『記者たち 衝撃と畏怖の真実』 ロブ・ライナー監督来日記者会見

『スタンド・バイ・ミー』『恋人たちの予感』『最高の人生の見つけ方』などの大ヒット作をはなってきたロブ・ライナー監督。リンドン・B・ジョンソン大統領の伝記映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』を経て完成させた本格的な社会派ドラマ『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の公開を前に、初来日されました。

2019年2月1日(金)14:45~16:00
会場:FCCJ 公益財団法人 日本外国特派員協会
(東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビル5F)


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登壇者:左からロブ・ライナー監督、ダン・スローンFCCJ理事、ケン・モリツグ氏


『記者たち 衝撃と畏怖の真実』
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2003年3月20日のアメリカによるイラク侵攻。その理由の一つ「大量破壊兵器の所持」が、ねつ造だったことは今や明白だ。
だが、2001年9月11日の同時多発テロ後、ジョージ・W・ブッシュ大統領が愛国心をあおった結果、多くのアメリカ国民が、テロの首謀者であるビン・ラディーンとイラクのサッダーム・フセイン大統領が手を組んで大量破壊兵器を開発しているというマスメディアの報道を信じて疑わなかった。
そんな中、中堅の通信社ナイト・リッダーの記者たち4人は、政府の流す「大量破壊兵器所持」情報がねつ造ではないかと真実を追い求めた・・・
★2019年3月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー
作品紹介


記者会見

◎ロブ・ライナー監督
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◆嘘を根拠に戦争に突き進むことに怒り
今日はお招きいただきありがとうございます。アメリカのプレスよりも、アメリカ以外のプレスからの質問の方が面白いので期待しています。
ベトナム戦争のとき、徴兵される年齢でした。2003年、イラク侵攻に至る過程で、なぜこんなことが起きているのだろうと怒りを感じながらみていました。ベトナム戦争と全く同じように嘘が根拠になって戦争になるのは、なぜ?という疑問、そして、なぜ止められないのか?という思いから、この映画を作ろうと思いました。
世界中で抗議活動が起こって、私も妻とデモに参加しました。子どもが道路に飛び出して車にひかれるのがわかっているのに、それを止められないという無力な気持ちでした。

政府は、9.11同時多発テロ事件とサッダーム・フセイン大統領は何の繋がりもないのに、大量破壊兵器を保有しているのが見つかったという嘘をでっち上げました。
嘘だとわかっているのに、なぜ戦争を止められなかったのか・・・と、心を悩ませました。
当時のイラク侵攻は、9.11事件が起こって一般市民が恐怖心を持っていたのを当時の政権がうまく利用して、自分たちの目的のために使いました。

◆健全な民主主義は、独立した自由なメディアなくしては成立しない
元々ネオコンのシンクタンクが作った「米新世紀プロジェクト」の中で、ソ連崩壊後、スーパーパワーであるアメリカがどう自分たちの力を使えばいいのかを提示していました。9.11事件の起こる前に作られたものですが、その中で、すでにイラク侵攻が決められていました。

頭を悩ませてしまうのは、「米新世紀プロジェクト」に関わった人たちが決して知性がなかったわけではなかったけれど、あの地に西欧的民主主義を植えつければイスラエルを守ることができて、中東が安定するのではと考えていたことです。
そもそもフランスや英国が第二次世界大戦後に介入したけれど、シーア派、スンニー派と宗派も分かれ、民族も多様で、そういう地に西欧的民主主義を持ち込むのは無理だとわかっていたのに、政府は目的のために、国民の不安をあおって戦争に突っ走りました。
私としては、なぜアメリカの一般市民がこんなにも政府のつく嘘を鵜呑みにしたのかが検証したいことでした。

映画にする時、『博士の異常な愛情』のような風刺劇にするか、ドラマにするか、あれこれ考えましたが、いずれもうまくいかない。リンドン・ジョンソン米元大統領の報道官だったビル・モイヤーズのドキュメンタリーを観て、今回題材にしたナイトリッダーの記者たちのことを知りました。彼らは真実を知って一般市民に届けようとしたのに、皆に知らしめることができなかった。それはなぜなのか?が映画の基盤になりました。
映画の冒頭にも掲げた「健全な民主主義は、独立した自由なメディアなくしては成立しない」が作品を作った理由です。

◆トランプ大統領の登場で今に届く作品に

製作当時は、現代に響く作品になると思っていませんでした。トランプが当選して大統領になって、「メディアは民衆の敵。フェイクニュースを流している」とメディアを攻撃しています。彼のやり口は、権威主義的で、独裁政治そのもの。恐怖心を一般市民に植え付け、混乱させ、解決できるのは自分だけだと主張するものです。プーチンも同じ手口です。
独裁主義と民主主義の闘いのテンションが高まっている今こそ、ジャーナリズムが真実を伝えていかなければいけないと考えています。


◎ケン・モリツグ氏

映画を作ってくださって、ありがとうございます。
ナイト・リッダーで記者として働いていたので、胸の熱くなるような思い出が蘇りました。2003年当時には、ワシントンにいました。知られざる勇気ある記者たちの姿を伝えてくれたことに大きな意義があると思いました。
当時、このような記事が出ていたことを知らない人が多いのです。真実を伝えたくない政府が存在する中、ジャーナリズムは民主主義の為に真実を伝える必要があります。
私は安全保障ではなく、経済部に所属していて、2001年9月11日には、経済関係の会議があって、ニューヨークにいました。そのため、9.11同時多発テロの取材もすることになりました。
4人の記者がフラストレーションを持って、一生懸命いい仕事をしていたのに、彼らの声は誰の耳にも届かなかった。地方紙30紙には記事を送ってリアルな状況を伝えていたけれど、影響力のない新聞だとワシントンの権力者には届きません。
わくわくするような激動の時代でした。どんどんイラク侵攻を実行する雰囲気が色濃くなってきた時、「イラクに侵攻するとは信じられない」と言ったら、ワシントン支局長のウォルコットさんから「信じなさい、これから実際に戦争になるから」と言われました。
*注:ワシントン支局長のウォルコット氏を、映画の中ではロブ・ライナー監督が演じています。

◎質疑応答
― 日本は報道の自由が2011年に11位だったのが、阿部政権のもと、67位に下がりました。日本で、この映画はどのような評判になると感じていますか?
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監督:アメリカ以外で、自分が実際に反応を感じることができたのは、チューリッヒとドバイの映画祭と日本です。3カ国ともいい反応です。アメリカ国内よりも、国外にいらっしゃる方のほうが何が起きていたのかクリアーに把握し、イラク侵攻は間違っていると抗議活動も起こっていました。アメリカ国内では、まだ9.11のトラウマを抱えていて、メディアも政府に対して批判的なことをいうと非愛国的だとみられるのではと感じていると思います。日本での反応はいいものになると確信しています。自由な国として、この作品を認めてくださると思っています。

― ホワイトハウスから現実をゆがめるような発信が多いので、メディアの正当性が失われつつあると、監督はある番組で発言されていました。現政権に対する現在のメディアのスタンスは、2003年当時の状況と比べていかがでしょうか?

