『きばいやんせ!私』初日舞台挨拶

2019年3月9日(土)有楽町スバル座にて、初日を迎えた『きばいやんせ!私』の舞台挨拶が行われました。

夏帆(児島貴子)、太賀(橋脇太郎)、愛華みれ(ユリ)、伊吹吾郎(牛牧猛盛)、主題歌を歌う花岡なつみ、武正晴監督、脚本家の足立紳が登壇しました。(敬称略)
作品紹介はこちら


IMG_8495.jpg

夏帆 今日お客様がいらっしゃらなかったらどうしようと心配していたんですけれども、こんなにたくさんの方に足をお運びいただいて嬉しく思っております。短い時間ですがよろしくお願いします。

太賀 (声援)ありがとうございます。約1年たってようやく皆さんにお届けできるようになって、ほんとに嬉しく思います。短い時間ですがよろしくお願いします。

愛華みれ 鹿児島弁が伝わるのか不安ですが、こうして久しぶりにみんなと集合して、たくさんのお客様にみていただけることに感激しております。今日スタートですので、よろしくお願いします。

伊吹吾郎 こんなにも大勢の人がお忙しい中、足を運んで下さいましてありがとうございます。南大隅町という本土の最南端のところなんですけど、ほんとに風光明媚な、静かで穏やかな自然いっぱいのいい町です。撮影できたことを喜んでおります。私は時代劇が多いんですが、こうした憎まれ役を演じられたのも嬉しく思っております。

花岡なつみ 主題歌を歌わせていただきました花岡なつみです。 今日は緊張していますがよろしくお願いいたします。(なっちゃーん!と声援)

足立 脚本の足立と言います。こんなにたくさんの方々に映画を観ていただけてほんとに嬉しいです。僕もさっき監督と一緒に観ていて「すげーおもしろかったな(笑)、良かったな」と思っています。ありがとうございます。

武正晴監督 今日は朝からありがとうございます。お客さんと一緒に映画館で見るのはいいなぁと。作った映画がみなさんのおかげで力強くなったような気がいたします。今日はどうもありがとうございます。

-まずはひとことずつみなさまからご挨拶をいただきましたが、ここからは撮影中のエピソードなども含めて、もう少し詳しく伺っていきたいなと思っております。
それでは主人公の貴子を演じた夏帆さんから、演じて、また南大隅町の撮影いかがでしたでしょうか?。


IMG_8489.jpg
夏帆 足立さんのオリジナルの作品なんです。貴子という人物をすごく魅力的に書いて下さって、私が映画の中でどこまで体現できるのか、プレッシャーを感じていました。とにかく演じていてすごく楽しかったです。くだをまいているところとか、演じていてどんどん快感になっていく(笑)。言葉のチョイスも面白いですし、可愛いだけじゃなくてちょっと毒のある彼女がすごく好きです。

南大隅町は今回初めて行ったんですけれども、空港から遠いしお店もないし、ここに3週間いれるのかなっていうのが、最初の正直な感想だったんです(笑)。実際滞在していて、すごく自然豊かですし、土地の力というのをすごく感じていました。何もないからこそ、シンプルに作品に向き合える時間が取れたのが貴重でした。撮影が終わる頃には南大隅町という町が大好きになりました。

-太賀さんは同級生役で、畜産業のお仕事をなさっているということでした。お祭りのシーンであの大きな鉾を持ってらっしゃって、観ているほうも力が入ってしまうようなシーンがございました。

IMG_8486.jpg
太賀 あの鉾すごく重かったですね。何キロあるんですかね?
撮影当日雨が降って、鉾の旗が雨でより重くなったんです。練習の時から南大隅の地元の、実際にお祭りをやられている方々にとても丁寧に指導していただきました。撮影中もずっと横につきそっていて下さったんです。やっぱり地元の方々の支えが力強くて、実際ほんとに耐えかねるくらい重くてしんどかったんですけど、みなさんに背中を押していただいて、とても気合が入った撮影でした。

-続きまして愛華さん。みさき食堂の店主ユリを演じてらっしゃいました。ご出身地の南大隅町の撮影ということで、感情もぐっと入ってしまうんじゃないかなぁと思うんですが、いかがでしたか?

IMG_8459.jpg
愛華 今あらためて夏帆ちゃんがあの町の良さをお話くださったのほんとかなと(笑)。不安に思いながら「次もう来ないでしょ?」って聞いたら「自分の力では行けません」と(笑)。どんなことがあってもみんなで引き連れてまたあの町に行きたい。私は個人的に看板でも作ろうかって言ってたくらい(銅像って言ってたよとつっこみ)。
太賀くんたちのあの鉾は持てないだろう、と吹き替えするのかどうするのか心配しておりましたが、見事に担がれて。しかも人知れずやっていた知られていないお祭りが、こうやって日の目を浴びて「武監督が来た!」っていうだけで、町はもうすごい熱気で。今もこの思いが全国にどうやって伝わっていくんだろうと思って力が入りそうです。
太賀くんたちが見事に(鉾や神輿を)持ち上げて、あれは1300年ごと持ち上げているんだなと思うと、演技ではない涙があふれ出します。監督がその思いをくんで、足立さんがお世辞を入れるでもなく、町の良さを語ってくださいました。
皆さん、遠い~とは思うんですけど、昔はハネムーンで行った町だとうかがっているので、次はフルムーンでいかがかなと思っています(笑)。よそ者がきても受け入れるし、困った人は見捨てないという、みんなウェルカムですので、皆さんこの映画をたくさん観て南大隅町ごと広めていただければと思います。

