『光をみつける ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ』舞台挨拶

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*プロフィール*
穴澤雄介[ヴァイオリン奏者/ヴィオラ奏者/作・編曲家/講演家]
 1975年千葉県生まれ。心臓と目に障害をもって生まれ、高校時代にほぼ視力を失う。筑波大学附属盲学校高等部本科音楽科、同専攻科音楽家卒業。コロナ以前は年間150本以上のライブ活動のほか、学校関係を中心に年30回以上の講演活動を行う。2020東京・2022北京オリンピック・パラリンピック時のNHKユニバーサル放送TV特番にコメンテータとして出演するなど、ダイバーシティ(多様性)・SDGs時代の要請にも応える。

永田陽介[監督・編集 日本映画TVプロデューサー協会会員]
1961年生まれ。撮影スタジオの世田谷109スタジオ、西武百貨店を経てビデオソフト黎明期のビデオ企画制作販売までを手掛ける会社に入り、海外映画など数百の商品を手掛ける。
1991年、作家・映画監督 村上龍氏の映画『TOPAZ-TOKYO DECADENCE-』の制作プロデューサーを担当、海外での映画賞やセールスに成功する。俳優・映画監督の勝新太郎氏の依頼で編集した、勝新太郎の最期の舞台『夫婦善哉~東男京女』はリマスター版が日本映画チャンネルで放送公開された。

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(C)2022 FUJIYAMACOM

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公式HP https://anazawa-cinema.com/

6月7日(土)恵比寿の東京都写真美術館ホールにて、このドキュメンタリーの主人公穴澤雄介さん、出演&ナレーションの元小結・相撲解説者の舞の海秀平さん、永田陽介監督の舞台挨拶がありました。司会は構成も担った桂いちほさん。ほぼ書き起こしでお届けします。
上映会場は6月15日(木)から30日(金)田端の「シネマ・チュプキ・タバタ」に代わり、以後順次全国公開の予定です。
穴澤雄介さん、永田陽介監督のご挨拶の後、ナレーションをつとめた舞の海秀平さんが拍手の中登場しました。


 舞の海さん、ひとことどうぞ。
舞の海 みなさん こんにちは~(拍手)
 当初、舞の海さんには、ナレーションだけをお願いする予定だったのが、穴澤さんが駄々をこねたんですよね?
穴澤 ナレーションをお引き受けしていただいたのはすごく嬉しかったんですけど、ナレーションだけ担当されると、私はお会いできない!(会場笑)
「やだやだ~!会えないとやだ~!」と駄々をこねたんです。監督に「対談の時間を設けませんか?」と提案をさせていただきまして(笑)。
 監督、お二人の対談は、初対面の方がいいという判断だったそうですね?
監督 はい。穴澤さんと舞の海さんは初対面でした。ご本人と会うのはぶっつけ本番がいいんじゃないかと、お寺の和室をお借りして撮影しました。
 みなさん映画をご覧になったからわかると思うんですけど、穴澤さんの喜びようがね。まるで、子どもが憧れの人に会うみたいな感じでした。
舞の海さん、会う前は穴澤さんのことはご存じなかった?
舞の海 そうですね。全くなかったです。
 最初、どんな印象でしたか?
舞の海 最初はですね。やけに明るい人だなぁと思いました。(穴澤さん爆笑)
お洒落ですし、この人はなぜこんなに物事を前向きに考えられるんだろうと。私とそこは正反対でしたね。
 正反対?
舞の海 私は常に後ろ向きで(笑)。
穴澤 相撲は後ろ向きだと負けちゃう(笑)。
 最初は30分くらいの予定だったそうですね?
穴澤 30分って言われました。
 ところが実際は2時間くらい喋っていた(笑)。もう、だからね、監督が編集するの大変でしたよ。

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永田陽介監督

監督 皆さんドキュメンタリー映画をたくさん観ていると思いますけど、予測不可能なこととかね、いろんな事件が起こったりする。あの対談もぶっつけ本番でしたから、どんな話になるのかわからない、そこをとらえています。こちらは非常にスリリングでしたし、何回観ても面白い会話ですよね。
舞の海 そうですか?
監督 はい。
舞の海 私も、どういう展開になっていくのかわからなかったんですけど、お話ししているうちに「あれっ、ここ感覚が一緒だな」とか、共通するところがたくさん出て来て、あっと言うまでしたね。
穴澤 そうですね。
 舞の海さんがすごく聞き上手なうえに、質問上手なんですよね。
舞の海 いやいや、そんなことないです。
 うまいこと起承転結があるように話を運んでいただいたので、使いどころが明確でした。