監督:トランプ大統領が当選して、国営メディアとも呼べるようなメディアがある一方、政府に対して反論しているCNNやワシントンポスト、ニューヨークタイムズといったメディアも存在しています。両方が存在している状態だと思います。
2003年とどう変わったか・・・ それが真実かどうか、きちんと精査されていなかったと思います。とはいえ、2016年の大統領選でも同様だったと思います。
アメリカのテレビ局CBSの社長が、「国のためにトランプはよくないけれど、CBSためには良い」と発言しています。つまり金儲けに繋がるということです。
今もトランプが取り上げられることが多いのですが、民主主義が崩壊しかねない存在として観ている場合と、単純に売れるから記事にするという場合があります。後者の場合でも、究極的に真実が市民に届くのであれば意義はあると思います。
1960年代以降のニュースがどんなものであったかを思い起こしてほしいと思います。それ以前は収益に繋がらなくても、公益サービスの一つとしてニュースは存在していました。1960年代に「60minutes」というCBS放送のドキュメンタリー番組が誕生して以降、ニュースが収益性に繋がっていき、プレゼンの仕方にシフトしていって、一つの商品のようになったように感じています。それでも、真実にたどり着くのであればいいと思ってはいます。
ただ、報道機関が大企業の傘下にどんどん入っているという状況があります。気を付けなければいけないのは、報道機関が独自性を持ってニュースを伝えているかどうかです。
あるコメディアンがメディアに向かって、「皆、トランプのことが嫌いというけど、ほんとは大好きでしょう。だって金儲けさせてくれるから」とジョークを飛ばしていました。このことをトランプ氏もよく知っています。まさに、ホワイトハウスにリアリティ番組のスターがいるような状況です。メディアは彼のことをどんな風に報道していいか模索している段階です。見たいメディアしか見ない人たちに、どう真実を伝えていくかが大事だと思います。

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最後の質問は、ケン・モリツグ氏から
ー近年は『スポットライト 世紀のスクープ』や『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のような報道の真実について描いた作品が続いていますが、こういったジャンルの映画が確立されてきていると思いますか?

監督:それはどうでしょう。観客はひたすらキーボードを打つ人の姿を映画で観るより、爆発シーンを観たいのでは? でもこういった映画が真実に光を当てることができるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。

**★***★**
NHK BS1 3月22日(金)の「キャッチ! 世界のトップニュース」”映画で見つめる世界のいま”で、東京大学大学院教授 藤原帰一さんがロブ・ライナー監督にインタビューしていた中での発言を引用しておきます。

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市民が真実から切り離されていたら悲劇が起こります。
自由で独立したメディアがいかに大切かを語っています。
同時多発テロとイラクは全く関係なかったことをメディアはちゃんと伝えませんでした。
事実が明らかになった後でもアメリカの75%の国民は、サダムがテロと関係していたと信じていました。それこそプロパガンダの力です。
アメリカ以外の国では、この映画を理解してくれました。
アメリカでもいい反応も得られましたが、気に入らないという人も多く、反愛国的映画だと思われました。
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一度植えつけられた情報は、なかなか変わらないことを物語っています。
サッダーム・フセインは独裁者で悪魔、だから処刑されて当然と思われています。
擁護するわけではありませんが、サッダーム・フセインが大統領だった時代、イラクでは教育も行き届き、女性も社会で活躍していました。
様々な勢力がせめぎ合い、未だに落ち着かないイラクを見ていると、部外者のアメリカの勝手な思惑で、気に食わない独裁者を倒した後のことも考えずに侵攻したことに憤りを感じます。

そして、このイラク侵攻、お馬鹿なジョージ・W・ブッシュ大統領を裏で操り、実行させたのがディック・チェイニー副大統領。
その悪名高き副大統領を描いた映画『バイス』も、4月5日(金)からTOHOシネマズ 日比谷他で全国順次公開されます。
ぜひ、『記者たち 衝撃と畏怖の真実』とセットでご覧ください。 

   取材:景山咲子

『フロントランナー』主演ヒュー・ジャックマン来日記者会見

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失墜した大統領選最有力候補を描いた映画『フロントランナー』が2月1日から公開されるのを前に、主演のヒュー・ジャックマンさんが来日し、記者会見が開かれました。昨年の『グレイテスト・ショーマン』以来の来日です。

