12月8日(火)、グランドハイアット東京にて『AWAKE』完成報告会見が開催され、キャストの吉沢亮、若葉竜也、落合モトキ、山田篤宏監督が出席。ピカピカの【新電王手さん】も登場しました。ほぼ書き起こしでお届けします(聞き取れなかったところは省略)。(司会:いとうさとり)
―まずは一言ずつご挨拶をいただければと思います。清田英一を演じられました吉沢亮さんです。吉沢 ありがとうございます。清田英一を演じさせていただきました吉沢亮です。初めてこの脚本を読ませていただいたときから、すごく大好きで思い入れのある作品だったので、着々とこう皆様にお届けできる日が近づいていることにドキドキしています。今日は最後までよろしくお願いいたします。(拍手)
―英一のライバル浅川陸を演じられました若葉竜也さんです。若葉 初めまして、若葉竜也です。このようにたくさんの記者の方々に集まっていただき、ほんとに嬉しく思っています。もうすぐ、こんな時期なのに公開できるということで、すごく嬉しく思っています。よろしくお願いいたします。(拍手)
―英一の大学の先輩磯部達也を演じられました落合モトキさんです。
落合 初めまして、落合モトキです。こうやって完成報告会見を今日開けるということで、まずこの作品は一歩前に勧めたんじゃないのかなと思います。25日公開できるように願うばかりです。今日はよろしくお願いします。(拍手)
―監督・脚本を手がけられました本作が商業映画デビューとなりました山田篤弘監督です。監督 初めまして、山田篤弘と申します。今日はお集りいただきましてありがとうございます。素晴らしいキャストとスタッフで、とても自信を持ってお届けできるエンターテイメント作品になったのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
=演じた役柄=―吉沢亮さんにお伺いしたいと思います。本作が発表されたときに、これまで出演した映画の中でかなり好きという風におっしゃっていたと伺っておりますが、どんなところが特に惹かれたんでしょうか?吉沢 やっぱり最初に読ませていただいた脚本がものすごい面白くてですね。商業映画でAIを使っている映画なので難しいのかなぁという思いもあったんですけど、全然そんなことなく「ど直球」のエンターテイメントで。メッセージ性とかもわかりやすいし、すごく爽快感のある青春ストーリーになっていて面白い。完成した作品を観て、なんですかね。今まで自分の出た作品って冷静に観れずに、わりと自分の芝居のイヤな部分ばっかり目立っちゃって。今回は自分の芝居がどうこうじゃなく、単純にすごい面白いなあと思った。すごくいい作品ができたな、それに参加できて良かったなと最初に思ったので、この作品は自分の中では新鮮な感じでしたね。出来上がったものを見てすごい好きでした。はい。
―将棋の棋士を目指す英一の目線から動きからも「わ、ほんとに棋士の人みたいだ」と見ていたんです。そこは準備されたことが結構あったんじゃないですか?吉沢 とにかく英一という人間はちっちゃいころから将棋しかやってこなくて、将棋以外のことを何も知らないというか、将棋以外こいつは何も持っていないんだというものを全面的に出したくて。撮影始まる前に太ってみたりとか、姿勢から将棋を指しているときのちょっとした体の揺れとか表情の変化とか、いろいろ現場で工夫しながらやってましたね。
―そんな英一のライバルになります天才棋士を演じられた若葉さんに伺いたいと思います。圧倒的な天才棋士ということで、台詞もすごく少なくて、ほぼ無口だったと思うんですけれども、今回演じるにあたってご自分で肌で表現することとかいろいろ準備されたことがあるんじゃないでしょうか?若葉 やっぱり棋士の方々の指し手とか所作とかというのは、絶対条件として、身体に落とし込まないといけないなと思ったので、そこは気をつけました。
―どんなことをリサーチされたんですか?若葉 最初に子どもたちの将棋を見に行って、その後に映像でプロの棋士たちの立ち居振る舞いを見て、そこでアマチュアからプロになっていく段階でのサインみたいなものを見たりとか。もちろん指し手が一番たいへんでしたけど。彼らの歴史が詰まっているので、そこを軽んじて演じることはできないなと思いましたね。
―続きまして落合さんに伺いたいと思います。今回英一の先輩の磯野という役ですけれども、この二人とは違って非常に早口の専門用語を使うということで、台詞もすごく多かったと思うんですけれども、監督から何か演出を受けたこととか、ご自分で意識したことはどんなことでしょうか?落合 衣装合わせで監督と初めてお会いしたときかな?そのときに「どういう形で演技しましょうか?」という話をしたときに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクをイメージしてやってくれ」という風に言われて、「こっちではカタカタやりながら、こっちは全然別のことをまくしたてて言ってるみたいな感じ」のことを言われたので、確かにそうなんだろうけど、台詞が専門用語過ぎてたいへんだなぁと。でもなんていうんだろ、考えて覚えるというよりも、呪文のように覚えるといいんだろうなと思って、自分が演技してきた中でも「考えないで物事を言ってた」というのに近いかもしれないですね。