-牛牧会長を演じられました伊吹さん、今回鹿児島弁の台詞が地元の方なのかと思うくらいでした。

IMG_8462.jpg
伊吹 どこにでもいる、何を決めるんでも口を出してしまうのが牛牧の役どころです(笑)。何を反対しても夏帆さんが立ち向かってきて、反対する理由が何もない、と成功をおさめていく。お祭りを再現をするのは大変な作業なんです。実際にあることを積み重ねてやっていくので、太賀くんが棹(鉾)を持ち上げて・・・あれは触ってはいけないところがあるんですよ。よくぞあれを持ち上げて振り回したなと。そしてまた、あの神輿もあの道をよく担ぎ通したな、と見ていてびっくりしましたよ。涙が出るほど嬉しかったですね。

そして鹿児島弁(笑)。西郷隆盛でもやったことがあるんですけど、方言っていうのは芝居以前にプレッシャーがかかるものなんです。一つ出てこないと次も出てこないんです。意味はわかるんですけど、言葉が出てこないので何回かNG出しました。でも小気味良さが後に残る作品です。みなさん、宣伝よろしくお願いいたします。

-主題歌を歌った花岡さん、映画をご覧になったご感想と貴子にどんなイメージをお持ちになりましたか?

IMG_8463.jpg
花岡 夏帆さんが演じてらっしゃった貴子が、どん底の状態から御崎祭を復活させる熱意とか、ばらばらだったみんなを一つにまとめようと奔走する姿にとても感動しました。貴子は最初プライドが高くなげやりな性格だなぁという印象だったんですけど、祭りを復活させるために様々な問題に立ち向かっていく。本気になって立ち向かっていく姿にかっこいいなって思いましたし、自分に正直に生きている姿がとても素敵な女性だと感じました。

-足立さん、原作はオリジナルということですが、どこから発想が生まれたのでしょうか?

IMG_8465.jpg
足立 最初にプロデューサーから「鹿児島に御崎祭りというのがあるんだけど、それをモチーフにした映画を作りませんか」と誘われて、それが千何百年か続いているということだけで撮影の1年前に、その祭りを見に行きました。不勉強のまま行ったんですが、ものすごく正直にいうと「こうやって祭りって消えていくのか」と思った(笑)部分がありました。
もともと夏帆さんが演じていたような「生きのいいキャラクター」を書きたいという気持ちがずっとあったんです。この町にこういうキャラクターを放り込んでいったら楽しい映画ができるんじゃないかと思って。祭りは神事なので、派手にわいわいやるようなことではないと、重々わかってくるんですけど、そういうずっと書きたかったキャラクターをこの町で暴れさせるような、物語を作ってみたいなと台本を書きました。

-武監督、撮影中のエピソード、足立さんとのタッグをくんだ映画作りなどをお聞かせください。

IMG_8485.jpg
武監督 父が鹿児島出身なんです。偶然こういうお話をいただいて「ああ、一番はじっこの」と。あだちさんがシナハン(=シナリオハンティング)から帰ってきたときに「どうだった?」と聞いたら「お神輿、トラックで運んでましたよ」って(笑)。それ、そのまんま台詞にしたらいんんじゃないの?って、そこから始まった映画です。よく南大隅の方々がシナリオ読んでやらせてくれたな、と(笑)。ああいう役場の人もああいう町長もいないんですけど、何かああいうコミカルなおおらかなのが出せないかなと。1300年もやっているお祭りを2月にやったばかりなのに、我々の撮影は3月。あんな大変なお祭りをまた?と思ったんですが、町のみなさんのご協力をいただきました。

夏にあの山道を見たとき足が震えました、ほんとに。ここを神輿を担いで降りていくのは何の意味があるんだろうと思いましたね(笑)。意味じゃなくて、やはりいろいろ継承していくこと意義があるってことがわかりました。足場もね、どういう風に降りていくか、その階段も昔の人が作ったと聞きました。おかげで我々も撮影を乗り切れたと今日観ていても思いました。

後はもう俳優部のみなさまが合宿生活の中で。夏帆さん、太賀くん、天音くんもね、天音は泣きながらやってましたから、ほぼドキュメンタリーです(笑)。あの坂を下りてるときだってみんな標準語に戻ってましたよ(笑)。「危ねーぞ!」「危ない危ない」「はい、大丈夫です!」とか(笑)。でもそれでいいのかな。
あそこで足滑らせないでくれ、と思ってました。急に雨が降ってきたりしてね。でもお祭りっていう儀式は雨が降ろうが続けていく。僕は雨が降ってくれて良かったなと思ったんですが、俳優の皆さんは大変でしたでしょうけど(笑)。ああいう自然の力を映像にできた。協力してくださった地元のみなさんが生き生きと、俳優には出せないような表情だとか、そういうところも映画の力となったと思います。観ていて非常に感動しました。

-まだまだお話を伺いたいのですが、お時間がせまってまいりました。最後に夏帆さん武監督からお客様にひとことを。今伺ったばかりですが、武監督お願いいたします(笑)。

武監督 そんなに大きなことが起こる話ではないんですが、神輿をかつぐというのをどういう映画にしようかとプロデューサーと考えて始まった映画です。そこにこの素晴らしいキャスト陣が賛同して、町の方々が協力してくださって。この映画が今度はどのように縁もゆかりもないみなさんのところに届いていくのかな、と楽しみにしております。どうぞ今日観ていただいたみなさんのお力を借りて、日本全土だけではなく、外国も含めて広げていっていただければ映画の力になると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

夏帆 この作品は南大隅町という町で撮影させていただいたんですけど、ただのご当地映画の枠に収まらない、貴子という一人の女性の成長物語としても、とても力のある作品だと思っております。観てくださる方の背中を押せるような、そんな作品になっていれば幸いです。本日はほんとにありがとうございます。

(書き起こし・写真 白石映子)

この記事へのコメント