共演者はみな「普通じゃない」と称賛
裏社会で「ファブル」の名で恐れられる天才的な殺し屋が1年間休業し、大阪で一般人として、普通の生活を送る。この普通でないミッションを殺し屋が真面目に挑む様子をコミカルに描いた南勝久の人気コミック「ザ・ファブル」(講談社「ヤングマガジン」連載)が実写化された。6月22日(土)には東京・丸の内で公開記念舞台挨拶を開催。主演の岡田准一をはじめとする豪華キャスト・監督が集結し、クロストークを披露した。
『ザ・ファブル』公開記念舞台挨拶
【日程】6月22日(金)
【場所】丸の内ピカデリー1
【登壇】岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、安田顕、佐藤浩市、宮川大輔、江口カン監督
ボスのイメージが壊れる? 佐藤浩市の意外な告白
MCの呼び込みと同時に、客席後方の下手扉が開き、岡田准一を先頭にキャストたちが客席通路を通って登壇した。それに続いて下手前方扉より佐藤浩市と監督が舞台に。舞台両脇から金銀色テープの特効が発射された。
ここで司会が佐藤浩市に、なぜ、他のキャストと一緒に下手後方の扉から入ってこなかったのかを尋ねると、「舞台の後ろから登壇するのが流行り始めた頃に、品の良さそうなご婦人が手を差し伸べてきたので、『ありがとうございます』と手を出したら、『あんたじゃない!!』と。それ以来、後ろから登壇するのがトラウマになってしまいまして。すみません、ボスのイメージを壊しているかもしれません」と別行動を取った理由を説明した。岡田はそれに対して「そういうのってありますよねぇ」と同意するコメントを。もしかすると同じような経験があるのかもしれない。続いて、登壇者がひとことずつ挨拶した。
(撮影:堀木)
「共演者と会うのは初めて!」と宮川大輔
MC:伝説の殺し屋ファブルを演じられました岡田准一さん、お願いします。
岡田:みなさん、お忙しい中、お越しいただきましてありがとうございます。雨の中ですが、スカッとできるエンターテインメントに仕上がっていると思います。(福士蒼汰を応援するグッズを持つファンを見つけて)あっ蒼汰くんが好きですか。僕も好きですよ。そんな素敵な共演者のみなさんとこうやって一堂に集まれて、仕事ができたのがうれしかったです。面白いと思われた方はまた勧めてください。ありがとうございます。
MC:ファブルの相棒、佐藤ヨウコを演じられました木村文乃さん、お願いします。
木村:今日は雨の中、ファブルを選んでいただいて、本当にありがとうございます。2階も上までしっかり見えます。今日は短い時間ですけれど、楽しんでいってください。よろしくお願いします。
MC:素直で優しいアキラのバイト仲間、清水ミサキを演じられました山本美月さん、お願いします。
山本:みなさん、こんにちは。今日はお足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。ミサキを演じさせていただきました山本美月です。みなさんがあの変顔を見たのかと思うとすごく恥ずかしい気持ちでいっぱいです。梅雨のじめじめを吹き飛ばすような素晴らしい作品になっていますので、おもしろかったら、周りに勧めていただけたら、うれしいなと思います。今日はよろしくお願いいたします。
MC:渋谷系ゆとり世代の殺し屋でファブルに憧れ、執拗に狙うフードを演じた福士蒼汰さん、お願いいたします。
福士:フードを演じました福士蒼汰です。本当に素晴らしいキャストの中で、素晴らしい作品ができたなと思っています。たくさんの人に見てもらえたらうれしいです。本日は短い時間ですが、よろしくお願いします。
MC:出所早々暴れまわる、アドレナリン全開、デンジャラスメーカー小島を演じました柳楽優弥さん、お願いいたします。
柳楽:みなさん、本日はありがとうございます。柳楽優弥です。岡田さん主演のアクション映画に参加させていただいて、最高でした。ありがとうございました。
MC:小島と同じ裏社会のメンバーで、小島と敵対するインテリ砂川を演じられました向井理さん、お願いいたします。
向井:砂川役の向井です。本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。とても激しい笑いがあり、いろんなアクションもあり、大変な現場ではありましたが、その中でも座長である岡田さんを筆頭に、いろいろ現場を引っ張ってもらい、実は楽しく和気あいあいとした現場でした。とてもいい経験ができたと思っています。短い時間ですが、最後まで楽しんでいってください。ありがとうございます。