2019年1月21日(月)日本記者クラブにて
 司会:伊藤さとりさん


フロントランナー
  原題:The Front Runner
監督:ジェイソン・ライトマン

1988年、米国大統領選挙の民主党予備選で、最有力候補(フロントランナー)に躍り出たゲイリー・ハート上院議員。ハンサムでカリスマ性があり、ジョン・F・ケネディの再来とまで言われたハートだが、不倫疑惑を報じられ、大統領選から葬り去られてしまう。
その顛末を、様々な人の目線で追った物語。

2018年/アメリカ/1時間53分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.frontrunner-movie.jp/
★2019年2月1日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

シネジャ作品紹介





◎パックン、ゲイリー・ハートの魅力を語る

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ヒュー・ジャックマンさん登壇前に、ゲイリー・ハートという人物が、どれくらい人気があったのかを、ゲイリー・ハートとゆかりのあるパックンことパトリック・ハーランさんが、資料映像を見せながら熱く語ってくださいました。

パックン:ゲイリー・ハートを知らない方のために、歴史的な事実を紹介したいと思います。時は1988年、場所はアメリカ、コロラド州。若くて、カッコ良くて、頭が良くて、勢いがあって、世界を変えようとしている男がいました。それが、この僕です。18歳になって投票権が手に入る年になりました。その僕の目に入ったのが、頭が良くて、カッコいいゲイリー・ハート。当時、民主党大統領候補。アメリカでは、大統領に同じ候補が3回続けて選ばれることはまずないと言われてましたので、レーガン副大統領は2勝しているし、ジョージ・ブッシュ氏の当選もまずないと思われていました。民主党候補がそのまま当選するだろうと思われていた時のフロントランナー、最有力候補だったのがゲイリー・ハートでした。弱者を守るカッコいい性格、弁が立つ、話がうまい、若者のハートをつかむハート。そんな大統領候補に僕も魅了されて、一生懸命応援していました。それが、それまで絶対越えてはいけないと言われていた痴情を一線を越えて報じたことによって、彼の運命が一瞬にして変わり、若者の夢が一夜にして消えてしまいました。今も、その時のがっかり感が残っている位、胸に抱えています。

司会:実際にゲイリー・ハートさんの活動をご覧になっていたのですね。どれ位、人気があったのですか?

パックン:
一つ前の1984年の時に彼が圧倒的な勢いで上り詰めたけど、当時は重鎮中の重鎮、カーター大統領時代の副大統領のモンデールがいて彼は候補になれなかった。その時、話題になったのは、ゲイリー・ハートは、コロラド州の隅々まで行って、いろいろな人とやりとりして、どんなことにもアドリブで答えてくれて、雄弁な彼に魅了されたのは、僕だけじゃない。

司会:彼が政治から退いたことについて、どう思いますか?

パックン:
複雑な気持ちです。浮気もしく浮気疑惑だったのですが報じられてしまいました。でも、歴代の大統領も皆、女性がいました。男性の愛人がいた人もいる。200年の間、浮気しても報じないという紳士協定があったのに、ゲイリー・ハートの時に初めて報道されて落とされてしまった。今の時代、浮気どころか、複数の女性から性的暴力を訴えられても、ほとんど無傷。彼だけが貧乏くじを引いたのか。
メディアと政治家の関係は、いまだにどうあるべきなのか、どこで線引きするべきなのか、課題は続いていると思います。


●ヒュー・ジャックマン 政治家とジャーナリズムの関係を語る


いよいよヒュー・ジャックマンさんが爽やかに登壇。
オハヨウゴザイマースと言いながら登場し、檀上へ。

【挨拶】

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オハヨウゴザイマース
皆さん笑ってますが、発音どうでしょう?
アリガトウゴザイマス
また素敵な東京に来られて嬉しいです。
ご存知のとおり、素晴らしいジェイソン・ライトマン監督の映画を、ぜひ皆さんに観ていただいて楽しんでいただきたい。そして、今、話し合うべき議論をしてほしいと思っています。

