『ベアテの贈りもの』 (2004年)や『杉の子たちの50年』(1995年)、『夢は時を越えて -津田梅子が紡いだ絆-』(2000年)など、多くのドキュメンタリー作品を手がけた映画監督の藤原智子(ふじわら・ともこ)さんが2018年6月19日、特発性肺線維症で亡くなりました。86歳でした。女性監督の草分けとして、また脚本家として、長い間活動されてきました。
ご冥福をお祈りいたします。
藤原智子監督プロフィール
東京都出身。東京大学文学部で美術史を専攻、1955年卒業。
映画監督を志し新理研映画に入社し、ニュース映画の制作に携わる。
日本映画新社に移籍後、1960年『オランウータンの知恵』で映画監督としてデビュー。子育てで一時期、映画の現場を離れたが、1980年47歳で復帰。以後、数々の作品を作り続けてきました。
1980年代には能・歌舞伎などの複数の短編記録映画を製作。
東京国際女性映画祭やあいち国際女性映画祭などにゲスト出演しました。
作品紹介
監督作品
『オランウータンの知恵 』 (1960年)
『歌舞伎の後見』 (1992年) 歌舞伎の舞台で、能楽師の補助をする後見の役割について描いた。
『杉の子たちの50年』 (1995年) 第二次世界大戦中の学童疎開を描いた。
『ルイズ その旅立ち』 (1998年) 大杉栄、伊藤野枝夫妻の四女伊藤ルイ。志なかばに憲兵に殺害された両親の想いを受け継ぎ活動した生涯を追った。
『伝説の舞姫 崔承喜 -金梅子が追う民族の心-』 (2000年) 「世紀の舞姫」と絶賛されたが消息不明になった崔承喜(チェ・スンヒ)の足跡を、現在韓国舞踊会の第一人者金梅子 (キム・メジャ)が訪ねる。
『夢は時を越えて -津田梅子が紡いだ絆-』 (2000年) 津田塾大学の創始者、津田梅子の足跡を追った作品。女性の自立に生涯を捧げた梅子と彼女を支えた人々の絆。梅子の志を引き継いだ卒業生の活躍も描いた。
『ベアテの贈りもの』 (2004年) 日本国憲法第24条男女平等の条文の草案を書いたベアテ・シロタ・ゴードン。それに至る、彼女の軌跡を描いた。
『シロタ家の20世紀』 (2008年) 『ベアテの贈りもの』の続編とも言える作品。戦争に翻弄され続けたベアテの家族、シロタ家の物語。
脚本
『鳥獣戯画』 (1966年) 監督:松川八洲雄 鳥獣戯画を主題とした美術映画。
企画・脚本
『100年の谺(こだま)─大逆事件は生きている』 (2012年)
監督:田中啓 大逆事件の犠牲者たちは何を考え、何をしようとしたのか? 国家と司法、国家と人権、国家と私たちを考える作品。
シネマジャーナル 藤原智子監督作品紹介記事
・シネマジャーナル45号 1998年発行
『ルイズその旅立ち』藤原智子監督トーク&インタビュー(あいち国際女性映画祭 )
・シネマジャーナル48号 1999年発行
『伝説の舞姫崔承喜』 (東京国際女性映画週間)
・シネマジャーナル51号 2001年発行
『伝説の舞姫崔承喜』(あいち国際女性映画祭)
・シネマジャーナル54号 2001年発行
『夢は時を越えて―津田梅子が紡いだ絆』 (あいち国際女性映画祭)
・シネマジャーナル64号 2005年発行
『ベアテの贈りもの』インタビュー 藤原智子監督、 ベアテ・シロタ・ゴードンさん(東京国際女性映画祭)
・シネマジャーナルHP『ベアテの贈りもの』
藤原智子監督、 ベアテ・シロタ・ゴードンさんインタビュー
ベアテ・シロタ・ゴードンさんと藤原監督
・シネマジャーナル72号 2007年発行
『シロタ家の20世紀』(東京国際女性映画祭)
・シネマジャーナル86号 2012年発行
企画・脚本 『100年の谺(こだま)─大逆事件は生きている』(東京国際女性映画祭)
記事まとめ&写真 宮崎暁美