『めんたいぴりり パンジーの花』公開記念舞台挨拶

6月9日(金)新宿バルト9にて、公開記念の舞台挨拶が行われました。
MC:伊藤さとりさん

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左から:博多大吉さん、瀬口寛之さん、富田靖子さん、博多華丸さん、余貴美子さん、森永悠希さん、江口カン監督


作品紹介はこちら
笑いあり涙ありの福岡発の人情物語。みんな言いふらかして映画ば、応援して〜!
(C)2023「めんたいぴりり」製作委員会
https://mentaipiriri.com/
★2023年6月9日(金)より新宿バルト9にて公開中
●前作『めんたいぴりり』初日舞台挨拶(2019/1/27)はこちら
●前作の江口カン監督インタビュー(2019/1/10)はこちら


―先週九州で先行公開されましたが、今日は九州出身の方もたくさん来ているんですよね。手をあげてください。そうじゃない方も、この『めんたいぴりり』を愛してくださっている方々、ご来場いただきました。ありがとうございます!
ではさっそくみなさんから一言ずつご挨拶いただきます。
まず初めにふくのや店主海野俊之を演じられました博多華丸さんです。

華丸 こんにちは!本日は数ある娯楽施設の中から当劇場、しかも『めんたいぴりり』をチョイスしていただきましてまことに御礼申し上げます。短い間ではございますが、ゆっくり楽しんで、映画も楽しんでいただきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。(拍手)

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―おかみさん海野千代子を演じられました富田靖子さんです。
富田 みなさんこんにちは、富田靖子です。今日は『めんたいぴりり』を選んでいただき、ほんとにありがとうございます。実は今回次男の勝(菊池拓眞)もあそこに座ってくれて(客席を指す)、私は次男が作ってくれた折り紙の小物をつけてまいりました。
とてもあったかい作品になっていると思います。珍しく恋の話もありますので、ぜひ楽しんでいってください。(拍手)

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―今回重要な役割の八重山さんを演じられています瀬口寛之さんです。
瀬口 みなさんこんにちは、瀬口寛之です。本日はありがとうございます。
こうしてみなさんにお届けできる日を迎えることができて、たいへん嬉しく思っています。あったかい作品になっていますので、この後お楽しみください。よろしくお願いします。(拍手)

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―スケトウダラの妖精を演じられています博多大吉さんです。
大吉 どうもこんにちは、大吉でございます。みなさんから「スケトウダラで来ないんだな、女装で来い」みたいな感じで言われますけれども(笑)。映画の中で僕もちらほら出ていますが、事前に言っておきます。「こいついったいなんなんだろう?」と考えるだけ時間の無駄だと思いますので、華麗にスルーしながら楽しんでいただきたいと思います。今日はご来場ありがとうございま~す。(拍手)

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―今回ゲストとして、ヒロインの元彼あつしを演じられました森永悠希さんです。
森永 みなさんこんにちは、ありがとうございます。今回あつし役を演じさせていただきました森永悠希です。今日こうやって皆様の前でご挨拶させていただけることがほんとに嬉しいです。ありがとうございます。短い時間ではございますが、よろしくお願いいたします。(拍手)

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―もうお一人ゲスト参加していただきましたたこ焼き屋台の店主、吉田ツル役の余貴美子さんです。
 余貴美子です。みなさんもう何年も一緒にやられていて、一つのチームが出来上がっている中で、ゲストとしてお邪魔させていただきました。物語の登場人物のようにみなさん優しくてほんっとにいい方たちで、いいお話で。私の荒れている心が本当に癒されました。撮影が終わってお別れするのが悲しかったくらいです。私の心、人の気持ちを優しくしてくれるような良い作品ですのでどうかお楽しみください。(拍手)

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―そしてこの作品の生みの親になります江口カン監督です。
監督 今日はみなさんどうもありがとうございます。僕の大好きな『めんたいぴりり』をまた作ることができて、こうしてみなさんに観ていただくことができ、そして再び”ふくのやメンバー” プラス、余さん森永くんとここに立てることを幸せに思っています。今日はよろしくお願いします。(拍手)

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―映画の公開おめでとうございます。(客席から「めんたい!」と声がかかる)華丸さんと靖子さん、2013年にドラマがスタートして、映画になったり舞台になったりして、10年になるわけです。ずっと『めんたいぴりり』に参加されて、久々の映画の現場、どんなお気持ちでしたか?

