*武田梨奈さんプロフィール*
1991年6月15日生まれ、神奈川県出身。2009年、映画『ハイキック・ガール!』のオーディションで主演に抜擢。映画『祖谷物語-おくのひと-』『海すずめ』、ドラマ「ワカコ酒」他多数で主演を演じる。近年は日米印合作の主演映画『Shambhala-シャンバラ-』の公開が控える他、企画から携わった映画『ジャパニーズ スタイル Japanese Style』の製作が決定。空手歴18年。琉球少林流空手道月心会黒帯。
『いざなぎ暮れた。』作品紹介はこちらです。
(C)2018 「いざなぎ暮れた。」製作委員会
公式:https://izanagi-kureta.com/
★2020年3月20日(金)よりテアトル新宿にて公開
―これまでいろいろな武田梨奈さんを観てきましたが、このノリコが一番女の子らしくて可愛い!
女の子の可愛らしさがいっぱい出ていました。
あ、ほんとですか。嬉しい~!
―毎熊克哉さんとのカップルも似合っていましたし、2人のやりとりがとても自然でした。
梨奈さんからノリコがどんな女の子なのか紹介していただけますか?
ノリコはキャバ嬢なので、ぱっと見派手ではあるんですけど、ほんとにノボルくんのことが好き。「お腹すいたからなんか食べさせてよ」って言ってもノボルくんに「後でな」となだめられたら素直に「はい」と言っちゃうような子です。ぐいぐいと発言をしているようで、実はすごくノボルくんに丸め込まれてしまうピュアな子。私だったらご飯食べさせてもらえなかったら、別行動でどっかに行っちゃいます(笑)。
―ノボルは切羽詰まっているのですぐ怒りますね。毎熊さんがあんなに喋っているのを初めて観ました。
私もこれまで拝見してきて口数が少ないイメージがありました。
―ノボルの台詞はほとんど嘘と言い訳で(笑)、ノリコの文句の言い方が可愛くて、これは男性ファンが喜ぶなぁと思いました。
ノリコも怒るんですけど、ノボルくんに言われると結局「しかたない」となっちゃうんです。気が強いようで、すごく繊細な子なんだと思います。
―梨奈さんは、これまでしっかりした強い女の子の役が多かったですね。でもこういう好きな相手にはとっても弱いタイプの女の子もできる、役の幅がどんどん拡がっているのが見えて嬉しくなりました。気分は遠い親戚のおばちゃんです(笑)。
ありがとうございます!
―最初は15分の短編のはずが84分になったとききました。それも3日間で撮り終えて。
はい。正直、台本を観たときに15分の分量じゃなかったので、短編でおさまるのかなと思ったんです(笑)。
でも、たくさん撮ったおかげで長編になって劇場公開も決まりましたし、映画祭にも出せたので良かったです。
―あ、海外の映画祭での受賞おめでとうございます!
ありがとうございます!
―映画の中にちょっとだけアクションが入りました。相手のネルソンズの青木さんはレスリングをしていた方ですね。もっとやろうということにはならなかったんですか?
最初は、がっつりアクションシーンがあったんです。「ノリコが後ろ回し蹴りをして、その後“旋風脚”をして」と書いてあったんですが、ノボルとノリコの物語が進んでいくのに、キャバ嬢のノリコが急に格闘家の女の子になったら、現実味がなくなると思ったんです。だったら「ノボルくんをバカにされたノリコが感情的になって、ビンタしたりしたいです」とご相談しました。
―梨奈さんすごく成長していたんですねぇ。17才で映画界に入って、初めは自分のアクションシーンがあればあるほど嬉しかったでしょう。それが、映画全体とか相手役や流れを考えるところにきたんですね。
ありがとうございます。大人になりました(笑)。前だったら「蹴り3発くらいやってください」って言われたら「はい!」って一生懸命考えていましたね。
―寒いときなのに海に入るシーンがありましたね。
そうなんですよ、冬(撮影は2月)に。しかも「一発本番」だったので失敗できない。
―でも「もう一回お願いします」はない。あったらあんまりですもん。
はい。OKで良かったです(笑)。
―そのほかに難しかったシーンはありましたか?
オープニングの車の中のシーンは長回しで撮っているんです。普通だったらカメラマンさんたちが隠れているんですが、今回はカメラとマイクが置きっぱなしで、毎熊さんと「用意、スタート」も「カット」も自分たちのタイミングでやっていました。
―車は実際に走っているんですよね。
そうです。前と後ろにスタッフの車がいました。毎熊さんは運転もしながらでたいへんだったと思います。長回しだったので、間違えるともう一回。その緊張感はありましたけど、ずっと二人っきりだったので、それはそれで、自然体でできたかなと思います。
―アフレコじゃなく、生で?
