『誰もがそれを知っている』公開記念 高橋ユキ、中瀬ゆかりトークイベント

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『別離』『セールスマン』で2度のアカデミー外国語映画賞に輝いたイランの名匠アスガー・ファルハディ監督。待望の最新作『誰もがそれを知っている』は15年前のスペイン旅行で目にした壁に貼られた行方不明の子供の写真に着想を得て、ずっと温めてきた物語だという。スペインを代表する国際的スター俳優夫婦のペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムを主演に迎え、オールスペインロケで挑んだ。
このたび、6月1日公開を前にトークイベントが開催された。登壇したのは、フリーライター高橋ユキと新潮社出版部長の中瀬ゆかり。高橋は2013年に山口の集落で起きた連続放火殺人事件を2017年に取材したルポ「つけびの村」が“最恐の村サスペンス”としてSNSで話題を呼び、noteの有料記事が8000購入を突破、書籍化が決定した。一方、中瀬はアスガー・ファルハディ監督の大ファンであり、「事件マニア」として数々の取材記事を取り上げてきた。高橋と中瀬がスペインの村と日本の村で起きた事件の共通点について語った。

『誰もがそれを知っている』(英題:EVERYBODY KNOWS)
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スペインの故郷で久々に再会した家族と幼なじみ。しかし、結婚式で起きた娘の失踪をきっかけに、隠していたはずの真実をめぐり家族の秘密と嘘がほころび始める…。

監督・脚本:アスガー・ファルハディ
出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、リカルド・ダリン 

2018年/スペイン・フランス・イタリア/スペイン語/133分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch//日本語字幕:原田りえ
配給:ロングライド  
© 2018 MEMENTO FILMS PRODUCTION - MORENA FILMS SL - LUCKY RED - FRANCE 3 CINÉMA - UNTITLED FILMS A.I.E
公式サイト:https://longride.jp/everybodyknows/
6月1日(土) Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開


ファルハディを観ていない人にとって一番入りやすい作品

作品の上映が終わり、興奮冷めやらぬ会場に高橋ユキ、中瀬ゆかりが登壇した。まず高橋が「つけびの村と共通点があるのか、半信半疑で見始めたが、見終わった後は共通点があると感じた」と話した。そして、誘拐劇というよりも村における噂がテーマになっていると指摘し、「田舎の噂は経済状況について、詳しく把握される傾向があり、この映画でもそういうシーンがよく出てきて、万国共通だと思った」と語った。
続いて、ファルハディ監督の大ファンで、これまですべての作品を見てきた中瀬は「余韻としては『彼女が消えた浜辺』が一番近い」と分析。主演の二人がトップスターであり、ファルハディ監督作品に見られる多くの要素が入っている本作を「ファルハディを観ていない人にとって一番入りやすい作品」と位置付けた。その上で「みな何かを失い、幸せになっていない。村の閉鎖的な環境の中で、出ていける者と出ていけない者がいる。残らざるを得ない者はこれからもまた新たな秘密が加わったこの村で、あの事件のことをずっと囁き続けて、10年後20年後も昨日起こったことのように噂するのだろうと考えてしまう」と振り返った。

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村の閉そく感とその中での筒抜け感

ここで、高橋が2013年の夏に起きた『つけびの村』の事件について簡単に説明した。限界集落に住む60代の男性がある夫婦を殺して家に火をつけ、その裏手の家でも女性を殺して火をつけて、家を燃やした。さらに別の家に忍び込んで2人殺害し、 “平成の八つ墓村”と言われていた事件である。一審、二審とも死刑判決が下され、最高裁で継続して審議中。加害者は妄想性障害と診断されているが、高橋は個人的には嫌がらせがあったのかが気になって取材をしたという。
つけびの村事件の話を受け、中瀬はファルハディ監督が土地にこだわり、作品の舞台は都会でなく村でなくてはならなかったと言っていることから、「村独特の人間関係、閉そく感がこの作品の大きなテーマ」だと話す。そして、「サピエンス全史」を取り上げ、この本で人類の言語は噂話と陰口で発達したと書かれているといい、「人間は言語の獲得によって、今、そこにいない人や物について、時空を超えて話せるようになり、危険や情報を共有していった」と動物と人間のコミュニケーションの違いを指摘し、噂話と陰口が人類の歴史と密接な関係にあることを説明。「人間が会って話しているとき、8割はそこにいない人の話と言われている」と付け加えた上で本作のタイトルを引き合いに出し、他人が知らないはずの個人情報を意外に多くの人が知っていることについて触れた。それに対し、高橋も「(つけびの村やこの作品の村が)なぜか筒抜けみたいな感じ」と同調した。

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キャラクターの濃さが本作の魅力

さらに中瀬は本作ではお金の話が重要になっていると話をした後、ラウラが妹の結婚式で村に帰ってきたとき、美人でお金持ちオーラ全開だったために嫌な雰囲気が感じられたとし、「みんなの目つきがけっして祝福していない。結婚式の場面でさえ、村人の目は厳しかった」と話すと、高橋もその点が作品はリアルだと共感し、「めでたい話のときに親戚の人が集まると、『でも、あれはなあ』みたいな話になるのに似ている。ぞっとするものがある」と続けた。
さらに作品の具体的な展開について触れながら、中瀬は「1人1人ちゃんと描かれていて面白い」とキャラクターの濃さが本作の魅力とし、「ラウラの姉マリアナがおばさんで、その夫フェルナンドがおじさんだと思って、パンフレットで年齢を確認したら、フェルナンドは私と同じ歳で、マリアナは年下でした(笑)。これがリアル。そちらもショックでした」と会場の笑いを誘った。

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SNSの発達により、噂話や陰口のスケールが大きくなった

続いて裁判の傍聴をしている高橋に、「噂話が事件の引き金になったものがあるか」と中瀬が尋ねると、金銭目的の犯罪は噂を鵜呑みにしたものが多いと高橋が指摘。中瀬も「Facebookなどでリア充アピールするよりも、『金、ないよ。またキャッシングしちゃったよ』と逆のアピールをした方が今の世界はリスク管理になる」と返し、会場にはまた笑いが起こった。
そのままSNSの発達について話が及んだ。高橋が「(噂話や陰口の) 場所が変わってきたのを感じる」と話すと、中瀬は噂話や陰口のスケールが変わってきたとし、「立ち聞きしてハッとなるシーンがドラマにもあるが、昔は聞かなくていいことが耳から入ってきた。今は活字で自分の悪口を見る。思わず画面の前で声を出してしまうこともある」といい、「エゴサーチはできるだけしないようにしているが、誰かに言われて気になって見てみると、ろくなことは書かれていない。あのパンドラの箱を開けてはいけない」と自らの話を出した。

