映画としての解釈が入っています。そこもこの映画の面白みかもしれませんね。
ボスとアキラ、海老原と小島。どちらも行き過ぎた子どもを親としてどう扱うかを描いています。この関係性は対になっていて、まるで合わせ鏡のよう。脚本がこの構造に辿り着いたことで、より面白くなったと思います。

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―監督にとって、この作品を見た人からもらう、最もうれしいホメ言葉を教えてください。

心の底から面白かったと言われること。ただそれだけです。

―これからこの作品をご覧になる方にひとことお願いいたします。

映画の醍醐味として、アクションがカッコいい、笑える、最後にグッとくるといったことがあります。いろいろ込めたものもあるのですが、これらの醍醐味を追求したいと思ったので、頭を空っぽにして見てください。
また、アクション映画はカッコいいだけのものも多いのですが、カッコいいだけでなく、笑えるところもあった方がよりカッコいいのではないかと思っています。ぜひ、笑いながらアクションを堪能してください。

(取材・撮影:堀木三紀)