『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』  完成披露舞台挨拶

11月3日からの公開に先立ち、10月11日シネマート新宿にて、藤原知之監督、出演の矢野聖人さん(鯨岡太一)、武田梨奈さん(白石唯)、岡本玲さん(間柴望美)の完成披露が行われ、上映前に舞台挨拶がありました。
藤原監督から観客へのお礼の言葉に続き、映画についてのトークに入りました。

IMG_6789.jpg

矢野 ほかの仕事のためこんな髪色です。こんな太一は出てきません(笑)。20代のうちに舞台、ドラマ、映画の主演をするのが夢でした。この映画の主演ができて良かったです。

武田 クジラの映画を撮ることで、ただの青春映画だけで収めてはいけない作品だと思いました。私はこう思っている、と熱く監督に語ってしまいました。自信を持ってみんなで愛情をこめて作った作品です。ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。

岡本 和歌山出身で観光大使をしています。やっと和歌山の映画に関われました。お芝居で地元の歴史や人の温かさを伝えたいと思っていたので、単純に嬉しいです。

ー和歌山でのオールロケでしたね。

矢野 僕は初めての和歌山です。海と山、自然の溢れている場所でロケができて、気持ちものびのびできてよかったです。

武田 人もとても暖かくて、場所にも助けられました。仲良くなったきっかけが、ホテルの前にあるラーメン屋さんなんです。撮影の後みんなが自然と集まりました。

ー3人の関係性がほのぼのして素敵です。

岡本 同い年の91年生まれです。「盛り上げたいね」「頑張ろう」「いい作品にしたいね」という熱い思いはみんなにあって、ラーメン食べながら話しました。和歌山ラーメン、豚骨しょうゆ味で美味しいです。食べに行ってください!

矢野 へんに気を遣わないでよかったし、共通の話題もありましたし。

監督 最初の顔合わせでは3人ほとんど喋らなくて、大丈夫かなと思いました。

岡本 矢野君お洒落で、話しかけにくかったんです。

矢野 え~!(笑)

武田 住む世界違うね、って感じ(笑)。私たちのほうはジーンズとかでラフだったんです。

監督 矢野君はなんかマイケル・ジャクソンみたいな格好で(笑)。初めてのときもすごい格好だった。僕はチャライ若い役者嫌いなので、どうしようと思ったんですけど、話したら違ったのでよかったです(笑)。

ークジラの印象や撮影を通じての感想を。

bk1.jpg

矢野 生きものを扱うのはとても難しいとは思っていました。陸の動物ならまだ接しかたはわかるんですが、クジラは未開の地というか、どういう経験も役に立たない。クジラたちも人間っぽいところがあって、こちらが自信を持ってあたらないと、言うことを聞いてくれなかったり、遊びに行ってしまったり。それぞれの個性をわかった上で、接しないといけませんでした。

武田 言葉が通じない分、目や行動で示します。実際目を合わせると通じるところがあります。

矢野 今あんまりジャンプしたくないなとか、わかります。ぼくらクラスになると(笑)。

武田 普通は人間とクジラの1対1ですが、矢野くんは2頭引きといって、私のところに連れてきてくれるシーンがあるので、私とも息を合わせないとなりません。矢野君はクジラになりきってもいたんですよ。撮影前に合宿に行ったとき、先に入っていた矢野君が慣れていない私に「ぼくクジラ役やります」といってくれて(笑)。

矢野 変な人に思われました(笑)

ーでも太一くんはクジラ好きの役ですよね。

bk4.jpg

監督 実は脚本を書くときに心がけるのが「自然からまない、人数少ない、動物使わない」なんです。今回その3つが全部入っているんです(笑)。クジラは賢いのでよくやってくれました。フレーム外でサインを出して動くほかにアドリブもあるんですよ。雰囲気でわかるんですかね。芝居をしてくれたシーンが結構あったんです。役者さんは大変だったかもしれませんが、僕はスムーズに撮れました。

ークジラに癒されるシーンが多かったですね。

監督 梨奈さんの感情が出るようなシーンもクジラのアドリブだったんですよ。カメラを構えていたら勝手にやってくれて、すごいなと思いました。飼育員の人たちが見て驚いていました。

ー来館数を増やし、盛り上げるために、壁にぶつかりながら悪戦苦闘する姿が描かれます。みなさんにも多かれ少なかれあると思いますが、乗り越えたり、ストレスを解消するための秘訣は?

矢野 躓いたりし壁にぶつかったりしたときは、自分を応援する人、支えてくれる人を思い出します。そういう人たちがいるから頑張らなきゃ、もっと上に行かなきゃ、ここで躓いてる場合じゃないな、と自分を鼓舞します。自分を一度ゼロにする。リセットして乗り越えます。

武田 自分が一番落ち着ける場所、映画館に行って無になってみます。リセットしてモチベーションをあげて、頑張ろうと。なにかあると必ず映画館に行きます。左端が好きなんです。観終わって出てくるお客さまの顔を見ているのも好きです。

岡本 こないだ”滝行”に行きました。自分の甘さを考えたり、生まれ変わりたいと思ったりして。大雨の後だったのですごい水量だったんです。3回入って「私死ぬ!」と思うくらいでした。痛いのと息ができないのとで、滝にうたれながら号泣していました(笑)。私ってなんて弱い人間なんだ、とストンと自分の中に降りてきて「じゃあ頑張ればいいんだ!」と前向きになれました。自然の偉大さを感じました。

bk6.jpg

矢野 見出しに「岡本玲 滝行に」って(笑)。

武田 今度うちの道場(空手)に来なよ。いっぱい殴れるから(笑)

岡本 押忍(おす)!

ーストレス解消になりますか?武田さん。

武田 なります!

監督 僕は20代後半に奥義を見つけたんです。それは「全部自分のせいにする」。なんでうまくいかないか考えると、意外と自分の直接的な原因って1,2割で後は外的要因。「環境がよくない、タイミングがよくない、上司が仕事できない」とか。それを全部自分のせいだと考えると、自分がやることが見えて乗り越えられる。これは映画の太一にも通じる部分があるんです。太一は環境の問題や、みんなの問題を自分のこととして考える。それで解決してみんなと引っ張っていくんです。無理やりつなげてみました(笑)。

ーたしかに人のせいにしたところで解決はしませんね。

監督 そうですね。そこで愚痴しか出ないのでなく、具体的な歩みを考えれば簡単な話になります。

ーみなさん深いお話をありがとうございました。最後に矢野さんからお客様に見所も含めてひとこと。

矢野 この映画には和歌山の自然の美しさやクジラの可愛さもたくさんつまっています。僕はみなさんがそれぞれに、この映画から何か感じ取ってもらえたらと思います。
IMG_6780.jpg

この記事へのコメント