―それを横で吉沢さんはごらんになっていたわけですよね。吉沢 はい。めちゃめちゃ大変そうでした。聞いたこともない単語をずっとペラペラしゃべっていて、すごい早口だし。それが全然違和感なく落とし込まれている感じがやっぱりすごいなぁと思いました。台本読んだときの磯野と、モトキ君が演じた磯野って僕の中ではギャップがあったんです。なんか想像の斜め上をいくなぁと思ったんですけど、それがすげー面白くて、英一といるときのバランス感とか、なかなかおもしろいことになったと思いますね。
落合 そうですね。わーーって羅列したことを言ったときに、亮君がその後の台詞で「わかりました」っていう台詞があったんですけど、その台詞も亮君がつきあってくれたりして。前から亮君のファンだったので、ほんとにいいお兄ちゃんだなと思いながら現場にいました。(吉沢「いやいや」と手を振る)
―さて、監督に伺いたいと思います。2015年に実際にあった「電脳戦 ファイナル」の対局がモデルになっていると伺っています。この対局をご覧になって、どんなところから映画にしたいと思われたんでしょうか?監督 2015年の「電脳戦 ファイナル」という対局自体がドラマチックな対局でして。何がドラマチックだったかというと、開発者が元奨励会員であって、プロになれなかったけれども開発者としてもう一度プロと戦うという。前提そのものも魅力的だったんですけれども、その後の実際の対局の顛末も非常にドラマチックなものでした。それを見たときにもうこの二人・・・実際の二人は顔見知りではなかったんですけど・・・この二人が小さいころからライバルだったら面白いだろうなと想像しまして、それを元にオリジナルストーリーとして脚本を書いた感じですね、はい。
―それで、こうやって吉沢亮さんと若葉竜也さんがその二人を演じたということですよね。監督 そうですよね。すごいなぁと思って見てますけど。いまだにすごいなぁと思って(笑)。
=お互いの印象=―今回共演されての印象を聞いてみたいと思うんですが。あらためて落合さん、吉沢さんとの共演シーンがたくさんありましたが、どんなところをすごいな、とか面白いなと思ったところありますか?落合 亮君には入ったときに「〇〇観たよ、俺ファンなんだよ」と開口一番に言ったと思うんですよ。年下の子と共演する機会が増えてきたんですけど、その中でも素晴らしい役者さんだと思うので(吉沢お辞儀)嬉しい気持ちで毎日やってたし、竜也はいなかったんだけども二人の空間でやってたって感じで、ね。毎日楽しかったです。
―そう言われてますけど、吉沢さんどうでしたか?吉沢 楽しかったですよ、ほんとに。この作品の中で会話する人って、ほぼほぼ磯野だけなんで、僕は。二人で作っている空気感とかも・・・共演させていただくのは初めてですけど、なんかすごく居心地の良いというかやりやすい空気感でやらせていただいてました。すごく楽しかったです!
―若葉さんちょっと孤独なシーンも多かったと思いますが、どうですか?吉沢さんと共演されてみて。
若葉 僕、吉沢くんとほとんど3日くらいしか、ね?
吉沢 そうですね。4シーンくらいしか一緒にシーンがないんで。
若葉 一緒のシーンがなくて、後はほぼほぼ一人で悩んでるシーンなんで全然楽しくなかったですね(笑)。
―お会いになってみていかがでしたか?ファーストインプレッションというか?若葉 え、吉沢君とですか?吉沢君は・・・勝手なイメージですよ、僕の。爽やかでスターな感じかな、と思ってたんですよ、勝手に。そしたらもう、死ぬほど暗くて(笑)。こんな感じなんだと思って・・・英一が吉沢君の本来の姿に近いのかなと、僕は勝手に思いました。どうなんすか?(吉沢へ)
吉沢 近いですねぇ。(笑)
若葉 暗いよね?(笑)
吉沢 暗いです。自分で言うのもあれですけど、演じていて彼のなんか、暗いんだけど、別にそれを・・・なんていうんだろ。ほんとは周りに興味あるんだけど、暗いしどう接していいのかわからないから全然興味ない振りをしている感じとか、すごく理解できるし。ここまで内心が役とフィットする瞬間があんまりないなぁと思いながらやっていましたけどね。
―落合さんはそういう風に思いました?横で見ていて。落合 うーん、じゃ俺の前では気丈に振舞ってくれていたのかな?(吉沢 笑)
若葉 そうそうそう。たぶん。一回ね、吉沢君がある女優さんと映画の宣伝をしているラジオを聞いたの。めっちゃ明るくて(吉沢 笑)
落合 ヤバいよねあれは。
若葉 ヤバいよね。全然違うじゃん。あれはなんかスイッチがあるの?それとも日によってあんなに高低差があるの?