華丸 最初やったときは、もちろん続いたらいいなとは思っていましたけど、ここまで賞味期限が長いとは(笑)。
去年の夏に撮影に入ったんですけど、ふくのやのメンバー、10年経っても奇跡的にあか抜けないんで(笑)、ずっといい意味で成長を止めているんで(笑)。だから10年前と変わらない雰囲気で撮影ができたので、ほんとに変わらない良さをあらためて感じます。
富田 10年前にはなるんですが、いつも通りにちゃぶ台の自分の席でご飯を食べれる、いつも通りに撮影ができたという感じです。スケトウダラさんのメイクが毎回すてきになっていって、そこだけは楽しみにしておりました。
大吉 そうですね。10年前とは僕も年齢が違いますので、あの頃は40代ですが、今はもう50代なので、今回めちゃめちゃメイクが濃いです(笑)。濃いですけどもね、やらしていただきました。
華丸 ちょっと最近はあか抜けてました(笑)。ふくのやメンバーはね、奇跡的にあか抜けない(笑)。

―ここに”ふくのやメンバー”の瀬口さんがいらっしゃいますけど、今回はメインどころのパートがございました。
瀬口 はい、わたくし八重山が恋をしまして(笑)。台本読んだときは「大丈夫かな?」と思いましたけれども。頭に浮かんだのが、10年前のドラマの中でおかみさんが「一生懸命生きとる人間に綺麗も汚かもなか」って言うセリフがあるんです。それが浮かんできて…
富田 覚えとらん(笑)
瀬口 一生懸命恋をしようと思って、頑張りました!あの言葉大好きなんです。
富田 忘れた…今回はもう世界の中心で叫んでいますから、森永(あつし)さんと八重山さんが。大人女子「きゅんきゅん」です。
華丸 いつから福岡市早良区が世界の中心になったんですか?(笑)室見駅と藤崎駅の間あたりのあそこが?(笑)
富田 あそこが中心で、2人が叫んでいるのがもう「きゅん」です。

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マリ(地頭江音々)とあつし(森永悠希)

―『めんたいぴりり』に今回ロマンスが描かれているんですが、森永さん、こうやってメンバーと共演してどうでしたか?
森永 10年愛されている作品の中に入らせていただけるっていうのが、すごい。やっぱり制作陣にも愛がないといけないし、見てもらっている方々にも愛されてないといけない、でないとここまで続けることってできないですし。短い期間だったんですけど、ほんとに愛がたくさんある現場だなって思います。”ふくのやのメンバー”にも愛をたくさんいただいて参加できて幸せだと思いながら過ごさせていただきました。
―どんな愛情をもらったんですか?
森永 富田さんとかすごい話しかけてくださってて。
富田 はい。おかみさんとしてマリさんと八重山さん、森永(あつし)さんを盛り上げるために。
瀬口・森永 ありがとうございます。

―余貴美子さんも今回はゲストで、たこ焼きで苦労されて。
 はい、たこ焼きいっぱい焼いて練習しました。たこ焼きを焼くのと、屋台を引くのと、あと福岡の言葉をいっぱい勉強しました。初日が(従業員 松尾竹吉役の)斉藤優さん(パラシュート部隊)と一緒だったんです。夜に福岡の空港に着いて、そのまま撮影だったので最初に会った福岡の人が斉藤優さん。
華丸 彼、出身は大阪です(笑)。福岡在住の大阪人。
 そうなんですか。言葉も教えてもらって。今日いらっしゃらないんで寂しいんですけどね。
―華丸さんや富田さんとご一緒していかがでしたか?
 ほんとにやさしくて気を遣っていただいて、気ぃ遣ってますよね?
華丸 気ぃ遣ってました。(笑)大先輩ですから。
 ほんとに映画の中のような人たちなんですよ。この方たち、ほんとに。
―華丸さん、余さんが作られたたこ焼きは召し上がったんですか?
華丸 そこのシーンは少なめだったんです。食べさせていただいたことは、あります。はい。
―いかがでした?
華丸 すばらしい。日本一!(笑)

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―大吉さん、あの(スケトウダラの)シーンが出てくるといつも嬉しくなるんです。今回あのシーンを撮るために何か役作りとかは?