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45歳で二児の母とは思えないペネロペ・クルス

高橋も中瀬も地方出身で、田舎の閉そく感が大学進学を目指す勉強の原動力だったという話になり、“ラウラもパコではなく、アレハンドロなら村を抜け出せると考えたのでは”と推測。さらに、(ラウラを演じた)ペネロペ・クルスは45歳の二児の母でありながら美貌と体型を維持していることへの賞賛に女子トークが展開。中瀬は「ファルハディ監督の映画に出てくる女優は全員美人。好きな顔なのか、美人ばっかり使うから、顔が見分けにくい。最初の頃、みなさん混乱しませんでしたか」と会場にも話題を振った。
最後に中瀬が「ファルハディ監督は高橋の好みの映画監督ではないか」といい、高橋も「他にも観てみようと思った。」と応えて、イベントは幕を閉じた。

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『誰もがそれを知っている』トークイベント
日時:5月20日(月)20:45〜21:15 ※上映後トークイベント
場所:ユーロライブ(渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
登壇:高橋ユキ(フリーライター/「つけびの村」著者)、中瀬ゆかり(新潮社出版部長)

<プロフィール>
【高橋ユキ】
1974年福岡県生まれ。2005年、女性4人で構成された裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。殺人等の刑事事件を中心に裁判傍聴記録を雑誌、書籍等に発表。現在はフリーライターとして、裁判傍聴のほか、様々なメディアで活躍中。著書に「霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記」(新潮社)、「暴走老人・犯罪劇場」(洋泉社)、「木嶋佳苗 危険な愛の奥義」(徳間書店)、「木嶋佳苗劇場」(宝島社)ほか。Twitterアカウント:@tk84yuki
▷ルポ「つけびの村」note記事URL:https://note.mu/tk84yuki/n/n264862a0e6f6

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【中瀬ゆかり】
1964年和歌山県生まれ。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部長。『5時に夢中!』(TOKYO MX)には番組開始初期からレギュラー出演。他にも、『とくダネ!』(フジテレビ)などにコメンテーターとして出演している。

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『アメリカン・アニマルズ』バート・レイトン監督トークイベント

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2004年アメリカ トランシルヴァニア大学で実際に起きた事件を描いたクライム青春ムービー。犯人は大学生4人組、狙うは図書館に保管された12憶円のヴィンテージ本.......。
何一つ不自由ない若者4人を犯罪に駆り立てたものとは何だったのか?前代未聞の計画は成功することができるのか?

実行犯4人を映画に登場させた今年1番の異色にして意欲作『 アメリカン・アニマルズ』が、5月17日から新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開されている。

このほど同作のバート・レイトン監督が来日し、映画秘宝編集長の岩田和明さんをゲストに迎え、記念イベントが行われた。


『 アメリカンアニマルズ』バート・レイトン監督トークイベント 概要
■日時 :5月10日(金)
■場所 :スペースFS汐留(東京都港区東新橋1-1-16 汐留FSビル3F)
■登壇者:バート・レイトン監督、岩田和明さん(映画秘宝編集長)




試写終了後、万雷の拍手に包まれ、同監督と岩田氏が登場した。岩田氏は本作のイラストTシャツを着てくるほどの気合いの入れよう。
一方のレイトン監督は、ハイエッジーな作品を撮った人とは信じられないほどの穏やかな佇まいで終始ニコニコとした笑顔。
早速、岩田氏の編集者としての視点による質問から始まった。


岩田氏:編集者として、まずこの映画は取材力が高いことに驚いた。記者として興味があるのですが、どうして実行犯の本人たちを出そうと思ったのか?
監督:報道でこの事件を知り興味を持った。私はドキュメントを撮っていたが、ドラマの中に彼らを登場させたら.......というハイブリッドなアイデアを思いついた。当事者に話を聞くのは楽しいものだから。
なぜ恵まれた環境にあった若者たちが犯行に及んだか、その動機を知りたかった。
彼らがまだ受刑中に、何度も手紙のやり取りをした。そして自分自身の背景も話し、彼らの信頼を得た。


岩田氏:映画に出てくれというのは何時の時点で伝えたのか?
監督:手紙のやり取りや面談を重ね、数ヶ月後に依頼した。鳥類の希少本を見つけたスペンサーはアーティストを目指していたことから分かるように、ただの強盗ではなく、目的を失った若者だったのではないかと直感した。

岩田氏:映画に出るのを嫌がった人は?
監督:図書館の司書は、これがどういう映画になるか分からないし、被害者としてまだ4人に怒りを感じていた。なので、直接自分が説明し、出演を説得した。
実は、完成した映画を観て最も喜んだのは司書。一緒に観ていて彼女の夫は途中で寝てしまったのに、彼女はエンディングで脚を踏み鳴らして踊っていたくらい(笑)。
もし彼女が内容に意義を唱えたら変えるつもりだった。でも、内容を肯定的に捉えてくれたのです。そして「許す」という境地に達していた。
逆に4人が内容に意義を唱えても変えるつもりはなかった。


岩田氏:私はある意味この映画をコメディとして観ました 。バカ悲しい青春映画のような.......。
監督:コメディの他、様々なスタイルをとったつもり。ただ、被害者がいるため、敢えて強盗シーンは辛くなるように描いた。一線を越えてしまった点を見せたかった。後半は面白いと言われる。
脚本の基本は知ることから始まる。彼らの若く軽はずみな行動、生活の苦労を知らないからリアルさがない。が、通常の生活はルーザーともいえるものだ。


岩田氏:実際の4人は演技をしたことはないのに、カメラの前でとても自然に見える。その訳は?
監督:時間をかけて信頼関係を築いたので率直に話してくれた。
技術的には、説明が難しいが、カメラの前にマジックミラーを置くアイデアを採用した。そのミラー越しに映った私と話せばカメラ目線で話して貰える。
カメラを見ないでカメラを意識せずに話すことができる。これはドキュメンタリーで培った技法。


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技術的に興味深い話が飛び出し、会場全体から「ほほぉ〜」というどよめきが起きたタイミングで、岩田氏より観客へ質問が呼び掛けられた。たくさんの挙手の中、時間の都合で3人が監督に質問する機会を得た。

① あの4人は実際どんな人物だったのか?
監督:出所後、10年を経ていたため、自身の罪の重さと共に、親を悲しませたという、親の悲しみをを背負ってるいるように感じた。