MC:休業中のファブルを預かり、砂川、小島らを束ねる、裏社会の会社社長・海老原を演じました安田顕さん、お願いします。
安田:海老原を演じさせていただきました安田顕と申します。撮影は昨年の今ごろ始まりました。本当にじめじめした空気の中、みなさんが汗をかきながら撮影したものが1年経って、またじめじめとした季節の中で公開になりました。内容的にスカッとしていますので、ぜひお友だち、お知り合いに紹介していただいて、この映画を広めていただけたら幸いです。本日はよろしくお願いいたします。
MC:ファブルたちの育ての親、ボスを演じました佐藤浩市さん、お願いいたします。
佐藤:楽しんでいただけましたでしょうか。この映画はみなさんの声が支えてくれると思いますので、よろしくお願いいたします。本当に今日はありがとうございます。
MC:ファブルを唯一、爆笑させることができるお笑いのジャッカル富岡を演じました宮川大輔さん、お願いします。
宮川:ジャッカル富岡をやらせていただきました宮川大輔です。今日はありがとうございます。このみなさんとお会いするのは今日が初めて。何のエピソードも僕は持っていないので、怖くて仕方ないです。ちょっと短い間ですけれど、よろしくお願いいたします。楽しんで帰ってください。
MC:本作のメガホンを取られました、江口カン監督、よろしくお願いいたします。
江口:今日はお越しいただきありがとうございました。みなさんと一緒に作ってきた、この作品がやっとお披露目できて、最高に幸せです。よろしくお願いいたします。
(撮影:堀木)
関西人なのに標準語の方が仕事しやすい?
明かされる岡田准一の意外な一面
本作ではファブルがプロの普通を目指すのだが、強烈な個性を放つ登場人物達に翻弄される。そこで、 “今だから言える、普通じゃないと思った共演者、もしくは撮影現場のエピソード”を語り合った。
岡田:まず、柳楽君は普通じゃない。今回の役、良かったですよね。
あと、浩市さんは現場で素敵なんですよ。僕のことを准一と呼んでくれる大先輩で、いつも僕のことを気にかけてくださるのか、現場に入ると、「准一、大変そうだな。がんばれよ」と言ってくださり、今日もパーテーションのところで声を掛けていただいて、「准一、人、入っているみたいだな。よかったな」と。すごくカッコいいんですよね。大先輩になってそれができるのって、普通じゃないですよ。
佐藤:その昔、彼がまだ10代のときに親子役でちょこっとだけご一緒して、それから見て、この隔世の感というかね? こうして今、全部を引っ張っていくというのを見るとうれしくなりますね。がんばれよ、准一!
岡田:父上、ありがとうございます。
MC:木村さん何かありますか。
木村:岡田さんは関西弁だと調子でない。
岡田:めっちゃ出ますけれどね。
木村:関西の方なのに、「関西弁しゃべってください」と宣伝のときにいわれると、いつものお茶目さんが出てこなくなってしまうなと私は思っていて。「あれ、関西の方なのに標準語の方がやりやすいんだなぁ」と。
岡田:いやいやいや、それ、絶対に言っちゃあいけないヤツですよ。いやいやいや、関西弁もうまく使っていきたいですよね。
MC:うまく使っていきたいって、その距離感がおかしいですよね?
岡田:いやいやいや、ホンマ。関西弁なのか、微妙なとこ、ありますよね。
岡田准一が「6年後に格闘技の達人を目指す」と宣言!
MC:山本さん、何かエピソードありますか。
山本:柳楽さん。普通じゃないというか、役がすごく激しいのですが、カットがかかった瞬間、めちゃくちゃ優しいんですよ。その切り替えがすごくて、はっとします。カーディガンを脱がせるところがあるのですが、脱がせた後、すごく優しいですよね。
(撮影:白石)
岡田:すごい、エロいコメントしたね。そこだけテレビに使われたらやばいよ。
山本:ちょっとテレ混じりなところがすごくお優しいなと思って。気を遣ってくださっているというか。
岡田:僕も耳にナイフを突きつけられたときに、舐め回すようにやった後に「大丈夫ですか。大丈夫ですか。当たってないですか」とすごく優しかったですね。
柳楽:よかった。
岡田:(柳楽を見て)押忍!
MC:福士さんは?
福士:やっぱり准一さんですかね。あんなに壁をスムーズに登る人はいないですし、やること、考えること全て普通じゃないことが多い。お酒を飲んでいるときも、あまりテンションが上がらないのです。ずっと武士みたいに日本酒を飲んでいる姿を見ていて、「ほんとに普通じゃないな」と普段から思っていました。
(撮影:白石)
MC:はしゃがない?
