公開初日の5月12日、渋谷シネパレスにて第1回上映の後、舞台挨拶が行われました。沖縄からかけつけた牧野裕二監督、主演の大野いとさん(木元愛美)、森崎ウィンさん(グエン・コア)に、映画の中では愛美の思い出パートに登場した黒田よし子さん(愛美の母)が登壇。
MC:佐藤結美さん
大野:木元愛美役を演じました大野いとです。たくさんの映画がある中でこの『クジラの島の忘れもの』を観に来てくださってありがとうございます。今日はベトナムと沖縄での撮影のエピソードを沢山話せたらなと思います。楽しんでください。
森崎:このたびグエン・コア役を演じさせていただきました森崎ウィンです。ここ2日くらい雨が続いていましたが、初日にしっかり晴天に恵まれました。それはここに足を運んでくださっている皆さんのおかげだと信じております。本日は一日・・・一日?(注:舞台挨拶は一回だけ)僕らの舞台挨拶を含め楽しんでいってくれたらと思います。ありがとうございます。
黒田:初めまして。愛美の母を演じました黒田よし子です。本日はお越しくださいましてありがとうございます。少しの時間ですが(シャッター音で録音聞こえず)よろしくお願いいたします。
牧野監督:この映画を監督しました牧野裕二といいます。今日はこの映画を最後まで観てくださってありがとうございました。
―それではお話伺ってまいります。まず大野さん、沖縄とベトナムで撮影中、心に残ったエピソードなどございますか?
大野:はい。沖縄の撮影もすごく印象に残っているんですけど、やっぱり初めて訪れたベトナムが本当に心に残っています。私の行きたい国でもあったので、すごく嬉しくて。ベトナム人の方たちと一緒にお芝居をさせていただいたときに、ベトナムの風習をいろいろ聞きました。お誕生日に「おめでとう!」とケーキでお祝いした後に、自分の願い事を言うんです。それにすっごく驚きました。いい風習だなと思って、日本でも流行るといいなと思いました。
―続いて森崎さんにお伺いします。ハリウッド映画『レディ・プレイヤー1』に出演されている森崎さん、今回のクルーの印象はいかがでしたか?
森崎:みなさんと一つになって作品を作るといううえで、監督を始め俳優さん、そしてスタッフのみなさんも精神的にすごく強いな、って印象を受けました。短い期間で映画を撮る大変さ、ロケとかのいろんな状況を含め、その中で一丸となってみんなで乗り越えられた。その中の一員になれたということに、僕は幸せな気持ちでいっぱいです。携われてよかったなと思います。
―本作の撮影は『レディ・プレイヤー1』の後とお伺いしたんですが。
森崎:引きますね(笑)。
―本作にも生かせたことがたくさんあったんじゃないですか?
森崎:えっと、英語を喋る場面はなかったですけど。あ、ベトナムに行ったときに、ベトナム語が喋れるわけではないので、英語でコミュニケーションをとりました。その中で男の子が「facebookやってる?」と聞いてきて・・・あの、僕はダンスボーカルグループPrizmaXに所属していまして、そのfacebookに一人獲得しました。(会場笑)
―黒田よし子さんにお伺いします。長編初作品の牧野監督の演出はいかがでしたか?
黒田:牧野監督は物静かなイメージで、実際に穏やかな方です。撮影中にたくさんお話をした記憶がありません。不安になって「こっちの方向でいいんですか?」と聞くと、「そっちでお願いします」と方向を的確にお返事してくださいました。とても穏やかな静かな演出でした。
―牧野監督、静かに見守るタイプなんでしょうか?ご自身ではどう思われますか?
牧野監督:注文するところは「こういうふうにしてください」とお願いするんですけど、基本的にはみなさんが作りあげてきてくださったものが素晴らしかったので、現場ですごく助けられました。
―特にこだわったポイントは?
