1月24日(土)新宿ピカデリー
毎熊哲也(ラッパー 酒匂章太郎)
大西礼芳(ジャーナリスト 藤岡歩)
筒井真理子(池田玉美)
板谷由夏(特命医師 三浦ユカ)
余貴美子(歌謡漫才師 澤井真矢)
gb(ラッパーZAGI)
原作者・製作総指揮:長尾和宏
脚本:丸山昇一
高橋惠子プロデューサー
https://anrakushitokku.com/
©「安楽死特区」製作委員会
MC:オファーを受けてのお気持ちを
毎熊 たくさん集まって頂いて、心から嬉しく思っています。安楽死という題材はものすごく難しいと思いました。役をやる前に安楽死について考えなくちゃいけないな、というところから始まりました。自分自身は今の所毎日歩いて仕事に行ける状態なので、何をやっても本物ではないんですけれど、精一杯心を込めて演じることに徹しました。
大西 自分自身お芝居をする中でも日常を生きている中でも、何か枠の外に出るのが怖くて、何かに抗う姿勢を持つ人物になることが少し怖かったんですが、今回の映画では(監督の)伴明さんにその枠から飛び出せと言われたような気がしていて、それに応えるようにお芝居をさせていただきました。
筒井 この歳になってくると身近な家族などの死と向き合うことがたくさんあって、これが引き受けられるのかなと衝撃的だったんですけれど、高橋伴明監督の作品に「出ない」という選択肢はなかったです。現場では、平田(満)さん(演じる夫の池田)が頑固で不器用で愛らしく、一緒に過ごせる時間が豊かでありがたかったです。
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gb 普段歌手として活動をしているので、ZAGIを演じていて違和感はあまりなかったんですけれど、映画の出演は人生で初めてです。映画の音楽に携わらせていただくのも初めてだったので、一生に一度あるかないかの素敵な経験だと思って全力で楽しみました。
余 (今年)70という年になって、あの世とこの世をうろうろしているようで、セリフを言っていても役か現実かがわからず…今年もいろんな役をいただき、棺桶にも何回も入りましたし(笑)、遺影も何枚も撮りまして、ふわふわした現場でした。元漫才師という役で、三味線や漫才の練習をしなくてはいけなかったんです。人生はリハーサルはないけれど、お芝居の時はお稽古ができて幸せだなと思った時間でした。
丸山 伴明さんに脚本を撮って欲しいと思って45年かかりましたけど、やっと念願叶いました。脚本に1年くらいかかり、脱稿した時には疲れ果ててしまって「もう二度とこの監督とやりたくない」と思いました(笑)が、しばらくすると心地よい疲れで、いろんなことに挑戦しました。
長尾 高橋伴明監督に映画化して頂き、丸山昇一さんにアレンジしていただいたことに深く感謝しています。豪華俳優陣の熱演にただただ感謝しています。
高橋p 私は普段は役者をやっていますが、今回『役者さんってすごいんだな』と改めて思いました。皆さん、一筋縄ではいかないような役を、生きた人として演じてくださいました。夫もそれまでは『スタッフはすごいんだぞ』と言っていましたが、最近になって『役者ってすごいんだな』とやっと言ってもらえるようになりました。
MC:エンドクレジットの後に「くらんけさん」(安楽死を希望してスイスまで出かけた)との対談がありました
高橋p 準備の段階から、くらんけさんにお会いしていろいろなことを伺ってそれを元に作らせていただきました。本作はフィクションではありますけれど、『安楽死がまだ認められていない中でスイスまで行って死ねずに戻ってきて、また機会があったら死にたいという方の想いを知ってほしい』という気持ちがありました。映画の後にくらんけさんに高橋伴明監督がインタビューしています。
MC:脚本執筆についてお聞かせください
丸山 原作の長尾さんに「原作から離れていい」と言ってもらえて自由度が増しました。
原作の主人公は女性政治家や女流作家でしたが、本作の主人公を、回復の見込みがない難病を患い、余命半年と宣告されたラッパーと、彼のパートナーのジャーナリストにしました。章太郎は最初から心と体に重い十字架を背負っている役で登場するわけで、「全体が暗い、重い、動きがない」だとつまらない。なるべく主人公が体や口を動かせるといいと考えるうちに、伴明さんと『ラップはどうだろうな』という話をしました。パートナーの歩は『客観的に取材をするけれど、当事者になると?プライベートでどうなるんだ?』と、これはラブストーリーと思って作っています。
