仲間たちとアイドルを熱く追いかけた「あの頃」は人生の宝物
2月3日、映画『あの頃。』(2月19日公開)の公開直前イベントが東京・スペースFS汐留で開かれました。
2000年代初頭、「ハロー!プロジェクト」のアイドルたちに夢中になったオタク仲間と「恋愛研究会。」を結成し活動していた劔樹人の自伝的コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」を映画化したもので、イベントには原作者の劔樹人も駆けつけました。
サプライズで、モーニング娘。OGの藤本美貴が登場すると、はしゃぐ出演者たちと対照的に、緊張して固まってしまった劔さん。
出演者たちが、「こんな青春を送りたかった!」というほど熱く楽しい時がよみがえるひとときでした。
イベントの様子を、ほぼ書き起こしましたが、当日生配信されたものが youtube で見られます。ぜひご覧ください。 (報告:景山咲子)
日時:2月3日(水)13:00~13:30
会場:スペースFS汐留(港区東新橋1-1-16 汐留FSビル3F)
登壇ゲスト:松坂桃李(32)、仲野太賀(27)、コカドケンタロウ(42)、原作・劔樹人(41)
サプライズゲスト:藤本美貴(35)
MC:奥浜レイラ
◆原作者・劔樹人が劇中で松坂桃李が着た赤いジャンパーで登壇!
松坂:今日は皆さまお集りいただきありがとうございます。生配信をご覧の皆さま、こんにちは。今日は最後までよろしくお願いします。
仲野:たくさん楽しい話がたくさんできればと思っています。どうか最後までお付き合いください。
コカド:ロッチというお笑いコンビのコカドケンタロウといいます。お邪魔します。よろしくお願いします。
劔:原作を書かせていただいた劔と申します。緊張しておりますが、よろしくお願いします。
MC:劔さん、今日のお衣装、もしかして松坂さんが劇中で?
劔:松坂さんが劇中で実際に着た、僕が大阪に住んでいた時に着ていた服。
MC:一回松坂さんのところにいって戻ってきたのですね。
劔:クリーニングしていただいたので、非常にきれいになっております。
松坂:(笑)
コカド:クリーニングしなかった方が良かったんじゃないですか? 松阪さん着たのに。
劔:そしたら価値が出ちゃって、町に着て歩けなくなるじゃないですか。
◆撮影現場に足繁く通った原作者
MC: 本作、原作が劔さんのご自身の経験をもとにしたコミックエッセイ「あの頃。 男子かしまし物語」で、映画をご覧になった方から、劔さんと松坂さんがどんどん重なって見えたという意見が多いのですが、松坂さん、リアリティの追求、どのようにされたのですか?
松坂:いや~ ありがたいことに現場に劔さんが結構いらっしゃってくださって、スタッフさんと談笑している姿や、おひとりで現場を見守っている佇まいですとか、ちょっとした日常のニュアンスを垣間見ることができたのがよかったのかなと思うんですけど。ほんと、結構来てくださったので緊張しましたね。
MC::あんまり原作者の方が現場に足繁く通っているというのは聞かないですよね。
松坂:僕の中で経験がなかったので、こんなに来てくださるんだと、すごく嬉しい反面、緊張もありました。
MC:劔さん、現場の松坂さんをご覧になっていかがでしたか?
劔:いや、僕、ほんとに暇な人で、「明日も来ますか?」とみんなに言われるので、「あ~明日も来ます」という感じで。現場で、松坂さんが楽器を弾いているシーンでカメラのテストをしていてピントがぼやけた時に、昔、こんなだったと思う瞬間があって、これを話すと、皆に何言ってるんだって言われるんですけど。ほんとに思ったんですよ。その時のインパクトがあって、出来上がった映像を観たら、僕のことをいろいろ観てくださっていたんだなとわかりました。
松坂:とんでもないです。
◆コカドケンタロウの演じた役柄にお姉ちゃんが大反響
MC:ほかの恋愛研究会。の方も現場にいらっしゃっていたのですよね。
劔:おかしいですよね。大阪に住んでるのに来てるっていう。
仲野:僕の実際のモデルの方は他界されているので・・・
コカド:ほかの方はほぼ全員来られていたのですけど、僕が演じさせてもらったイトウさんだけは来られなくて。
劔:イトウさんは最近大阪で家を建てられたばかりなので忙しかった。
コカド:この間、ツイッターでメッセージいただきました。イトウさんから「遅ればせながら演じていただきありがとうございます」みたいな。
イトウさんがやってる「赤犬」というバンドのことを、二個上の大阪芸大だったお姉ちゃんがずっと好きで、名前を聞いてて、部屋で音楽かけたりしていて、イトウさんが後から入ってメインボーカルになったって存在は実は知ってたんです。
松坂&仲野:へ~ 知らなかった。なんで今まで黙ってたんですか? ひた隠しに・・・
コカド:監督とかだけには言ってた。お姉ちゃんに一番初めに連絡したの。「こんな役やることになったんやけど」って言ったら、お姉ちゃんがほかのお笑いのどんな仕事もリアクションせえへんのに、「すごいね~」って言ってきて、「赤犬のメンバーの人やるのん?」みたいな。
松坂&仲野:知らなかった。今の今まで。
◆豪華すぎる再現映像だ!