福士:僕は見たことがないですね。
岡田;辛口一献。
(一瞬の間があり)何を言っているんだろう。すみません、大失敗です。
福士:すみません、滑らせてしまって。
岡田:何か言わなきゃと思ったら、大滑りしました。静かに飲むタイプですね。
MC:福士さんから見て、考え方もちょっと普通じゃないと思ったのですね。
福士:僕もジークンドーやカリといった同じ武術をやっていますが、きつすぎて、気持ち的にも難しい。それをずっと続けて師範の免許も取って。そういうところも異常性が出ているのかなと思いますね。並大抵ではできません。
岡田:6年後、達人を目指していますんで。
またちょっと滑りましたね。
MC:柳楽さんは?
柳楽:15m上から飛び降りるところがあったのです。スタントさんを使わずに、准一さんが縛られている僕を助けるシーンで、准一さんがやるので、僕がスタントさんに頼んだらダメじゃないですか。僕もいなきゃいけないなって。准一さんがやらないでくれたら、僕もやらないで済むのに、と。ほんと、怖くって。そこがビビりました。
岡田:僕もできればやってもらいたかった。当たり前のように上げられて。二人で落ちたよね?
柳楽:すごいところまで上げられて、スタッフさんが「准一さん、ごめんなさい」と言って、足場を取って。。。。もう、やりたくないです。
MC:監督から見て、それはスタントの方を入れてもいい感じだったのですか。
江口:いやいやいや、そこは本物をねぇ。
MC:向井さんはどうですか。
向井:ヤスケンさんはベテランで、経験値も豊富ですが、クランクアップの日は朝からずっとそわそわしているのです。クランクアップをいっぱい迎えてきた人でもまだこんなに、子どものようにそわそわするというのは普通じゃないなと思いました。
安田:慣れたことがないですね、こういう現場に。本当にいつも緊張します。毎日毎日精一杯でございます。
MC:そんな安田さんが、これは普通じゃないぞと思ったのは?
安田:普通じゃないって言えば、みんな普通じゃないですし、普通といえば普通なのですが、やっぱり岡田准ちゃんですかね。この映画の宣伝でバラエティーに一緒に出たときに、岡田さんは無の状態になりながら、フラフープができるっていうのですけど、1つもできないのです。ただただ、ボディビルのようにポージングを取りながら、回っているだけ。あれを見たときに普通じゃないなと思いました。
アクションができて、笑いが取れる方ってそうそういないから、まさにファブルって岡田さんじゃないとできないと思うし、ゆくゆくはジャッキーチェンのリメイクとかやってほしいですね。
岡田:誰も拍手が起こらない。(ここで拍手が起きた)
MC:佐藤浩市さんは「普通じゃないな」と思った人はいますか。
佐藤:若い頃の現場なんていうのは普通じゃないし。でも、やっぱりみんな、仕事も普通じゃなくなるのですよね。キャメラの前に立ったりすると、そこで普通じゃなくなっているし。今回みたいに座長がMr.ストイックだと周りの連中が大変迷惑。そういうアクションの絡みがなくてよかった。
(撮影:堀木)
MC:福士さんから見ても、Mr.ストイックでしたか。
福士:はい。でも僕はそれに燃えるタイプなので、絶対についていこうって。火をくれる感じですかね。僕がしゃべると滑るので、完結した方がいいですよね。終わりです。
MC:監督が見て、これは普通じゃないだろうってありましたか。
江口:みなさん、普通じゃない中でやらせていただいて、僕は逆に浮いていたのですが、山本美月さんの変顔のシーンで、ここまでやってくださいという指示を出すために顔を触ったのですが、小っちゃさが半端なくて、顔の骨格の小ささがすごかったです。
山本:そこですか。そこかぁ。生まれたときからこんな感じなので。
岡田:多分、みなさん、比べるものが分からないと思うんですよ。テレビとかこの距離だと。スーパーに行って、豆腐を買ってください。あのくらいの大きさです。豆腐一丁くらいです。
山本:もう少しいいものにしてほしいですけど
MC:監督でもびっくりしたのですね。
そして、宮川さん。誰とも絡んでいない。しかも撮影がみなさんの撮影が終わった後、なんですよね?