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舞の海秀平さん

 穴澤さんとの対談が終わられた後、印象は変わりましたか?
舞の海 うーん、「この人ってほんとは、目が見えるんじゃないか」って(会場笑)。
なんかすごく、こう・・・昔から知り合いだったような感覚になりましたね。それと、知られているだけじゃなく、心の中まで見られているような。そういう、普通の人にはない鋭い感覚の持ち主なんだなと思いました。
 と言われて、穴澤さん的にはどうですか?
穴澤 いや、鋭くないですよ(笑)。でも嬉しいですよ、親近感持っていただけるのは。これはもう「”対談映画”でいいんじゃないかな」っていうくらい対談していただいたので。
 そりゃ、お客さんが困る(笑)。穴澤さんの大好きな大相撲の話が多かったですよね。
穴澤 極力、控えていたんですよ。ええ。
 ほんとに穴澤さん相撲が好きで。先日穴澤さんのライブが7時くらいからあったんです。リハーサル終わって控室に私もいたんですけど、ちょうど結びの一番くらいで、真剣にスマホを聞いているんです。
穴澤 みなさん私の楽屋に訪ねてこられると、「すみませ~ん。本番前の集中力高めている時間なのに」って言われるんですけど・・・相撲が流れているんです(笑)。
緊張感なくてすみません。さっきはソフトバンク(野球)の試合を聞いてました(笑)。

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桂いちほさん、穴澤さん

舞の海  相撲を聞きながら、頭の中でどういう映像が出てくるんですか?
穴澤 合っているかどうかわかりませんけれども、アナウンサーさんの実況を聞きながら、こんな感じに組んでいるのかなって、"想像"します。
舞の海 はあ。
穴澤 私の場合ラジオが多いんですけど、取組み終わってから、改めてアナウンサーさんが説明してくださいますよね。あれがやっぱりすごく頭に残ります。
舞の海 ああ、そうですね。細かい描写がありますね。
穴澤 あれ、すごいなと思って。やっぱりVTRを見ながら喋っているんですか?
舞の海 あれはですね、見てないんですよ。スローが流れるのを待っていると、時間がかかるので、終わった次の瞬間からアナウンサーは喋り出します。
穴澤 じゃあ記憶で全部喋るんですね。
舞の海 そうです、そうです。
穴澤 すごい!
舞の海 若手のアナウンサーは、結構ざっくり。そういう説明をせずに(笑)、大雑把ですね。
穴澤 ちょっと違うんだけどなって、正直思ったりします?
舞の海 思いますね。ラジオなのになぁって(笑)。若い人ですからこれから経験を積んでいくんでしょうねえ。ベテランはすごいですね。
 舞の海さんは、「ラジオを聞いている人にわかるように」と気をつけている事はありますか?
舞の海 特に穴澤さんとお会いしてからは、「こういう風に説明したら想像できるのかな」とか。難しいときもありますけどね。
土俵際でもつれたりしたときに、もう自分のこの乏しい語彙だと説明できない、ってこともあります。
 大体もう一瞬で決まってしまうことの方が多いから、その中で説明や解説するというのはねえ。
穴澤 もともと舞の海さんの解説はわかりやすい。私、本にも書かせていただいたんですけど、舞の海さんは、仕切り線の間が70cmとか、土俵の直径は4m55cmとか、数字を出してくださるんです。これは視覚障碍者的にも、ラジオ的にもすごくありがたいことです。
舞の海 ほう。
穴澤 見えている方でも、そういうのをご存じないですよね、たぶん。
すごく想像もできますし、あれはちょくちょく入れていただいた方が(笑)。
舞の海 わかりました。今日来てよかったです。解説も行き詰っていて・・・(会場笑)。
穴澤 ほかの解説者の方はあんまりおっしゃらないから、舞の海さんの特権じゃないですけど、もう出るたびに言ったほうが(笑)。だって、その日初めてラジオ聞く人もいるわけですから、毎回おっしゃるくらいでもいいかもしれない。

