『妻の愛、娘の時』 シルヴィア・チャン舞台挨拶付きプレミア上映

シルヴィア・チャン監督舞台挨拶付きプレミア上映&衣装デザイナー ワダエミさんとのトークショー
2018.7.3 YEBISU GARDEN CINEMA シネマ2

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左 ワダエミさん 右 シルヴィア・チャン監督

『妻の愛、娘の時』(原題 相愛相親)の公開を記念して、監督・主演のシルヴィア・チャンが7月に来日し、舞台挨拶と衣装デザイナー ワダエミさんとのトークショーが行われました。この作品は9月1日に公開されます。

物語
主人公フイインの母が亡くなり、田舎にある父の遺骨を都会にある母のお墓に移動しようとしたことから騒動が起こります。田舎で夫の帰郷を待ち続けた最初の妻ツォンや村人は遺骨の移動に大反対。フイインの娘ウェイウェイは自分の人生の選択に迷いつつ、強引な母親の行動に反発しツォンのもとを訪ね、良い解決はないものかと思案します。父の遺骨をめぐる騒動を3世代の女性の視点を通して描くこの作品。夫婦、親子、都市対田舎の対立、家族の歴史をユーモア込めて描き、最後は心にしみる物語になっています。
作品詳細 
シネマジャーナル作品紹介
『妻の愛、娘の時』公式HP

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(C)2017 Beijing Hairun Pictures Co.,Ltd.


張艾嘉(シルヴィア・チャン)監督プロフィール

台湾出身。台北アメリカンスクールを卒業後、73年にジミー・ウォング主演『いれずみドラゴン 嵐の決斗』で映画デビュー。『山中傳奇』(79)、『過ぎゆく時の中で』(88)、『フルムーン・イン・ニューヨーク』(89)、『恋人たちの食卓』(94)など数多くの香港・台湾映画に出演してきた。78年には映画製作にも進出し、映画監督・プロデューサーとしても活躍し、監督作としては『君のいた永遠』(99)、『20.30.40の恋』(04)、『念念』(15)などを製作、プロデューサーとしては『美少年の恋』 (98)がある。脚本家としても活躍している。

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左 2015年東京フィルメックスにて 右 今回の催しで

★女優、プロデューサー、監督として40年にわたり活躍するシルヴィア・チャン

『妻の愛、娘の時』のプレミア上映会が7月に東京・YEBISU GARDEN CINEMAで行われ、監督&主演を務めたシルヴィア・チャンが舞台挨拶に登壇した。7月に65歳を迎えたが、「ある程度の年になると、同じテーマの作品でもものの見方や解釈が変わってきます。私はすでにおばあちゃんですが、今回は家族をテーマにしていますので、世代と世代のギャップを埋める橋掛けを私なりにできるとうれしい。いつもそういう形で映画を作っています」と映画製作に携わる姿勢を語った。「おばあちゃん?」という言葉に場内がいっせいにどよめくと、「私の孫娘はもう13歳。長男は今年で38歳です。さらに、息子は3人」と語ると、観客はさらに驚いた。

●3世代の女性の想いをテーマに

シルヴィア・チャン:愛に対する考え方をポイントにしました。そしてお墓のことがひとつのポイント。3世代の女性を描く時、愛に対する思いを中心に考えました。
おばあちゃん世代は夫に合わせ、5,60台の私の世代は夫婦で考える。そして若い世代は自分のことを中心に考える。
この作品は平凡な家庭を描いていますが、平凡だからこそそこにある日常のディティールを丁寧に描きました。その描き方で皆さんに共感してもらえたと思います。
各世代の女性、それぞれの時代を生きて、それぞれの苦難や苦労があるけど、成長していく中で、いろんな関門をくぐり抜けて強くなっていきます。もう私もおばあちゃんになったけど、本当のおばあちゃんの気持ちはまだよくわかっていないかもしれません。でも少なくとも私が今まで体験してきた中で、若い人たちの気持ちを理解しているつもりでこの映画に描きました。

ポスターなど 今回の催し会場で
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下 2017年 東京フィルメックスで 台湾でのポスター?