大吉 みなさん役作りって役柄とか背景を考えて、台本を読み込んでみたいな、話を聞いていたので僕もやろうと思ってたんです。最初から僕出てくるんですけど、ライバル企業の商品を持って出てくるんですよ。何度読み込んでも意味がわからない(笑)。首をかしげながら江口さん…監督に「いいんですか?」って聞くとOK出すんですよ。みなさんには厳しいけど僕には甘い。
監督 いち観客になりきっちゃいます。
大吉 ほんとに大丈夫かな?って。
―毎回、大吉さんと華丸さんのシーンはアドリブじゃないかと思ってるんです。
大吉 今回はどうやったっけ?(華丸さんへ)
華丸 えー、一応その~箇条書きがあるみたいな感じ。「全部おまかせ」って書いてあるんです。(キャスト・会場ざわめく)
大吉 華丸とのシーンはアドリブで全然いけるんですけど、後半のゴリけん(でんさん役)とのアドリブは地獄に等しいです(笑)。華丸さんは何か返ってくるんですけど、ゴリけんは、まさかの「黙る」っていう(笑)。黙秘権使ってくる(笑)。なかなか大変でした。
そのへんも「これ、いいのかな?」って思ったら監督が「OK!」ってすぐ出すから、ちょっと心配な楽しい部分でもあります。ぜひ注目していただけたら嬉しいです。
―そこはもう江口監督が大信頼しているわけですね。
監督 決して職務放棄しているわけではなく、それが一番面白くなるんで、はい。僕は楽しんで見てるだけです(笑)。
富田 大吉さんには優しかったんですけど、こわいですよ。キャストにはめっちゃ厳しい。
大吉 だから申し訳なかったです。大変だったでしょ、みなさんは?(みなさん頷く)
富田 はい。(笑)
大吉 八重山さん思い出すだけで汗かくのやめてください(笑)。めっちゃ汗かいてる。
富田 これが「めんたいぴりり」のめりはりだとは思うんですけど、ゴリけんさんがお二人(スケトウダラと)のシーンの後に、いつもお二人でものすごく長い時間反省会をされているんです。
―次に演じる時のための反省会なんですね?
大吉 そうですね。後は僕が遠まわしにゴリけんに「降りてくれ」って(笑)。もうそろそろ引っ越しとか(笑)。

―今話題の「サンクチュアリ」(江口監督作。Netflixで配信中)を見ている方もいらっしゃると思うんですよ。映画だと『ザ・ファブル』もございます。全く違う作風のこの『めんたいぴりり』を作り続けているというのは、江口監督にとって『めんたいぴりり』というのは、どういう存在なんでしょうか?
監督 これ以外は、”血まみれの力士”(Netflix『サンクチュアリ-聖域-』)が出てきたり、”殺さないと言って殺しちゃう殺し屋”(映画『ザ・ファブル』)が出てきたりというようなのが多いんで、こういう優しくていい話を作らないとですね、僕の人気が危ういなと思って(笑)。
華丸 つじつま合わせなんですか?(笑)
監督 「バランス」と言ってください(笑)。
華丸 バランス?
監督 僕の中の優しさをこのために何年間か取っておいて、これにバンっとぶつけるというか。
―そこは華丸さんはどういう風にお考えですか?
華丸 ほんとにはっきりしているというか。「サンクチュアリ」をご覧のみなさんはそれを求めて来られたら、ほんとに何もない(笑)。
大吉 何もない。ちょっとだけ流血シーンがあります。質が違います。
華丸 暴力シーンがないです。そこはご了承いただきたい。とても平和な。
―いつかシリーズの中にアクションシーンとか華やかなのがあるかもしれませんね。
華丸 いつかはね、「ファブル」にも狙われてみたいです(笑)。
―そうなったらすごい展開だと思います。

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―福岡の物語がこうやって全国に広がっていくっていうのもすごいことだと思うんですよね。
そこは華丸さんや富田さんどんな風にお考えですか?

