『フタリノセカイ』公開記念舞台挨拶

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1月15日(土)新宿シネマカリテにて上映後、飯塚花笑監督、片山友希さん、坂東龍汰さんの舞台挨拶が行われました。
MC:伊藤さとりさん (ほぼ書き起こし)

MC おひとりずつご挨拶をお願いいたします。

片山 ユイ役の片山由紀です。今日は来てくださりありがとうございます。

坂東 坂東龍汰です。今日はお忙しい中足を運んでくださいまして本当にありがとうございます。短い間ですがよろしくお願いいたします。

監督 本日は寒い中ありがとうございます。飯塚花笑です。よろしくお願いします。

MC この作品は2019年6月に撮影ということですが、その後コロナもあってやっとこうやって昨日初日を迎えました。まずは飯塚監督にお伺いします。想いの強いこの作品が公開されてどんなお気持ちですか?

監督 一言でいうと「山あり谷あり」で長い時間をかけて企画開発から進んでいった作品です。きのうはちょっと言葉にならなくてまだ自分の中で整理がついていません。嬉しい気持ちやらこれからどうこの作品が拡がっていくか不安もありますし、言葉では言い表せない気持ちになっています。

MC あらためておめでとうございます。飯塚監督の想いの詰まった作品に出演されたお2人は、どんなお気持ちなのか教えてもらっていいですか?

片山 私はまだ実感していなくて(笑)、これからどんどんどんどんたくさんの方が観てくれはって、どういう思いなんだろうなとすごく気になります。感想がすごく気になる映画だなぁと思います。

MC 聞きたいくらいですものね。坂東さんいかがですか?

坂東 はい。撮影自体は2年半前で…あれからもう2年半か…けっこうすごいスピードで時が経っているのを感じます。日本でも世界中でも大変なことがあった中で、みんなでお芝居してみんなで作りあげたこの映画が、皆さんの元にこのタイミングで届くことを嬉しく思いますし、とても意味があることではないかなと強く思います。みなさん、もう観たんですよね?

監督 観てくださったよ(笑)。

坂東 そうですよね。ほんとに感想が気になります。昨日、インスタのストーリーに「公開です!」とあげたんですけど、僕もまだ実感ないです。でもここからいろんな声が届くかと思うと嬉しいです。はい。

*坂東さんのマイクが入っているかどうかチェック。坂東さん「紐ほどけちゃった」「マイクと全然関係ないけど」と靴の紐を結びなおす。

MC 飯塚監督、昨日から公開していますので、反響はどうですか?届いていますか?

監督 ちらほら届いています。この作品、観る方の状況とか背景によってやっぱり感想が全然違うんだなということをじわじわと実感して。2人も言ってくれたけど、感想を聞きたいなという思いがすごいあります。

MC 片山さんと坂東さんも2019年の撮影から月日が経って、いろいろお仕事や生活をしていく上で考え方も変わっていったかと思いますけど、この作品に関わったことで何か新しい考えとか、考え方が変わったこととかありますか?

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片山 私はよく耳にしていた“LGBTQ”という言葉に対してすごく違和感を持つ方もいるということを知って…知らなかったときはLGBTQという言葉を出していたんです。そうじゃなくて“セクシャルマイノリティ”のほうが違和感を持つ方が少ないんだな、ということを知ったので、これからはLGBTQでなく“セクシャルマイノリティ”という言葉を使ったほうがいいんじゃないのかなと、気をつけています。

MC そこまでこの作品に真摯に関わったということですよね。じゃ坂東さんはどうですか?

坂東 そうですねぇ、あらためてこの…あ、(マイクが)入った!(笑)あらためて、映画ってすごいなって思いなおしました。思い直したというか。僕も撮影前は‟LGBTQ” “セクシャルマイノリティ”というものに知識があったわけでもなくて。撮影や、撮影した映画を観ることによって僕の知らなかった世界を観てわかる。‟わかる”っていうことはすごく人生にとって豊かなことなんだと再確認させていただきました。
だから人生の中で映画って”とっておきの教科書”みたいなものなのかなって、僕の人生ではっていうことなんですけど。影響を受けて育ってきましたし、今後も映画を通して「わかる」、「知る」っていうことを繰り返し繰り返し学んでいくんだとあらためて思いました。

MC 今のお話を聞いて飯塚監督いかがですか?

監督 あの、ちょっと今の話とずれちゃうかもしれないんですけど。撮影が2年半前だったので、2人がほんとに今よりずっと子どもっぽい(笑)。この2年間での2人の成長がすごく印象的で。
こんなにちゃんと喋る子たちじゃなかった(笑)。

片山・坂東 え~!(笑)

監督 映画も家族のことを描いていますし、これからも映画を通じて協力しあって行くんですけど、なんだか感慨深いです。

MC 今監督から“家族”という言葉が出てきましたけど、ご覧いただいて「こういう家族の形もありだよね」って思われた方多いんじゃないかなと。監督自身は家族や愛ということに対してどういう風にお考えになってお作りになられたんでしょうか?

監督 この映画の中で描かれている家族の形って、こういう状況では「幸せとは感じない」という方もいらっしゃると思います。またある人にとっては「こういう形もあるんだ、これは自分にとって希望になる」となるかもしれない。人それぞれ家族や幸せの形って違うと思うんです。時代によっても変わると思いますし、だから僕は定義しないってことが正しいんじゃないか、時代や背景によってそれぞれの中であるものだと思っています。

MC 片山さんと坂東さんは家族というものに対して将来どう考えていらっしゃるか、教えてもらってもいいですか?