②題名の由来はダーウィンの本から?
監督:いい質問だ。盗もうとした鳥類の本、ダーウィンの「種の起源」から、アニマルズと取った。ダーウィンとは掛け離れた若者が盗む。動物的衝動のような意味を表現したかった。

③4人の配役はどのように決めたのか?
監督:多くの俳優たちと会った。著名で人気のある若手俳優が集まったが、私には彼らがディズニー映画に出てくるような甘ったるい2枚目にしか見えなかった。
まず犯罪グループのリーダーである、エヴァン・ピーターズが決まった。私はバリー・コーガンをとても気に入っており、彼の1度見たら忘れられない顔、繊細さからスペンサー役は彼しかいないと最初から直感していた。ところが、プロデューサーは人気のある有名俳優を勧めてきたが、そこは自分の信念を推し通した。全体的に人間味ある良いキャスティングができたと確信している。


最後に監督は、「今日は来てくれてありがとう」と日本語で観客たちに語りかけ、拝む仕草を見せると会場は大喝采!今後注目必至の若手新鋭監督を囲む貴重な夕べとなった。



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監督・脚本:バート・レイトン『The Imposter』(英国アカデミー賞受賞)
出演:エヴァン・ピーターズ、バリー・コーガン、ブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソン
原題:American Animals
配給:ファントム・フィルム
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ
© AI Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal
Pictures Limited 2018
(2018 年/アメリカ・イギリス/116 分/スコープサイズ/5.1ch)
公式サイト:http://www.phantom-film.com/americananimals/sp/

posted by 大瀧幸恵 at 00:00 トークショー












『ドント・ウォーリー』ガス・ヴァン・サント監督ティーチインイベント

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ガス・ヴァン・サント監督3年ぶりの新作、ホアキン・フェニックス主演『ドント・ウォーリー』が5月3日(金・祝)にヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷・新宿武蔵野館他にて公開される。
『ドント・ウォーリー』はオレゴン州ポートランド出身の風刺漫画家ジョン・キャラハンの実話。自動車事故に遭い一命を取り留めるが、胸から下が麻痺し、車いす生活を余儀なくされたが、持ち前の皮肉で辛辣なユーモアを発揮して不自由な手で風刺漫画を描き始めた。そんな彼に魅せられて、自伝の映画化権を獲得したのは、2014年他界したロビン・ウィリアムズ。監督にと相談を受けていたガス・ヴァン・サント監督は、ウィリアムズ亡き後、自ら脚本を手掛け、企画から20年の時を経た2018年ついに映画を完成させた。
公開に先立ち、ガス・ヴァン・サント監督が『ミルク』(2009年)以来実に約10年ぶり来日。クリエイター野村訓市氏とともに、2月19日(火)に開催された日本最速上映会に登壇した。

『ドント・ウォーリー』 ガス・ヴァン・サント監督ティーチインイベント概要

■日時:2月19日(火)
■会場:ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター1
    (渋谷1-23−16 ココチビル7・8階)
■ゲスト:ガス・ヴァン・サント監督、 野村訓市氏


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『ドント・ウォーリー』上映直後、興奮もさめやらぬ会場にガス・ヴァン・サント監督、監督の友人でもあるクリエイターの野村訓市氏が登壇した。2人の仲睦まじい様子から親交のあることがうかがえる。ジョン・キャラハンと同じくポートランドに住んでいた監督のことを野村は「ガスといえばポートランドのアンバサダーみないたところがあった」といい、監督がロサンゼルスに引っ越した理由を尋ねた。すると監督は「家族を置いてポートランドに来てもらって撮影するよりもロスで撮影した方がいい俳優に出てもらえる。ロスにはいい場所もある」と答え、ミランダ・ジュライがポートランドを舞台とする作品をロスで撮っていたことにインスパイアされたと付け加えた。

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今作の主人公ジョン・キャラハンは日本人にあまり知られていないが、ポートランドではどんな風に思われていたのかを野村が尋ねると、「80年代にカートゥーニストとして活躍し始め、僕が映画を撮り始めた頃に、ポートランドでローカルな人として知られるようになったんだ。カートゥーン(風刺漫画)は毒のあるもので、面白いけれど、いろんな人の気分を害したり、彼の障害を扱っていたりしたので苦情の手紙も届いていたようだよ。でも、それさえ喜んでいた」と語った。そしてキャラハンについての映画を作るきっかけを『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』のあとくらいに、ロビン・ウィリアムズがキャラハンの本の権利を買ったこととし、「彼はサンフランシスコに住みながら、ずっとジョン・キャラハンのファンだったんだ。それで僕に監督の話がきたんだよ」と説明した。

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監督はキャラハンが事故を起こして車椅子に乗っていることやアル中であることは知っており、「ロビンが演じるならば上手くいくのではと思っていた」という。しかし、脚本を2本書いたが、結局、映画化されなかった。そのためキャラハン本人から「一体どうしたんだよ。この映画ができる頃には死んでしまうよ」と言われたことを明かした。

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その後、キャラハンの言葉通り、2010年にジョン・キャラハンが、2014年にロビン・ウィリアムズが亡くなったが、コロンビアピクチャーズがまだ本の権利を持っており、改めて監督に興味があるかと打診があったという。断酒会やキャラハンが経験したプロセスに興味があった監督はそこにフォーカスしたドラフトを書きあげ、フォアキンに見せたのである。
野村が断酒会に興味があったのかと尋ねると「グループセラピーのことは知っていたよ。結構エキサイティングなんだ。8人が丸くなって、いろいろなことを話していくんだけど、みんなが嘘をついている。だから面白いものができるかもしれないと思ったんだ。僕は(ジョン・キャラハンが断酒会で学んだ)12のステップをやったことはないから、今でも問題を抱えているよ(笑)」と監督は意味深なことを語った。
その後、観客とのQ&Aでキム・ゴードンをキャスティングした経緯を尋ねられると、キム・ゴードンがガス・ヴァン・サント監督の『ラストデイズ』(2005年)に出演したことで付き合いがあり、ポートランドにショーで来れば見に行ったりしていたと話し、今作でのキム・ゴードンやベス・ディットーの話はアドリブだと明かした。

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また今後の作品について質問が出ると、「今、パリのファッション・ウィークについて書いているんだ。少年と父親の話だよ。『パラノイドパーク』がファッション・ウィークにいくって感じかな」と笑いを誘った。
主演のホアキン・フェニックスについて尋ねられると、「自分を徹底的に入れ込んでくれる素晴らしい俳優」と褒めた。