●監督と主演、自分の演じるシーンのOKはどのように

シルヴィア:他の役者がいない時は、自分のシーンを撮れます。だめだしは自分でします。また、スタッフが「あのシーンは、ちょっと」と情報をくれます。それで撮り直しをしたりします。

●最近気になった映画は?

シルヴィア:是枝裕和監督の『万引き家族』が気になっています。非常に丁寧に愛を持って描いていて感動しました。この映画を観て複雑な心境になりました。「家族」は、血のつながりがなくてもいい。ひょっとしたら、血のつながりがない方がいい家族になるかもと思いました。

★途中でシルヴィア・チャンの誕生日&本作の日本公開を祝うため、親交の深い衣装デザイナーのワダエミさんが花束を持って登場。

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シルヴィアは『呉清源 極みの棋譜』に呉清源(張震=チャン・チェン)の母役で出演した際、同作の衣装デザインを担当したワダエミさんと親交を深めた。また同作監督の田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)が『妻の愛、娘の時』にシルヴィアの夫役で出演していることから、2人は彼の話題で大盛り上がり。

●田壮壮について

シルヴィア:『呉清源 極みの棋譜』出演の際にワダエミさんと仲良くなりました。この映画の脚本段階から、夫役は田壮壮監督の顔が頭に浮かんでいてオファーしました。田壮壮に連絡をし北京でゴルフをしたのですが、その時は切り出せなくて、次の日、再度電話をしてオファーしOKしてもらいました。
彼が登場することで、映画にリアル感、人物の情感、雰囲気など、一気に命が芽吹いたと感じました。彼はこれまで俳優としては、ワンシーンだけというような出演をしていますが、セリフがたくさんある役は今回が初めて。妻を優しく見守る役柄でこれがとても素晴らしく、役柄を気に入っています。本作出演後、俳優としての
オファーが殺到してるそうです(笑)。
彼は監督をしている時はシリアスですが、普段は気配りが出来る魅力のある人。若い女性にもとてもモテています(笑)。現場でもみんな彼のことが大好きになりました。でも映画の中では素敵な旦那さんですが、実生活でこの人を夫にしたらけっこう大変だと思います(笑)。


ワダエミ:『呉清源 極みの棋譜』で衣装デザインを担当しましたが、ふだんの田壮壮監督は本当に色っぽいんです。上目遣いで見つめられるとクラクラッときそう(笑)。実際の彼は、ほんとに知的な若い女性にモテるんです。
シルヴィアのの連絡先は知らないんですが、田壮壮が私たちの間を取り持ってくれて、彼に「シルヴィア最近どう?」と聞くと教えてくれます(笑)。

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●新作について
シルヴィア:マレーシアで撮影する新作「夕霧花園(原題)」(林書宇=トム・リン監督)では阿部寛さんと共演します。

●最後に
シルヴィア:日本では映画祭に参加したことはありますが、本日のように映画館で舞台挨拶をするのは初めで、とても嬉しく思います。私は映画の世界に入って40年仕事をしてきましたが、今は、ひとつひとつの作品がとても大切なものだと感じています。なぜかというと私の残りの時間は限られていて、映画を作ることができる機会が少なくなっていると思うからです。
映画を通じ、皆さんと交流できる貴重な機会を大切に、そして、この作品がみなさんに気に入ってもらえるととても嬉しい。

ワダエミ:娘のようなシルヴィアの新作、素晴らしいと思います。等身大の自分を見つめ直すために、ぜひ日本の皆さまにみて欲しいです。世界的に超大作やドキュメンタリー的な作品が多いなか、シルヴィアは彼女が持っている繊細で、愛のある世界を描いています。ぜひ、自らを問い直すためにも観るべき映画だと思います。


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9月1日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次ロードショー
取材・写真、まとめ 宮崎暁美






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