MC:gb(ジービー)さんは70代の丸山さんとラップを作られました
gb 今まで20年近く歌手や作詞家として活動してきたけれど、歌詞を共作するのは初めてでした。共作で歌詞を書かせてもらっていた時は、父の一周忌でアメリカに行っていて運命的に人の死に直面しているタイミングでした。自分の今まで書いていた歌詞の表現にはないものや日本語の奥深さみたいなものを感じました。
MC:作中章太郎が医師団と向かい合うシーン、緊迫の13分間でした
丸山 試写で、鳥肌が立ちました。想像した以上の力感の溢れる作品になりました。監督が高橋伴明だから行けるところまで行っちゃう。単に安楽死について論じるような映画になっちゃうか、一級の”これが映画だ!”という作品になるかの分かれ際なので、粘って演出した監督は「すげーやつだな!」と思いました。
毎熊 台本には『(病状が進み)もうほぼ喋れない』と書いてあるのに、ずっと喋るんですよ(笑)。『だんだんラップのようになっていく』と書いてあって、これはどうやってやるんだ?と胃がキリキリしながら練習していました。目の前には奥田(瑛二)さん、加藤(雅也)さん、板谷さん。先輩がずっとこっちを見ているんですよね。スタッフの皆さんも超ベテランで、「こいつ今からやれんのか?」という感じで、俳優としてはものすごくワクワクドキドキですけれど、大事なシーンだったので「生き残れてよかった」と思いました(笑)。
板谷 思い出しただけでドキドキします。本当に緊張感があるシーンで、今思い出しただけでも鳥肌が立つんですけど、主役の二人に持って行かれてリアクションしてしまうと(演じた)三浦をなくしてしまうので、板谷と三浦がぎりぎりラインを行く役でした。人の死は尊い重いものだし、死を選ぶ方にいる(三浦役を演じる)側としては、ずっとピリピリしていました。その中でもピリピリ度マックスのシーンだったので、よく生き残ってくれたなと。伴明さんは裏でニヤニヤされていたんで、伴明さんはきっと手応えを感じていらっしゃるんだなと思っていました
大西 板谷さんに(作中で)「あなた、プライベートとジャーナリストの立場を混同してますよ」と言われ、加藤さんも「俺だって」と声を荒げられて、「あ〜悩んでるのは私だけじゃない」と反省の連続のシーンでした。
筒井さんとの二人だけのシーンでは、それまで激しいシーンが多かったので、すごく落ち着いて話せました。同じ介護者だから、鎧を着ずに話せる唯一の人。すごく印象に残っています。
筒井 役者って、自分であり、自分でないんですけれど、役になっている間に繋がる瞬間があって、そこが好きなんです。そういう瞬間がたくさんあったと思います。(演じた玉美は)すごく孤独だったんですけど、遺される者が「この後の現実をどう受け止めていけばいいのか」と、二人で話すことで柔らかくなるという気がしていました。
MC:余貴美子さんと筒井真理子さんが共演なんて、映画ファンが泣いて喜びます
筒井 そんな風に言っていただいたら私も泣いて喜んじゃいます。私も大好きな役者さんなんです。私が『大好きだ』というと余さんには、『何にも出ないよ』と冷たくあしらわれます(笑)。
余 (演じた)真矢はいろいろな過去があるんで、『お陀仏になる薬をくれ』とか『殺せ!』とか言っているんですけど、裏で監督がニヤニヤしながら楽しそうに演出していらっしゃる。こちらも楽しくてしょうがなかったです。
歌謡漫談をやっているということで、たくさん稽古をしなくちゃいけないんです。友近さんがとてもお忙しくて、撮影の時にしか打ち合わせができなかったんです。「お客さんがいた方がいいですか?」と聞かれて、「いやいや」と思ったんですけれど、友近さんは「お客さんが座ってた方がやりやすいで〜す(と友近さんの真似)」とおっしゃって、スタッフの方に座ってもらって。生きた心地がしませんでした(笑)。地獄でした(笑)。
MC:最後に毎熊さん、大西さんからお客様へ
毎熊 この映画は”安楽死の賛成・反対”どっち派ということではなく、この映画がきっかけで安楽死であったり、生と死について考えを巡らせてみて豊かにになることが、いいことだなと思っています。
大西 もし気に入っていただけたら、もう一度見ていただけませんか?(観客から拍手が沸き起こる)安楽死について考えるきっかけになるであろう映画があることを広めていただけたら、私たち、嬉しいです!今日はありがとうございました。
(画像:オフィシャル レポート:オフィシャル+白石)
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