華丸 九州の福岡県のみのドラマだったんで。しかも朝ドラじゃなくて、「ブランチ・ドラマ」みたいな、55分。ローカル枠のところだった地域限定のドラマが、少しずつ、10年かけてこうやって世に出て新宿で舞台あいさつ。感激しております。福岡で先週舞台挨拶だったんですけど、マイクの本数が全然違うんですよ(笑)。福岡はマイクが3人に1つ(笑)。全部東京にあります!ものは。
ね、ここにあったか!って(笑)。日本の中心でこうやってやらせていただけることに成長を感じています。マイク一本ずつ(笑)。
富田 小物やセットもね。

―富田さんもファミリーがこうやって全国に広がって知られていくっていうのは嬉しいんじゃないですか?
富田 そうですね。キャストも今まで子どもたちはずっと福岡、博多、九州の子が多かったんです。今回次男は東京の子で、これまで博多の言葉を耳にしたことがなかったんですけど、2日か3日経ってると普通に博多弁を喋っていました。こうやって『めんたいぴりり』が言葉の枠をどんどん越えて、日本のいろんな方に愛されたら嬉しいなと思います。
―ほんとにそう思います。瀬口さん、地元の方たちも見ていると思います。今回こうやってメインどころになるというのは感慨深いんじゃないですか?
瀬口 ちょっと恥ずかしい気持ちもありますけど、頑張ったんで友達とかみんないろんな人に見てもらいたいです。
―反響は届きましたか?
瀬口 今のところ身内からだけです。
―これからどんどんね。楽しみですね。
富田さん、今回恋のお話があるちょっと甘口な『めんたいぴりり』のお話というのをご覧になって、どういう風に感じられましたか?

富田 いやー10年経ったなぁと思うのは…そこに私たちの恋の話は入れませんでした。
華丸 もう…
富田 もう良か、って感じで。ちょっぴり寂しかったです。愛の話には入りますけど、恋の話はやっぱり若いみなさんにお任せしてって感じで、ちょっと後ろできゅんきゅんしていました。

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―大吉さん、客観的にどうでした?
大吉 華丸さんから今度の話は「八重山さんのラブストーリーだ」って聞いたときは「無理だ」(笑)。「そんなの誰が観るんだよ」って楽屋では言いましたけど、試写会で観たときはジーンとしましたね。
八重山さんのアップめちゃくちゃあるんですよ。大画面で八重山さんが演技するのは…ストーリーも面白いんですけど、ここ10年くらいの軽~いお付き合いはあるので、あ、軽いって言い方はあれですけど(笑)。ずっと勝手に応援してたので「ああ、良かったな、八重山さん」と思ったし、「もっと頑張れよ、笹嶋(ふくのや従業員笹嶋辰雄役:福場俊策)!」とも思いました(笑)。今日来てるのに、舞台にあげてもらってないんで(笑)。頑張ってね。みっちゃん(ふくのや従業員岡村ミチエ役:井上 佳子)も来てるんです。代わろうか?って言うたんですけど。
もう見どころいっぱいです。話がいっぱいあるよね。
華丸 今回はそうですね、トータルで3つの話が。パルプフィクション的なね(笑)。
富田 余さんの(演じる)ツルさんの恋の話と、八重山さん、森永(あつし)さんの恋の話、ちょっと喧嘩しちゃったかなという私たちの話。
華丸 うん。いろいろ幕ノ内弁当になっています。楽しんでいただきたいと思います。
―きゅんきゅんしながら、ほっこりして涙が出るような作品です。ぜひみなさん楽しんでいってください。ありがとうございました。(拍手)

主題歌の流れる中、中心に集まってフォトセッション、パネルありパネルなし。観客の撮影タイムも

―これからご覧になるみなさまへ、華丸さんからメッセージをお願いします。

華丸 今日、朝から生放送やって来たんです。ゲストは安藤サクラさんで『怪物』の紹介をしました(笑)。公開初日にこういうこともあるのはある意味「縁」だと。10年続く作品も僕は「怪物」だと思います。「怪物」対「魚卵」で(笑)頑張っていきたいと思います。(拍手)
(まとめ・写真 白石映子)

=取材を終えて=
前作から4年経っての第2弾です。テレビドラマからだと10年、大きくなった子どもたちは交代しましたが「ふくのや」のみんなが変わらずにいてくれたと、ほっとします。大将は相変わらずお人よしののぼせもんで、おかみさんはそんな夫をしっかり支えています。
舞台挨拶も映画の雰囲気そのままに、和気あいあいとしています。ほんとはキャスト&会場の(笑)がもっとあるのですが(笑)だらけになってしまうので、省略しています。記者席でも笑い声が上がるので、録音にかぶって聞き取れなかったり。
華丸さんの「頑張っていきたいと思います」で綺麗にしめくくられたのですが、その後に実はこんな会話も。