MC: 劔さん、恋愛研究会。の皆さん、映画についてどんなお話されてますか?
劔:ロビさんだけは劇場で観るってきかなくて、まだ観てないんですけど、あとはみんな観ていて、例えば西野さんは「豪華すぎる再現映像だ」って言って喜んでました。
MC:ご本人たちから感想もらえるのは嬉しいですよね。
仲野:嬉しいですよね。冷や冷やする部分もありますよね。自分たちが冷や冷やする以上に、皆さん、現場に来られた時の存在感がすごかったじゃないですか。
松坂:本物感っていうか、本物なんですけど、物真似で歌っている後ろにご本人登場ですっていう、歌っている本人からしたら、いや~ヤバイ本物来ちゃったっていう感じ。
コカド:一般の人のはずやのに、みんな、ちょっとおかしかったですよ。西野さん、普通に控室に座ってて、皆、挨拶して、西野さんずっとそこにいて。
仲野:僕たちの控室で撮影して戻ってきたら、西野さん、まだ座ってて・・・
劔:皆、怪人感がすごいですよね。
「怪人か・・・」と、うなずく3人。
◆こんな青春送ってみたかった! 楽しかった撮影現場
劔:コズミンは亡くなってるけど、弟さんが観て、実は家族の前ではすごくおとなしいお兄ちゃんだったって
「へ~」と驚く3人。
劔:こんなに傍若無人だったのかってびっくりしてました。
仲野:やりすぎたかなぁ~
松坂:新たな一面を知れたんじゃないですか。
劔:ほんとに傍若無人だったんですよね。
MC:ほんとに元の方々個性的なのですね。どれくらいやったらいいのか再現するのが難しかったのではないですか?
仲野:難しいっていうより、普段の自分の日常から考えたら、こんな青春送ってみたかったというのもあるし、もっと伸び伸びやっていいんだっていう、本人がそれこそ怪人というかスケールが大きかったので、演じててすごく楽しかった。
松坂:過ごし方がある種憧れというか、ご本人たちが僕たちが想像する以上のリミッターを持っていたので、どれだけやってもリミッターに届かないみたいなところはありましたね。
MC:コカドさんは今回映画初めてご出演でいかがでしたか?
コカド:すごい楽しかったです。こんなに毎日現場に行くのがワクワクすることなかったですよ。簡単な言葉でいうと、青春だなと思いながらやってました。みんなでわちゃわちゃしてね。
松坂:楽しかったですね。
仲野:居心地よかったですね。
コカド:最後の方なんて、撮影の合間に太賀君とか若葉君とかギター弾いて歌ってなかった?
仲野:歌ってたかもしれない。部屋の片隅にあったのをポロンポロンやってた。
松坂:松浦亜弥さんのこの曲のコード、めちゃくちゃカッコいいんだよと言い出したりして。
コカド:学校終わって放課後誰かの家で集まった感じでしたね。
◆フミの日にちなんで劔さんから手紙
MC:気の置けない仲間と、大人になってもこんな風にしていたいなと思わせてくれる映画でした。今日、2月3日はいつもなら節分。今年は124年ぶりに2月2日が節分でしたが、2月3日はフミという語呂合わせで絵手紙の日でもあるのですが、劔さんから皆さんにお手紙を書いてきていただきました。
松坂:すごいじゃないですか!
