『夕陽のあと』初日舞台挨拶

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11月9日(土)新宿 シネマカリテにて、主演の貫地谷しほりさん、山田真帆さん、越川道夫監督の舞台挨拶がありました。上映後の舞台挨拶のため、内容ネタバレがありますのでご注意ください。ほぼ書き起こしでお届けいたします。

貫地谷 こんなに満員のお客様の前で舞台挨拶ができるのがすごく嬉しいです。今日はよろしくお願いします。

山田 劇場まで来てくださってありがとうございます。ちょうど1年くらい前に長島に行って撮って、こうしてみなさんに観てもらうことができて感無量です。長島の方も喜んでいると思います。

監督 長島はツワブキが咲き終わるくらいの時期でした。東京は今咲いているんですけど、ツワブキを見ると長島で撮影をしていたなぁと思い出します。今日はどうもありがとうございます。

―先日鹿児島での先行上映を迎えまして、いよいよ昨日から全国公開となりました。率直に今のお気持ちをお聞かせいただけますか?

貫地谷 皆様に茜という女性がどう映ったのかなぁというのが、正直ちょっと怖い部分でもあります。

監督 むしろ感想聞きたいですよね。(会場へ)どうでした?

―皆様いかがだったでしょうか?(会場拍手)
貫地谷さんが演じられたこの茜という役は、自分の幼い子どもを置き去りにしてしまったというなかなか辛くて想像し難いような役柄だったと思います。撮影中も精神的にもハードだったとお聞きしております。どのようなお気持ちで、現場で乗り越えていったんでしょうか?


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貫地谷 皆様がどう思われたのかわからないんですが、これから養子縁組をしてすごく幸せそうな家族の新たなスタート、というところに私という女が現れて、ある意味かき乱していきます。普通だったら山田さんの五月のほうに感情移入してしまうんですが…今もうネタバレしていいんですもんね?「一度失敗した人間にはもうチャンスはないのか」というセリフもありましたが、私はやはりそこが大切なことなんじゃないかと思っていて。なので、今回自分の価値観というものは置いておいて、いかに茜という役に寄り添えるか、というのを常に考えていたら毎日すごく辛くて。島の皆さんたちと山田さんたちはコミュニケーションもとられているのを見て、すごく羨ましいなぁと、いつも台本見ながら暗い気持ちでいました(笑)。

―監督は茜という役を演じられる貫地谷さんを、どのようにご覧になっていましたか?

監督 すごく悩んでいましたよね。微妙な感情の度合がいっぱいあって。

貫地谷 こんなに大々的に「産みの親、育ての親」という宣伝があるかもわからず(監督:そりゃそうだ)どこまで私が産みの親だというのを見せていいのか、っていう匙加減がすごい難しかった。

監督 感情の匙加減は微妙なので、それについては「こうじゃないか、ああじゃないか」と二人でやっていました。茜のいないシーンでも、茜の残像がお客様の中に残っていることが大事だと思っていたので…出ているシーンはもちろん大事ですよ。出ていなくても茜の存在がどう残っていくかを考えながら演出していた気がします。

―山田さんの演じられた五月は、島で生まれ育って、これからもずっと島で暮らしていく女性として描かれていました。本当に山田さんがずっと長島町で暮らしていたんじゃないかというくらい溶け込んでいらっしゃいました。

監督 「誰が女優さん?」「どれが女優さんですか?」と聞かれました(笑)。

山田 誉め言葉と受け取っておりましたけど(笑)。

―どんな風に島の皆様とお芝居の形を作られていったのでしょうか?