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野村は「登壇前の舞台裏でガスが『この映画を日本のみなさんが気に入ってくれるかな』と聞いていた」と話すと、会場からは割れんばかりの拍手が起こった。野村が「この映画は僕らの世代の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』。落ち込んでいる人や悩んでいる人にはいい話だと思う」と話すと、監督が「今日は来てくれてありがとう。ぜひ口コミをお願いします。そうしてくれないと誰も観ないから」と笑いを交えて観客たちに訴えて、会場をあとにした。

『ドント・ウォーリー』
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監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント
出演:ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック
音楽:ダニー・エルフマン
原作:ジョン・キャラハン 
原題:Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot
配給:東京テアトル 
提供:東宝東和、東京テアトル
2018年/アメリカ/英語/113分/カラー
© 2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC 
公式サイト:http://www.dontworry-movie.com/

『ブラック・クランズマン』映画評論家・町山智浩氏徹底解説イベント詳細レポート

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人種差別問題が過熱するアメリカを背景に、KKKへの潜入捜査をコミカルかつ軽快なタッチで描いた『ブラック・クランズマン』のジャパンプレミアが2月21日(木)に東京・シネクイントで行われ、映画評論家の町山智浩氏が登壇した。
本作は1979年、街で唯一採用された黒人刑事が白人至上主義の過激派団体<KKK>に入団し、悪事を暴くという大胆不敵なノンフィクション小説を名匠スパイク・リー監督が映画化。主人公の黒人刑事ロン・ストールワースジョン・デヴィッド・ワシントンが、相棒の白人刑事フリップ・ジマーマンをアダム・ドライバーが演じている。第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。第91回アカデミー賞では作品、監督など6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。


<イベント概要>
【日 時】 2月21日(木)21:20~21:50(30分)
【場 所】 渋谷シネクイント
                     〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町20-11 渋谷三葉ビル7階
【登壇者】 町山智浩氏


『ブラック・クランズマン』(原題:BlacKkKlansman)
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<STORY>
1970 年代半ば、アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署でロン・ストールワースは初の黒人刑事として採用される。署内の白人刑事から冷遇されるも捜 査に燃えるロンは、新聞広告に掲載されていた過激な白人至上主義団体 KKK(クー・クラックス・クラン)のメンバー募集に電話をかけてしまう。自ら黒人でありながら電話 で徹底的に黒人差別発言を繰り返し、入会の面接まで進んでしまう。問題は黒人のロンは KKK と対面することができないことだ。そこで同僚の白人刑事フリップ・ジマーマン に白羽の矢が立つ。電話はロン、KKKとの直接対面はフリップが担当し、二人で1人の人物を演じることに。任務は過激派団体KKKの内部調査と行動を見張ること。果たして、型破りな刑事コンビは大胆不敵な潜入捜査を成し遂げることができるのかー!?

監督・脚本:スパイク・リー
製作:スパイク・リー、ジェイソン・ブラム、ジョーダン・ピール
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバー、ローラ・ハリアー、トファー・グレイス、アレック・ボールドウィンほか 
配給:パルコ
2018 年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/135分
©2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:https://bkm-movie.jp/

★2019年3 月 22 日(金)TOHO シネマズ シャンテほか全国公開


1978年の実話をブラックパワーブームが
最高潮に達した1972年に設定変更

本作の上映が終わると、映画評論家・町山智浩はアフロのカツラと帽子をかぶって登場した。町山は、「僕が子どもの頃は日本でもアフロが流行っていましたね。この作品は1972年が舞台。世界中であらゆる人種の人がアフロヘアーにしていたブラックパワーの時代の映画です」と語り始める。
まず、作品の冒頭に、アレック・ボールドウィンが白人至上主義者の学者ボーリガード役で登場し、「アメリカはかつてグレートだったのに」と嘆いたシーンについて、アレック・ボールドウィンはアメリカで放映されているお笑いバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で毎週のようにドナルド・トランプの真似をしていると説明。そして、トランプが「もう一度アメリカをグレートにする(=アメリカをかつてのような白人至上の国に戻す)」と言っているのを茶化していると指摘した。
続いて、主人公が彼女である女子大生パトリスと歩きながら、ブラックスプロイテーション映画について話題にしていることを取り上げた。このブラックスプロイテーション映画とは何か。町山はまず、そのきっかけとなったブラックパワーの隆盛に話を遡ってこのように説明した。
「この映画は実話ですが、パトリスは実在しないキャラクター。ただ、モデルはおり、それが黒人への意味のない暴力に対する自警団組織だったブラックパンサーの女性指導者のアンジェラ・デイビスです。それまで、アフリカ系の女性は髪が膨らむのが恥ずかしく思い、いろいろな方法で隠していました。ところが、アンジェラ・デイビスがアフロヘアーはかっこよく、これこそが自分たちの美しさであり、黒人は肌やくちびるを誇りに思うべきと提唱したのです。そこから、『ブラック・イズ・ビューティフル!』という言葉が生まれ、大流行語になりました。その結果、黒人のファッションセンスをカッコいいと白人が真似をするようになったのです。それと同時にソウルミュージックの大ヒット。世界的なブラックパワーブームが1972年くらいに最高潮に達しました。スパイク・リー監督はブラックパワーが盛り上がっていたときに移しちゃえということで、この作品でかなり遊んでいて、実際には1978年に起こった事件ですが、作品では1972年に設定変更し、ファッションなどもそれに合わせてあります」

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ブラックスプロイテーション映画は
白人たちがお金儲けのために作った黒人ヒーローの映画