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 ちょっと映画の話に戻して(笑)。
穴澤 あ、すみません!
 舞の海さん、今回ナレーションをやってみた感想などを。
舞の海 もっとたくさん喋るのかなと思ったら、意外と少なかった。ちょっと物足りないかなと思ったんですけど、でも私が主役じゃないので。少し、何かこう味付けになって、お役に立ったならよかった。
監督が鋭くてですね。ちょっと速かったり、言葉がちょっと強かったりすると・・・私は大雑把なのでこれでいいかなと思ってると「もう一回」って(笑)。さっきと今と同じなんじゃないかなと思ってもやっぱり違うんでしょうね(笑)。
監督 何年もやってると(笑)。
舞の海  逃しませんね。
 今日映画をご覧になった皆さんは、舞の海さんのナレーションがすごく聞きやすい、耳にすーっと入ってくるお声だったんじゃないかと。(拍手)
舞の海 ありがとうございます。
 最初は、硬い感じがするんですけど、対談を終えた辺りから声が柔らかい感じに聞こえるんですよね。穴澤さんとの関係が深まった感じに聞こえて、すごく素敵だなぁと思いました。
穴澤 舞の海さん、もともと声がいい。
監督 そうなんですよ。
舞の海 嫌ですけどね、自分の声が。
 たぶん歌もうまいんですよね。
穴澤 と、思います!
舞の海 いやあ~。
 CDとか出されてませんでしたか?
舞の海 いや、まだ。
監督 まだ?(会場笑)期待したい。
穴澤 お手伝いさせていただきます。(拍手)

 ということで穴澤さん、もうそろそろ時間なんですけど。
穴澤 え!もうそんなに時間経っちゃってるんですか!
監督 今日、ヴァイオリンを持たされているということは、演奏をしていただける?
穴澤 あ、まだ準備ができていないんで、もうちょっと舞の海さんにお話しいただいて。
 映画の中に出てきましたけど、耳の聞こえない方が穴澤さんの演奏を(見て)「素晴らしい演奏だ」と言う場面があるんですが、音だけじゃなく演奏している姿が、すごく伝えようとしているエネルギーみたいなのか見えるのかなと思ったんです。
舞の海 私も知ってしまったからか、四角四面に弾いているのではなく、じわ~っとしみ込むような感覚になりますね。
 監督、穴澤さんの色んな曲を場面、場面で使われていますけど?
監督 そうですね・・・
(穴澤さんスタンバイ)あ、もういい?
穴澤 すみません、準備できちゃいました(笑)。
(会場拍手)
穴澤 ありがとうございます。じゃあスポーツ好きの話が出たので、スポーツにちなんだ自作の曲を。映画にも登場しています。2020年の東京オリンピック、パラリンピック(NHK放送)、ユニバーサル特番のときに長く出演させていただいているんですけど、その出演日の最後に「穴澤さん、パラアスリートの皆さんにエールをこめて」と言われて弾いた「伴(とも)に走る」。これは、ブラインドランナーとガイドランナーが一緒に伴走する、その絆を書いた曲です。

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♪「伴(とも)に走る」
(演奏終了後)
 やっぱり生演奏はいいですね。
ではフォトセッションです。映画のためにぜひ宣伝していただいて。
(声かけに応じて会場の皆さんに笑顔を向けるゲスト)

 では最後に、皆さんから一言ずつ。
監督 たくさんおいでいただいてありがとうございました。天気がよくて良かったです。引き続きよろしくお願いします。(拍手)
舞の海 今日はみなさん、ありがとうございました。穴澤さんの考え方で、好きな言葉がありまして「置かれた環境の中でベストを尽くす」という。現役終わって、その気持ちがなくなっておりました。もう一度、穴澤さんの言葉を大切にしながら、私もこれから、死ぬまで暇つぶし(会場笑)をしながら歩いてまいりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
監督 ぜひCDを出してください。(拍手)
穴澤 本日はみなさんありがとうございました。こちら「東京都写真美術館ホール」は11日(日)までの上映で、15日(木)から30日(金)は田端の「シネマ・チュプキ・タバタ」。
7月4日から大阪での上映も決まっております。関西方面にお友達のいらっしゃる方はぜひお伝えいただけたら嬉しいです。私も大阪のほうへ舞台挨拶に行けるかと思います。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

(写真・まとめ:白石映子)

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