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山田 台本をいただいたとき、島で生まれ島で育っているということだったので、そこに説得力がないとダメだなと思って。飲み会のシーンや友達のシーンが島の方だったので、やっぱり波長を合わせたいと思いました。お願いして漁師さんの家に泊まらせていただいて、一緒に朝の仕事に行ったり、とにかく島を歩き回っていました。

貫地谷 朝現場に向かうときにたまたま、山田さんが台本持ってぶつぶつ言いながら歩いていく姿を見て、すごく素敵な方だなと思いました。

山田 車で横切ったの気づかなかったです。とにかく島を全部歩こうと思っていて、あるとき、電動三輪車に乗ったおばあちゃんが来まして、「どうも」って会釈したらハグされたんですよ。「あ~~」ってハグしてきて、親戚でも何でもないんですけど。

貫地谷 それはどういうノリなんですか?

山田 わかんないんですけど、びっくりしちゃって。なんか外国に来たみたい(笑)。おばあちゃんがそれから「私はあそこに見える種子島から嫁いできて長島にずっといる」という身の上話を20分くらい聞いて…(笑)

貫地谷 新しい仲間と思ったのかな。

山田 不審者という感じではなくて、私も話しているうちに親戚や家族みたいな気持ちになってすごいな~って。その心があけっぴろげな感じができたらいいなと思いました。

―「産みの親、育ての親」というなかなか答えの出せない問題に、お二人と豊和くんと一緒に挑んでいったかと思います。監督ご自身もお父さんでいらっしゃって、この映画で大切に描きたかったポイントはどこだったでしょうか?

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監督 どっちが本当の親かという映画や芝居は昔からありますが、その問題点の外に出たかった。そんなに簡単に決まるものではない。その問いの外に出ることはできるのだろうか? 子どもの人生は誰のものですかと言われれば、それは子どものものと言うと思うんです。しかし、僕を含めて子どもを所有しちゃう。でも子どもの人生をどういう風に尊重できるか?ということを一番に考えた。それは取材した児童相談所の方から「子どものことは最終的に子どもが決めます。僕らが決めるんじゃない。親が決めるんじゃない。子どもが決めます。そのことをいつも考えながら務めています」とお聞きして、この考え方は間違いじゃないんじゃないか。しかし、子どもを愛ゆえに拘束してしまう。どうしたら外に出られるのか?それぞれの苦しみも喜びもそれぞれにあると思いますけれど。
僕らはいい大人ですから、後からくる子どもたちのためにどういう風な場所や世界を残しておけるかというのがすごく大事な問題だと。それは子どもがいるいないに関わらず、大人の問題だと思っているので、それをどういう風に描けるかとみんなで考えながら、みんなと問いながら作った映画です。

―今本編をご覧になったみなさまも、映画の中のみんなと一緒に考えていただけましたらと思います。

ここでフォトセッション

―最後に貫地谷さんより締めのご挨拶をお願いいたします。

貫地谷 本日は来てくださってほんとにありがとうございます。今この国は失敗した人間がどうやって再起をかけられかということがすごく難しくなっている世の中なんじゃないかなと思います。その解決策は難しいと思うんですが、わからないから怖いということもあると思いますし。その中で、もしかしたら、隣にそういう人がいるかもしれない。そういう思いをみなさんが常にどこかで感じていただければ、この先また違う景色が見えるんじゃないかなと思います。私はこの映画に携わってそう感じました。なので、良かったらお知り合いの方に薦めていただいたり、また来てくださったり、これからも『夕陽のあと』をよろしくお願いします。

作品紹介はこちら
越川道夫監督インタビューはこちら

(まとめ・写真 白石映子)

『無限ファンデーション』初日舞台挨拶

2019年8月24日(土)公開初日を迎え、大崎章監督と出演者のみなさんが新宿K's cinemaで舞台挨拶を行いました。全編即興での撮影のご苦労や醍醐味など、お一人ずつからお話が伺えました。作品紹介はこちら

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登壇者(写真左から):大崎章監督、佐藤蓮(智也)、小野花梨(百合)、西山小雨(小雨)、南沙良(未来)、原菜乃華(ナノカ)、近藤笑菜(笑菜)、日高七海(千明) 
MC:MOOSIC LAB

監督 感無量です。今日のためにこの素敵な俳優部とスタッフと、今日のためだけに頑張ってきました(拍手)。

―もともとは西山小雨さんの「未来へ」という曲をもとに作った映画ですけれども、チラシにもあるように「即興劇」という作り方をしています。出来上がってみていかがですか。