華丸『怪物』を観に行ったんですけど、映画の宣伝で『リトルマーメイド』予告編が流れていたんです。
あれ、大吉さん出てない?
大吉 僕(笑)。
華丸 あれ!?(笑)

おあとがよろしいようで。

『光をみつける ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ』舞台挨拶

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*プロフィール*
穴澤雄介[ヴァイオリン奏者/ヴィオラ奏者/作・編曲家/講演家]
 1975年千葉県生まれ。心臓と目に障害をもって生まれ、高校時代にほぼ視力を失う。筑波大学附属盲学校高等部本科音楽科、同専攻科音楽家卒業。コロナ以前は年間150本以上のライブ活動のほか、学校関係を中心に年30回以上の講演活動を行う。2020東京・2022北京オリンピック・パラリンピック時のNHKユニバーサル放送TV特番にコメンテータとして出演するなど、ダイバーシティ(多様性)・SDGs時代の要請にも応える。

永田陽介[監督・編集 日本映画TVプロデューサー協会会員]
1961年生まれ。撮影スタジオの世田谷109スタジオ、西武百貨店を経てビデオソフト黎明期のビデオ企画制作販売までを手掛ける会社に入り、海外映画など数百の商品を手掛ける。
1991年、作家・映画監督 村上龍氏の映画『TOPAZ-TOKYO DECADENCE-』の制作プロデューサーを担当、海外での映画賞やセールスに成功する。俳優・映画監督の勝新太郎氏の依頼で編集した、勝新太郎の最期の舞台『夫婦善哉~東男京女』はリマスター版が日本映画チャンネルで放送公開された。

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(C)2022 FUJIYAMACOM

作品紹介はこちら
公式HP https://anazawa-cinema.com/

6月7日(土)恵比寿の東京都写真美術館ホールにて、このドキュメンタリーの主人公穴澤雄介さん、出演&ナレーションの元小結・相撲解説者の舞の海秀平さん、永田陽介監督の舞台挨拶がありました。司会は構成も担った桂いちほさん。ほぼ書き起こしでお届けします。
上映会場は6月15日(木)から30日(金)田端の「シネマ・チュプキ・タバタ」に代わり、以後順次全国公開の予定です。
穴澤雄介さん、永田陽介監督のご挨拶の後、ナレーションをつとめた舞の海秀平さんが拍手の中登場しました。


 舞の海さん、ひとことどうぞ。
舞の海 みなさん こんにちは~(拍手)
 当初、舞の海さんには、ナレーションだけをお願いする予定だったのが、穴澤さんが駄々をこねたんですよね?
穴澤 ナレーションをお引き受けしていただいたのはすごく嬉しかったんですけど、ナレーションだけ担当されると、私はお会いできない!(会場笑)
「やだやだ~!会えないとやだ~!」と駄々をこねたんです。監督に「対談の時間を設けませんか?」と提案をさせていただきまして(笑)。
 監督、お二人の対談は、初対面の方がいいという判断だったそうですね?
監督 はい。穴澤さんと舞の海さんは初対面でした。ご本人と会うのはぶっつけ本番がいいんじゃないかと、お寺の和室をお借りして撮影しました。
 みなさん映画をご覧になったからわかると思うんですけど、穴澤さんの喜びようがね。まるで、子どもが憧れの人に会うみたいな感じでした。
舞の海さん、会う前は穴澤さんのことはご存じなかった?
舞の海 そうですね。全くなかったです。
 最初、どんな印象でしたか?
舞の海 最初はですね。やけに明るい人だなぁと思いました。(穴澤さん爆笑)
お洒落ですし、この人はなぜこんなに物事を前向きに考えられるんだろうと。私とそこは正反対でしたね。
 正反対?
舞の海 私は常に後ろ向きで(笑)。
穴澤 相撲は後ろ向きだと負けちゃう(笑)。
 最初は30分くらいの予定だったそうですね?
穴澤 30分って言われました。
 ところが実際は2時間くらい喋っていた(笑)。もう、だからね、監督が編集するの大変でしたよ。