吉沢 たぶんどっちもほんとなんですよ。作ってるわけじゃなくて。
若葉 いや、ずるいそんなの。もっとほんとのことが知りたい。(笑)
吉沢 違うんですよ。ほんとに根は暗いけども、ふざけたりするの大好きだし、騒ぐのも大好きなんです、ほんとは。
若葉 じゃもっと話しかけると、もっと吉沢亮が見れる?
吉沢 見れますね。わりとモトキ君はその段階まで来てましたね。
若葉 え、二人でいるときどんな感じだったの?モトキと。
落合 亮君だいたい座らない、かな。
若葉 いやいや、おかしな人になってる。座らず?(笑)二人で飲みに行ったりしたんでしょ?
吉沢・落合 行った。行きました。
落合 ちゃんとほろ酔いになるまで飲んで。でも吉沢亮君が連れてく店ってことだから、俺値段設定がわかんなかったから、しこたまATMで金おろして(笑)・・・楽しく飲めた。
若葉 ああそう。僕は一回も飲みに行ってないですけど。ほんと現場で5言くらいしか喋ってないです。
―ジェラシーですね。若葉 ジェラシーとか?僕はもう暗い人だと思ってたんで。勝手に。「次に行って」ってカンペ出てます。(爆)
=「〇〇超え」は何?=―みなさんがどういう性格なのかわかりそうな深堀りの質問をしていきます。空前の将棋ブームの今年、藤井壮太二段が出した一手が「AI超え」と話題になりました。そこでみなさんに共通質問です。個人的に今年「○○超え」、以前の自分を超えたことはなんでしょうか?すっごいシンキングタイムになってますけど。若葉 誰からですか?
―誰からいきましょうか?吉沢 これはあれですよね。出た人からいけばいいんじゃないすか?
―じゃ吉沢さん吉沢 えっ(笑)。僕から?えー、難しい。何何超えですもんね、何かを超えなくちゃいけないんですよね。ほんとに出てこない。ちょっと待って。
若葉 「何何超え」ってどういう意味?(みんなからフォロー)新しくチャレンジしたことじゃダメなんですか?(いいよと声)
吉沢 そういうこと。あります?なんか。
若葉 俺はね、今まで服にお金かけなかったの。現場にいけばすぐに衣裳に着替えちゃうし、別に何でもいいやって思ってたの。だけど「ありえない金額のコートを急に買った!」(笑)それくらいしかない。
落合・吉沢 超えたね~!
若葉 なんかね、ほとんどが数千円で買えるものばっかりだったんだけど、1着だけ何十万もするコートがある。
落合 それさ、逆に合わせづらくない?
若葉 だけどね、今回のスタイリストさんが「上下スウェットにそのコート着てたら、外人のお洒落みたいでいいね!」って言ってくれた。(笑)それ得意技にしようかと思って。
吉沢 筋トレ、超え。
―具体的に教えてください。吉沢 筋トレを始めました。役でです。今まで筋トレとか全然やってこなくて、けっこうぽちゃぽちゃしてたんですけど、役で、っていうのもそうだし、人前に出る仕事だからと思って、去年の末くらいから始めて。
若葉 ムッキムキの吉沢君ってどうなんだろうね。ムキムキになるつもりなの?