監督 映画は全部大変なんですけど、この映画の大変さはここにいる俳優部全員、スタッフもそうだと思うんですが、ほんとに大変でした。この日が迎えられてほんと嬉しい。即興劇については、時間もないので、一人一人にお任せします。

―ぜひね、貴重な機会ですから。

監督 いろいろあるでしょうからみんなから。

―主演の南沙良さん、最初は脚本があったんですよね。それがなくなって即興になったところから始まりました。いろいろ大変だったと思うんですけど演じられてみていかがでしたか?

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南沙良 最初に「全編即興でやります」と聞いたときにすごい驚いたんですけど、でもなんかわくわくしていました。(おお~と反応があって)えっ?えっ? しませんでした?(会場笑)

監督 わくわくしたってすごいですよね。

―意外と心臓が強い。

南沙良 実際現場に入ってみて、相手からもらうことばがわからずに撮影が進んでいったんですけど、私は楽しかった、です、ね。(拍手)

―すばらしい!

監督 ありがとうございます。

―そして西山小雨さん。アーティストとしての見せ場もありますけれども、即興劇をしながら、曲も作ってと、現場はいかがでしたか?

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西山小雨 演技自体が初めてなので、即興に関しては皆さんのほうが「え!?」って感じはあったと思うんですけど。挿入歌としてウクレレ弾きながら歌っているのは、全部現場で1週間の合宿中に書いて、実際に歌った曲です。だから、みんなの、この組み合わせじゃなかったら、たぶん別の曲になってたと思うので、そこがすごく嬉しいですね。あの、CDになってますんで。(笑)

―速い。(笑)

西山小雨 はい。今日サインお書きします。だれか好きでしょ?みなさん。

―じゃあちょっとずつ(マイクを)回しましょう。

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小野花梨 回しますか?ちょっとずつ回すということで、早口で行きます。即興劇、もちろん経験もなければ知識もない、と不安でいっぱいだったんですが、もうやるっきゃない!ということで。みんないろんな趣向を持っていて「ちゃんと役同士の関係をつめて準備をしたうえでその場で即興」がいいのか、「そういうの何もなしで自分として立って即興」したほうがいいのか。やる前からいろんな案が浮かんでいました。そこから話し合いをしていく中で、最終的にああいう形になりました。
現場に行く前にいろいろ考えたけれど、みんなでやるしかないから頑張ろう!ちゃんとやろう!ってできた作品ですので、とっても思い入れのある大切な宝物のような作品になっています。回します。(拍手)

―リアクションする側も、発言する側も大変だったと思うんです。

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原菜乃華 ひっかきまわす役だったので、ほんとに大変でした、もう。やったこともなくて。でもみんなと共通設定を話し合ったりとか、あのシーンどうしよう、次のシーンどうする?みたいな話し合いもして、ほんとにみなさんの助けがあってできた作品だと思います。(拍手)

―近藤さん、まさに部長役というか、現場では部長的にならざるをえなかった?(笑)

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近藤笑菜 部長とよく言われました。監督の部長ではないんですけど(笑)。私実際高校時代演劇部に入っていました。リハーサルが2,3回あったんですけど、その時に監督から無茶ぶりで「ちょっと演劇部のアップをやってみてよ」って言われたりして、ほんとにその場その場でやってくという感じでした。
リハーサルで初めて未来と小雨ちゃんのシーンを見たんです。脚本はないので「こういう感じでやってみよう」というもので、未来と小雨ちゃんが話す、小雨ちゃんがちょっと歌う、というところを見て心が震えて「これはすごいものになる!」「どうなるかわからないけど」(笑)と思って。わからないけどすごいものになるって。(笑)

監督 まさに。

近藤笑菜 完成してこうして観ていただけて、感無量ですね。(拍手)