坂東 ええっ!(会場笑)
この『フタリノセカイ』という映画の中でもものすごく大事なキーとしていたのが‟無償の愛”というものだと僕は思います。自分が育ってきた家庭環境とか、周りの友達の家族だったりとか、どの家庭を見ても、どれだけ大変な状況におかれたり、不幸なことがあったりしてもみんなやっぱり前を向いて明るい未来を信じて力強く生きている。そういう人たちでこの世界はあふれかえっている。その根本にあるのはやっぱり愛なんだなと感じながら生きていますし、この映画の小堀真也という役を通してひしひしと感じながら演じることができました。
この映画は、当事者の方でも、そうでない方が観ていただいても「未来は明るいし、変えることができる」と伝えられる映画です。僕はこの先、家族を持ったとしてもそこにある‟愛”を大切にしていきたいと思います。仕事も大事ですけど、ほんとに大事なのは愛だなって思いましたね。人との関係性の中で、はい。

MC この中で‟無償の愛”というものに気づかされたと。

坂東 ‟無償の愛”って撮影前の僕は全くわからない状況でした。迷いや葛藤やわからないということを、自分の中でどう腑に落とすことの作業の難しさ感じました。演じきった後に少しでもそれを感じられたのは大きな体験でした。

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MC そうですよね。では片山さん、どうですか?

片山 ‟家族”ですよね? 私がいつか結婚するならば、うーん、お互いが外で別々に闘って帰ってくる、安心できる場所がひとつあれば幸せだなって思います。

MC 居場所的な?

片山 そうです、そうです。それだけで十分かなって思います。

坂東 おうち?(会場笑)

片山 家っていうよりも安心できる場所。相手の人とか、自分が安心できて眠れる場所があればいいかなって思います。

坂東 確かに。

MC お互いが安心できる関係性って、作るのにどうすればいいと思いますか?

片山・坂東 ええ~~(と監督を見る)

監督 助けを求めない(笑)。

坂東 変化球が来た(笑)。「しちゃだめ」って言ったことしてる。(MCの伊藤さんを見る)

片山 「信じあうこと」じゃないですか。疑いを持たずに素直に信じて、軽やかに。ギスギスせずに。何事にも軽やかな気持ちでいられれば、お互いがリラックスできるんじゃないかなって思います。

MC 確かにね。そう思いますよね、坂東さん。

坂東 はいっ!!(会場笑)

監督 思ってる?(笑)

MC 飯塚監督、どうですか?2人の話を聞いて。

監督 あのう大人になったな、と。(笑)

坂東 そればっかりじゃないですか(笑)。

監督 靴紐ほどけてるとか、そういうのは変らないなと親のように思っています。

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MC 片山さん坂東さん、お2人共演してそれぞれ役者としての演技力を体験しながらこの映画を作っていったと思うんです。共演されてどうだったんですか?(2人顔を見合わせる)

片山 こんな面と向かって「こうでした」っていうのはちょっと「恥ずかしい(2人揃って)」。

坂東 この近さで。せめて10mくらい離れてると(笑)言いやすいんですけど。
心強かったです。ほんとに。ずっと引っ張っていただいた、という印象が強いです。たぶん監督もそれは感じていると思うんですけど。僕が真也として、わからない、感情や気持ちを掴み切れていないときに、片山ちゃんがユイとしてそこに力強く存在してくださっていたおかげで、演じることができたシーンがたくさんありました。ほんとにすごい感謝しています。

片山 ありがとうございます。

坂東 こちらこそありがとうございます。

片山 「引っ張ってくれた」と言ってくれたけど、自分ではあんまり(意識して)なくて。撮影しているときは、緊張しているとは思ってなかったんですけど、毎朝ホテルで歯を磨いていると嗚咽が止まらなかったんです。撮影が止まったらなくなったんですよ。知らない間に緊張していたんだって気づいたんです。坂東君がずっと楽しそうに現場にいて、私はどっちかというとすぐにいっぱいいっぱいになってしまうので、そうじゃない人が隣にいるというのは、私もちょっとずつリラックスできて撮影していけたんじゃないかなと思います。

MC また共演してください。ありがとうございました。
では皆さんからひとことずつメッセージをお願いします。


片山 今日はありがとうございました。たくさんの方がこの映画を観て、いろいろな感想を持っていただければすごく嬉しいなと思っています。これからもいろんな人にいっぱい言っていってください。

坂東 ほんとに今日はお越しくださいましてありがとうございました。たくさんのボードも作っていただいて嬉しいです。この映画の誕生日は昨日ですけれども、これから年を重ねていって(この映画が)成長していくのを見届けるのがすごく楽しみです。それはある意味皆さんにもかかっていると思いますので、ぜひ周りの友達だったり、SNSだったりで感想を。「ここがひどかった」でも「ここが素晴らしかった」でもいいですし、なんでもいいので拡散していただけると嬉しいです。
「わかる」ということはすごく豊かになることだと思います。今後も僕はたくさんの映画を観ていきたいと思いますし、皆さんも観ていってほしいですし、この映画もたくさんの人に観ていただきたいです。すいません、選挙みたいになっちゃった(会場笑)。よろしくお願いします。今日はありがとうございました。(拍手)

監督 坂ちゃんのうちわというか、ボードを持ってくださっているのが目に飛び込んで。
何度も言っていますけれども、2人の成長がほんとに嬉しい。こうして劇場に帰って来れたのも嬉しく思っています。坂ちゃんが触れてくれましたが、この映画は生まれたてです。今日が公開2日目で、これからどんどん世の中に羽ばたいていってほしいなと思っていますので、2日目に観た皆様はある意味「宣伝隊長」ということで(笑)。ぜひぜひこの映画の感想など広めていっていただきたいなと思います。本日は寒い中ありがとうございます。(拍手)

MC ありがとうございました。

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(取材・写真 白石映子)

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