司会:
また来日してくださって、ありがとうございます。


ヒュー:My pleasure, my pleasure 


◆会場とのQ&A


*白黒つけていないのが気に入った
― ゲイリー・ハートを主人公にしながら、群像劇になっています。ここ数作のイメージと違う政治家という役柄、是非やろうと思った最大の決め手を教えてください。

ヒュー:二つ理由があります。一つは、監督と仕事がしたかったから。『JUNO/ジュノ』(2007)や『マイレージ、マイライフ』(2009)、『サンキュー・スモーキング』(2005)など大好きな作品で、機会を待っていました。彼が演出するのは、白黒はっきりしない複雑なキャラクター。毎回、違うタイプのものにチャレンジされ、感慨深い作品を撮っていらっしゃいます。
二つ目は、ストーリーに惹きこまれたからです。最有力候補となってから政界から転落するまでの3週間の話。謎めいて知性のある、自分とは違う人物にチャレンジしたかったということもあります。いろいろな疑問が生まれると思うのですが、答えを出してないのが気に入りました。政治制度などについて、アメリカだけでなく世界中のことを考えさせてくれる。どの観点から見るかが大事だし、どの視点から見てもいいように自由に考えさせてくれる。そこがいいと思いました。
21歳で大学を卒業しました。専攻はジャーナリズムでした。俳優になってなければ、皆さんの席にいることもあり得たと思います。1987年の出来事は、政治とジャーナリズムの関係を変えてしまったターニングポイントで、今に繋がります。映画の中にもありましたが、このような記者会見の席で、「あなたは浮気をしていますか?」と言う質問は、かつてはありえなかった。深夜に路地裏で待ち伏せて質問することもありませんでした。それが初めて起きた出来事でした。

*ゲイリーは家族を守った
― ゲイリー・ハートさんは、表面から見ると失ったものばかりです。彼が何か得たものがあるとすれば何だと思いますか?

ヒュー:takakoさん、ありがとうございます。ゲイリーさんに聞いてみたら、答えてくれました。これは、自分の人生において一番つらい3週間の映画です。でも、その後もいろいろなことをやってきて、つい最近、妻のリーさんと61回目の結婚記念日を祝いました。大統領選を辞退したのは、家族を守りたかったのが一番大きな理由です。選挙制度の神聖さも守りたかった。辞退しない道もあったのではと言われているけれど、それはなかった。政治家とジャーナリズムの関係が、あの時点から変わっていったということが言えると思います。

*未来を見据える力のあった政治家
― 演じる上で膨大なリサーチをされたことと思います。スキャンダル発覚まで、彼が人気を得た一番の要因は?

ヒュー:すごいリサーチをしました。今回初めて、まだ存命の方を演じるので、ご本人がご覧になってどう思うかも気になるので、責任感もありました。
彼は当時も今も理想主義者。若い人に大きな影響を与える力を持っていました。若い人に支持されて、ケネディの再来と目されていました。変革ができる政治家といわれていました。一番優れていたのは、政治家として、10年、15年先を見ていたことです。
1981年、スティーブ・ジョブスがまだガレージでコンピューターを作っていた頃、彼とランチを取りながら、これからはコンピューターの時代と話して、すべての学校にコンピューターを入れるようにしようと語っています。
1983年には、アメリカはあまりにも石油にこだわりすぎているので、中東で戦争になりかねないと発言しています。
1984年には、ゴルバチョフと会って、レーガンがスターウォーズ計画を進めている中で、もう冷戦時代は終わっている。ロシアのいた空間がなくなった後に、中東で過激派が生まれると予測しています。
2000年には、テロの襲撃を受けると警告しています。
このような人が大統領になっていれば、違った世界になっていたのではないかと思います。ほんとに人々に愛された人でした。そして、より良い世界を築けた人ではないかと思います。

*即断が必要なSNSの時代

― ヒュー・ジャックマンさんは、SNSで素敵なメッセージを発していらっしゃいます。SNSのなかった時代と、SNSのある今、ジャーナリズムはどう変わったと思いますか?
ゲイリー・ハートが今政治家だったら、SNSをどう活用されたでしょう?