―重要なところでいろいろと場をつないでくださった。

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日高七海 今日これ回ってくると思わなかった。

監督 すいません。

日高七海 みんなで合宿したんですけど、撮影してないときはかき氷に行ったり、菜乃華ちゃんと朱那ちゃんに「寝起きドッキリ」させられたり、楽しい現場でした。あと私、花梨ちゃんが個人的に好きだったので、ファンだったので…

―今、告白ですか?(笑)

日高七海 嬉しかったです。

小野花梨 もっと早く言ってくれれば。(場内沸く)

日高七海 恥ずかしいじゃん。(笑)

「大好きです」「私も大好きです」「愛してます」と二人やりとり。

―謎の交流が。(笑)そして佐藤君。女の子ばかりの現場で非常に大変だった?肩身のせまいポジションだったと思うんですけど。

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佐藤蓮 はい。撮影中寝泊まりするところが、監督やスタッフのみなさんと一緒だったんです。

―男部屋?

佐藤蓮 そのとき事件がおきまして、みんな夜寝れない、と。何でだ?大崎監督のいびきがすごい。(笑)

―じゃあその疲れも画面に写っている?寝不足感もね。(笑)

佐藤蓮 途中で監督が気を使ってくれて、一階のソファで寝て…

監督 床!(笑)

―監督もたいへんな思いをしながら。

佐藤蓮 ほんとに申し訳なかった。はい。男子1人でしかも全部即興でってことで、これできるかな?と心配だったんですけど、やっていくうちに何か自分の居場所、ポジションを見つけて雰囲気を出せたのかな、と思いました。

監督 喋らない(ポジション?)。(笑)

―そこ共感ポイントですね。ではお時間ですので、最後に南さん、西山さん、監督からご挨拶を。

南沙良 あれ?もう皆さん観たんでしたか?

―大丈夫です。(笑)上映後で、みなさんいい顔されていますよ。

南沙良 えっと、(会場へ)どうでした?

会場から「面白かった~!」(拍手)

南沙良 よかった!ほんとに自由な映画なので、みなさんがどう受け取ってくださるのか不安だったんですけど…うーん、面白いならいいや。(笑)

―即興って知らないで観た人もいるかもしれないですし…いますか?(ちらほらと手が挙がる)

南沙良 即興独特の間とか、セリフが決まってないので、自分の中から出てくるセリフがちゃんとあって、そこが楽しかったです。みなさんにちゃんと伝わっていればいいなと思います。(拍手)

西山小雨 大崎監督に「未来へ」という曲のMVをお願いしなかったら始まらなかったお話で、先日ようやくMV公開ができました。沙良ちゃんに出てもらって素晴らしいものになりました。1曲がここまでの拡がりを見せるという想像もしなかったことが起きてて、これから全国を回るのが楽しみです。毎年夏になるとちょっと思い出す、みたいな映画になったら嬉しいので、ぜひ期間中またお楽しみに来てください。ありがとうございます。(拍手)

―ミュージックビデオが映画を経て出来上がったんですね。そちらもよろしく。では大崎監督。

監督 本日はありがとうございました。今言いましたミュージックビデオなんですが、実は明日からトークのない日にここで上映します(拍手)。トークのない日はビデオを見てから映画を観られるということで。
それとですね。あのう映画がヒットするのはですね、マスコミではなく口コミですので…

―マスコミの方いらっしゃっているので(会場爆笑)、ちょっと訂正してもらって。

監督 ごめんなさい!マスコミも口コミも同じくらい重要ということで(笑)、もし何か感じましたら、お友達に言うなり、SNSなどでいろいろ言っていただければ、ロングランになる可能性もございます。本日はほんとにありがとうございました!(拍手)

ここからマスコミ向けフォトセッション。観客も最後に撮影でき、感想と一緒に拡散してくださいね、とお願い。

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無限ポーズ


会場に向かう1階エレベーター前に、日高七海さんと近藤笑菜さんがいらっしゃって、満席で入れなかったファンのパンフレットにサインをしていました。優しいなぁ。このお二人の即興予告編がとても面白かったのです。『左様なら』でのお二人も良かったのに、せっかく同じエレベーターで上がったのに、言い忘れてしまいました。あ~。
写真ボケ気味でごめんなさい。(取材・まとめ・写真 白石映子)

