映画『静かな雨』公開記念舞台挨拶

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でんでん、仲野太賀、衛藤美彩、中川龍太郎監督、宮下奈都(原作者)

2月8日(土)シネマート新宿にて『静かな雨』の中川龍太郎監督と出演者による上映後の舞台挨拶が行われました。まず、朝早くから観に来てくださったたくさんのお客様にお礼を一言ずつ。MCさんとのQ&Aに移ります。


―今のお気持ちはいかがでしょうか?

中川監督 宮下さんが書かれた美しい原作を初めて読んだのが1年前のことになります。1年経ってこの映画の最初のお客さまに、皆さまになっていただけて非常に嬉しいなと思っています。初めて原作がある作品を作ったので、最初は不安もあったんですけど、この素晴らしい仲間や先輩方に囲まれて作れたので、ここに立てて光栄だなと思っています。

衛藤美彩 映画の初主演というこのオファーをいただいたときには、不安のほうが大きかったんです。まだグループ(乃木坂46)在籍中でしたし、調整して撮影に臨みました。監督がおっしゃったように、素敵なキャストの皆さまとスタッフの方々に支えられました。それから約1年経って、今日皆さんに見ていただけて…ここまでの過程が全部初めて、こんなに嬉しい気持ちになったのも初めてです。とても嬉しい気持ちでいっぱいです。

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仲野太賀 観てくださった衛藤さんのファンの方にお叱りを受けないかなとちょっと怖気付いています。w
衛藤さんとご一緒するのは初めてですけれど、中川監督と2度目です。素晴らしいキャストの皆さまとスタッフの方と作り上げた、濃密な時間が刻まれた映画になっています。どういう風に皆さんの元に届いて、どういう風にこの映画が広がっていくのかなって興味もあって楽しみです。なんかこう、大丈夫でしたか?(笑)本当に嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいです。

でんでん 僕はこの映画をテレビ(DVD)でしか観ていないんです。寝転びながら見ていたんです。無言のシーンがものすごく多いんですよね。耳が遠くなったんじゃないかと(笑)思うくらいでした。太賀くんと衛藤さんのキメの細かい芝居が、同じ役者から見ても素晴らしいなと思って見ていました。新藤兼人監督の『裸の島』を彷彿させるようなシーンもありましたね。とっても静かな、淡々と流れる映画の中で、細かい感情の起伏なんだけど、太賀くんと衛藤さんが上手に演じているのを見て、共演者としてもちょっと痺れた映画でもありました。監督には「どうも呼んでいただいてありがとうございました」(笑)

―ほぼ1年前の撮影だそうですが、振り返ってみて現場の雰囲気やエピソードを。

中川監督 自分としてはこのお話は一種のおとぎ話だと思うと同時に、メインのキャストに関しては年齢の近い人間でこの物語を作りたいなと思っていました。将来、先行きが見えない中で、走り出したくても走れない行助と、未来に進みたくても過去に戻ってしまう、ここでしか生きられないこよみの寓話というかおとぎ話を作ろうと取り組みました。なかなかどこをとっかかりにしえいいか苦しんだのが、本当のところでありました。
そういう意味では、現場で自分と太賀がぶつかるというか、気まずくなることが結構あったんですけど(笑)、衛藤さんがめちゃくちゃ空気が読める人で、読んでくれたんじゃないかな。(笑)
衛藤さんがいなかったらもうちょっと現場の空気が暗かったかもしれないです。

仲野太賀 めちゃくちゃ喧嘩してるみたいじゃん。(衛藤:喧嘩のシーンは見てない。でんでん:カメラオフではあったかもしれんけど)

衛藤美彩 私今日でんでんさんと「初めまして」なんです。

でんでん (一緒のシーンがなくて)現場では全然会ってないもんね。

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衛藤美彩 そうですね。映画と全然違うねって言われました。
私は太賀さんとのシーンが多くて、年齢も同い年で、ねっ?(笑)想像していたよりも気さくで、カメラが回っていないときでもたくさん話しかけてくださったりして、私も緊張がほぐれて楽しく撮影できたかなと感謝しています。

太賀 僕も感謝しています。確かに、中川監督とは同世代でもありますし、意見交換で激しめのディスカッションがあったかも、しれないんですけど(笑)、衛藤さんが現場を明るくするパワーを持っていて、衛藤さんが現場に来るだけでみんなが明るくなるという。本当に助けられましたね。ありがとうございます。(二人してお辞儀)

中川監督 衛藤さん、本当にいい人。現場にご飯を作って来てくれたりね。無限ピーマンとか作って来てくれましたね。

仲野太賀 衛藤さんに支えられましたね。

衛藤美彩 ありがとうございます。

でんでん そんな衛藤さんと一度もからめなくて、ちょっと残念なんですけど。(笑)
僕と太賀くんはここ2,3年よく仕事しているよね。(太賀:そうですね)CMでも一緒だったし。なんとなくいい感じだと俺は思っているんだけど。(笑)

太賀 僕も思ってます。(笑)

でんでん で、なんとなくほんわか~な感じで二人お芝居していたと思うんだけど。そういえば中川監督てんぱってたね。(笑)今思い出した。

中川監督 でんでんさんに相談しましたよね。緊張しないように、アドバイスいただいたりしました。

でんでん あ、そう?(笑)アドバイスするの逆じゃないの?楽しかったよね。俺はね。2,3日のお仕事だから。見てわかるように。ほんと、赤いマフラーが似合うなと思ったね。恥ずかしかったんだけど、あれ。

―はい、みなさま、素敵なエピソードたくさんありがとうございます。

仲野太賀 バッサリ行きますね。(笑)

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―次の質問させていただいてよろしいでしょうか?
仲野さんに伺います。今回クランクインの前に取り組んだことなどあったでしょうか?