劔:皆さんに書かせていただいたのですが、時間の都合で代表して松坂さんの分だけ読ませていただきます。
松坂:ありがとうございます。
劔:緊張しておりますが、しばらく聞いてください。(ここで手紙を落とす)
コカド:そんな動揺します?
劔:(書いてきた手紙を読む)
松坂桃李さま。あらためましてご結婚おめでとうございます。時の経つのは早いもので映画の撮影から1年。もう公開ですね。楽しみなようで始まってしまったら、この祭りも終わってしまうようで寂しい気持ちもあります。自分の青春時代が本になり、映画になり、自分を松坂さんに演じていただくというのは、自分の人生で二度とない経験でした。むしろ何度生まれ変わってもあり得ないことではないかと思っています。そして「あの頃」も自分にとっては二度と経験できない時間です。大切な思い出ですが、少しずつ忘れているのも事実です。離れている友人とも、この人生であと何度会えるのだろうかと思うこともあります。そんなごく私的なものを映画として残していただいたということ、愛しき記憶がほかの誰かにとっても愛しい疑似体験となり、私の死後も残っていくことになるわけですから、こんな素敵なことはありません。むしろ忘れたいような恥も残っていきますが。さて、松坂さんが私を演じてくださったということですが、ニュースになった当初から、松坂桃李が劔なの?と多くの方々が外見の違いなどを話題にしていましたが、今になって私が思うのは、その外見の違いを一番気にしてなかったのは松坂さん本人だったなということです。それは松坂さんが私という人間に内面から向き合って、良いところも悪いところも大切に演じてくださったからであり、きっとそれが松坂さんの人との関わり方なんだろうと思います。素晴らしい俳優が誰かを演じるということにおいては、外見の違いこそどうでもいいことなのだと知りました。今後もお身体に気を付けて、最新作がベストな俳優さんであり続けてください。ありがとうございました。
松坂:ありがとうございます。このパーテーションがなかったら、握手なのかハグなのか、すごくしたいくらい、すごく嬉しい気持ちです。あらためて、劔さんと出会えてよかったなと心から思っております。
劔:ここで読むとわかってなくて、書いてくるだけのつもりだったので、ものすごく緊張しています。手が震えてしまってですね・・・
◆似顔絵に歓声
MC:震えを松坂さんのハグで止めてほしかったですね。仲野さんとコカドさんにも手紙を書いてきていただいたのですが、実は手紙だけじゃないんです。
ここで、劔さんが色紙に書いた似顔絵が披露される。
「おぉ~」「すげぇ~」「嬉しい~」「可愛い~」と歓声をあげる3人。
劔:これもですね、非常にお恥ずかしいことに、似顔絵がほんとに似ないんですよ。
MC:皆さんの似顔絵のポイントはどんなところでしょうか?
劔:松坂さんはいろんなところで描いたので、だいぶん描きなれてきました。太賀さんは、チャーミングさをどう出すか、コカドさんは、まぁ・・・
コカド:僕、描くの難しいって言われるんですよ。眼鏡かけた似顔絵なんか描いてもらったことないので、すごい嬉しい。
劔:こんなもので申し訳ありませんが・・・
仲野:めちゃめちゃ嬉しいです。
松坂:速攻、家に帰ったら飾ります。
◆モーニング娘。OG 藤本美貴登場に大興奮
MC:ここでもう一つサプライズがございます。大ヒットを祈願いたしまして、なんと、この方にお越しいただきました!
「え~ 誰か来るよ」と、ざわめく3人。
歌に乗せて、モーニング娘。OGである藤本美貴が登場♪
「わ~」「いやこれ?」「うわ~ すごい!」とはしゃぐ3人。
脇で固まっている劔さん!
コカド:おい、コズミン!
仲野:本物だぁ~!
藤本:嬉しい! ありがとうございます。
松坂:太賀、大丈夫? 汗。
仲野:汗、かいてきた。
MC: モーニング娘。OGの藤本美貴さんにおいでいただきましたが、お話をお伺いしたいと思います。いや~仲野さん!
仲野:まだ観てない方にはわからないかもしれないですけど、ぼくが演じるコズミンという役は、藤本美貴さん推しで、いかに藤本さんが素晴らしいか熱弁させていただきました。
藤本:ありがとうございます。
MC:藤本さんは作品ご覧になっていかがでしたか?