オダギリジョー長編初監督作品『ある船頭の話』完成披露舞台挨拶

クリスが切り取った美しい日本。ぜひ劇場で味わってほしい!
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左から村上虹郎、柄本明、川島鈴遥、オダギリジョー監督

オダギリジョーが、10年前に書きとめた物語をもとに脚本を書き、これまでの俳優人生の中で培った交友をもとに、豪華なキャストとスタッフを結集。
時代が大きく移ろう中で、「ほんとうに人間らしい生き方とは何か」を問う映画を放ちました。
完成披露試写会が行われ、上映前に出演者と共に登壇。監督オダギリジョーとして、映画への思いを語りました。

2019年8月21日、東京・スペースFS汐留
登壇者:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎、オダギリジョー監督
司会:奥浜レイラ

『ある船頭の話』

脚本·監督:オダギリ ジョー
撮影監督:クリストファー·ドイル
衣装デザイン:ワダエミ
音楽:ティグラン・ハマシアン.
出演:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎/伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優/笹野高史、草笛光子/細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功
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*物語*
のどかな山奥の村。河原の小屋に暮らす渡し舟を営む船頭トイチ。
明治から大正へと時代が移ろい、川の少し上流には橋が出来つつある。これまで町に出るのに渡し舟が頼りだった村の人たちは、完成を楽しみにしている。
そんなある日、川を流されてきた少女が舟にぶつかる。トイチは少女を助け、小屋で一緒に暮らし始める。過去を何も語らない少女だが、孤独だったトイチは癒される。一方で、トイチの人生は大きく狂い始める・・・

2019年/137分/PG12/日本
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://aru-sendou.jp/
(C)2019「ある船頭の話」製作委員会
★2019年9月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開


◎舞台挨拶

MCの呼び込みで、4人が拍手に迎えられて登壇

MC:ひとこと挨拶を! まずは主演を務められました柄本さんからお願いします。
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柄本明:たくさんのお客様、ありがとうございます。『ある船頭の話』、オダギリジョー監督作品です。内容を言ってもしょうがいないので、ご覧になってお家に帰られて、家族、親戚、知人の方に宣伝いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

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川島鈴遥:はじめまして。今日はご来場いただきまして、ほんとうにありがとうございます。ちょうど一年前の今頃撮影していたのですが、撮影に入る前は演じることに精一杯だったので、皆さんの前でご挨拶させていただくことを全く想像していませんでした。今、とても不思議な気持ちでいっぱいです。こうして、素敵な先輩方と一緒に登壇して挨拶できていることが、とても幸せです。今日は楽しんでいってください。

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村上虹郎:はじめまして、で、いいんでしょうか?
今日はお集まりいただきましてありがとうございます。源三役をやりました。

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オダギリジョー監督:皆さん、どうもありがとうございます。普段は俳優として舞台挨拶に立つことが多いので、今日は監督としてこういう場に立っているので、いつもより何倍も緊張しています。今日は初めて関係者以外の方に観ていただくので、どういう反応があるのか心配でもあります。期待と不安がありますが、今さら直すこともできないので、どんな感想を持たれたとしても、それはそれとして、いい部分だけを周りの方に伝えていただけたらと思います。

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MC:この後ろの幕にもありますが、映画のポスタービジュアルにあわせて、皆さん、赤と黒の衣装ですね。

柄本:偶然ですか? (と、とぼけた反応に皆で笑って顔を見合わせる)
村上も、「偶然ですか?」と呼応する。 苦笑するオダギリ監督。みごとな赤と黒の衣装!