今回、一度もアフレコしていません。毎熊さん、全部台本どおりと言っていたそうですけど、実はけっこうアドリブもあったんですよ。
―ノリコの衣装が1着だったのがちょっと寂しい。でも派手可愛かったですね。髪も金髪で、梨奈さんのこだわりがあったと聞きました。
普段はあんな感じの服を着ることはないです。派手可愛い(笑)。髪は、台本に根もと黒くなって「プリンになってるじゃん」という台詞があったんですが、実際にキャバクラで働いていた方から、働く人たちはプロ意識、美意識が高くて髪や爪の手入れのために頻繁にサロンに通っていると伺いました。それをカツラで表現するのはなんだかイヤだったんです。リアルに見せたくて、微妙なプリンに染めてきました。
―じゃあ撮影が終わったらまたすぐ黒髪に戻したんですか?
別の撮影がありましたので。
―ノボルが「結婚」を口にしてノリコが立ち止まってしまう場面がありました。梨奈さんはどんなプロポーズがいいですか?こうしてほしいとか、理想のプロポーズってありますか?
理想のプロポーズ…。一番嬉しいなって思うのはやっぱり「おばあちゃんに会わせてくれる」とか、「自分の生まれ育った場所に連れていってくれる」。「理想のデート」を聞かれたときに最近よく答えるのは「お墓参り」です。
―え、相手の(ご先祖様)?自分の(ご先祖様)?
自分のもですけど、相手の。デートで連れて行かれた場所が「お墓参り」。「何でここに来たの?」って聞いたときに、「天国にいるおばあちゃんに紹介しておきたかったから」と言われたら嬉しい。そういうのが理想ですと答えてきたんですが、この映画(のシーン)が結構近くて、素敵だなと思いました。
―いくら二人のことと言っても相手のおうちと繋がるわけですから。
はい。軽い気持ちじゃないんだということで。
―これは書いておいて誰かに参考にしてもらいたいですね。
ぜひ!(笑)
―少し前に『三十路女はロマンチックな夢を見るか?』(2018公開)を観直しました。梨奈さんは30才になるということにこだわったヒロイン那奈でしたが、今、リアルにアラサーですね。
はい、今年が20代最後の年になりました。
―つい10年刻みで考えてしまいますが、どの年代よりも「アラサーになって30代に入るのは大きい」とよく聞きます。大きいですか?
大きいです。去年おととしくらいまで、26,27才のときは三十路に向かってくるにつれて焦りを感じていたんですけど、今は全く感じていなくてむしろすごく楽しみな気持ちが大きいです。というのも、大晦日からずっと自主製作をやらせていただいたり、自分たちで企画したことができるようになったりしました。映画に関しても、お願いされたことだけじゃなく、それ以上のことを自分から発信できるようになってきました。
今までは自信のない武田梨奈で、自信がないけれども夢中でやってきました。今は「自分の中での自信」はすごく持っています。発信できるようになったことが、ちょっとずつ自信につながってきたと思います。それが大人になったっていうことかな。
―年を取って良いこともあります。
やっぱり年を重ねていくと説得力もできますし、そういった意味で「だからこそしっかりしなくちゃ」という気持ちは常にあります。今までと違って一つ一つの発言に責任を持って発信することを大事にしたいです。
あっ、一番大きいのはですね、10代からの自分のポリシーは「考えるな、感じろ(byブルース・リー)」だったんですけど、今は考えた上での「考えるな」だと思っています。そういったいろんな言葉の捉え方が変わってきました。
―考える前に知らなくちゃいけない、知識が必要ですよね。
そうなんです!いろいろ知った上で考える。何も見ていない、知らないのに「考えるな、感じろ」ではダメなんです。
―知識を入れるための受け皿も要りますしね。梨奈さんのこれからがまた楽しみです。
ありがとうございます。
―ずっと梨奈さんのインスタやツイッターなどを拝見しています。映画もたくさん観ていらっしゃいますね。お仕事もいろんな方面にご活躍で、海外作品に出演されたり、映画制作を始められたり。『ジャパニーズ スタイルJapanese Style』のこともすっごく伺いたいんですけど、また次の機会に。
ありがとうございます。ぜひお願いします。
―では最後にこの映画の「推し」をひとこと。
はい。東京から来た若者二人が自然や伝統のある神秘的な街で暴れます。まったく馴染めていないのに、観終わった後になぜかこの街に似合う二人に変わっています。人間ってちょっとした心境の変化でそうなれるんだな、って思える映画になっています。特に若い世代の方、都会で行き詰っている方、ぜひ観ていただけたらと思います。
―ありがとうございました。
(まとめ:白石映子)
★毎熊克哉さんインタビューはこちらです。