藤本:私たちはステージ側に立っているので、ファンの方たちが普段どんなことをしているかもちろん知らなかったですし、熱いのはわかっていましたけど、あんなに熱く人生をかけて応援してくださっていたんだなと感動しました。今は「声を出さないで」「手拍子で」というライブなんですけど、当時の映像をみると、コロナが収まったらああいう盛り上がるライブをやって、いろんな人に観にきてほしいなとあらためて思いましたね。
MC:なぜか劔さんが担任の先生みたいなポジションですね。
(劔氏がかなり後ずさりして離れて、遠くから藤本さんを眺めています。)
3人:一番ヤバイんじゃないですか。
劔:台本になかったじゃないですか。
藤本:嬉しい。
劔:ほんとにすみませんでした。
松坂:距離大丈夫ですか? どんどん離れてってますけど・・・
劔:天国のコズミンに、ほんとにこれはお墓参り行って報告してきます。藤本さん見ると、手足がしびれるって言ってたんですよ。脳神経の方がやられちゃって。
藤本:すごい勉強していただいたのですよね。
仲野:ライブ映像もだいぶん見せてもらって。
コカド:これまで庄司智春さんの奥さまのミキティと思ってたけど、全然違う人みたい。モーニング娘。の藤本美貴さんですね。
劔:この間、ヤングタウン聴いて、あ、藤本さん、ミキティだと思って手を思わず挙げてたんですよ。
(かなりステージの前に出て、興奮している劔さん)
コカド:劔さん、ちょっと前に出過ぎかな。一応この(パーテーションの)枠に収まらないといけないですから。
MC:「ミキティ!」に実感こもりそうですね。汗、止まりました? 仲野さん?
仲野:全然止まってない。そわそわする・・・
MC:熱弁されるシーンはいかがでしたか?
藤本:すごい褒められて照れましたね。
松坂:気持ち悪かったでしょ?
藤本:いや、気持ちよかったです!(笑)
MC:ちょっと役に戻ってる感じが皆さんありますね。
仲野:天地がひっくり返った感じがしましたね。ヤバイヤバイ。
MC: 劔さんが感慨深そうな表情ですね。
劔:いや~思い出しますね。ほんとに。ちなみに今もハロープロジェクト好きなんです。この間もイベントに行ってきました。
藤本:私の知らないところまで知ってる感じですね。すごい!
コカド:初めてお会いするんですか? 劔さんは?
劔:もちろんもちろん。藤本さんの時代には握手とかもなかったので。
藤本:してなかったですね。
コカド:全然、ちゃんとみいへんやん。あのジャンパー着てるしね。
松坂:あきらかに違いますよ。映画の中の劔さんを見ているかのようですよ。
劔:今日は眼鏡かけてきてよかったなぁ。
コカド:めちゃくちゃ気持ち悪いこと言ってますよ。よく見える?
劔:はずしたら見えないんですよ。
◆皆それぞれの「あの時」があって、今がある
MC:皆さんの体温もあがったところで、最後に松坂さんに作品を代表して一言いただければと思います。
松坂:ちょっと動揺しています。ちょっと待って。言おうと思っていたことが飛んじゃったのですけど、誰しも「あの頃」ということがあると思うんです。ハロープロジェクトに限らず、皆さんそれぞれあの頃大事にしていた時間だったり、友達や恋人やいろんな方と共有していたあの時、あの頃というのがあると思うのですけど、それが一番だったということでもなく、それがあるからこそ今っていいよね、これからもいいことがあるかもねと思えるような心の風を通してくれるような温かい作品になっています。映画『あの頃。』2月19日公開ですので、よろしくお願いします。
☆フォトセッション☆
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『あの頃。』
監督:今泉力哉
脚本:冨永昌敬
音楽:長谷川白紙
原作:劔樹人「あの頃。 男子かしまし物語」(イースト・プレス刊)
出演:松坂桃李 仲野太賀
山中崇 若葉竜也 芹澤興人 / コカドケンタロウ
大下ヒロト 木口健太 中田青渚 片山友希 / 山﨑夢羽(BEYOOOOONDS)/ 西田尚美
2020年/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/117分
製作幹事:日活 ファントム・フィルム
配給:ファントム・フィルム
(C)2020『あの頃。』製作委員会
公式サイト:https://phantom-film.com/anokoro/
公式twitter:@eiga_anokoro
★2021年2月19日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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