◆舟を漕ぐのは上手くなったが過酷な現場

MC:上映前ですので、皆さんの楽しみをそがないように気をつけながら作品の内容に触れていきたいと思います。
柄本さんは、村と町を繋ぐ渡しを生業としている男性ですが、夏と冬、厳しい中で身を置く主人公として生きるのも過酷だったと思います。現場ではどのように進められていったのでしょうか?

柄本:過酷なのは映画を観ていただければわかると思いますが、撮影は、ちょうど去年の今頃、7月・8月の40日、1月に10日間ほど冬の撮影。夏の撮影がとにかく過酷でしたね。

MC:映像のロケーションとしては最高の場所でしたね?

柄本:監督の思い通りの場所だと思うのですが、岩場で河原で、朝から晩まで舟を漕いで、大変でしたね。

MC:流れもあって大変だったのでは?

柄本:舟を漕ぐのは上手くなったのですが、川の流れが早くて、ロープをつけて牽引してもらわないと進めなかったですね。
毎日毎日なんでこんなに疲れるのかと思って、あらためて台本を読んだら、ほとんど全シーン出てるんですね。それで疲れたのかと。とにかく暑いし、逃げ場所がないし、テントを張ってそこにいましたけど、大変な撮影でした。

◆柄本の背中に滲み出る悲しみ
MC:川島さんは100名以上の中からオーディションで選ばれたとのことですが、オダギリ組の撮影はいかがでしたか?

川島:
今回、テストというテストをしなくて、ほとんど一発本番。私にとって初めての経験で、違和感はなくて、テストで起こる慣れというものがなくて、いつもいい緊張感で撮影に臨めたなと思いました。

MC:柄本さんとの共演はいかがでしたか?
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川島:柄本さんは後姿が印象的でした。あるシーンで背中を見つめていたのですが、寂しさや悲しさが感じられて、あらためてすごい方だなと思いました。

柄本:ありがとうございます! (と、深々とお辞儀)

◆虹郎はムードメーカー
MC:村上さんとは一番年が近いですね。

川島:そうですね。私が控えめなので、話しかけてくれるのですけど、なかなかうまく返事ができなくて・・・

村上:俺の話はつまんない?

川島:そういうわけじゃなくて・・・ 虹郎さんがいる現場は、いつもより明るいような気がしました。現場のムードメーカー的な方です。

村上:誕生日が一緒なんです。最初に会った時にそう話しました。豊臣秀吉も一緒なんです。モナリザが盗まれた日。もういいですね。
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MC:村上さんは船頭の友人の役。柄本さんと3度目の共演だそうですね。現場ではいろいろお話されましたか?

村上:今回一番一緒の場面が多かったのですが、控え室では柄本さんといろいろ話しましたけど、現場では過酷すぎて、あんまり何かを喋った記憶がないですね。

柄本:しゃべらないですよ。あんなに暑いんだもん。ほんとに暑いんだもん。

MC:牛を川の中を引っ張る場面がありましたね。

オダギリ:あれはあれで楽しかったですね。

MC:柄本さんにとって、村上さんはやはり孫のようだと思われましたか?

柄本:この映画に出ている村上淳さんがお父さんで、昔、テレビで村上淳のオヤジ役をやったことがあるんですよ。今回の映画、友達のような役。普段からタメ口なんですよ。

村上:そんなことないですよ!

◆豪華なキャストにスタッフは、事務所を通して
MC:オダギリ監督、今回、すごいキャストの方々。映画ファンも胸の高鳴る方たち。どういう風にお声をかけてキャスティングされたのですか?

オダギリ:
いや~ ちゃんと事務所を通したと思います。(会場:笑)
僕自身、俳優をやってるから、同業者の中にも好きな方、嫌いな方がいるのですけど、好きな方に声をかけましたね。

MC:スタッフの方も、撮影監督 クリストファー·ドイルさん、衣装デザイン ワダエミさん、音楽 ティグラン・ハマシアンさんと、海外の方もスタッフとして参加されていますが、どういった経緯で?

オダギリ:事務所を通して・・・(笑) いろいろな経緯があったので、パンフレットを買っていただければ・・・

◆日本の美しさを切り取るクリスの画作り

MC:大事なのはクリストファーさんの存在?