そして、ブラックスプロイテーション映画については次のように語った。
「ブラックパワーブームによって、“黒人はかっこよく、最高なんだ”という価値観の大逆転が起こりました。それに合わせて、かっこいい黒人のヒーローが悪い白人をやっつけるというだけのアクション映画が次々と作られるようになったのです。その1作目がゴードン・パークスの『黒いジャガー』。黒人の映画監督が作った、黒人の映画ですが、黒人を主役にすると白人も黒人も見に来るからと、白人たちがお金儲けのために黒人の映画を作り始めます。それをブラックスプロイテーション映画と呼ぶようになったのです。エクスプロイテーションとは搾取とか金を騙し取るという意味。ただ、『黒いジャガー』は黒人が作っているので、実際にはブラックスプロイテーション映画ではありません。
作品の中で、ロンとパトリスは『黒いジャガー』と『スーパーフライ』どっちが格好いいかと話しているけれど、『黒いジャガー』の主人公シャフトは私立探偵で、『スーパーフライ』の主人公プリーストは麻薬の売人。どちらもニューヨークで撮られていて、その二つが当時の黒人映画のヒーロー。『スーパーフライ』はゴードン・パークスの息子が撮ったものです。
さらに2人は『コフィー』とタマラ・ドブソンが演じる女性特命麻薬調査員クレオパトラ・ジョーンズを主人公にしたシリーズと比較します。『コフィー』で主人公を演じるのは黒人の巨乳女優パム・グリア。すごくセクシーな女優で、白人、黒人を超えて、ものすごい人気だった。クエンティン・タランティーノやスパイク・リーもパム・グリアが大好きでした。ジョンレノンはパム・グリアをナンパして振られています。
しかし、ブラックスプロイテーション映画は消えていきました。その最大の理由が『燃えよドラゴン』のヒット。クレオパトラ・ジョーンズも空手が得意。黒人の黒帯ヒーローが出る『黒帯ドラゴン』が作られるなど、空手ブームが黒人映画を消していったのです。その後に夫婦映画ブームがドカンとくる。アフリカ系の人やアフリカ系のアクション映画を見ていた観客層がごっそり夫婦映画に持っていかれ、ブラックスプロイテーション映画は消えてしまいます」

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頭のいい黒人が頭の悪い白人をやっつける

ロンとパトリスがブラックスプロイテーション映画について話すとき、それぞれの映画がワイプで入ることについて、町山は「この作品は、はっきりコメディとして演出しているかと思うと、ドキュメンタリーになっています。それぞれのシーンごとに全然違うタッチ。そういう自由自在な編集をして、かなり遊んでいます。特に後半はそれまでのドラマと関係なく、現実にアメリカで起こっていることをぶつけるなど、ルールなしの映画だと思います」とスパイク・リー監督の自由自在な脚色を解説した。
さらに、「白人があまりにもバカに描かれていると思いませんか」と、この映画での白人の描かれ方について言及する。頭のいい黒人が頭の悪い白人をやっつけるのがブラックスプロイテーション映画のスタイルであり、それまでのハリウッド映画で黒人がバカとして描かれていたことに対する反動だと指摘。この作品も“黒人は頭がいいから、彼らを騙した”という話にしていると町山はいう。

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ずるくて間抜けなジムクロウという黒人キャラクターが
黒人のステレオタイプを作り上げた

キング牧師が人権を勝ち取った1965年くらいまでのアメリカ映画では、シドニー・ポワチエが演じた役は例外として、黒人は頭が悪く、臆病で、ずるい存在として描かれていた。いちばん典型的な例が、この作品でも取り上げられた『風と共に去りぬ』の女中である。この描かれ方について町山は次のように説明する。
「メラニーが妊娠したとき、知ったかぶりをして『お産婆さんをやったことあります』といったから、スカーレットオハラは安心して彼女と一緒に子どもを取り上げようとしたのに、土壇場になって『実は何にもやったことありません』と言って、超役立たずのバカで無責任の人として描かれているんです。ただ、もう一人乳母の人が非常に頼りになる黒人のおばさんとして描かれていて、バランスを取っているとは言われていますけれどね」
なぜ、黒人はそんな風に描かれるのか。町山は「南北戦争以前に白人の芸人が顔を黒く塗って、ずるくて間抜けなジムクロウという黒人キャラクターを演じて人気になり、黒人のステレオタイプを作り上げてしまったことが一因となっているんですよ。その結果、南北戦争が終わって黒人が解放された後も、白人が勝手に作り上げた“黒人はバカ”というイメージを理由に、南部では黒人に選挙権を与えなかった。その法律はジムクロウ法と呼ばれています。例えば、祖父が投票していない人は投票できない、黒人は投票前に窓口でアメリカの歴史や法律に関するテストを受けなくてはいけないといったことが決められていました。『グローリー 明日への行進』にそのテストを受けているシーンがありますが、間違えるまで続けるから黒人は絶対に合格できない」と説明する。1965年に黒人も投票できる投票権法ができ、黒人の権利が声高に叫ばれるようになった。ブラックスプロイテーション映画で、「黒人は白人より頭がいい」と訴える必要があったのは、黒人は頭が悪いと言われることによって選挙権を奪われたから。喧嘩が強いことより頭が良いことが大切な理由はそこにある。「これはアニメにも影響を与えており、その代表例がバックスバーニー。うさぎを狩ろうとする白人をうさぎが騙していく。バックスバーニーは黒人のことです」と日本では知られていないので理解されにくい事情まで話した。

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イギリス系とスコットランド系
入植時期の違いが差別意識を増長させた

さらに、人種差別においてリーダーシップを執ったのはスコットランド系の人たちと町山は指摘する。それはなぜか。町山はこう説明する。「南部の土地のほとんどが、最初に入植したイギリス系の人たちによって支配されていて、あとから入ってきたスコットランド系の人たちは土地が持てず、小作人になるしかなかったのです。彼らの仕事は黒人の奴隷を虐待すること。だから、スコットランド系の人たちは映画において南部の奴隷農場が描かれたときに、監視人、拷問者として描かれることが多い。しかも、彼ら自身が差別意識を持っていなくても、その上にいる地主が階級社会を作って、その中間にスコットランド系の人たちを置き、貧乏の鬱憤を黒人たちにぶつける構造を作りました」

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KKKの敵は黒人から非プロテスタントに移行

ロンが潜入捜査をしたKKK(Ku Klux Klanクー・クラックス・クランの略称)についても町山は詳しい解説を繰り広げた。まず、その結成の歴史についてはこのように説明している。
「南北戦争が終わった後、黒人はいったん、投票権を獲得し、実際に選挙で黒人の議員も生まれました。南部は少数の白人農場主たちが大量の黒人労働者を使っていたので、人口比では白人が負ける。「南部を乗っ取られてしまう」と危機感を持った白人がKKKを結成。黒人に「殺すぞ」といって脅かしたり、吊り下げたりして「見よ、これが投票に行こうとした奴らだ」といって、投票を妨害しました。その後、南部を監視していた北軍が撤退して、リンカーンが殺された後、副大統領が大統領になりますが、彼は南部監視をしなかったので、南部の白人が政治的実権を取り戻します。そして、黒人の投票を妨害する法律を次々と各州で作ったのです。それらは総称してジムクロウ法と呼ばれ、その結果、KKKは必要なくなって消滅しました。
その後、D・W・グリフィス監督の『國民の創生』(1915年)が大ブームになって、KKKが白人のために黒人の投票を妨害したと称える内容に感化された人たちがKKKを結成します。ただし、彼らの敵はユダヤ人。1900~1920年ころ、アメリカに新移民と言われる人たちが大量に入ってきました。彼らはユダヤ系、ロシア系、ポーランド系、チェコ系、イタリア系、アイルランド系、ギリシア系。共通点は1つ。プロテスタントでない。彼らはカトリック、ギリシア正教、ロシア正教、ユダヤ教。非プロテスタントの人口増加に対する恐怖がKKKに結びついたのです。そのときのKKKは政治的に正式な政党として各州のかなりの議会で議席を獲得し、非常に大きな反移民グループとして政治的権力を振るうようになりました」