ヒュー:アリガトウゴザイマス。とてもいい質問ですね。ジョージ・ステファノプロスというクリントン大統領のコンサルタントだった人が、ゲイリーのシチュエーションはすでにいろいろなことが変わりつつあった時代と言っています。今は、どんな情報にもアクセスできる。政治家は単なる政治的リーダーとしてだけでなく、人から好かれて共感できる人物でないといけない。
リアルタイムでやっていかなくてはいけないので、CMなどで政治家をかっこよく見せていますが、裏側は雑然とした状況です。即断しないといけないので、反省するとか、考え直す時間がない。ジャーナリストにとっても、かつては締切まで多少の時間があったけど、今はすぐ書かなくてはいけない。
私は91年に大学を卒業して、ジャーナリストになることも考えたけれど、状況が変わりつつあって、仕事も減ってきているし、経験があれば書けるというものでもない。今では誰でもブログに書ける。質のいいものを書くのは、皆さん、どれだけ大変な思いをしていることかと思います。
もし、SNSがあったら、ゲイリーはたぶん気に入らなかったと思います。受け入れるしかないと思いますが、かつて、「あることをやろう」と決めようとした時、ホワイトハウスに8年いるつもりなので、その間のことも考えなくてはいけないと慎重な発言をしています。


フォトセッション
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記者会見の様子は、(白)さんのスタッフ日記でもどうぞ!

☆取材を終えて

「今では誰でもブログに書ける。質のいいものを書くのは大変なこと」と、記者席を気遣うヒュー・ジャックマンさんの言葉が、ぐさりと胸に刺さりました。
インターネット時代の政治家の在り方も、考えさせられました。
ヒュー・ジャックマンさんや、パックンから、ゲイリー・ハートさんの政治家としての魅力をたっぷりと聞くことのできた記者会見でした。
歴史に「もし」はないけれど、ゲイリー・ハートさんのような方が大統領になっていたら、違った世界情勢が展開されていたことと、ちょっと残念な思いがします。
そして、SNS時代に大統領になったとしても、ゲイリー・ハートさんは誰かさんみたいに、思ったことを単純にツィッターで発したりはしないだろうなと確信したひと時でした。(景山咲子)







〝森崎ウィン 1st visual & interview book 『Win-Win』〟先行発売記念イベント

6月17日(日)SHIBUYA TSUTAYAにて初のビジュアルブック〝森崎ウィン 1st visual & interview book 『Win-Win』〟発売記念のイベントが開かれました。

前日の“PrizmaX”ライブで歌い続けだった森崎ウィンさん、声が枯れています。咳き込んで「昨日ライブで使ったので…」と詫びつつ「嬉しいのといろんな方に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!」とまず一言ご挨拶。

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Q:あらためて感想を

初の・・・ゴホゴホ(咳き込む)ごめんなさい・・・初めての本なので、お話をいただいたときは自分の人生も振り返りますし、いろいろこう・・・「僕でいいのかな」という気持ちもあったんですけれど、いざ出来上がってみると純粋に嬉しいです。やっぱり僕を知ってもらってナンボなので、知ってもらうチャンスが一個増えてありがたいなと思います。
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Q:「Win-Win」に100点満点で点数をつけるとしたら何点ですか?

ああ~185ですね。185点はいったと思います。というのはインタビュー内容がけっこう赤裸々で、今までつけてきた日記を振り返ったり、生まれ育った環境だったりを・・・人って自分の辛かった部分には触れたくなかったりするじゃないですか。それとまた向き合えて新しい自分が見えた。僕にとって新たな引き出しになって、それがほんとによかったと思います。

Q:まずinterviewについてお聞きしたいのですが、一番読んでいただきたい部分はどこですか?