牧野監督:こだわったというところに当たるかどうかわからないんですけど。撮影したのが去年2017年の1月だったんですけれど、1月って沖縄はどん曇りで天気がすごく悪いんです。本島は曇っていても、座間味島では晴れていてほしいなという思いがありました。なんとか座間味で晴れて、ベトナムでも前日まで雨だったのが、撮影当日はカラッと晴れてくれました。もうほんとにいろんなことに助けられた作品でした。
―沖縄、ベトナムの景色、情景がほんとうに綺麗だったという印象があります。もしかしたらこの中に晴れ男、晴れ女がいるのでしょうか?(森崎ウィンさん挙手)森崎さん晴れ男ですか?
森崎:はい(会場笑)。グループでツアーに行くと、僕がいると雨が降るって今まで言われてたんです。これは弁解したくて。挽回?(会場笑)ほんとは晴れ男なんですよ。この作品で証明できたと思います。
―タイトルにちなみまして、みなさんのこれまでの人生で「最大の忘れもの」はなんですか?
牧野監督:最近年取ってきまして、記憶をなくしてしまって(会場笑)。きのうの夜の記憶をなくしました。飲みすぎちゃって(会場笑)。よく忘れるんです。
―忘れないようにする対策は?
牧野監督:特にしていないです(会場笑)。
黒田:監督と年が同じで、忘れることだらけなんです。自前で持っていく衣装を電車の網棚に忘れたり、必要なものを持って行かなかったり、ちょこちょこあります。あまりにもありすぎて最大が見つけられなくて、物ではないんですが。二十歳くらいの頃きっちりおめかしして慌しく出かけて、急いで何人か追い越したときに後ろからおばさまに「ちょっと待って、待って!」と呼び止められたんです。急いでるんだけど、と振り向いたら「開いてる、後ろ!チャック!」と言われまして(会場笑)。あの、ワンピースのチャック1ミリも上げてなかったんです。本来ならペローンと下がって気づくんですが、上のホックだけ律儀に止めて、後は全部開いてたんです(会場笑)。それが最大の忘れもので最大の恥ずかしい思いでした。(会場拍手)
森崎:忘れもの、さっそく今朝あったんです。僕いつも家を出るときに鍵を××に入れるんですが、それを忘れてしまって。これが終わって家に帰っても誰かが帰ってくるまで、僕は家に入れないという・・・あんまり面白くないですね。(会場笑)
黒田さん、大野さんから「そんなこと言っていいんですか?」「置き場所変えたほうが!」
森崎:え?あ、そっか、ヤバイっ!(会場笑)
森崎 あの、話は違うんですけど。家の隣におじいちゃんとおばあちゃんのご夫婦が住んでいるんです。この前僕が前を通ったらドアを開けて「きのうテレビに出てたね!頑張ってね!」と言ってくれたんです。でもまた次の日に会ったらそのおばあちゃんが「大きくなったね~」って。見たばっかりでしょ(会場笑)。(とご近所ネタでサービス)
大野:私は高校生から上京してきて、仕事と学業を両立させようと頑張っていたんですが、友だちと全然遊べなくて。休みの日は寝ちゃうという。なんかもうちょっとこう、渋谷とか原宿とか自由が丘とかに制服を着て遊べたら良かったなぁ。高校時代の忘れものですね。
―今でも制服でどこか出かけたり、とかやってみたい願望は?
大野:もう22歳なので(笑)、制服はもう着れないです。
―いえいえ、まだいけるかと思います。
大野:なりきれますか(笑)?
―では最後に主演のお2人にひとことメッセージをお願いいたします。
大野:私はこの映画の、国を越えて人を好きになって、自分が前に進んでいくという、この物語が本当に好きです。この映画をたくさんの人に「ここが良かった」と広めてくださったら嬉しいです。今日は観に来てくださってほんとにありがとうございました。(会場拍手)
森崎:観終わった後にみなさんが心の中で感じたことがたくさんあると思います。僕としては少しだけでも皆さんの日々の生活の中で、この映画を観て心がちょっとでも洗い流せたら、と思います。皆さま本日はお越しくださってまことにありがとうございました。(会場拍手)
ここからマスコミ用撮影。最後に会場の観客の撮影もOKでした。
(取材・写真 白石映子)
森崎ウィンさんインタビューはこちら
http://www.cinemajournal.net/special/2018/kujira/index.html
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