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スパイク・リー監督はKKKに支持された大統領を危惧

そして潜入捜査について、「何も事件を起こしていない段階で、警察が潜入捜査をすることはなかったでしょう」という。ロンがKKKに入ったことはあったが、潜入捜査に関しては何の証拠もない。最後の爆弾事件も原作には書かれていない。町山は「事実ははっきり言って半分くらい」と言い切る。その上で「黒人の主人公ロンがKKKの最高幹部であるデビット・デュークを警備したのは事実。作品の中で一緒に写真を撮っていますが、実際にあるようです。また、意外なことにロンが掛けた電話にデビット・デュークが直接、出たのも事実。でも、ラストに電話をして、『本当は俺、黒人だよ』と言ったのは事実ではありません」という。どこまでが事実で、どこからが事実でないのか。「スパイク・リーは面白くなるように話を作っています」と町山は言い、アカデミー賞脚色賞にノミネートされた理由を自由奔放で勝手気ままな脚本と推測する。(※トークイベントはアカデミー賞の発表前に実施)デビット・デューク自身も映画はでっち上げと反論している。ただ、KKKの最高指導者であったデビット・デュークがトランプを全面的に支持し、「トランプ大統領こそ我々の理想を実現する政治家だ」と言った。町山は「KKKに支持された人が今のアメリカの大統領なんですよ。それがいちばん恐ろしい。よく考えるとアメリカは大変な事態になっている」と現在のアメリカを憂う。そして、スパイク・リー監督が今、この映画を作らなくてはいけないアメリカの状況をこのように説明した。
「ドナルド・トランプ自身が黒人を差別しているかどうかということよりも、政治的権力を得るために、黒人を差別している人たちの票を得ようとしたことが問題です。2017年8月、南部の将軍の銅像を撤去すると言っている市に対して、それをさせないぞとアメリカ中の白人至上主義者が集まりました。ヴァージニア州シャーロッツヴィルで開かれたユナイト・ザ・ライト・ラリーです。それを地元の人たちは白人も黒人も関係なく、そんな奴らは来るんじゃねえということでデモをやりました。そのデモにネオナチの人の車が突っ込み、反対運動をしていた女性を轢き殺すという事件があり、映画の最後で描かれていました。トランプがそれに対して、『デモしている方も悪い』といい、作品の中にそのスピーチビデオが出てきましたね。何が何でも白人至上主義者を糾弾しないというトランプのやり方をスパイク・リー監督はこの映画の中で叩いています」

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プリンスの歌が流れたのは何を意味するのか

最後にプリンスの『泣かないでメアリー(Mary Don’t You Weep)』が流れるが、この曲は旧約聖書の出エジプト記が背景になっている。かつてエジプトでは多くのイスラエル人が重労働を課せられていた。そこにモーゼと呼ばれる人物が現れ、リーダーとなってイスラエル人を率いて、エジプトから脱出する。その際、モーゼは紅海を2つに割る奇跡を起こし、イスラエル人が海の向こうに渡り終えると海は元に戻り、追いかけてきたファラオの軍勢は海水に流されてしまった。『泣かないでメアリー(Mary Don’t You Weep)』は聖書と同じように正義がなされると、苦難に苦しんできた黒人たちを慰める歌で、アレサ・フランクリンがずっと歌ってきた。この曲を最後に流したことに対して町山は「途中は利口な黒人とバカな白人という感じで、マンガみたいに楽しく見せていましたが、現実を突きつけてくる。その上で最後にまた救いを与える。泣いたり笑ったり怒ったり。感情の起伏の激しいスパイク・リー監督らしい映画だなと思いました」と話した。
さらに、この作品がアカデミー賞で6部門にノミネートされたことを受け、「これまでスパイク・リーは、『マルコムX』など、たくさんのヒット作があったにもかかわらず、アカデミー賞にずっと無視されてきました。ハリウッドがスパイク・リーを受け入れなかったのです。しかし、やっとこの映画で追いついた気がします。今回、アカデミー賞作品賞に8作品入っていますが、そのうち3作品がアフリカ系アメリカ人の映画。時代は大きく変わったと思います。今までだったら1本、アカデミー賞作品賞に入っただけでも大変だと言われていたのが、今はダイバーシティで多様性のあるアカデミー賞作品賞になっているので、この映画がいくつ取るかが非常に楽しみです。僕はスパイク・リーにあげたいですね」と締めくくった。

(取材・構成:堀木三紀)

『マイ・ブックショップ』林真理子氏トークショー 詳細レポート

本を読んでいるときの孤独は人間に与えられた最上の時間

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映画『マイ・ブックショップ』は戦争で夫を亡くした女性がイギリスの海辺の町に亡き夫との夢だった書店を開業しようと奮闘する姿を描く。原作は世界的に権威のある文学賞の一つである英国のブッカー賞を受賞したペネロピ・フィッツジェラルドの「The Bookshop」で、『死ぬまでにしたい10のこと』などで知られるイザベル・コイシェ監督がメガホンをとった。2018年スペイン・ゴヤ賞では見事、作品賞・監督賞・脚色賞を受賞。コイシェ監督にとって『あなたになら言える秘密のこと』に続き、2度目のゴヤ・作品賞となった。
公開に先立ち、試写会が実施され、上映後のトークショーに実家が本屋さんという、作家・林真理子さんが登壇。本屋とはどんな仕事なのか、自身の体験を踏まえて語った。

<トークショー概要>
日時:3月1日(金)
会場:シネスイッチ銀座 〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目4−5 旗ビル
登壇者:林 真理子(作家)
作家、エッセイスト。コピーライターを経て、1982年エッセイ集「ルンルンを買ってお うちに帰ろう」が処女作にしてベストセラーになる。1986年「最終便に間に合えば」「京 都まで」で直木賞。以降、数々の文学賞を受賞してきた、日本を代表する女性作家。週刊 文春の人気連載「夜ふけのなわとび」も幅広い層に支持されている。1993年刊行の「本 を読む女」は本屋さんを経営していた自身の母をモデルにしている