ミャンマーで生まれ育ったことは意外と知られていないと思うので、そこに注目していただけたらなと。ハリウッドのことは取材でもたくさん話してきたのですが、その前の僕のルーツの部分を知っていただけたら嬉しいです。

(ここでスチール撮影は一旦終わり、声の出にくいウィンさんの近くにマイクを設置しなおし)

Q:次にvisualについてお聞きしたいのですが、お気に入りの写真はありますか?

初めて会ったカメラマンさんだったんですけれど、初めて“もっていかれたな”という感覚になりました。全部好きなんですけど、 しいて言うならこれですね、恥ずかしいな(頁を開く)、右側の写真です。

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お気に入り写真 (c)SDP

Q:そのカットが一番お気に入りの理由は?

メイクさんにすごく水をかけられたんです。かけられながらもカメラマンさんの現場が・・・ほんとに初めてなんですよ、あの感覚・・・うまく言葉にできないんですけど、その現場では「異世界の扉が開いた」ように感じました。はい。

Q:映画『レディ・プレイヤー1』(スティーブン・スピルバーグ監督)が大ヒットした実感や、自分の世界が変わってきた感覚はありますか?

そうですね。一年前は、こういう環境(イベントや取材)はありませんでした。こういう場をいただけるようになったり、ありがたいことにたくさんテレビにも出していただけるようになりました。そういう意味では「やっとだな」「やっと、きた~!」という思いがすごくあります。「すごい給料があがった!」とかはないんですけど(笑)、周りの世界が怒涛のように毎日走り続けて行くので、振り返ることができていない部分があるのですが、自分の中の意識が変わっていっている実感はあります。

Q:映画『レディ・プレイヤー1』(スティーブン・スピルバーグ監督)の中で一番好きなシーンは?

「俺はガンダムで行く」というシーンは撮影のときから衝撃を受けていたので、あのシーンが一番好きです。しかもハリウッド映画であれだけアップで使っていただけるなんて!これはスピルバーグ監督に感謝です。 役者として自分だけのアップのシーンがあるっていうのはもう嬉しかったですね。

Q:せっかくなので「俺はガンダムで行く」再現していただければ、と思うんですが、声の調子が・・・。

この声でですか。エヘン、ゴホッ…頑張りますっ!「俺は・・・ゴホゴホッ、すみません。俺はガンダムで(声かすれる)…全然行けねーわ」(会場笑)。別の日にまた来てもらっていいですか。

Q:これからさらに役者業が忙しくなると思うんですけど、今後演じてみたいジャンルやキャラクターはありますか?

僕はアクション映画が好きなので、「CRISIS(クライシス)」みたいなアクションドラマをやってみたいです。せっかく『レディ・プレイヤー1』に向けて殺陣も勉強しましたし、今も時間があると通っています。ふだん歌って踊ったりするので運動神経はいい方です。明るい性格なので、悪人の役をやってみたいですね。殺人鬼とか、自分とは真逆にいる自分を知ってみたいです。

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Q:今後の目標や野望があれば教えてください

10年以内にアカデミー賞をとります。そうやって目標を決めると、逆算して自分に足りないものも見えてきたので、日々勉強ですね。一個一個しっかりとやっていかなきゃいけないし、やっぱり夢は大きく。そのためにやって行くので森崎ウィンから目を離さないでください。よろしくお願いします。

Q:アカデミー賞は具体的に何賞で?

あ、それは特にこだわりはないです。新人賞でも助演男優賞でも。何で賞をとりたいかというと、(俳優の仕事は)正解がないから、常にこれでいいのかと思ってやっているので、ここまで正解だったと自分を認めてやりたい。スティーブン・スピルバーグ監督に直接感謝の気持ちを言えたんですけど、10年後に僕が出てくることで「やっぱりスティーブンが選んだ人。やっぱりスティーブンはレジェンドだ」って言ってもらうのが僕の今後の役目かなって思うんです。

Q:作品が公開されてから街で声をかけられたりすることはありますか?