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永田陽介監督

監督 皆さんドキュメンタリー映画をたくさん観ていると思いますけど、予測不可能なこととかね、いろんな事件が起こったりする。あの対談もぶっつけ本番でしたから、どんな話になるのかわからない、そこをとらえています。こちらは非常にスリリングでしたし、何回観ても面白い会話ですよね。
舞の海 そうですか?
監督 はい。
舞の海 私も、どういう展開になっていくのかわからなかったんですけど、お話ししているうちに「あれっ、ここ感覚が一緒だな」とか、共通するところがたくさん出て来て、あっと言うまでしたね。
穴澤 そうですね。
 舞の海さんがすごく聞き上手なうえに、質問上手なんですよね。
舞の海 いやいや、そんなことないです。
 うまいこと起承転結があるように話を運んでいただいたので、使いどころが明確でした。

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舞の海秀平さん

 穴澤さんとの対談が終わられた後、印象は変わりましたか?
舞の海 うーん、「この人ってほんとは、目が見えるんじゃないか」って(会場笑)。
なんかすごく、こう・・・昔から知り合いだったような感覚になりましたね。それと、知られているだけじゃなく、心の中まで見られているような。そういう、普通の人にはない鋭い感覚の持ち主なんだなと思いました。
 と言われて、穴澤さん的にはどうですか?
穴澤 いや、鋭くないですよ(笑)。でも嬉しいですよ、親近感持っていただけるのは。これはもう「”対談映画”でいいんじゃないかな」っていうくらい対談していただいたので。
 そりゃ、お客さんが困る(笑)。穴澤さんの大好きな大相撲の話が多かったですよね。
穴澤 極力、控えていたんですよ。ええ。
 ほんとに穴澤さん相撲が好きで。先日穴澤さんのライブが7時くらいからあったんです。リハーサル終わって控室に私もいたんですけど、ちょうど結びの一番くらいで、真剣にスマホを聞いているんです。
穴澤 みなさん私の楽屋に訪ねてこられると、「すみませ~ん。本番前の集中力高めている時間なのに」って言われるんですけど・・・相撲が流れているんです(笑)。
緊張感なくてすみません。さっきはソフトバンク(野球)の試合を聞いてました(笑)。

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桂いちほさん、穴澤雄介さん

舞の海  相撲を聞きながら、頭の中でどういう映像が出てくるんですか?
穴澤 合っているかどうかわかりませんけれども、アナウンサーさんの実況を聞きながら、こんな感じに組んでいるのかなって、"想像"します。
舞の海 はあ。
穴澤 私の場合ラジオが多いんですけど、取組み終わってから、改めてアナウンサーさんが説明してくださいますよね。あれがやっぱりすごく頭に残ります。
舞の海 ああ、そうですね。細かい描写がありますね。
穴澤 あれ、すごいなと思って。やっぱりVTRを見ながら喋っているんですか?
舞の海 あれはですね、見てないんですよ。スローが流れるのを待っていると、時間がかかるので、終わった次の瞬間からアナウンサーは喋り出します。
穴澤 じゃあ記憶で全部喋るんですね。
舞の海 そうです、そうです。
穴澤 すごい!
舞の海 若手のアナウンサーは、結構ざっくり。そういう説明をせずに(笑)、大雑把ですね。
穴澤 ちょっと違うんだけどなって、正直思ったりします?
舞の海 思いますね。ラジオなのになぁって(笑)。若い人ですからこれから経験を積んでいくんでしょうねえ。ベテランはすごいですね。
 舞の海さんは、「ラジオを聞いている人にわかるように」と気をつけている事はありますか?
舞の海 特に穴澤さんとお会いしてからは、「こういう風に説明したら想像できるのかな」とか。難しいときもありますけどね。
土俵際でもつれたりしたときに、もう自分のこの乏しい語彙だと説明できない、ってこともあります。
 大体もう一瞬で決まってしまうことの方が多いから、その中で説明や解説するというのはねえ。
穴澤 もともと舞の海さんの解説はわかりやすい。私、本にも書かせていただいたんですけど、舞の海さんは、仕切り線の間が70cmとか、土俵の直径は4m55cmとか、数字を出してくださるんです。これは視覚障碍者的にも、ラジオ的にもすごくありがたいことです。
舞の海 ほう。
穴澤 見えている方でも、そういうのをご存じないですよね、たぶん。
すごく想像もできますし、あれはちょくちょく入れていただいた方が(笑)。
舞の海 わかりました。今日来てよかったです。解説も行き詰っていて・・・(会場笑)。
穴澤 ほかの解説者の方はあんまりおっしゃらないから、舞の海さんの特権じゃないですけど、もう出るたびに言ったほうが(笑)。だって、その日初めてラジオ聞く人もいるわけですから、毎回おっしゃるくらいでもいいかもしれない。