『マイ・ブックショップ』原題:The Bookshop

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<ストーリー>
1959 年のイギリス。書店が 1 軒もなかった保守的な地方の町で、夫を戦争で亡くした未亡人フローレンスが、周囲の反発を受けながらも本屋のない町に本屋を開く。ある日、彼女は、40 年以上も邸宅に引きこもり、ただ本を読むだけの毎日を過ごしていた 老紳士と出会う。フローレンスは、読書の情熱を共有するその老紳士に支えられ、書店を軌道に乗せるのだが、彼女をよく思わない地元の有力者夫人は書店をつぶそうと画策する。

監督・脚本:イザベル・コイシェ
出演:エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン
2017/イギリス=スペイン=ドイツ/英語/カラー/5.1ch/DCP
© 2017 Green Films AIE, Diagonal Televisió SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd.
公式サイト: http://mybookshop.jp/

★3月9日(土)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA他にてロードショー

本屋は思いの外、重労働。しかし、触れ合いがある

—作品をご覧になっていかがでしたか。

うちの母は文学少女で、作家になりたいという夢をずっと持っていたのですが、叶わなくて。結局、本を売るようになって、小さい小さい田舎の本屋のおばさんで一生を終えたのですが、その意志を継いで、私が作家になりました。
この作品はいじわるされるフローレンスがかわいそうだと思うかもしれません。しかし、本への情熱が違う形で引き継がれていくってことが救いになっていましたね。 (主人公を手伝う)少女が私自身に見えてきて、最後の方は図らずも涙が出てきてしまいました。本当にいい映画だなと思いました。

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—ご実家が本屋さんだったそうですね。何か思い出はありますか。

本屋にまつわる思い出はたくさんあります。うちの母がよく言っていました。本とタバコがいちばん儲からないって。本ってすごく重いんですよ。映画を見ていると、主人公は若いこともあって楽し気にやっていますが、うちの母なんて、「どっこいしょ」と言ってやるくらい重労働なんです。
私の子どもの頃は今みたいにトラック便じゃなかったので、駅まで本を取りに行かないといけなかった。これがけっこう重い。手に2個くらい持つと子ども心に重いなと思いました。
駅前の通り200mくらいの間に本屋が3軒あったんです。それでも本がすごく売れていて、暮れになるといつも「主婦の友」といった婦人誌が1誌につき150冊くらい売れたんです。付録に家計簿がついていたからですが、どっと送られてくると付録をはさむ作業が大変。それを毎回、やっていましたね。私は覚えていませんが、私が付録をはさみながら「お母さん、本って冷たいね」と言っているのを誰かが聞いていて、結構、何度も言われた覚えがあります。
イギリスは買い取り制だと思いますが、日本は世界でも珍しく、返品ができる委託みたいな制度になっていますので、売れない本は送り返すんですが、その作業も本当に大変。私は母を見ていて、「どうしてこんなに辛い仕事をやっているんだろう」と思ったことがありました。母は「本屋は気概がないと体が動かない仕事。儲からないし、重労働。腰が曲がってしまう。しかし、触れ合いがあると思うからやっているんだ」と言っていましたね。
本屋はみなさんが考えているような優雅な仕事ではないと思いますよ。本屋の娘でないとわからない苦労もあるんです。でも、新刊書がこっそり読めたりして、それがうれしかったなという思い出もあります。
私は小さな書店を見つけると必ず入って、新刊書を2冊くらい買うようにしています。私にはそのくらいしかできないですけれど。

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—林さんにとって、ご実家の本屋さんは一人遊びの場だったのでしょうか。

それはないですよ。お客さんが来るし、在庫を片付けたりしなきゃいけないんです。
私が山梨に帰って、同級生と静かに飲んでいると、「あっ林真理子だ。昔、お前んちの本屋で買ってやったぞ」とか言われるんです。そういうときに本屋って嫌だなと思いますね。

娘がライバル? 母は90歳を過ぎても書きたい気持ちを持っていた

—お母さまは何歳まで現役でお店をやっていたのでしょうか。

母は2年前に101歳で亡くなりましたが、70歳までやって、店を閉めました。そのときに本屋の権利を別の方に譲ったと思います。

—1993年に出された『本を読む女』はお母さまから聞いた話を書いたのでしょうか。

母は当時としては珍しく東京の学校に出してもらって、女学校の先生をしたり、いろんな人と交わって、出版社に勤めたり、大陸に渡ったり、いろんなことをしていましたが、最後は平凡な本屋のおばさんで死んでしまいました。けれど、それなりに夢はあったと思います。

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—お母さまは才媛で、樋口一葉の再来と言われていたそうですね。

若い頃に「赤い鳥」に何度か入賞して、鈴木三重吉先生に「とても素晴らしい才能だ」と言われたそうです。その後、地元の新聞に「樋口一葉の再来現る」と載りました。樋口一葉はご両親が山梨なので、勝手に山梨由来の作家ということになっているんです。

—林さんが作家になって、お母さまはさぞかし喜ばれたことでしょうね。

みなさんにそういわれますが、実は違うんです。うちの母は90を過ぎた頃になって、「私は戦後すぐ、作家になるために鎌倉アカデミアに行こうと思ったけれど、おばあちゃんから『旦那がまだ戦地から帰ってこないのにダメ』と言われて断念した。もし、あの時に行っていたら、真理ちゃんよりもっとすごい作家になっていた」と言ったのです。作家への夢は衰えることがないんだなとびっくりしました。「お母さん、(書きたければ)書けばいいじゃない」と言ったら、「私は作家の母親になっちゃったから、書けないことがいっぱいある」と。うれしいところもあったとは思いますが、ライバルとして見ていたところがあったのだと思います。

—林さんが作家になったのは、やはりDNAでしょうか

うちの娘はまったく本を読みませんし、本なんて嫌いと言っていますからわかりませんね。母親のDNAというより本屋の娘という環境だと思います。

本屋には本屋の企業努力がある

—林さんがもし自分の好きな本屋さんが作れるとしたら、どんな本屋さんにしますか。

私、本屋さんは嫌ですね。重労働なのに、給料は安いし。本屋さんがどんどん消えていって、私が住んでいる街からも大好きな本屋さんがなくなってしまっています。
この作品は1950年代ですが、今、本屋をやると言っても銀行がまずお金を貸してくれないでしょう。こんな衰退産業やめなさいというと思いますよ。