仲野太賀 僕に限らず、だったと思うんですけど、クランクインの何ヶ月か前からワークショップみたいなのをしましたね。衛藤さんと。

衛藤美彩 はい、しましたね。2,3か月前。

中川監督 月に1回か2回ずつやりました。

仲野太賀 現場に入ってしまう前に衛藤さんとの関係性とか、一緒にいて居心地がいい、お互い気を使わないような空間を作ることで、衛藤さんとワークショップをしたり。あと監督やスタッフのみなさんと今ある脚本をいかに前進させるかとか、よりいいものにするためのディスカッションにすごい時間をかけた気がします。

―ありがとうございます。では、衛藤さんに伺います。こよみは鯛焼き屋という設定ですが、あの屋台はセットだと伺いました。そこでぜひ鯛焼きエピソードを教えてください。

衛藤美彩 鯛焼きエピソード?鯛焼きを一人でパチンコ屋さんの横で焼いてる女の子っていないんです…

中川監督 どんなに取材しても出てこなかったですね(笑)。

衛藤美彩 1丁焼きっていうのがあるのも知らなくって。なので、今回監修していただいたお店に行って、1週間くらい行って仕事が終わってから実際に教えていただきました。監督も何回か来てくださって。ほんとうにずっとそこで働いている人に見えるようにたくさん教えていただきました。たくさん失敗したりもしたんですけど、最後はきれいに焼けるようになって、それを現場のセットで美術さんが同じように作ってくれたので、とても焼きやすかったです。
映画の中で食べているものは、私が実際に焼かせていただいたものもあって、それを太賀さんがすっごく美味しそうに食べくれて(笑)。何個?たくさん食べましたよね?

仲野太賀 たっくさん食べました。

衛藤美彩 たくさん食べるんだけど、いつ食べても初めて食べたときの美味しい顔をしてくれて。

仲野太賀 ほんと美味しかったんです。

衛藤美彩 良かったです。その姿に励まされたというか、本当に作っているかたはこういう気持ちになるんだなって体験させてもらいましたね。

―心がほっこりするエピソードをありがとうございます。スペシャルゲストがお見えになっていますのでお呼びしましょう。本作『静かな雨』の原作者、宮下奈都さんです。(拍手)公開日であります昨日2月7日は仲野太賀さんの誕生日(27才)でした!

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宮下奈都 お誕生日おめでとうございます。(花束を贈呈)

仲野太賀 ありがとうございます。なんだか受賞したみたい(笑)。

中川監督 どうでしたか?作品を観ていただいて。

宮下奈都 はい。手触りがザラザラだったり、ツヤツヤだったり、本当にいい映画で。「ゆきさん」って呼んだ衛藤さんの声で、ゆきさん(行助)の世界が立ち上がった気がして、ほんとにこよみさんの目と、行助さんの目が同じ色で、すごくよかったと思いました。すごく嬉しかったです。(拍手)

ここからフォトセッション

―ではお別れの挨拶をでんでんさんから

でんでん では「お別れの挨拶」を(笑)。ほんと月並みなんだけれど、口コミでよろしくお願いいたします。こういうことはなかったかと思いますが、朝いちばんの上映で睡眠不足で眠られた方、もう一度見直してください。(笑&拍手)

仲野太賀 みなさん、観に来てくださってありがとうございました。ちょうど一年前に作った映画なんですけれど、中川監督と素敵なキャスト・スタッフのみなさんとご一緒できたのも嬉しくて。宮下先生の原作が素晴らしくて、それを映画化するときにいかに、なんだろな、「顔に泥を塗る」じゃなくて(笑)、塗らないように、丁寧にやっていこうと思いました。映画化するときに、また違う要素、音楽的な要素、ほかの要素も含めて最終的に中川監督の作品になればいいなと思ってやっていました。
僕としては中川監督の新しい作品の一つになったと思いますし、衛藤さんの輝かしい初主演作になっているんじゃないかと思っております。今日はほんとにありがとうございました。これでお別れの挨拶とさせていただきます。(笑&拍手)

衛藤美彩 一年前にお話をいただいて撮影して、今になるまでの過程で、映画っていいなって。個人的にすごく映画界の魅力に自分自身もどっぷりつかってしまいそうなくらい、このお話も大好きですし、この作品をこれからたくさんの方に観ていただけるんだということがすごく嬉しいです。行助とこよみは、この作品の中で毎日を丁寧に生きていて、そういう姿は私自身も原題を生きるにあたって考えさせられます。みなさんの心の中にこの『静かな雨』の優しい物語が少しでも残ったら嬉しいなと思います。何度も観に来てほしいです。今日はありがとうございました。(拍手)

中川監督 宮下さんの素晴らしい小説があった上で作らせてもらったわけですが、いろいろ自分も初めてのことが多くて、一番苦しんだ作品でもありました。そういう中で、今日来てくださっている太賀さん、衛藤さん、でんでんさん、そのほかほんとに素晴らしい人に恵まれてこの作品が、生み出せたのでぜひこの作品が広まってほしい。届くべき人に届いてほしいと思っている次第です。ぜひ周りの方とか、ご自身にとって大切な人に少しでも気に入っていただけたら。
率直な感想を、僕の所属している東京ニューシネマという会社にメールでください。必ず見るようにしています。ご連絡いただけたら嬉しいなと思います。今日はほんとうにありがとうございました!(拍手)

宮下奈都 原作を書いているときには無意識だったんですけど、今回この美しい恋愛映画を観て「恋愛って、その外側で人がどう生きるかっていうことだったんだな」と知りました。ほんとにいい映画になっていて感激しました。ありがとうございました。(拍手)

ほぼ書き起こし。(まとめ・写真 白石映子)
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