宮川:そうなんですよ。みなさんが終わった後に僕が撮ったので、正直、スタッフさんも監督も終わった感が強い。だら~っとしているんですよ。そんな中でグリーンバックの前でギャグをやらされるわけですよ。で、決めるじゃないですか、そうすると5秒くらいは欲しがるのですが、シーンとしているんですよ。芸人としては、そこは受けてほしい。声が入るかもしれませんが、後から消せばいいじゃないですか。シーンとしている中、俺、ずーっと(ポーズを取って)こうしてるわけですよ。そうしたら、監督がそばに来て、「面白かったですよ」って。嘘つけ!って感じ。笑ってくださいみたいな。ほんと、1人でやっているのは地獄でしたね。これは岡田さんが実際に見るのかなと思っていたら、もう撮影は終わっていたからモチベーションもよくわからなくて。ずっと地獄でしたね。
MC:岡田さん、まったく見ないで爆笑していたってことですね。
岡田:そうです、そうです。モデル映像すらなく。用意、スタート、わっはっはということでしたね。
MC:そう考えるとすごいことですね。何にもないのに想像して爆笑するという。
岡田:振り付けはこうやりますと振り付けだけ教えられて、僕はやっていました。
MC:できあがったのをご覧になっていかがでしたか。
岡田:本当に大輔さんがやってくれてよかった。
宮川:マジで? めっちゃうれしいです。ありがとう!
(撮影:堀木)
「岡田ファブル」を原作者も絶賛
トークの後は、公開を祝して原作者の南勝久先生よりお祝いのメッセージが到着。司会が代読した。
この度は江口監督を始め、演者のみなさん、関係者のみなさん、お疲れ様でした。無事に公開となり、僕自身も楽しみにしております。この原作は元々実写化を想定して考えたところもあり、一つの目標に達することができたことに深く感謝しております。よくある殺し屋というテーマに挑戦しましたが、この物語は恐らく今までになかった殺し屋エンターテインメントになっていると思います。それではラストまで笑ってハラハラと楽しんでいただけたらと思います。岡田准一ファブルをとくとご覧あれ。南勝久
“岡田准一ファブル”を絶賛するコメントに、岡田も「原作の先生が喜んでくださっていてすごくうれしい」と笑顔を見せた。
続いて、本作とゆかりのある贈り物として巨大ないちごのショートケーキが壇上に運ばれてきた。劇中でファブルが一番好きな芸人・ジャッカル富岡が、「ショートケーキにいちごを乗っせ~る~♪」から始まるギャグを披露するくだりがあるのだ。
今回はジャッカル富岡役の宮川が特別に用意された特大イチゴをのせながら、最後は決めのフレーズ「何で俺もやね~ん」をキレキレの動きで披露した。さらに、岡田の無茶ぶりで「カレーライスにらっきょを乗っせ~る~♪」ともう1パターンも披露。登壇者や会場が大爆笑となった。
(写真:オフィシャル提供)
最後に岡田からこれから映画を観るファンにメッセージが贈られた。
今日は本当にありがとうございます。雨の中来ていただきまして。本当に笑って、スカッとできる、誰もがすっきりできる映画になると思っております。ぜひ、また、何度でも見に来ていただいて、アクションの検証とか、どういうことやっているなとか含めまた見に来てください。ありがとうございます。
ここで登壇者はいったん退場。客席をバックでフォトセッションとなった。岡田の「ザ!」の掛け声に会場全体が「ファブル―!」と答える形でコール&レスポンスが行われ、顔の前に親指をかざすジャッカル富岡の“ジャッカル”ポーズをとりながら記念撮影。大盛況のうちに舞台挨拶が終幕した。
(取材:堀木・白石、文:堀木)
『ザ・ファブル』
<STORY>
どんな相手も6秒以内に殺す――。“ファブル(寓話)”と呼ばれる謎の殺し屋(岡田准一)は、裏社会で誰もが「伝説」と恐れる存在だった。しかし、ちょっと仕事をし過ぎた彼に、ボス(佐藤浩市)はある指令を与える。「一年間、一般人として普通に暮らせ。休業中に誰かを殺したら、俺がお前を殺す」
ファブルは、佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコ(木村文乃)と共に生まれて初めて一般人として街に溶け込む生活を始める。インコを飼ったり、バイトしたり...。殺しを封じ、《普通》を満喫し始めた矢先、ファブルの命を狙う裏社会の組織や、ファブルに助けを求める者たちが次々に現れ、事態は思わぬ方向へ急発進する!【絶対に殺してはいけない】指令のもと、絶体絶命のピンチを切り抜け平和に暮らせるのか―?!
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、木村了、井之脇海、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、宮川大輔、佐藤二朗、光石研 、安田顕 、佐藤浩市
原作:南勝久『ザ・ファブル』(講談社「ヤングマガジン」連載)
監督:江口カン
脚本:渡辺雄介
配給:松竹
©2019「ザ・ファブル」製作委員会
公式サイト:http://the-fable-movie.jp/