『サイゴン・クチュール』グエン・ケイ監督来日イベント

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『サイゴン・クチュール』
1969年のサイゴン。代々続くアオザイ仕立屋の母と対立、60年代の洋服にこだわる娘・ニュイが21世紀にタイムスリップ。変わり果てた自分と寂れた店に驚愕。自分の《人生》を変えるべく奔走するファッション・ファンタジー。1人の女性の成長を鮮やかに描いた、女性が元気になれる【ビタミンムービー】。
★2019年12月21日(土)より全国順次ロードショー
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2019年11月11日(月)笹塚ボウルにて、ベトナムから来日されたグエン監督を囲んでのイベントが開催されました。
グエン監督は深い黒地に色とりどりの花を散らしたアオザイで登場しました。ゲストにベトナムで活躍中の落合賢監督、歌手の野宮真貴さん、俳優のデビット伊東さんを迎えてのトークと、華やかなアオザイのファッションショーが行われました。
司会は映画ライターの新谷里映さん。通訳は秋葉亜子さん。

1960年代を舞台にした映画を製作した理由について、グエン監督「1960年代は素晴らしいことがたくさんあった希望に満ちた時代でした。そんな時代をとても愛しているからです」と回答。
元々の脚本は姉妹の設定だったのが、母と娘のストーリーに変更になったことなど製作中の裏話を明かしました。
アオザイをはじめとするファッションをデザインしたのは、プロデューサーも務めたトゥイ・グエン。デザイナーである彼女から、「フランスの植民地時代の象徴である花柄のタイルや、1960年代の象徴である水玉模様をアオザイのデザインに取り入れたいと提案されたんです。彼女のおかげで現代的でありながらもレトロな雰囲気を持つ、素晴らしい衣装となりました。嬉しいことにこの映画をきっかけにアオザイを普段から着る若い人たちが増えたんです」と笑顔で語りました。

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第1部の終盤には、ベトナムで映画を製作、『サイゴン・ボディガード』、『パパとムスメの7日間』などヒット作を送り出した落合賢監督が登壇しました。お二人はこれが初対面でしたが、グエン監督が落合監督の2作品を観ていること、お互いに共通の友人がいることがわかりお話がはずみました。
落合監督はベトナムの印象を「エネルギーに満ち溢れている国。どの人もフレンドリーで仕事がしやすい」と語り、『サイゴン・クチュール』については「特に美術と衣裳について色使いが印象的でした。どのようにアプローチされましたか?」と質問。学生時代美術を専攻していたというグエン監督は「1960年代はポップな色使いをする時代でした。また、ベトナムのような熱帯の場所はトロピカルカラーが映えるんです」。
アオザイを何着お持ちですか?の問いに、「3着です。イベントや結婚式に着ます。昔はアオザイを男性も着ていてとても素敵でした。この映画の2ではアオザイと背広の葛藤部分を。3では京都を舞台に描く予定です」と続編の話題にもちょっと触れました。60年代のアオザイや最先端のファッションまで、映画のために用意されたたくさんの衣装は231着にも上ったそうです。

トークショー第2部には、90年代の渋谷系と呼ばれていた“ピチカート・ファイヴ”のボーカル、今はソロのミュージシャンの野宮真貴さん、ベトナムで俳優も経験、今年ホーチミンにラーメン店を出店したデビット伊東さんが登場しました。
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作品についての感想を野宮さん「とてもカラフル、キュートでポップ!まさにピチカート・ファイヴで着ていたような60年代のお洋服、ベトナムの民族衣裳のアオザイもたっぷり見られますし、久しぶりにワクワクするような楽しい映画でした」。ベトナムを訪ねたおり、オーダーメイドでアオザイを含めて10着くらい作られたそうです。「見本を持って行くと滞在中にできるんです。ベトナムは人が優しいですし、食事が美味しいですし、買い物も楽しいですし…」とベトナムの魅力も。
デビット伊東さん「とにかくカワイイ映画。映画の中で主人公の母親が「基本を大事に」と言うんです。僕はあの言葉が大好きで。どんな業界でも基本を大事にすることで新しいことに進めます。監督、あれはどこから来たんでしょう?」と監督に質問。

グエン監督「私の祖母や母がよくそう言っていましたので、私もそれを映画で使いました。アオザイは、だんだん着られなくなっていましたが、嬉しいことにこの映画で”アオザイってカワイイじゃない"と思ってもらえました」。
デビットさんのお店に友人を引き連れて伺います、と約束した監督、野宮さんに「第3作目は京都を舞台にする予定なので、野宮さんには一番良いアオザイを10回くらい着替える役で出て欲しい。すごく似合うと思います」と今からオファー。野宮さんも「ステージで10回着替えたことがあります。着替えは得意です」と、嬉しそうです。

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イベント終盤には、本作のコスチュームデザインを担当したテュイ・グエンによるブランドTHUY DESIGN HOUSEの革新的なファッションをお披露目するスペシャルファッションショーも開催。華やかなアオザイ姿のモデルさんが次々とランウェイならぬボウリング場のフロアを歩きます。作品のテーマ曲をバックにベトナム人ダンスグループ9Flowersが、元気いっぱいのダンスで会場を盛り上げました。
(資料提供:ムービー・アクト・プロジェクト 取材・写真:白石映子)

グエン監督インタビューはこちらです。

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