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 ちょっと映画の話に戻して(笑)。
穴澤 あ、すみません!
 舞の海さん、今回ナレーションをやってみた感想などを。
舞の海 もっとたくさん喋るのかなと思ったら、意外と少なかった。ちょっと物足りないかなと思ったんですけど、でも私が主役じゃないので。少し、何かこう味付けになって、お役に立ったならよかった。
監督が鋭くてですね。ちょっと速かったり、言葉がちょっと強かったりすると・・・私は大雑把なのでこれでいいかなと思ってると「もう一回」って(笑)。さっきと今と同じなんじゃないかなと思ってもやっぱり違うんでしょうね(笑)。
監督 何年もやってると(笑)。
舞の海  逃しませんね。
 今日映画をご覧になった皆さんは、舞の海さんのナレーションがすごく聞きやすい、耳にすーっと入ってくるお声だったんじゃないかと。(拍手)
舞の海 ありがとうございます。
 最初は、硬い感じがするんですけど、対談を終えた辺りから声が柔らかい感じに聞こえるんですよね。穴澤さんとの関係が深まった感じに聞こえて、すごく素敵だなぁと思いました。
穴澤 舞の海さん、もともと声がいい。
監督 そうなんですよ。
舞の海 嫌ですけどね、自分の声が。
 たぶん歌もうまいんですよね。
穴澤 と、思います!
舞の海 いやあ~。
 CDとか出されてませんでしたか?
舞の海 いや、まだ。
監督 まだ?(会場笑)期待したい。
穴澤 お手伝いさせていただきます。(拍手)

 ということで穴澤さん、もうそろそろ時間なんですけど。
穴澤 え!もうそんなに時間経っちゃってるんですか!
監督 今日、ヴァイオリンを持たされているということは、演奏をしていただける?
穴澤 あ、まだ準備ができていないんで、もうちょっと舞の海さんにお話しいただいて。
 映画の中に出てきましたけど、耳の聞こえない方が穴澤さんの演奏を(見て)「素晴らしい演奏だ」と言う場面があるんですが、音だけじゃなく演奏している姿が、すごく伝えようとしているエネルギーみたいなのか見えるのかなと思ったんです。
舞の海 私も知ってしまったからか、四角四面に弾いているのではなく、じわ~っとしみ込むような感覚になりますね。
 監督、穴澤さんの色んな曲を場面、場面で使われていますけど?
監督 そうですね・・・
(穴澤さんスタンバイ)あ、もういい?
穴澤 すみません、準備できちゃいました(笑)。
(会場拍手)
穴澤 ありがとうございます。じゃあスポーツ好きの話が出たので、スポーツにちなんだ自作の曲を。映画にも登場しています。2020年の東京オリンピック、パラリンピック(NHK放送)、ユニバーサル特番のときに長く出演させていただいているんですけど、その出演日の最後に「穴澤さん、パラアスリートの皆さんにエールをこめて」と言われて弾いた「伴(とも)に走る」。これは、ブラインドランナーとガイドランナーが一緒に伴走する、その絆を書いた曲です。

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♪「伴(とも)に走る」
(演奏終了後)
 やっぱり生演奏はいいですね。
ではフォトセッションです。映画のためにぜひ宣伝していただいて。
(声かけに応じて会場の皆さんに笑顔を向けるゲスト)

 では最後に、皆さんから一言ずつ。
監督 たくさんおいでいただいてありがとうございました。天気がよくて良かったです。引き続きよろしくお願いします。(拍手)
舞の海 今日はみなさん、ありがとうございました。穴澤さんの考え方で、好きな言葉がありまして「置かれた環境の中でベストを尽くす」という。現役終わって、その気持ちがなくなっておりました。もう一度、穴澤さんの言葉を大切にしながら、私もこれから、死ぬまで暇つぶし(会場笑)をしながら歩いてまいりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
監督 ぜひCDを出してください。(拍手)
穴澤 本日はみなさんありがとうございました。こちら「東京都写真美術館ホール」は11日(日)までの上映で、15日(木)から30日(金)は田端の「シネマ・チュプキ・タバタ」。
7月4日から大阪での上映も決まっております。関西方面にお友達のいらっしゃる方はぜひお伝えいただけたら嬉しいです。私も大阪のほうへ舞台挨拶に行けるかと思います。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

(写真・まとめ:白石映子)