ないです(笑)。街で声かけられることはなくて、でもTV番組のロケをしてた時に「ダイトウですか?」と男性3人に言われたのはすごく嬉しかったです。普段は歌ったり踊ったりで女性のファンは多いんですけど、同性のファンがついてくれるのは有難いです。「ガンダムに変身する方ですよね」も言われました(笑)。そのときはあらためて「森崎ウィンです」と言いました(笑)。

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Q:スピルバーグ監督にこの「Win-Win」は贈りましたか?

あ、まだ差し上げてないです。送料自腹で送ります(笑)。あれ、あんまりウケないですね(照)。

Q:映画『レディ・プレイヤー1』を見て「PrizmaX」のメンバーの反応は?

やっぱり、ジェラシーは強いと思います(笑)。いい意味での“悔しい”感とかはあるかもしれませんが、純粋に「すごいね」と言われました。嬉しかったです。 グループである以上お互いに切磋琢磨していくんですけど、世に出るっていうのはすごく難しいので、僕が「PrizmaX」の窓口、きっかけになって出て行けたら嬉しいです。

Q:この本をメンバーは?

まだ中味は見せていないです。見たがらないと思います(笑)。仲良しですが僕もそうですけど、誰か仕事が決まると悔しいんです。でも時間をおいて見ると思います。気にしてるので、絶対(笑)。だから僕からも「見て」とは言わないです。

Q:「俺はガンダムで行く」のセリフを言えなかったのは初めてですか?

初めてです(笑)。きのうもライブで言ったんですけど、意外と言ってないです。実はテレビ番組で言った「First to the egg」の方が多くて、「俺は~」の回数はそんなにないのですが、その中でも言えなかったのは今日だけです(笑)。

サッカーワールドカップの話題も出ました。サッカーは自分でするのも見るのも好きなウィンさん。答えも熱かったです。

Q:世間はW杯シーズンですが、ウィンさんはどこが優勝すると思いますか?

最近話題になったイニエスタ含め、スペインが好きです。無敵艦隊と呼ばれているバルセロナが好きなんです。あのパスワーク!スターだけ集まってもダメですし、チームとして勝利を目指していくあの団体芸、あのインカムもついてないのに阿吽の呼吸のパスワーク!もうすごいですよね。スペインにしかできないサッカーだと思います。

Q:W杯で日本は19日(火)のグループリーグ初戦コロンビア戦でWinできますか?期待している選手はいますか?

Winできるんじゃないですか!明日からミャンマーに行くので、あちらで見ます!絶対にwinできると思います!!
本田圭佑選手はサッカー選手としてだけでなく、人として男性として憧れ、リスペクトしているので、日本のファンタジスタとしてやってほしいなとすごく期待しています。

最初はたびたび咳き込んでいましたが、だんだん声が出るようになって、いつもの笑顔も全開。会見終了していったん引っ込んだウィンさん、すぐ戻ってきて声が出なかったことをもう一度ていねいに謝っていました。この会見の後、引き続き購入者対象のイベントがあり、会場に訪れた約1000人のファンと交流しました。公式提供の可愛いファンとの写真をご覧下さい。ほぼ書き起こしましたが、コメントの順番や内容などいくらか編集しています。
翌18日はメンバーと一緒にミャンマーへ出発。テレビ出演も続いて大忙しです。今が大きな波に乗るときなのでしょう。でも身体をこわさないないように、ちゃんと休んでくださいね~。
(取材・写真 白石映子)


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★森崎ウィン 1st visual & interview book 『Win-Win』
 発 売 日:2018年6月20日(水)
 価 格:1,500円(税込)
 サ イ ズ:A5 変型
 ページ数:144ページ
 ISBN:978-4-906953-62-2
 発 行:SDP