—最近、個性的な本屋さんが街にでき始めていますが、どんな風に見ていらっしゃいますか。

個性的過ぎる気がします。私が望んでいるのは、普通の本屋さん。普通の品揃え、普通の新刊書と雑誌が買えて、棚に個性の強い本があるという本屋が好きですね。
私がずっと好きだった本屋さんがあったのですが、「ここに行くとなんで私が好きな本がこんなにあるんだろう」と思っていました。私はドイツの近代史が好きで、ヒトラーやナチス関係の本があると確実に買ってしまうのですが、私が買いそうな本がいつも揃っているのはなぜだろうと思っていたら、本屋さんの方で「これは林さんが買うだろう」と仕入れていたんです。同じ町内に三谷幸喜さんが住んでいて、「この本は三谷さんが買うだろう」と思われる演劇論みたいなものも揃っています。企業努力ですよね。三谷さんも買うけれど、近くに江口洋介さんも住んでいて、三谷さん用に仕入れていた本を江口さんも買っていたそう。演出の本だから俳優さんは買わないかなと思っていたら、江口さんはそういう本も買っていらしたそうです。
お客さんがどういう本を買っていくかは本屋さんの秘密、トップシークレットだと思います。その本屋さんが店を閉めるときに、近くに住む作家の坪内祐三さんや平松洋子さんが集まって、居酒屋さんに一席設けてみんなでお疲れ様会で飲んだのですが、そのときに酔っ払ってしてくださいました。
本屋さんがなくなったので、最近、Amazonでも本を買うのですが、「あなたが好きな本はこうでしょ」って出されるのがすごく嫌。幼女が殺されたりすると警察が「こんな本を買っている人はいますか」と本屋に情報の提供を求めると思うんです。それはちょっと嫌だなと思います。

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—ご自宅の本棚を見せたい派でしょうか、それとも隠したい派? 

私は隠したい派。電車で読んでいる本ももちろん、カバーをかけています。
私の家は細長い敷地に建っていて、母屋と仕事場は長い廊下で繋がっているんです。それが全部、天井まで書庫になっていて、2000冊くらいありますかねぇ。仕事場も一面本で溢れています。床にもすごいです。普通の本屋さんくらいの本があります。でも、人には見せていません。

人間が本を読んでいる姿は美しい

—本屋大賞についてどう思われますか。

ある人がある文学賞の選考会で本屋大賞について、「本屋に売りたい本と売りたくない本があるのか」と言っていましたが、ちょっとわかる気がしました。本屋大賞って賛否両論ありますが、最初の頃は本屋さんが手作りのようにやっていて、直木賞から漏れたいい本を取り上げたいと言われました。私は直木賞の選考委員を18年くらいやっていますが、直木賞の選に漏れたけれど、本当にいい本だから売りたいというのであれば、それはその通りだなと思います。ただ、みなさんご存知ないと思いますが、最近、博報堂が入っていて、代理店に仕切られていて、初期の感じがなくなってしまって、ちょっと残念に思うことがあります。

—本屋大賞は続いていくと思いますか。

続いていくと思います。活性化のためにいいことだと思いますが、直木賞より売れると言われても、こちらは文学賞で、本屋大賞は別の思惑で選んでいるから別物です。直木賞を批判のタネにしないでほしいですね。

—若い人の本離れについてどう思っていますか。

今日、ここにいらっしゃるのは本が好きな方ばかりだと思いますが、今は楽しいことがたくさんあるから、私たち作家も万策尽きている感じです。この映画がきっかけに本を読むようなってくれればいいと思います。
たまに電車の中で本を読んでいる方を見かけると、人間が本を読んでいる姿は美しいなと思います。スマホをやっていると首が下がってしまいますが、本というのは首の位置がもう少し自然。姿勢がきれいです。

—ある作家が、ついふらっと本屋に入ると自分の本があるか確認してしまうと言っていました。

それをするのはよっぽど売れている人だと思いますよ。小さい本屋だと置いてくれなくてもしょうがないと思っていますが、中堅どころに行って、置いてないと「なんで私の新刊書を積んでくれないの?」と腹が立つことが多いので、精神衛生上、行かないことが多いですね。どこで買うかと言ったら、小さい本屋とすごく大きい本屋。腹が立つのは中堅どころ。

—その中堅どころがなくなってきています。

そうなんですよね。腹が立つことが少なくなってきています(笑)。
本屋さんに行くと、これを買うつもりだったのに、こんなのもあったのか、あんなのもあったのかとつい手が伸びる。それが本屋さんの素晴らしいところ。この映画の冒頭に「人は物語の世界に住むことができる」というセリフがありましたが、あれは名言だなと思いました。
人って孤独を嫌がることが多いですが、本を読んでいるときは孤独じゃないと思います。今の私たちは孤独をとても嫌いますが、本を読んでいるときの孤独は人間に与えられた最上の時間と私は思っています。

日本には本による豊かな文化基盤がある

—本はどこで読みますか。

本はどこでも読める。新幹線に乗るときは本を2~3冊持って行って読みますし、普通の電車の中でも読み、テレビを見るときに読み、寝る前に読みます。
私は時間にすごく正確なんですよ。みなさん、「うそ!」とおっしゃるかもしれませんが、30分くらい前に行ってドトールやスタバでコーヒー1杯飲みながら、読みかけの本を読むというのが非常に幸せなときです。

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—最後に映画についてひとことお願いします。

この映画、ファッションが素晴らしいですね。主人公のお店を手伝ったクリスティーンのピンクのカーディガンの可愛いこと。中のブラウスとベストの色が合っていませんが、すごく可愛い。50年代ならではのプリントとプリントの合わせ方が素晴らしい。
ブランディッシュのコートの着方、帽子のかぶり方、紅茶の飲み方も紳士ですね。1950年代ですからイギリスにはちゃんとティータイムが設けられていて、たかだか近所の人とお茶を飲むのに、ブランディッシュはネクタイ締めてジャケット着て、ちゃんと白いクロスを掛けている。そういうところに時代を感じます。
この作品を見ると、本に対する親交があり、本を読むということが日常的ではあるけれど尊敬される行為だった。非常に良い時代だったと思います。
先日、パリに行ってシンポジウムに出たのですが、パリでは作家は生活できない。インテリしか本を読まないので、3000~4000部しか売れないのです。だから、作家は大学の先生も兼ねています。作家が銀座のクラブに行ってシャンパンを飲み、豪邸を建てるのは日本だけ。うちは豪邸ではないし、シャンパンも飲みませんが(笑)。
日本には本による豊かな文化基盤がある。私たち作家も支援しようといろいろなことをやっているのですが、これを支えてくれているのが本屋さん。この作品はそんな本への愛おしさが込められています。

(取材:堀木三紀)