オダギリ:
クリストファーさん!(笑) 素晴らしい撮影監督だとは思っていたのですが、クリスは風景の切り取り方が独特で、僕らが気付かないような日本の美しさをしっかりカメラに収めてくれました。画だけみると、日本映画らしからぬ、日本なのに日本じゃないようなのがクリスの画なのかなと。

MC:以前にクリスさんの映画に出て、撮り方に刺激を受けられたとか・・・

オダギリ:
あ~(『宵闇真珠』を思い出した様子)  川島さんが言っていたテストをしないのは、クリスがそういうタイプなんです。余計なことをしないで、どんどんカメラを回したがる。本人が待てない。そのスタイルがそのまま来てるんですね。テストを重ねると慣れてしまうからテストしない。カメラの動きが合わなければもう一度やればいいだけの話だから、いいっかと。

MC:ワダエミさんの衣装が国や年代を特定しないものでしたね。

オダギリ:
ワダエミさんは大変な方。日本の宝のような方。家にある貴重な生地をこの作品のために使ってくださいました。お金にならない仕事を一生懸命やってくださって感謝しています。
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MC:印象に残る赤い衣装でしたが、着心地はいかがでしたか?

オダギリ:
着心地・・・(笑)

川島:夏冬(見た目は)同じなのですが、夏のままだと冬は寒いからと工夫してくださいました。

◆ヴェネチア正式出品! 作家性を重視する部門に選ばれたことが嬉しい
MC:第76回ヴェネチア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門に正式出品が決定しましたね。お気持ちをお聞かせください。

オダギリ:身が引き締まりますね。自分も俳優として何度か参加させていただいた映画祭でもありますし、イタリアの監督協会が選んでくれている部門で、それがまず嬉しいですね。商業性やエンターテインメント性ではなくて、作家性を重視する部門なので。日本では俳優オダギリジョーというフィルターがとかくつけられるじゃないですか。それがない形で評価してもらえたことが本当に嬉しいですへ

柄本:大変に光栄なことと思っております。
2度目のヴェネチア参加なのですけれど、オダギリジョー監督の作品ということで、日本人の何かがあちらの方にどういう風に伝わるのかが大変楽しみです。

MC:テーマが海外の方にも同じように感じてもらえるものかなと思いました。

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最後の10秒は、一般のお客様にも撮影許可が出ました。

◆劇場でないと良さが伝わらない!
MC:観客の皆さんに向けて、最後にひとことずつお願いします。

村上:僕も大好きな俳優の方たちがいっぱい出ていますし、柄本先生がこんなにも長く出演している映画、どうぞ楽しんでください。

川島:素晴らしいキャストとスタッフ。この作品に関わった人たちの思いが皆さんに伝わればいいなと思います。

柄本:今の映画からは逆行したような作品だと思います。でも普遍的な大きな問題の映画だと思います。そしておとぎ話のような作品です。なかなか正直こういう映画はヒットしにくいと思いますので、皆さんのお力を借りて、なんとか宣伝していただければ幸いです。よろしくお願いします。
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オダギリ:柄本さんがおっしゃってくださったのですが、なかなか挑戦的なことをやっていて、今の日本映画を観慣れている方には観づらい映画なのかもしれません。ただ、それに挑戦したかったのが正直なところでした。それを面白がってくださればといいなと。映画にはいろいろなタイプがあるべきだと思うし、今の主流がすべてではないと思うので、どう捉えていただくかは自由ですけど、がんばって観ていただければいいなと。
あともう一つ、この劇場で音のチェックをしていたのですが、画面もこの大きさで観やすいようにに画作りをしていますし、音の配置も細かくやっていますので、これを家でDVDで観てもまったく伝わりかたが違うんです。特に、ど真ん中で観ていただくとよく伝わるんです。劇場で観ないとまったくよさが伝わりません。DVDやタブレットで観ようとかは考えないほうがいいです。以上です!