“ベトナム映画祭2018”熊谷睦子さんインタビュー (2)

(1)からの続きです。
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『草原に黄色い花を見つける』の公開までの間に感じたことがいくつかあります。やっぱりベトナム映画ってみんなあまり観たことがない。アジア映画に興味を持っている人が、福岡や大阪の映画祭などで観ているくらいです。

―とにかく作品が入って来ないですよね。

そうなんです!それが一番大きいと思いますね。

―私は神保町のアジア映画というビデオレンタル屋でバイトしていたんですけど、たしかにベトナム映画は少なかったです。アメリカで作られたベトナム戦争ものが多かったですね。

北と南が一緒になったときに政府が南の映画を一掃してしまって、娯楽映画が作られなくなってしまったそうです。10数年前までは国産の映画、映画局が作っているものだけ。その後、規制緩和で民間の映画会社が作られ、世代交代も進みました。
ヴィクター・ヴー監督に伺ったんですが、映画学科は北のハノイにしかないと聞きました。
今や製作の中心は南のホーチミンなんですが、演劇学科があるくらい。独学やワークショップに行ったりして映画の道に進むんだそうです。
今は韓国のCJエンターテイメントが合作で娯楽映画や、韓国映画のリメイクも盛んにしているようです。多くの観客がシネコンで映画を楽しむようになっています。

―横浜が会場になったのは?

横浜で9月に「ベトナムフェスタin神奈川」というイベントがあるんです。日本大通りというところがメイン会場です。代々木公園のタイフェスみたいな感じに露店など出ています。こちらの共催企画でまず9月1日(土)から9月9日(日)までシネマジャック&ベティと、神奈川県庁周辺で特別上映やシンポジウムを行う予定です。
神奈川県庁本庁舎は古い建物なんですけど、そういう古い建物がいくつかそのまま残っているところです。中華街やスタジアムのすこし手前あたりです。その後、東京・大阪・名古屋の劇場でも巡回上映が決まっています。

―期間が長いですが、上映作品は何本になりそうですか?

それがだんだん増えてしまって、今13本の予定。交渉中のもあります。決定しているのは・・・

『ベトナムを懐(おも)う』グエン・クアン・ズン監督
1995年のニューヨークを舞台に、アメリカに移り住んだ3世代の故郷への思いを描いた家族の物語です。もともと戯曲だったそうで、主に室内が多いんですが、ニューヨークの雪景色も出てきます。88分ですが、セリフがぎゅっとつまっているので、短い感じはしません。
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『漂うがごとく』ブイ・タク・チュエン監督
監督は元映画局の方で、脚本のファン・ダン・ジーはトラン・アン・ユン監督のハノイ大学の教え子になるそうです。卒業制作の脚本を映画化したもので、けだるい感じの恋愛映画です。
ファン・ダン・ジーの監督作は去年の東京国際映画祭で上映された『大親父と、小親父と、その他の話』です。主演女優が『漂うがごとく』と同じドー・ハイ・イエンですね。
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『フェアリー・オブ・キングダム』ゴ・タイン・バン監督
“365daband”というアイドルグループが出演しています。残念ながら今は活動していないようです。ゴ・タイン・バン監督はベロニカ・グゥという名前でも世界的に活躍する女優でもあり、この映画でも継母役で出ています。ハリウッド映画の『スターウォーズ 最後のジェダイ』にも出ています。『The Revel 反逆者』では主演女優でアクションを見せています。
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『The Revel 反逆者』チャーリー・グエン監督
ベトナムのアクション映画の歴史を変えたと言われている作品です。監督の弟のジョニー・グエンがフランス側の手先の役です。ジョニー・グエンは『漂うがごとく』でも主人公を惑わす、謎の男役で出演しています。ベロニカ・グゥが女性レジスタンス役で、大活躍しています。
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―女性監督で、アクションもできる女優さんでもあるって頼もしいですね!

綺麗な方だし、もっと活躍すると思います。
あと、落合賢監督の『サイゴンボディガード』も上映します。
(ヴィクター・ヴー監督来日会見、ヴィクター・ヴー監督×落合賢監督対談はこちら
それから、ベトナム映画界の巨匠ダン・ニャット・ミン監督の『DUNG DOT』(『昨日、平和の夢を見た』というタイトルでアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映)の無料上映も行います。他はタイトルなど決まり次第お知らせいたします。

―今日本にはベトナムの方がどのくらいいらっしゃるんでしょう?

在留ベトナム人の数を調べたら、なんと!26万人超でした!
ベトナム人が31%増でブラジル、フィリピンを抜いて第3位。技能実習生も、3万人は平成26年の情報で、今は10万人を超えていました。

―わー、そんなに!! ほんとにコンビニや飲食店でたくさん外国の方が働いていますよね。『クジラの島の忘れもの』は10年前の設定で、コアさんは研修生でしたね。

当時はまだ研修制度が今ほど整っていないので、 森崎ウィンくんが演じたコアさんは、相当なエリートだったと思いますが、今の技能実習制度は少子化の日本で、人手不足を補うのが目的じゃないかと思ってしまいます。

―もっと待遇を良くしてあげてほしいですね。では映画祭の宣伝を。

映画祭では、ベトナム映画にはこんなにいろいろな作品があるんだというのを知ってほしいし、俳優さんや監督など顔や名前を覚えて帰ってほしいんです。たくさん作品を見ると、才能豊かなベトナム映画を感じられると思います。
また日本に仕事や勉強のために来ている方々が、ベトナムの映画で母国語を浴びて楽しんでいただけたらと思っています。ボランティアも募集しますので、応募をお待ちしています。
★作品紹介はこちらにも掲載します。

【インタビューを終えて】
もしかしたら15年以上のお付き合いかも~と、思い出話やほかの話に脱線してばかり。でもこんなお話も出ました。
―“上京してちょうど20年”の熊谷さんはどこに向かっているのでしょう?
いつか合作映画の製作やプロデュースができたらいいなぁ、と思っています。
―たとえばベトナムでその国のスタッフや俳優さんと映画を作って、そこで上映するってこと?
やったことないんですけどねー。
―何でも初めてから始まります。
そうですね。はい。頑張って実現させます!

熊谷さんの将来の夢を伺って私も楽しみが増えました。合作映画ができたら取材させてくださいねっ。
(写真・まとめ 白石映子)

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