吉沢 細マッチョよりはもうちょい。ガタイ大きい感じの。最近舞台でけっこう体力使って痩せちゃいましたけど。ちょっと前までもっと腕とかも、ポン、ポンポン(胸)と、来てたんですけどね。はい。
監督 僕はね、緊張を越える瞬間がずっと続いておりまして。もう今もよくわからないことになっていますけど、こんなに人前に出ることは人生で一度もなかったんで。自分の緊張をコントロールできてるんじゃないの最近は、ってなってますね。みなさん(俳優陣)ね、表に出るからなんともないでしょうけど、僕はもういいです。
落合 僕、今年30になったんでいろいろ、「食」を見直そうと思って。昼ご飯今までラーメンとか、カレーライスとか食べてたんですけど、最近「鰻」を食べるようになって。鰻重食べています。全然「超え」に落とせないんだけど(笑)、とりあえず「鰻超え」です。
吉沢 意味あるんですか?鰻をとるってことに。
落合 なんかおとなっぽくない?肝串食って一杯やって白焼き食うか、鰻重食うか、選択肢みたいな。それはちょっと大人っぽいというか、ぶってるというか。
吉沢 ああ・・・超えてます。
落合 超えたでしょ?超えました~(笑)。
=立ち直る方法=―ありがとうございます。ではもう一つ聞いてみたいと思います。主人公英一はコンピューター将棋に出会ったことで再起いたします。みなさんに質問です。これまでにくじけそうになったとき、どうやって自分を奮い立たせたり、立ち直ったりしましたか?若葉さんいきますか?若葉 俺?俺ですか?ほぼ毎日くじけそうになってるんで、何だろうな?ええ、くじけてますよ、もうとっくに。
僕、大衆演劇出身でずっと芝居に触れて来たんで、正直役者業とか馬鹿にしてて、役者以外になりたいってずっと思ってたんで。だけどあるときから・・・プロ棋士もそうですけど、ボクサーとか年齢制限があるじゃないですか。自分ができることの可能性がどんどんなくなっているって思って。唯一生活できる可能性が高いのは、産まれた時からやってるこの仕事だっていう。だから挫折的に役者になった人間なんで、今現在挫折している状況ですね(笑)。
吉沢 挫折をどう乗り切るか、ってことですもんね。挫折とはまたちょっと違うかもしれないんですけど、あまりにも目の前の壁が大きいとか、どうやって乗り越えたらいいかわかんないってときは、めちゃくちゃネガティブになるんです。自分をネガティブに落とし込んで、いざ蓋開けてみたらそうでもなかった、みたいなパターンが多いですね。
若葉 じゃ『AWAKE』撮影中はそんな感じだったの? あれはスタンダードな吉沢君?
吉沢 ちょっと難しいな、どういうことですか?
若葉 落ち込んで「こんな芝居できないかもしれない」と思ってくるわけでしょ?地獄に着いているのか、スタンダードなのか?
吉沢 あ、そういうこと。あれはスタンダードです。
若葉 ああそう。へええ。
吉沢 今回も台詞難しかったりとか、挑戦しなきゃいけないようなシーンも結構いっぱいあったんです。そういうときも落とし込めば落とし込むほどなんかこう、心配になってきちゃってやるしかなくなってくるじゃないですか。それでやったら意外とできる、みたいなことが多いですね。
―ちょっとMっ気があるんですね。吉沢 ・・・はい。そうかもしれない(笑)。
落合 挫折はみんなの言葉を借りればほんと毎日しているし、カメラの前でワンシーン、ワンカット撮るたびに挫折してるいうか、後悔しているような気持ちだし。でもどうにか続けていかなくちゃ、と。どうするかというか、ほんと時間が解決するものかなって思いつつも、応急処置は必要だなと思ってるので。うち猫2匹飼っているんで、帰ったら猫が2匹寄り添って寝てるところに顔をうずめて猫に迷惑をかけるっていうのが一番の応急処置かな。猫に癒されて次の日も頑張ろうって思う。
長い台詞のとき、山場だなこれ、っていうとき行けるかな?って思うときあるじゃないですか。次の日の夜(のことを)考えたりしません?この時間には終わってんだろ、このシーンって。
吉沢・若葉 あるあるある・・・
若葉 12時間後には終わってるなとか。
落合 そうそうそう!
吉沢 確かに。ありますよね。
落合 何とかなるんだろ、って思いながらお芝居をしてるっていう。それも応急処置のひとつかもしんない。(笑)
監督 僕はにぶいのか、挫折ってあんまり経験してないような気がしますね。まあ、あるとすれば、そういう気になったときは「なるべく人のせいにする」っていうか(笑)、自分が悪いんじゃなくてそれ以外の何かの要素がきっと悪いんだってことで、自分の身からなるべく離して考えると、あんまり深刻にならなくてすむのかなと思ったりします。
―ありがとうございました。では最後に吉沢亮さん、12月25日に公開になりますので、メッセージいただけますか?吉沢 もちろん将棋ファンの方にも、そうでない将棋の知識があまりない方にも楽しんでいただける内容になっています。友情の話だったり、青春、成長、普遍的なものを根本のテーマとしておいている作品なので、いろんな世代のいろんな方に観ていただきたいと思っております。クリスマス、ぜひ『AWAKE』を観に来てください。お願いします!(拍手)
(C)2019「AWAKE」フィルムパートナーズ
http://awake-film.com/作品紹介は
こちら★2020年12月25日(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー